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【整形外科医監修】肩腱板断裂(肩すじ断裂)とは?原因と手術の選択について

2026.02.11

まずは動画で理解!

武内総院長が、「腱板がどのように断裂するのか」を解説しています。

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「五十肩だと思ってリハビリしているのに、痛みが引かない…」

その症状、実は肩のインナーマッスルが切れている「腱板断裂(けんばんだんれつ)」かもしれません。

放置すると断裂が広がり、手術不可になる恐れもありますが、早期なら「切らずに治す」ことも十分可能です。

この記事では、元手術執刀医であり現在は再生医療専門医の武内晋司郎が、「五十肩との決定的な違い」や「手術を回避する最新治療」について分かりやすく解説します。

「手術しかない」と言われた
腱板断裂・肩の痛みにお悩みの方へ

手術を回避する、
新しい選択肢としての「再生医療」

1. 肩腱板断裂(肩すじ断裂)の正体とは

「腱板(けんばん)」という言葉を聞き慣れない方も多いかもしれません。
まずは、この病気がどのようなものなのか、その正体を解き明かしていきましょう。

肩を支える4つのローテーターカフ(インナーマッスル)

肩関節は、人体の中で最も可動域が広い関節です。その自由な動きを支えているのが、「腱板」と呼ばれる4つの筋肉の腱(スジ)です。

肩の腱板(ローテーターカフ)の解剖図

これらは「ローテーターカフ」とも呼ばれ、上腕骨頭(腕の骨)を肩甲骨の受け皿に引き寄せ、安定させる重要な役割を果たしています。

① 棘上筋(きょくじょうきん)

腕を横に上げる初動を担う。最も切れやすい部位です。

② 棘下筋(きょくかきん)

腕を外に開く(外旋)動きを担います。

③ 小円筋(しょうえんきん)

棘下筋とともに、腕を外に開く動きを補助します。

④ 肩甲下筋(けんこうかきん)

腕を内にひねる(内旋)動きを担います。

これらの腱が、骨から剥がれたり、穴が開いたりした状態が「腱板断裂」です。
中でも、一番上にある「棘上筋」は、肩の骨(肩峰)と腕の骨(骨頭)に挟まれやすく、常に摩擦にさらされているため、最も断裂しやすい部位です。

「完全断裂」でも腕は上がる?意外な落とし穴

ここが非常に大きな誤解ポイントです。
「断裂」という言葉から、アキレス腱断裂のように「ブチッ」と音がして全く動かせなくなる状態をイメージされる方が多いですが、腱板断裂は違います。

腱板が切れても、その周りにあるアウターマッスル(三角筋)が働くため、「腕自体は上がることが多い」のです。

「痛いけれど、なんとか腕は上がるから大丈夫だろう」
そう思って放置してしまう方が非常に多いのですが、これが命取りになります。

切れた腱板は自然にくっつくことはなく、放置すれば断裂サイズは徐々に拡大します。

最終的には筋力が低下して「偽性麻痺(ぎせいまひ)」と呼ばれる、本当に腕が上がらない状態へと進行してしまうのです。

2. なぜ腱板は切れるのか?3つの主要な原因

「重いものを持ったわけでもないのに、なぜ切れたの?」

そう疑問に思う患者様も少なくありません。実は、腱板断裂は特別な事故がなくても、ある日突然発症することがあるのです。

その背景には、大きく分けて3つの原因があります。

① 加齢変性(老化による摩耗)

これが最も多い原因です。
腱板、特に棘上筋腱は、解剖学的に血流が乏しい(血管が少ない)組織です。そのため、一度傷つくと修復されにくく、加齢とともに弾力が失われ、擦り切れたロープのように脆くなっていきます(変性)。

  • 40代以降
    腱の老化が始まり、リスクが増加します。

  • 60代
    無症状の方も含めると、約4人に1人が断裂しているというデータもあります。

  • 70代以上
    約半数の方に何らかの断裂や損傷が見られると言われています。

つまり、腱板断裂は「誰にでも起こりうる老化現象の一つ」とも言えるのです。

② オーバーユース(職業・スポーツ)

日常的に腕を頭より高く上げる動作は、腱板に強いストレスを与えます。特に、肩峰(肩の屋根の骨)と腱板が衝突する「インピンジメント」を繰り返すことで、腱が摩耗し、断裂に至ります。

■スポーツ

野球の投球、テニスのサーブ、バレーボールのアタック、水泳(クロール・バタフライ)など。

■ 職業

大工、塗装業、左官業、果樹園農家、介護職、美容師など。

③ 外傷(怪我・事故)

転倒して手をついたり、重いものを無理に引き上げたり、電車で吊革を持っていて急停車した際などに、瞬間的な強い力が加わって切れることがあります。

特に高齢者の場合、「転んで肩を打った。打撲だと思っていたら痛みが引かない」ということで受診され、MRIを撮ったら腱板が切れていた、というケースが非常に多く見られます。

3. 五十肩との「痛みの質」の違い

「肩が痛い=五十肩」と思い込んでいませんか?

五十肩(肩関節周囲炎)と腱板断裂は、症状が似ていますが、その病態は全く異なります。

見極めを誤って「五十肩だから動かせば治る」と思い込み、無理なリハビリを続けると、断裂が悪化して手術が必要になる恐れがあります。

以下の特徴に当てはまるものがないか、チェックしてみましょう。

五十肩
(肩関節周囲炎)

腱板断裂
(要注意!)

病態

関節包(袋)が炎症を起こし縮む

筋肉の腱(スジ)が切れている

可動域

拘縮(固まる)
※誰かに動かされても動かない

拘縮は少ない
※自力では上がらないが、他力なら上がる

痛む動作

あらゆる方向で痛い
髪や帯を結ぶ動作が困難

特定の角度で痛い
腕を下ろす時に力が抜ける・痛む

夜間痛

急性期に強い

非常に強い
寝返りも打てない
痛みで目が覚める

筋力

低下しない
(痛みで出せないだけ)

低下する
特定の方向に力が入らない

特に「反対の手で支えれば腕が上がる」「夜、痛みで目が覚める」という症状がある場合は、腱板断裂の可能性が高いため、早めのMRI検査をおすすめします。

▼あわせて読みたい
【整形外科医監修】腱板断裂の症状をセルフテストでチェックする!|痛みが出る角度で判定!五十肩との違いも解説

特に注意すべきは「夜間痛」

腱板断裂の患者様が最も辛いと訴えるのが「夜間痛(やかんつう)」です。

睡眠を妨げる痛み

「日中は動かさなければ痛みがないこともありますが、夜寝ている時、特に明け方に肩がズキズキと痛み、目が覚めてしまう…」

この睡眠障害が続くと、痛みだけでなく精神的にも追い詰められてしまいます。

五十肩の急性期にも夜間痛はありますが、腱板断裂の場合は炎症が慢性化しやすく、夜間痛が何ヶ月も続くのが特徴です。

▼あわせて読みたい
【医師解説】肩の夜間痛で眠れない…原因と「今すぐできる」対処法

「手術しかない」と言われた
腱板断裂・肩の痛みにお悩みの方へ

手術を回避する、
新しい選択肢としての「再生医療」

4. 確定診断には「MRI」が必須である理由

「近くの病院でレントゲンを撮って『異常なし』と言われました。でも痛いんです…」

当院に来院される患者様から、このような声を頻繁に耳にします。

はっきり申し上げます。
腱板断裂は、レントゲンでは診断できません。

レントゲンとMRIの決定的な差

  • レントゲン(X線)

「骨」しか写りません。
骨と骨の間隔が狭くなっていることから「断裂しているかもしれない」と推測することはできますが、腱そのものは透明で写らないのです。

  • MRI(磁気共鳴画像)

筋肉、腱、軟骨、関節内の炎症(水)などを鮮明に映し出します。

「どの腱が切れているか」「断裂のサイズはどれくらいか」、そして手術の可否を決める重要な要素である「筋肉が脂肪に変わってしまっていないか(脂肪変性)」を確認するためには、MRI検査が絶対に不可欠です。

超音波(エコー)検査も有用ですが、深部の状態や脂肪変性の程度を正確に評価するには、やはりMRIがゴールドスタンダード(標準)となります。

長引く肩の痛みがある場合は、必ずMRI設備のある整形外科を受診してください。

5. 治療法の比較|保存・手術・再生医療

① 保存療法(リハビリ・注射・薬)

断裂が小さく、痛みが軽度で、日常生活に大きな支障がない場合の第一選択です。

■薬物療法

ロキソニンなどの消炎鎮痛剤、湿布。

■注射療法

ヒアルロン酸(潤滑剤)やステロイド(強力な抗炎症剤)の関節内注射。

■リハビリテーション

残っている腱の機能を強化し、肩甲骨の動きを良くする訓練。

〇メリット

体への侵襲(メスを入れる負担)がありません。

× デメリット

  • 断裂した穴は塞がりません(自然治癒しない)。

  • 痛みが取れても、無理をすると断裂が拡大するリスクがあります。

  • 根本治療ではないため、再発や進行の不安が残ります。

▼あわせて読みたい
腱板断裂のリハビリ完全ガイド|保存療法・術後のスケジュールまで解説

② 手術療法(関節鏡下腱板縫合術)

関節鏡下腱板縫合術のイメージ

保存療法を3〜6ヶ月続けても痛みが引かない場合や、仕事やスポーツで腕を酷使する若い方、断裂が大きく筋力低下が著しい場合に検討されます。

手術の内容(ARCR法)

全身麻酔下で、数箇所の小さな穴から内視鏡を入れ、アンカー(糸付きの杭)を骨に打ち込み、切れた腱を骨に縫い付けます。

〇メリット

物理的に腱を修復できます。成功すれば筋力の回復が期待できます。

× デメリット

☑入院が必要
通常数日〜3週間の入院が必要です。

☑長期の安静と固定
術後は装具(アームスリング)で4〜6週間、腕を外転位(脇を開いた状態)で完全固定する必要があります。

☑再断裂リスク
手術で縫い合わせても、腱の質が悪ければ再び切れてしまうリスクが約10〜30%あると言われています。

☑拘縮(こうしゅく)リスク
長期間の固定により、肩が固まってしまい、リハビリが長期化することがあります。

▼あわせて読みたい
肩腱板断裂の手術とは?入院期間なども医師が解説!

手術の「傷」は小さくても、「生活」は制限されます

「内視鏡手術だから傷も小さいし、楽だろう」と安易に考えてはいけません。

腱板断裂の手術で最も患者様を悩ませるのは、手術そのものの痛みではなく、「術後の長い固定期間とリハビリ」です。

【術後 1ヶ月〜2ヶ月の生活イメージ】

術後の固定具(アームスリング)を装着した様子

  • 大きな外転装具を24時間装着
    (寝る時も外せません)

  • 利き腕の手術の場合、食事、着替え、トイレなど、全ての動作が不自由になります。

  • お風呂は片手でシャワーのみ。洗髪も困難です。

  • 仕事(特に肉体労働やデスクワーク)への復帰には3〜6ヶ月を要します。

「仕事や家事を数ヶ月も休めますか?」
「誰かの介護を受けながら生活できますか?」

もし「それは困る」という場合は、装具固定が不要な「再生医療」という選択肢を検討する価値があります。

③ 第3の選択肢「再生医療(幹細胞治療)」

  • 「仕事が休めないから手術は無理」

  • 「高齢で全身麻酔やリハビリに耐えられるか不安」

  • 「メスを入れずに、自分の治癒力で治したい」

こうしたニーズに応えるのが、シンセルクリニックが提供する「自己脂肪由来幹細胞治療」です。

再生医療のアプローチ

ご自身のお腹の脂肪から採取した「幹細胞」を培養し、エコーガイド下で断裂部や関節内にピンポイント注射します。

項目

手術
(縫合術)

再生医療
(幹細胞)

治療法

物理的に縫う

細胞の力で修復

入院

あり
(数日〜数週)

なし
(日帰り)

麻酔

全身麻酔

局所麻酔
(意識あり)

固定期間

4〜6週間
(絶対安静)

なし
(翌日から軽作業可)

痛み

リハビリ痛が強い

軽い痛みのみ

費用

保険適用

自由診療
(医療費控除対象)

なぜ再生医療で痛みが取れるのか?

■強力な抗炎症作用

幹細胞が放出するサイトカインという物質が、長引く痛みの原因となっている「慢性炎症」を強力に鎮めます。
これにより、夜間痛などの激痛が早期に改善します。

■ 組織修復の促進

幹細胞が傷ついた組織に集まり(ホーミング効果)、血管新生やコラーゲン産生を促し、腱や周囲の組織を修復・強化します。

武内院長の視点
再生医療は、組織そのものの環境を改善し、修復力を高めるアプローチなので、特に手術を避けたい中高年の方』『腱の質が弱くなっている方』にとって、非常に合理的で体に優しい選択肢となります。」

「手術しかない」と言われた
腱板断裂・肩の痛みにお悩みの方へ

手術を回避する、
新しい選択肢としての「再生医療」

記事監修

シンセルクリニック 院長

武内 晋司郎

参考文献

  1. Mercurio M, Castricini R, Castioni D, Cofano E, Familiari F, Gasparini G, Galasso O. "Response to Lievano regarding: better functional outcomes and a lower infection rate can be expected after superior capsular reconstruction in comparison with latissimus dorsi tendon transfer for massive, irreparable posterosuperior rotator cuff tears: a systematic review." Journal of shoulder and elbow surgery 33, no. 1 (2024): e44-e47.

  2. Saavedra MÁ, Navarro-Zarza JE, Villaseñor-Ovies P, Canoso JJ, Vargas A, Chiapas-Gasca K, Hernández-Díaz C, Kalish RA. "Clinical anatomy of the knee." Reumatologia clinica 8 Suppl 2, no. (2012): 39-45.

  3. 膝の臨床解剖学ガイドライン2012

院長監修記事

シンセルクリニック総院長 武内の顔写真

武内 晋司郎

(たけうち しんじろう)

シンセルクリニック総院長

三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

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