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【医師監修】小学校の「背の順」廃止が広がる理由|身長を気にする親が今こそ知っておきたいこと

2026.06.08

まずは動画でチェック!

▶ 8分2秒・字幕付き|学年別の平均身長と、背の順が前でも逆転する子・しない子の違いを解説

「小学校で背の順を廃止するって、本当?」
「身長で並ばないなら、うちの子の身長は気にしなくていいの?」

――近年、小学校で「背の順整列」を廃止・見直す動きが全国に広がっています。身長による序列化への配慮、多様性尊重の流れの中で、お子さんの身長への向き合い方も変わってきました。本記事では、整形外科医の武内医師が、背の順廃止の背景と、それでも親が知っておきたい「身長との上手な向き合い方」を解説します。

この記事の結論を3行で

  1. 背の順廃止は「身長による序列化を子どもの心に刻まない」という前向きな配慮の流れ

  2. ただし低身長そのものへの医療的アプローチは別問題。背の順がなくても伸ばせる時期は限られる

  3. 「背の順で前」と気づいた今こそ、骨年齢評価で客観的な伸びしろを確認するタイミング

背の順廃止の動き|全国の小学校で何が起きているか

背の順廃止の動き|全国の小学校で何が起きているか

近年、小学校での「背の順整列」を廃止する動きが全国で広がっています。整列の方法を出席番号順や男女混合、グループ分けなどに変える学校が増えています。

背の順が廃止される主な理由

  • 身長による序列化を子どもの心に刻まないため

  • 多様性を尊重する教育の流れ

  • 身長に対するコンプレックスを助長しないため

  • 「いつも前」「いつも後ろ」が固定化することへの配慮

  • 身長以外の個性に目を向ける機会を作る

背の順が長く続いてきた理由

背の順整列は、もともと「後ろの小さな子の視界を確保する」「安全に並ぶ」という実用的な目的で始まったとされています。ただし、現代の学校現場では多様な並び方が可能になり、安全面の目的は別の方法でも達成できるという考え方が広がりました。

武内医師の臨床コメント

「背の順を廃止するという流れは、整形外科医としてとても良い方向だと感じています。実際に外来で『毎年身体測定で前から2番目だと言われて、子どもが学校に行きたがらない』『写真の時にいつも前列で嫌がる』というご相談を受けることが本当に多いんです。身長は本人の努力で変えにくいものなのに、それで毎日順位を意識させられるのは、お子さんの自尊心にとって決して良いことではないと感じてきました。だから廃止の流れは、お子さんの心の健康にとって前向きな変化だと思います」

背の順が子どもの心に与えてきた影響

身長による整列が子どもの心理に与える影響について、教育研究の分野でも研究が進んでいます。海外の研究では、子どもの身長と自尊心・社会的不安・対人関係の質に関連があることが報告されています(出典:Sandberg DE, et al. Short stature: psychological consequences in childhood. J Pediatr Endocrinol Metab.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15992190/)。

背の順で前の子が感じやすいこと

  • 「自分は小さい」と毎日意識させられる

  • クラス全員の前で身長差を可視化される

  • 運動会・写真撮影で目立つ位置に固定される

  • からかいや比較の対象になりやすい

  • 自尊心が育ちにくくなる

背の順で後ろの子も感じやすいこと

  • 「大きすぎて目立つ」というプレッシャー

  • 「お姉さんお兄さんっぽく振る舞わなきゃ」という重圧

  • 特に女の子は「もう伸びてほしくない」と感じることも

武内医師の臨床コメント

「外来でお子さんと一緒に来られるお母さんから、よくこんなお話を伺います。『毎年クラスで前から2番目で、子どもが「自分は背が低い」と落ち込むんです』。身長は子どもにとって、いじめやからかいの対象になりやすい一つの要素です。背の順がなくなることで『身長は数あるその子の特徴の一つでしかない』という意識が少しでも広がれば、お子さんの心が楽になります。背が高い・低いは個性の一つ、と社会全体で受け止められるようになることが理想だと思います」

背の順廃止は「身長を気にしなくていい」ではない

誤解されやすいのですが、背の順廃止は「身長は気にしなくていい」「低身長は問題ではない」という意味ではありません。むしろ次のように整理して考えるべきです。

観点

背の順廃止の意味

心理的・教育的観点

身長による序列化はお子さんの心によくない(廃止に賛成)

医学的観点

低身長そのものは別問題。治療できる時期は限られる

親のスタンス

「気にしないで」と「客観的に把握する」を両立する

低身長治療の世界では、お子さんの「最終身長」を伸ばすために動ける時期は限られています。骨端線が閉じる前(男子17〜18歳、女子15〜16歳)までに、本人と家族が現状を把握し、必要に応じて対策を始める必要があります。詳しくは「骨端線が閉じる順番はある?部位別の年齢目安と「うちの子はあと何センチ伸びる?」の見極め方」をご参照ください。

「背の順で前」と気づいたら|親がすべき3つのこと

「背の順で前」と気づいたら|親がすべき3つのこと

1. 客観的なデータで現状を把握する

感覚的に「うちの子は小さいかも」と心配するより、データで現状を確認しましょう。

  • 母子手帳の成長曲線をチェック

  • 厚生労働省の年齢別平均身長と比較

  • 学校の身体測定結果を経年で記録

同年齢の平均身長は「小学生の平均身長と成長の目安。平均より低い時に親が確認すべき「骨年齢」とは」「8歳児の発育データ|平均身長・平均体重を医師が徹底解説」「10歳児の発育データ|平均身長・平均体重を医師が徹底解説」など、年齢別コラムで詳しく確認できます。

2. お子さんの気持ちに寄り添う

「気にしないで」と言うより、「あなたの気持ちは分かるよ」と共感することが大切です。お子さんが自分の身長について話してきたら、否定せず受け止めましょう。

3. 専門医に一度相談してみる

「うちの子は伸びる余地があるのか、もう伸びないのか」を客観的に知ることで、親も子も安心できます。心配する時間は、現状把握する時間に変えるのが建設的です。

武内医師の臨床コメント

「『背の順がなくなったから、もう身長は気にしなくていいですよね』とおっしゃるお母さんがいらっしゃいますが、私は『心の負担としては気にしなくていい、でも医学的には現状を一度確認する価値はあります』とお伝えしています。背の順がなくなっても、お子さん本人や周囲が身長を意識する場面はゼロにはなりません。『気にしないこと』と『把握すること』は両立できます。客観的な数字を持っていれば、必要以上に心配しないで済みますし、もし対策が必要ならすぐに動けます」

低身長が疑われるサイン|医療相談のタイミング

次のようなサインがあれば、低身長治療の専門医や整形外科への相談を検討しましょう。

  • 同年齢の平均身長より明らかに低い(-2SD以下)

  • クラスで毎年前から1〜2番目が続いている

  • 1年に4cm未満しか伸びていない(5歳以降)

  • 母子手帳の成長曲線が標準範囲から外れてきている

  • ご両親の身長から予測される値より大幅にずれている

  • 同年齢の子と並ぶと明らかに体格差がある

低身長のサインや見極め方は「身長が伸びない子の特徴とは?早熟・肥満との関係と親が気づくべきサイン」も参考になります。

骨年齢評価で「あとどれくらい伸びるか」を客観的に知る

骨年齢評価で「あとどれくらい伸びるか」を客観的に知る

シンセル低身長治療センターでは、左手首のレントゲンによる骨年齢評価を行っています。骨年齢が分かることで、次のような重要な情報が得られます。

骨年齢評価でわかること

  • お子さんの「骨の成熟度」が実年齢とどれくらいズレているか

  • 早熟タイプか晩熟タイプか

  • 残された伸びしろ(あと何センチ伸びる可能性があるか)

  • このまま生活習慣を変えなくていいのか、対策が必要か

早熟タイプ・晩熟タイプの違い

  • 早熟タイプ:今は背が伸びていても、骨端線が早く閉じるため最終身長が思ったより低い可能性

  • 晩熟タイプ:今は小さくても、これからゆっくり伸び続ける「あと伸び型」

武内医師の臨床コメント

「背の順で前から1〜2番目だと相談に来られたお子さんで、レントゲンを撮ってみたら『まだまだ余裕があります、これから伸びる晩熟タイプですよ』とお伝えできるケースが本当に多いです。逆に『早熟タイプで、対策しないと今の身長で止まってしまう可能性があります』と分かるケースもあります。どちらの結果でも、『うちの子は今どの段階で、あとどれくらい伸びる可能性があるか』を客観的に知ることが、お母さんとお子さんの安心につながります」

骨年齢評価の仕組みは「骨端線(こったんせん)とは?身長が伸びる仕組みとレントゲンでの見え方を完全解説」もご参照ください。

「背の順がない時代」だからこそ親ができる4つのこと

「背の順がない時代」だからこそ親ができる4つのこと

1. 過剰に身長を話題にしない

家庭内で「背が低い」「もっと飲みなさい」と毎日言うと、お子さんはストレスを感じます。前向きな声かけと、必要な時の医療相談を分けて考えましょう。

2. 生活習慣を整える

睡眠・食事・運動の3本柱を、無理なく続ける形で整えていきます。詳しくは「子どもの身長を伸ばす食べ物とは?骨を育てる5大栄養素と食事メニュー」「今日からできる身長を伸ばす方法を医師が解説」をご参照ください。

3. お子さんの「強み」に目を向ける

背の順がなくなる流れは、まさに「身長以外の個性に目を向けよう」という社会の意思表明です。お子さんの得意なこと、好きなことを応援し、自尊心を育てることが大切です。

4. 客観的なデータを定期的に確認

1年に1回は骨年齢評価をしておくと、お子さんの成長の進み方が分かり、適切なタイミングで対策を打てます。

背の順がない学校生活|お子さんへの伝え方

「背の順がなくなった」とお子さんから聞いた時、親としてどんな声かけをすればいいでしょうか。

避けたい声かけ

  • 「やっと前列じゃなくて済むね」(前列にいたことを否定的に捉える表現)

  • 「もっと食べないと大きくならないよ」(食事と身長を直接結びつけてプレッシャー)

  • 「○○ちゃんは大きいのにね」(他のお子さんとの比較)

  • 「お父さんに似て小さいから仕方ない」(諦めを伝える)

おすすめの声かけ

  • 「身長は個性の一つだよね」

  • 「あなたには他にもたくさんいいところがあるよ」

  • 「気になることがあったらいつでも教えてね」

  • 「ちゃんと寝てしっかり食べれば、体は自然に育っていくよ」

身長についてお子さんが何かを話してきた時は、「気にしないで」と話題を打ち切るより、「そう感じたんだね」と受け止めてあげることが大切です。気持ちに寄り添ったうえで、必要なら「お医者さんに一度見てもらおうか」と前向きな選択肢として医療相談を提案するのがいいでしょう。

背の順以外で身長を意識する場面と向き合い方

背の順以外で身長を意識する場面と向き合い方

背の順がなくなっても、お子さんが身長を意識する場面は他にもあります。

運動会や学校行事

競技や演技の並び順、ダンスの位置決めなど、身長で配置が決まる場面はまだあります。学校によっては運動会の整列も背の順を使わない方向で見直されています。

遊園地やアトラクションの身長制限

「○○cm以上」という身長制限があるアトラクションは、お子さんにとって明確な「届く・届かない」の境界線です。お子さんが悔しい思いをした時は、共感しながら「あと数センチで届くようになるよ」と前向きに伝えましょう。

洋服選び・制服のサイズ

クラスメイトと同じ服が着られない、制服のサイズが気になるなど、洋服はお子さんの身長を意識させやすい場面です。詳しくは「子どもの服サイズ年齢別目安|サイズが上がらないのは低身長のサイン?」もご参照ください。

身体測定の結果

学校で配られる身体測定の結果は、お子さん自身が自分の身長を客観的に意識する機会になります。前向きに「今年もしっかり伸びたね」と一緒に確認するのがおすすめです。

武内医師の臨床コメント

「背の順がなくなっても、お子さんが身長を意識する場面はゼロにはなりません。だからこそ大切なのは、お子さん自身が『自分の身長は数あるその子の特徴の一つ』と前向きに受け止められるような家庭の雰囲気です。家族が身長を過剰に話題にしないこと。お子さんが気にしている時は受け止めて、必要なら専門医に客観的な評価をしてもらう。『気にしないで』と『大切にちゃんと見ていく』を両立するのが、これからの時代の親御さんの向き合い方だと思います」

「うちの子も治療できる?」と思われた方へ

子どもの身長について、ほかの記事もお探しの方は 子どもの身長コラム テーマ別インデックス(134本) からどうぞ。

背の順廃止の流れに関するQ&A

Q1. 背の順廃止はいつから始まったのですか?

明確な「全国一斉施行日」があるわけではありません。各学校・自治体の判断で順次見直しが進んでおり、特に2020年代以降、多様性尊重の流れの中で広がっています。

Q2. 背の順がなくなれば、身長は気にしなくていい?

心理的な負担としては軽くなりますが、医学的には別問題です。骨端線が閉じる前に動ける期間は限られているため、客観的な現状把握は引き続き大切です。

Q3. うちの子は背の順で前から1〜2番目です。低身長ですか?

一概には言えません。背の順で前にいるだけで「低身長」と診断されるわけではなく、同年齢の平均身長と比較して-2SD以下かどうかが医学的な基準です。骨年齢評価で正確な評価ができます。

Q4. 背の順廃止に賛成・反対の議論があると聞きました

賛成派は「序列化を避ける」「多様性尊重」、反対派は「安全確保」「整列の効率」などを主張します。シンセル低身長治療センターとしては、お子さんの心の健康を重視する廃止の流れを前向きに評価しています。

Q5. シンセルクリニックではどんな相談ができますか?

左手首のレントゲンによる骨年齢評価、血液検査、成長曲線評価で、お子さんの「今の段階」と「残された伸びしろ」を客観的に評価します。「背の順で前にいて気になる」「医療相談すべきかな」と迷っている方も、お気軽にご相談ください。無料カウンセリングからどうぞ。

まとめ|背の順廃止は「心の負担を減らす」前向きな流れ

  • 背の順廃止は、身長による序列化を子どもの心に刻まない前向きな配慮

  • 整形外科医・低身長治療センターとしても歓迎すべき流れ

  • ただし低身長そのものへの医療的アプローチは別問題であることを理解

  • 「気にしない」と「客観的に把握する」は両立できる

  • 「背の順で前」と気づいた今こそ、骨年齢評価で伸びしろを確認するタイミング

  • 早熟・晩熟タイプによって、今すべき対策が変わる

  • 過剰に身長を話題にせず、お子さんの強みに目を向けながら、必要な医療相談は早めに

背の順がなくなっても、親としてお子さんの成長を見守る大切さは変わりません。「気にしない」だけでなく「現状を客観的に知る」ことで、安心して見守れるようになります。

お子さまの身長が気になる方へ|骨年齢評価で現状把握を

シンセル低身長治療センターでは、左手首のレントゲンによる骨年齢評価と血液検査で、お子さんの「今の成長段階」と「残された伸びしろ」を客観的に評価します。「背の順で前にいて気になる」「医療相談すべきか迷っている」という方も、お気軽にご相談ください。

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関連コラム

参考文献

  1. Sandberg DE, Colsman M. Growth hormone treatment of short stature: status of the quality of life rationale. Horm Res. 2005;63(6):275-283.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15992190/

  2. Voss LD, Mulligan J. Bullying in school: are short pupils at risk? Questionnaire study in a cohort. BMJ. 2000;320(7235):612-613.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10698879/

  3. Stabler B, Clopper RR, Siegel PT, et al. Academic achievement and psychological adjustment in short children. The National Cooperative Growth Study. J Dev Behav Pediatr. 1994;15(1):1-6.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8195620/

  4. Christensen TL, Djurhuus CB, Clayton P, Christiansen JS. An evaluation of the relationship between adult height and health-related quality of life in the general UK population. Clin Endocrinol (Oxf). 2007;67(3):407-412.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17555504/

  5. Wheeler PG, Bresnahan K, Shephard BA, et al. Short stature and functional impairment: a systematic review. Arch Pediatr Adolesc Med. 2004;158(3):236-243.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/14993081/

  6. 厚生労働省「平成22年乳幼児身体発育調査報告書」
    https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/73-22.html

  7. 文部科学省「学校保健統計調査」
    https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa05/hoken/1268826.htm

  8. 日本小児内分泌学会「日本人小児の体格の評価」
    http://jspe.umin.jp/medical/taikaku.html

医師監修記事

シンセルクリニック低身長治療センター医師 長田の顔写真

長田 直祥

(おさだ なおき)

シンセルクリニック 低身長治療センター医師

大阪医科薬科大学卒業。豊田厚生病院、中東遠総合医療センター、国立長寿医療研究センター、名古屋大学整形外科などで整形外科医としての経験を積み、現在はシンセルクリニック低身長治療センターで、お子さまの成長・低身長治療に携わる。日本整形外科学会所属。

医師プロフィールはこちら

大阪医科薬科大学卒業。豊田厚生病院、中東遠総合医療センター、国立長寿医療研究センター、名古屋大学整形外科などで整形外科医としての経験を積み、現在はシンセルクリニック低身長治療センターで、お子さまの成長・低身長治療に携わる。日本整形外科学会所属。

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