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【整形外科医が解説】プロテインで身長は伸びる?成長期の正しい飲み方
まずは動画でチェック!
▶ 7分51秒・字幕付き|成長期に必要な5大栄養素と、食事でできることの限界を解説
プロテインで身長は伸びるのか?まず「結論」から伝えます
「プロテインを飲めば背が伸びる」と信じて、毎日飲み続けているお子さんも少なくないと思います。保護者の方も「これで少しでも背が伸びれば」と期待を込めて購入しているかもしれません。
結論からお伝えすると、プロテインは「身長を伸ばす薬」ではありません。しかし、成長期の子どもに必要なたんぱく質が食事で不足している場合、適切なプロテイン摂取は成長をサポートする可能性があります。
大事なのは「プロテインを飲めば伸びる」ではなく、「成長に必要な栄養素を十分に確保できているか」という視点です。この記事では、整形外科医の立場から、プロテインと身長の関係を医学的根拠に基づいて解説します。
なお、身長を伸ばす方法の全体像については、【整形外科医監修】今日からできる身長を伸ばす方法もあわせてご確認ください。
- まずは動画でチェック!
- プロテインで身長は伸びるのか?まず「結論」から伝えます
- そもそも身長が伸びるメカニズムとは?
- プロテインを飲むと身長が「伸びなくなる」は本当か?
- 成長期の子どもに必要なたんぱく質の量(厚生労働省基準)
- プロテインを飲んだほうがいい子・必要ない子の見分け方
- こんな場合はプロテインの活用を検討
- プロテインを急いで取り入れなくていい場合
- ジュニアプロテインと大人用プロテインの違い
- 選ぶときのチェックポイント
- プロテインを飲む「タイミング」は身長に影響する?
- プロテインだけでは限界がある理由:身長は栄養だけで決まらない
- 中学生・高校生本人がプロテインを選ぶ場合の注意点
- 「プロテインを飲んでいるのに伸びない」と感じたら確認すること
- 栄養面
- 生活面
- 身体的な原因の可能性
- 「身長の伸び悩み」が気になるなら専門的なアプローチも選択肢に
- 「うちの子も治療できる?」と思われた方へ
- まとめ:プロテインと身長に関する整形外科医の見解
- 参考文献
そもそも身長が伸びるメカニズムとは?

身長が伸びるのは、骨の両端にある「骨端線(こつたんせん)」と呼ばれる軟骨部分が成長するからです。骨端線では新しい軟骨が次々とつくられ、それが骨に置き換わることで骨が長くなり、身長が伸びていきます。
この骨端線が活発に機能している時期が「成長期」であり、男子では17〜18歳ごろ、女子では15〜16歳ごろに骨端線が閉じ、身長の伸びが止まるとされています。詳しくは身長はいつまで伸びる?骨端線のメカニズムをご覧ください。
骨端線の成長に必要な栄養素は以下の3つが特に重要です。
たんぱく質:軟骨の材料。コラーゲンの原料でもある
カルシウム:軟骨を骨に変えるために必要なミネラル
ビタミンD:カルシウムの吸収を助けるビタミン
プロテインはこのうち「たんぱく質」を補う目的で使われます。したがって、プロテイン単体で身長が伸びるのではなく、カルシウムやビタミンDなどの栄養素とセットで摂取したときに、成長をサポートする可能性がある、というのが正確な理解です。
プロテインを飲むと身長が「伸びなくなる」は本当か?
「プロテインを飲むと筋肉がつきすぎて、骨が圧迫されて身長が伸びなくなる」という話を聞いたことがある保護者の方もいると思います。これはほぼ誤解です。
成長期は骨が伸びることが優先されるため、筋肉はもともとつきにくい状態です。プロテインを飲むだけでボディービルダーのような筋肉になることはなく、通常の摂取範囲では骨の成長を妨げる可能性は低いと考えられています。
ただし、注意が必要なのは過剰摂取のケースです。
たんぱく質の過剰摂取はカルシウムの排泄量を増やす可能性がある(研究で指摘されている)
腎臓への負担が増加する
カロリーオーバーになり体脂肪が増える
「たんぱく質を多く摂れば摂るほどいい」わけではありません。成長期の子どもに必要な量を守ることが重要です。
成長期の子どもに必要なたんぱく質の量(厚生労働省基準)
厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」によると、成長期の子どもに必要な1日のたんぱく質推奨量は以下の通りです。
年齢・性別 | 推奨量(g/日) |
|---|---|
10〜11歳 男子 | 45g |
10〜11歳 女子 | 50g |
12〜14歳 男子 | 60g |
12〜14歳 女子 | 55g |
15〜17歳 男子 | 65g |
15〜17歳 女子 | 55g |
中学生男子で1日60g、高校生男子で65gが目安です。これは食事から摂れていれば、プロテインは必ずしも必要ではありません。
食事だけでこの量を確保できているかチェックしてみましょう。
食品 | たんぱく質量の目安 |
|---|---|
鶏むね肉(100g) | 約23g |
卵(1個) | 約6g |
豆腐(半丁・150g) | 約8g |
牛乳(200ml) | 約7g |
納豆(1パック) | 約8g |
3食バランスよく食べていれば、60〜65gは食事のみでも達成可能です。逆に言えば、食事が偏っていたり、朝食を抜いていたり、少食の子どもには不足が生じやすく、プロテインで補う意義が出てきます。
食事から身長を伸ばすための栄養素については、子どもの身長を伸ばす食べ物と5大栄養素で詳しく解説しています。
プロテインを飲んだほうがいい子・必要ない子の見分け方

こんな場合はプロテインの活用を検討
朝食を食べない・または軽食(パンのみなど)が多い
肉・魚・卵などが苦手で食事が偏っている
部活でハードな運動をしているが食が細い
体重1kgあたり1g以上のたんぱく質を食事から摂れていない
成長曲線から大きく下にはずれている(小児科への相談も並行して)
プロテインを急いで取り入れなくていい場合
3食しっかり食べており、肉・魚・卵・乳製品をバランスよく摂取できている
成長曲線が標準範囲内で推移している
食欲があり、体格も年齢相応に発達している
「友達が飲んでいるから」「背が伸びるかもしれないから」という理由だけで与えるのではなく、まず普段の食事内容を見直すことを優先してください。
ジュニアプロテインと大人用プロテインの違い
市場には「ジュニアプロテイン」という子ども向けの製品も多く販売されています。大人用との違いは以下の点です。
比較項目 | ジュニアプロテイン | 大人用プロテイン |
|---|---|---|
対象年齢 | 小学生〜中学生 | 成人 |
たんぱく質量 | 1食あたり8〜12g程度(少なめ) | 1食あたり15〜25g程度 |
カルシウム | 成長期向けに多め配合 | 少量または無配合 |
ビタミンD・亜鉛 | 配合されているものが多い | 製品によって異なる |
カロリー | 低め設定が多い | 高め |
成長期の子どもには、たんぱく質だけでなくカルシウム・ビタミンD・亜鉛も同時に補えるジュニアプロテインが適しています。大人用プロテインを子どもに使う場合は、1回量を減らすなどの調整が必要です。
選ぶときのチェックポイント
カルシウム・ビタミンD・亜鉛が配合されているか
人工甘味料(アスパルテーム・スクラロース等)の使用状況
1食あたりのたんぱく質量が子どもの必要量に見合っているか
アレルギー対応(ホエイかソイか)
プロテインを飲む「タイミング」は身長に影響する?

身長を伸ばすという観点では、成長ホルモンが最も多く分泌される「睡眠中」に向けての栄養補給が重要です。成長ホルモンは入眠後2〜3時間の深い眠りの中でピークを迎えます。
そのため、以下のタイミングでの摂取が効果的と考えられています。
就寝1〜2時間前:成長ホルモンが分泌される睡眠に備えてたんぱく質を補給
運動後30分以内:筋肉・骨への栄養供給のゴールデンタイム
朝食と一緒に:朝食が不十分な場合の補完として
ただし、就寝直前の摂取は消化器官に負担をかける場合があります。就寝の1時間以上前を目安にしてください。
また、睡眠の質が身長に大きく影響することは多くの研究で示されています。睡眠と身長の関係については身長を伸ばす方法の総合解説でもふれています。
プロテインだけでは限界がある理由:身長は栄養だけで決まらない
身長に影響する要因は、大きく分けると以下の通りです。
遺伝:70〜80%を占めると言われている
後天的要因(栄養・睡眠・運動):20〜30%
プロテインをはじめとする栄養管理は、後天的な部分に働きかけます。つまり、遺伝で決まる「上限の身長」に向けて最大限に近づけるためのアプローチです。
プロテインに加えて、以下を組み合わせることで成長ポテンシャルを最大化できます。
十分な睡眠(中学生は8〜9時間が推奨)
適度な運動(骨端線への適度な刺激が成長を促す)
栄養バランスのとれた食事(カルシウム・亜鉛・ビタミンDも意識)
ストレスを避け、成長ホルモンの正常分泌を維持する
筋トレと身長の関係については身長と筋トレの関係を医師が解説もあわせてご覧ください。
中学生・高校生本人がプロテインを選ぶ場合の注意点

部活でプロテインを飲み始める中学生・高校生が増えています。特にバスケ・バレー・水泳など身長が有利に働くスポーツに取り組む子どもたちは、「プロテインで身長が伸びるかも」という期待を持ちやすいです。
以下の点に注意してください。
スポーツ用の大人向けプロテインはたんぱく質量が多すぎる場合がある。1回の摂取量を半量にするなどの調整が必要
プロテインバーは糖質・カロリーが高いものが多い。体重管理が必要なスポーツ(柔道・レスリング等)では注意
プロテインに頼りすぎて食事量が減るケースがある。プロテインはあくまで補助であり、食事の代替ではない
中学生の身長を伸ばす具体的なアプローチについては中学生の身長を伸ばす方法を医師が解説もご参考ください。
「プロテインを飲んでいるのに伸びない」と感じたら確認すること

プロテインを続けているのに身長の伸びが思ったより少ない、と感じる場合、以下を確認してみてください。
栄養面
カルシウムは十分に摂れているか(乳製品・小魚・大豆製品)
ビタミンDは足りているか(魚・日光浴)
亜鉛は摂れているか(牡蠣・赤身肉・ナッツ類)
鉄分不足になっていないか(特に女子・運動量が多い場合)
生活面
睡眠時間は確保できているか(スマートフォンの使用で就寝が遅くなっていないか)
過度なストレスがかかっていないか(成長ホルモンの分泌を妨げる)
身体的な原因の可能性
成長曲線と比べて明らかに身長の伸びが遅い場合、成長ホルモンの分泌異常や甲状腺機能の問題が背景にある場合があります。プロテインや栄養管理だけでは改善しない可能性があります。
日本人の平均身長との比較については日本人の平均身長を医師が解説もご覧ください。
「身長の伸び悩み」が気になるなら専門的なアプローチも選択肢に
プロテインや食事管理・睡眠・運動といった生活習慣の改善は、成長ポテンシャルを最大化するための有効な手段です。しかし、こうした努力を続けていても身長の伸びが気になる場合、専門的なサポートを検討することも重要な選択肢のひとつです。
シンセル低身長治療センターでは、成長ホルモンの分泌状態や骨端線の残存状態を確認したうえで、お子さん一人ひとりに合わせた治療アプローチをご提案しています。「食事や栄養はきちんとやっているのに伸びが少ない」と感じている場合は、まず無料相談でご状況をお聞かせください。
「うちの子も治療できる?」と思われた方へ
子どもの身長について、ほかの記事もお探しの方は 子どもの身長コラム テーマ別インデックス(134本) からどうぞ。
まとめ:プロテインと身長に関する整形外科医の見解
プロテインは「身長を伸ばす薬」ではなく、成長に必要なたんぱく質を補う栄養補助食品
食事でたんぱく質が不足している場合に限り、プロテインで補う意義がある
過剰摂取はカルシウム排泄増・腎臓負担・肥満のリスクがある
子どもにはジュニアプロテイン(カルシウム・ビタミンD・亜鉛配合)が適している
プロテイン単体ではなく、睡眠・運動・総合的な栄養管理とセットで考えることが重要
身長の伸び悩みが続く場合は、栄養管理だけでなく専門的な診断も検討する
小学生の成長期についての詳しい解説は小学生の身長を伸ばす方法、声変わりと身長の関係については声変わりすると身長は止まる?もあわせてご覧ください。
参考文献
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html
Bonjour JP, et al. "Protein intake and bone health." Int J Vitam Nutr Res. 2011;81(2-3):134-142. https://doi.org/10.1024/0300-9831/a000063
Gat-Yablonski G, Phillip M. "Effect of Nutrition on Statural Growth." Horm Res Paediatr. 2015;83(2):83-101. https://doi.org/10.1159/000365897
Huncharek M, et al. "Impact of dairy products and dietary calcium on bone-mineral content in children: results of a meta-analysis." Bone. 2008;43(2):312-321. https://doi.org/10.1016/j.bone.2008.02.022
Van Cauter E, Plat L. "Physiology of growth hormone secretion during sleep." J Pediatr. 1996;128(5):S32-S37. https://doi.org/10.1016/S0022-3476(96)70008-2
医師監修記事

長田 直祥
(おさだ なおき)
シンセルクリニック 低身長治療センター医師
大阪医科薬科大学卒業。豊田厚生病院、中東遠総合医療センター、国立長寿医療研究センター、名古屋大学整形外科などで整形外科医としての経験を積み、現在はシンセルクリニック低身長治療センターで、お子さまの成長・低身長治療に携わる。日本整形外科学会所属。
医師プロフィールはこちら
大阪医科薬科大学卒業。豊田厚生病院、中東遠総合医療センター、国立長寿医療研究センター、名古屋大学整形外科などで整形外科医としての経験を積み、現在はシンセルクリニック低身長治療センターで、お子さまの成長・低身長治療に携わる。日本整形外科学会所属。
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