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2025.11.10
院長監修記事

武内 晋司郎
(たけうち しんじろう)
シンセルクリニック総院長
三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。
三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。
シンセルクリニック武内総院長が、腱板断裂について、そして最新の再生医療について分かりやすく解説します。
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「最近、肩が痛くて夜も眠れない」「年のせいかな」と一人で悩んでいませんか?実は、その肩の痛みの原因は「腱板断裂」かもしれません。
日本国内では50代で14.7%、70代で31.2%もの人が罹患し、「五十肩」の約3分の1に腱板断裂が見つかるなど、決して珍しい病気ではありません。しかし、「年のせいだから」と放置することは非常に危険です。
ある研究では、腱板断裂を放置すると3年後には61%で断裂が拡大し、部分断裂も約30%が完全断裂に進行すると報告されています。
放置すれば取り返しのつかない事態を招きかねない腱板断裂。この記事では、整形外科医がその重大なリスクと、進化する治療の選択肢について徹底解説します。




若い頃から柔道やラグビーで体を酷使してきた私自身の経験からも、肩の痛みがいかに生活の質を低下させるか、身をもって感じています。
多くの患者さんが「年のせいだから仕方ない」と諦めてしまう気持ちもよくわかります。しかし、その肩の痛みの原因が「腱板断裂」である場合、放置すると取り返しのつかない事態を招く危険があります。
腱板断裂については詳しくご覧ください↓↓
肩腱板断裂とは?原因から最新治療まで整形外科医が解説

残念ながら、一度切れてしまった腱板が自然に元通りにつながることはありません。これは、私が長年整形外科医として数多くの患者さんを診察してきた実感とも重なる事実です。むしろ、放置すればするほど断裂は時間とともに拡大していく傾向があることがわかっています。
実際に、ある研究報告では、腱板断裂を治療せずに経過を観察したところ、3年後には全体の61%で断裂が大きくなっていたとされています[2]。
さらに驚くべきことに、部分的に断裂と診断されていた方のうち、約30%が完全に腱板が切れてしまう「完全断裂」に進行したというデータもあります[2]。このような進行は、肩の痛みや機能低下をさらに悪化させることにつながります。
断裂が拡大すると、肩の機能はさらに低下し、夜間痛や動作時の痛みが強まるだけでなく、肩を動かすたびに「ゴリゴリ」とした引っかかりを感じるようになります。これは、切れた腱板の断端が骨と骨の間で挟み込まれるためです。診察室でも「腕を横から上げると激痛が走るんです」「ペットボトルの蓋を開けるのも辛い」といった訴えをよく聞きます。これらの症状は、日常生活の質を著しく低下させてしまいます。
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腱板断裂を放置することは、現在の症状の悪化に留まらず、将来的に深刻な問題を引き起こす最悪のシナリオへとつながる可能性があります。これは、私自身の臨床経験からも強く感じる危機感です。私が過去に担当した患者さんの中には、断裂を放置しすぎた結果、最終的に非常に難しい選択を迫られることになった方もいらっしゃいました。そのような姿を見るたびに、早期診断と治療の重要性を痛感します。
具体的には、放置を続けることで次のような段階を経て症状が進行していきます。
小さな断裂が徐々に広がり、周囲の腱板組織を巻き込んでいきます。腱板が機能しなくなると、その筋肉は使われなくなり、徐々に萎縮して脂肪に変性していきます。
この状態を「脂肪変性」と呼びます。
脂肪変性が進むと、たとえ手術で腱板をつなぎ直そうとしても、筋肉自体が弱っているため、良好な機能回復が難しくなります。
これは、例えるなら、長期間使わなかった筋肉が細く硬くなってしまうようなものです。
腱板断裂の手術について詳しくご覧ください↓
肩腱板断裂の手術とは?入院期間なども医師が解説!

腱板は肩の安定性やスムーズな動きを担う重要な役割を持っています。その機能が損なわれると、腕を上げる、回すといった日常的な動作が困難になります。
日常生活の様々な場面で支障をきたし、「洗濯物を干せない」「車の運転が辛い」といった声が聞かれるようになります。

腱板は肩関節のクッションのような役割も果たしています。
断裂によってこのクッション機能が失われると、上腕骨と肩甲骨の骨が直接ぶつかり合うようになり、摩耗が進みます。これが「変形性関節症」へと進行する原因となります。
変形性肩関節症について詳しくはこちら↓↓
変形性肩関節症とは?整形外科医が徹底解説!
私は長年整形外科医として、数千人の患者さんを診察してきましたが、再生医療と出会って初めて気づいたことがあります。それは、『治す』だけでなく『再生させる』という概念の重要性です。従来の治療では症状を抑えることが主目的でしたが、再生医療では組織そのものを修復することが可能になり、このような最悪のシナリオを回避できる可能性を高めることができます。
腱板断裂の治療の選択肢のひとつに、「再生医療」という最新の治療法もあります。
今までの腱板断裂の治療では、薬で痛みが抑えられなくなった場合には手術をするしかないと言われていました。
そのため、腱板断裂は、日常生活においても肩に負担がかからないように気をつけ、痛みが出たら痛み止めを服用し、痛みのコントロールが重要でした。しかし、最近では再生医療が注目されています。
手術との違い
再生医療では、修復が不可能と言われている腱板を新たに再生させていく画期的な治療法です。この再生医療では手術を行いませんので、身体への侵襲が少ない治療となります。関節鏡手術を実施した場合には、侵襲するため以前のお体の状態に戻るのに長い期間がかかりますが、 再生医療は侵襲が少ない治療法のため、 すぐに体の状態を回復させることができます。



ここでは、腱板断裂に関して患者さんからよくいただく質問とその回答をご紹介します。
Q1:腱板断裂を放置する期間によって、治療の選択肢や予後は変わりますか?
A1: はい、大きく変わる可能性があります。私が整形外科医として診察してきた経験上、腱板断裂は放置すると進行し、断裂が拡大したり、腱板の筋肉が萎縮して脂肪に変性したりします。特に断裂が広範囲になり、筋肉の脂肪変性が進んでしまうと、手術で腱板をつなぎ直すことが難しくなったり、手術をしても期待通りの回復が得られにくくなることがあります。
Q2:高齢者でも腱板断裂の治療は可能ですか?再生医療は選択肢になりますか?
A2: 高齢者の方でも、全身の状態や活動レベルによっては治療が可能な場合があります。もちろん、年齢が上がるにつれて手術に伴うリスク(合併症やリハビリの難しさなど)も高まる傾向にあるため、個々の患者さんの健康状態を総合的に評価し、治療のメリットとデメリットを慎重に検討することが重要です。
当院では、体への負担が少ない再生医療による治療も積極的に検討しています。自己脂肪由来幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)療法などは、自身の組織を利用するためアレルギー反応のリスクが低く、自然治癒力を高めることを目的としています。この治療は、高齢の患者さんや手術を避けたい方にも適応できる可能性があります。
Q3:腱板断裂の再生医療にかかる費用や保険適用について教えてください。
A3: 腱板断裂の治療には、保存療法(リハビリテーション、注射、薬物療法など)と手術療法があり、多くの場合、これらは健康保険が適用されます。しかし、自己脂肪由来幹細胞治療などの再生医療は、現時点では自由診療となるため、保険適用外となります。
Yamamoto A, Takagishi K, Kobayashi T, Shitara H, Osawa T. Prevalence of symptomatic and asymptomatic rotator cuff tears in the general population: From mass-screening in one village. J Orthop. 2015;12(1):8-12.
Kim YS, Kim SE, Bae SH, et al. Symptomatic Rotator Cuff Tear Progression: Conservatively Treated Patients Who Return With Continued Shoulder Pain. Arthroscopy. 2022;38(10):2981-2988.
Maman E, Harris C, White L, Tomlinson G, Shashank M, Boynton E. Outcome of nonoperative treatment of symptomatic rotator cuff tears monitored by magnetic resonance imaging. J Bone Joint Surg Am. 2009;91(8):1898-1906.
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