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トリガーポイント注射の適応から副作用まで整形外科医が解説!
2025.03.10
慢性的な肩や腰の痛み、しびれに悩んでいませんか?
もしかしたらその原因は「トリガーポイント」かもしれません。
トリガーポイントとは筋肉の硬結で、押すと痛み、関連痛を引き起こします。このトリガーポイントに直接注射をする「トリガーポイント注射」は、驚くほど多くの症状に効果を発揮します。
肩こり、腰痛、頭痛はもちろん、腸腰筋、胸鎖乳突筋、梨状筋といった特定の筋肉のトリガーポイントにアプローチすることで、腰痛、股関節痛、首の痛み、頭痛、めまい、坐骨神経痛のような症状を改善できる可能性があります。
多くの整形外科医が採用するこの画期的な治療法は、薬物療法とは異なり、痛みの根本原因に直接働きかけます。 ゴルフのスイングで腰痛に悩んでいた患者さんが、トリガーポイント注射とリハビリによって以前のようにゴルフを楽しめるようになった事例も多数報告されています。
この記事では、トリガーポイント注射の適応症状、効果、具体的な手技、そして再発防止策まで、整形外科医の視点から詳しく解説します。



トリガーポイント注射の適応症状と効果を理解する
慢性的な痛みでお悩みの方、その原因は「トリガーポイント」かもしれません。トリガーポイントとは、筋肉にできる硬いしこりのようなもので、押すと痛みを感じ、関連痛と呼ばれる離れた場所に痛みやしびれを引き起こすこともあります。このトリガーポイントに直接注射をすることで、痛みやしびれなどの症状を和らげ、筋肉の緊張をほぐす効果が期待できるのが、トリガーポイント注射です。
肩こりや腰痛、頭痛など、様々な痛みに効果が期待できます。痛みのせいで諦めていた趣味や仕事も、トリガーポイント注射によって快適な生活を取り戻せる可能性があります。
腸腰筋に対するトリガーポイント注射の効果と主な症状
腸腰筋は、背骨から太ももの骨の内側についている深層筋で、上半身と下半身をつなぐ重要な筋肉です。立つ、歩く、走るといった動作や姿勢の維持に大きく関わっています。この腸腰筋にトリガーポイントができると、腰や股関節の痛み、太ももの前側の張り、姿勢が悪くなる、脚が上がりにくいなどの症状が現れます。
例えば、
長時間立っていると腰が痛くなる
前かがみの姿勢がつらい
寝返りをうつと股関節が痛む
階段の上り下りがつらい
靴紐を結ぶのが困難
といった症状でお困りの方は、腸腰筋のトリガーポイントが原因かもしれません。腸腰筋へのトリガーポイント注射を行うことで、これらの症状が改善することが期待できます。
具体的には、
腰や股関節の痛みの軽減
太ももの前側の張りの緩和
姿勢の改善
歩行の改善
などが挙げられます。
私のクリニックでも、ゴルフのスイングで腰に痛みを感じていた患者さんが、腸腰筋へのトリガーポイント注射とリハビリテーションを併用することで、痛みが軽減し、以前のようにゴルフを楽しめるようになったケースを数多く経験しています。
胸鎖乳突筋へのトリガーポイント注射の適応と期待される効果
胸鎖乳突筋は、耳の後ろから鎖骨にかけて走っている首の筋肉で、首を支え、頭を動かす役割を担っています。この筋肉にトリガーポイントができると、首のこりや痛みだけでなく、頭痛、めまい、耳鳴り、顎の痛み、眼精疲労といった様々な症状が現れることがあります。
例えば、
デスクワークで長時間パソコン作業をしている
スマートフォンを長時間見ている
猫背気味である
ストレスが多い
といった方は、胸鎖乳突筋にトリガーポイントができやすい傾向にあります。
胸鎖乳突筋へのトリガーポイント注射は、これらの症状の改善に効果が期待できます。
症状 | 効果 |
|---|---|
首の痛み、こり | 痛み、こりの緩和 |
頭痛 | 頭痛の改善 |
めまい | めまいの軽減 |
耳鳴り | 耳鳴りの軽減 |
顎の痛み | 顎の痛みの軽減 |
眼精疲労 | 眼精疲労の軽減 |
梨状筋のトリガーポイント注射が改善する痛みの種類
梨状筋はお尻の奥深くにある筋肉で、股関節を外側に回す働きをしています。この梨状筋にトリガーポイントができると、お尻の痛みやしびれ、坐骨神経痛に似た症状が現れることがあります。これを梨状筋症候群といいます。
梨状筋症候群では、以下のような痛みやしびれが現れます。
お尻の痛み
太ももの裏側からふくらはぎにかけての痛みやしびれ
足の冷え、むくみ
これらの症状は、まるで坐骨神経痛のようですが、原因が異なります。坐骨神経痛は、腰椎椎間板ヘルニアなどが原因で坐骨神経が圧迫されることで起こりますが、梨状筋症候群は、梨状筋の緊張や肥大によって坐骨神経が圧迫されることで起こります。そのため、坐骨神経痛の治療では効果が出ない場合もあります。梨状筋へのトリガーポイント注射は、梨状筋症候群による痛みやしびれを軽減する効果が期待できます。整形外科領域では、電気的ドライニードリングを用いた治療法も研究されており、従来の理学療法と比較して、慢性腰痛の機能障害改善に効果的である可能性が示唆されています。



知っておくべきトリガーポイント注射の効果持続時間と再発防止策
トリガーポイント注射の効果の持続期間は、患者さんの状態や生活習慣によって異なりますが、一般的には数日から数週間程度です。1回の注射で痛みが完全に消失するわけではなく、複数回の注射が必要となる場合もあります。
効果を持続させ、再発を防ぐためには、日常生活での姿勢や動作に気を付けることが重要です。
具体的には、
ストレッチ:硬くなった筋肉を柔らかくし、血行を促進することで、トリガーポイントの形成を防ぎます。
適度な運動:全身の血行を良くし、筋肉の柔軟性を維持することで、トリガーポイントの発生を抑制します。
適切な姿勢の保持:猫背や長時間の同じ姿勢は、筋肉に負担をかけ、トリガーポイントを作りやすくします。正しい姿勢を意識しましょう。
十分な睡眠:睡眠不足は、筋肉の疲労を回復させにくくし、トリガーポイントの悪化につながります。質の良い睡眠を心がけましょう。
ストレスをためない:ストレスは自律神経のバランスを崩し、筋肉の緊張を高め、トリガーポイントを発生させやすくします。ストレスを上手に解消する方法を見つけましょう。
これらの対策を継続的に行うことで、トリガーポイントの再発を防ぎ、快適な生活を送ることができます。トリガーポイント注射などの治療と並行して、これらの生活習慣の改善に取り組むことが、根本的な解決につながります。
トリガーポイント注射の手技と注意点
トリガーポイント注射ってどんな風にされるんだろう?痛くないのかな?と不安に思っている方もいるかもしれません。注射と聞くと、どうしても身構えてしまうのは当然です。この章では、トリガーポイント注射の手技や注意点について、小学生にもわかるように丁寧に説明していきますので、安心して読んでみてください。
トリガーポイント注射の具体的な手技と施術の流れ
トリガーポイント注射は、まるで宝探しのようなものです。まず、医師が患者さんとじっくりお話をして、痛みの場所や種類、いつから痛いのか、どんな時に痛みが強くなるのかなどを詳しく伺います。これは、宝の地図を作るための大切な作業です。
次に、医師は患者さんの身体を丁寧に診察し、トリガーポイントを探します。トリガーポイントは、筋肉の中に隠れている硬い小さな塊のようなもので、押すと痛みを感じます。まるで隠された宝箱を見つけるような作業です。このトリガーポイントが、痛みの発信源となっているのです。
トリガーポイントが見つかったら、その場所に消毒液を塗布し、髪の毛よりも細い注射針を刺して、局所麻酔薬などを注射します。注射時間は1箇所あたり数秒程度と短く、痛みはチクッとする程度なので、怖がる必要はありません。例えるなら、蚊に刺された時のような痛みです。注射後は、少しの間安静にしていただきます。
施術全体の流れを、学校に行く準備に例えてみましょう。
問診:先生に宿題を提出するように、痛みの状態や過去の病気を先生に伝えます。
診察:宝探しのように、先生は痛みの原因を探します。
消毒:手を洗うように、注射する場所をきれいにします。
注射:チクッと一瞬、注射をします。
安静:注射の後、少しの間休憩します。
大体10~20分程度で終了します。
トリガーポイント注射を受ける際の注意事項とリスク
トリガーポイント注射は比較的安全な治療法ですが、ごくまれに、内出血(注射した場所の皮膚の下で出血すること)や感染、神経損傷、アレルギー反応などのリスクがあります。これは、どんな医療行為にも多少なりともリスクが伴うのと同じです。自転車に乗る時でも、ヘルメットをかぶって安全に気を付けていても、転んで怪我をする可能性があるのと同じように、トリガーポイント注射にもわずかながらリスクがあることを理解しておくことが大切です。
また、血液をサラサラにする薬(ワーファリン、バイアスピリンなど)を飲んでいる方や、血が止まりにくい方は、事前に医師に相談する必要があります。なぜなら、これらの薬は出血しやすくなる可能性があるからです。
施術を受ける前に、医師からこれらのリスクについてきちんと説明を受け、納得してから施術を受けるようにしましょう。心配なことは何でも相談してください。
注射後のアフターケアと生活の注意点
トリガーポイント注射後は、激しい運動や飲酒、長時間の入浴は避け、安静にするように心がけましょう。注射部位を強くこすったり、押したりするのも避けてください。これは、注射した場所を刺激しないようにするためです。
通常、日常生活には支障ありませんが、仕事内容によっては、医師と相談の上、一時的に控える必要がある場合もあります。例えば、力仕事が多い方などは、注射した部分が痛む可能性があるため、注意が必要です。
他の治療法との違い—トリガーポイント注射と薬物療法の比較
薬物療法は、痛み止めの薬を飲むことで痛みを和らげる治療法です。一方、トリガーポイント注射は、痛みの原因となっているトリガーポイントに直接薬を注射することで、痛みを根本から改善することを目指します。
薬物療法は、痛みが広い範囲に広がっている場合に有効ですが、副作用(薬を飲んだことによる体の不調)のリスクも考慮する必要があります。例えば、胃腸障害(お腹が痛くなったり、吐き気を催したりする症状)などが挙げられます。
トリガーポイント注射は、痛みの原因が特定できる場合に有効であり、副作用のリスクも比較的低いとされています。費用も比較的安価です。ただし、1回の注射で痛みが完全に消えるわけではなく、複数回の注射が必要となる場合もあります。効果の持続期間は患者さんの状態や生活習慣によって異なりますが、一般的には数日から数週間程度です。
それぞれの治療法にはメリットとデメリットがあるため、医師とよく相談し、自分に合った治療法を選択することが大切です。前述の研究結果でも示唆されているように、電気的ドライニードリングと従来の理学療法を比較した結果、慢性腰痛の機能障害改善には電気的ドライニードリングを含むアプローチがより効果的である可能性が示されています。



参考文献
Lara-Palomo IC, Gil-Martínez E, Antequera-Soler E, Castro-Sánchez AM, Fernández-Sánchez M, García-López H. Electrical dry needling versus conventional physiotherapy in the treatment of active and latent myofascial trigger points in patients with nonspecific chronic low back pain. Trials 23, no. 1 (2022): 238.
院長監修記事

武内 晋司郎
(たけうち しんじろう)
シンセルクリニック総院長
三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。
三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。
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