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【医師解説】寒い地域の人は身長が高い?なぜ?石川vs沖縄・北欧vs東南アジアの差とベルクマンの法則
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▶ 9分55秒・字幕付き|日本人の平均身長と、世代や地域で差が出る理由を解説
「寒い地域の人は背が高いってよく聞くけど、本当ですか?」
「石川県が日本で一番背が高いって本当?」
——これはシンセル低身長治療センターでも時々話題になる興味深いテーマです。
結論から言えば、寒い地域の人が背が高い傾向は統計的に見られます。ただし最も影響が大きい要因は遺伝です。この記事では医師として、ベルクマンの法則・日本国内の地域差・国際的な身長差の背景にある複数の要因を解説します。
- まずは動画でチェック!
- 日本国内の身長地域差:石川vs沖縄の2.9cm差
- 17歳男子 身長の都道府県ランキング(上位・下位)
- 17歳女子でも同じ傾向があるか
- 世界の身長差:北欧vs東南アジアの26cm差
- なぜ寒い地域の人は背が高いのか:複数の原因
- 原因①:ベルクマンの法則(生物学的適応)
- 原因②:食事(魚・乳製品・タンパク質)
- 原因③:遺伝(最大の要因)
- 原因④:ビタミンD・日照時間のパラドクス
- 要因⑤:乳製品・学校給食の整備
- 「寒い地域に引っ越せば身長が伸びる」は本当か
- 医師の見解:地域差より遺伝・食事・睡眠が重要
- ベルクマンの法則を動物で検証:人間以外の事例
- 身長の国際比較:なぜ国によって身長が違うのか
- 遺伝が最大の要因:でも遺伝だけでは決まらない
- 身長と気候:医師として今すぐできる実践的なまとめ
- 「うちの子も治療できる?」と思われた方へ
- よくある質問(FAQ)
- 北欧の人はなぜ背が高いのですか?
- 「沖縄は温暖だから背が低い」は正しいですか?
- 日本人が背を伸ばすために最も効果的なことは何ですか?
- まとめ
- 関連コラム
- 参考文献
日本国内の身長地域差:石川vs沖縄の2.9cm差

文部科学省の学校保健統計調査(平成26年度)では、17歳男子の都道府県別平均身長に興味深いデータがあります。
17歳男子 身長の都道府県ランキング(上位・下位)
順位 | 都道府県 | 平均身長(17歳男子) | 気候 |
|---|---|---|---|
1位 | 石川県 | 171.7cm | 北陸・寒い・雪が多い |
2位 | 秋田県 | 〃 | 東北・寒い |
2位 | 富山県 | 〃 | 北陸・寒い |
4位 | 福井県 | 〃 | 北陸・寒い |
43位 | 島根・広島・高知 | 170cm未満 | 比較的温暖 |
47位 | 沖縄県 | 168.8cm | 最も温暖・亜熱帯 |
石川県(1位:171.7cm)と沖縄県(47位:168.8cm)の差は約2.9cmです。1位〜4位が北陸・東北の寒い地域に集中していることは、一定の傾向として注目されます。
17歳女子でも同じ傾向があるか
女子では男子ほど顕著ではありませんが、4位に石川県・6位に秋田県・福井県が入るなど、寒い地域の県が上位に入る傾向は確認されます。ただし女子1位は東京、3位が大阪であり、男子より寒い地域への集中度は低いです。
世界の身長差:北欧vs東南アジアの26cm差
この傾向は日本国内だけでなく、世界規模でも見られます。
地域 | 代表国 | 男性平均身長 | 気候 |
|---|---|---|---|
北欧 | オランダ | 約184cm | 寒冷・高緯度 |
北欧 | ノルウェー | 約180cm | 寒冷・高緯度 |
北欧 | デンマーク | 約181cm | 寒冷・高緯度 |
東南アジア | インドネシア | 約158cm | 赤道近く・熱帯 |
東南アジア | フィリピン | 約163cm | 熱帯・温暖 |
東アジア | 日本 | 約172cm | 温帯 |
オランダ(184cm)とインドネシア(158cm)の差は26cm。「寒い地域の人は背が高い」という傾向は世界共通のものと言えます。
なぜ寒い地域の人は背が高いのか:複数の原因

医師として「寒い地域で背が高くなる」理由として考えられる要因を整理します。ただしこれらは相関関係であり、因果関係として確定しているものばかりではありません。
原因①:ベルクマンの法則(生物学的適応)
1847年にドイツの生物学者クリスティアン・ベルクマンが発表した法則です。「寒い地域の動物は体を大きくすることで体温を維持しやすくする」という内容です。
体が大きいと体表面積に対する体積の比率が大きくなり(体表面積/体積の比率が小さくなり)、熱が逃げにくくなります。北極のシロクマが南のクマより大きいのも、この法則で説明されます。
人間にもこの法則が当てはまる可能性があります。寒い地域では、大きな体格を持つ人が生存・繁殖に有利だったため、数千〜数万年の歴史の中で「寒い地域の集団が大きな体格を持つ」方向へ自然選択が働いた可能性があります(※1)。
原因②:食事(魚・乳製品・タンパク質)
寒い地域の食事が身長に関係しているという説もあります。医師として食事が身長に与える影響は大きいと考えています。特に給食や乳製品が十分に摂れる環境が整っていることで身長が伸びやすくなる側面があります。
北陸・東北の食文化:魚介類(タンパク質・DHA・EPA・ビタミンD)・乳製品・大豆製品が豊富
北欧の食文化:サーモン・ニシン・乳製品(カルシウム豊富)・高品質タンパク質
一方で沖縄や東南アジアでは伝統的にタンパク質・カルシウムの摂取量が少ない地域があります。この食事の差が身長差の一因である可能性があります。
原因③:遺伝(最大の要因)
医師として身長に最も影響する要因は遺伝だと考えています。地域ごとに数千〜数万年の歴史の中で形成された遺伝的な体格の差が、地域差・国際差の最大の要因です。
「石川県の人は骨格が大きい遺伝的素因を持つ集団が多い」「北欧の集団は歴史的に大きな体格を持つ遺伝子が選択されてきた」という観点が最も重要です。
原因④:ビタミンD・日照時間のパラドクス
「寒い地域は日照時間が少ない→ビタミンD不足→骨形成が悪くなる→身長に不利」という仮説があります。しかし実際のデータでは寒い地域の方が身長が高い傾向があります。
これは食事からのビタミンD摂取(魚・乳製品)が日照不足を補っている可能性があります。また寒い地域では屋内にいる時間が長く、睡眠・休息が十分に取れていることも間接的な要因かもしれません(睡眠と成長ホルモン分泌の関係)。
睡眠と成長ホルモンについては身長を伸ばす睡眠|成長ホルモンが最大分泌されるための睡眠習慣をご覧ください。
要因⑤:乳製品・学校給食の整備
日本の都道府県別身長差については、食事環境(給食での乳製品提供・食事の質)が関与している可能性があります。北陸・東北の地域では学校給食の整備・牛乳の消費量が多い傾向があることが一因として挙げられます(※2)。
「寒い地域に引っ越せば身長が伸びる」は本当か

「身長を伸ばしたいなら寒い地域に引っ越す」という発想について、医師として正直にお答えします。特に意味はないと思います。
地域差・国際差の主な要因は遺伝と長年の食文化であり、引っ越しによって短期間で身長が伸びるという科学的根拠はありません。身長を伸ばしたいのであれば、引っ越しよりも以下の方が確実に意味があります。
睡眠の最適化(9〜11時間、22時までの就寝)
タンパク質・カルシウム・ビタミンDの十分な摂取
骨端線が残っている間の成長ホルモン治療
身長が伸びなくなる習慣をやめる
身長が伸びなくなる行動については身長が伸びなくなる行動10選、成長ホルモン治療については成長ホルモンとは?増やす方法と注射(効果・費用・デメリット)を徹底解説をご覧ください。
医師の見解:地域差より遺伝・食事・睡眠が重要
医師として整理すると、「寒い地域で身長が高い傾向がある」のは以下の複合的な理由によるものと考えられます。
遺伝(最大の要因):数千年かけて形成された集団の遺伝的体格差
食事:魚・乳製品・タンパク質が豊富な食文化
ベルクマンの法則(進化的適応):寒冷環境への体格の適応
睡眠・生活習慣:間接的な影響の可能性
「寒い地域への引っ越し」が直接身長を伸ばすことはありませんが、食事改善(魚・乳製品・タンパク質の充実)は今すぐできる有効な対策です。
身長に最も影響する遺伝については遺伝身長の計算式とは?両親の身長から子どもの最終身長を予測する方法、晩熟と最終身長については晩熟とは?特徴・遺伝するか・身長が伸びる時期と最終身長の目安もご覧ください。
ベルクマンの法則を動物で検証:人間以外の事例
ベルクマンの法則は人間だけに当てはまるのではなく、様々な動物で観察されています。
動物 | 寒い地域の個体 | 暖かい地域の個体 |
|---|---|---|
クマ(ホッキョクグマ vs マレーグマ) | ホッキョクグマ:体重200〜700kg | マレーグマ:体重27〜65kg |
ペンギン(コウテイペンギン vs ガラパゴスペンギン) | コウテイペンギン:身長約120cm | ガラパゴスペンギン:身長約50cm |
キツネ(北方 vs 熱帯) | 北極ギツネ:耳が小さく体が大きい | フェネックギツネ:耳が大きく体が小さい |
動物においては、寒冷地適応として体が大きくなる傾向(体表面積を減らして熱を逃がしにくくする)が明確に観察されています。人間においても、数千〜数万年の歴史の中で同様の適応が起きた可能性があります。
身長の国際比較:なぜ国によって身長が違うのか
世界の国別平均身長の差は、遺伝・食事・生活環境・歴史的要因の複合結果です。
国・地域 | 男性平均身長 | 主な特徴 |
|---|---|---|
オランダ | 約184cm(世界最高水準) | 高タンパク質・乳製品中心の食文化。遺伝的素因 |
デンマーク・ノルウェー | 約180〜181cm | 北欧の食文化(魚・乳製品)。寒冷適応 |
日本 | 約172cm | 食の欧米化で戦後急速に伸長。遺伝的上限に近づきつつある |
中国 | 約172cm | 北部(寒冷)の方が南部(温暖)より高い傾向 |
インドネシア | 約158cm | 赤道近く・熱帯。食事のタンパク質・カルシウム不足 |
注目すべきは日本の身長が戦後に急速に伸びたこと(昭和22年の17歳男子平均:163cm → 現在:約172cm)。この変化は遺伝では説明できません。食事の改善(タンパク質・カルシウムの増加)と生活環境の向上が主な要因です。これは食事・生活習慣が身長に大きく影響することを示す強力な証拠です(※3)。
成長スパートのタイミングについては成長スパートはいつ来る?子どもの身長が爆発的に伸びる時期と見逃せないサインもご覧ください。
遺伝が最大の要因:でも遺伝だけでは決まらない

医師として、身長に最も影響する要因は遺伝だと考えています。しかし遺伝だけで身長が決まるわけではありません。
一般的に身長への寄与率は以下のように言われています。
遺伝:約60〜80%
環境(食事・睡眠・生活習慣):約20〜40%
20〜40%は環境次第で変えられる部分です。「遺伝が大部分だから何もできない」ではなく、「遺伝で決まらない部分を最大化する」ことが成長期の最重要課題です。遺伝身長の計算については遺伝身長の計算式とは?両親の身長から子どもの最終身長を予測する方法をご覧ください。
身長と気候:医師として今すぐできる実践的なまとめ
「寒い地域の人が背が高い傾向がある」のは事実ですが、それは遺伝と長年の食文化の積み重ねによるものです。引っ越しで数ヶ月で身長が伸びるわけではありません。しかし「寒い地域の食文化を取り入れる」という観点では今すぐできることがあります。
寒い地域の身長が高い理由 | 今すぐできる対応 |
|---|---|
魚(タンパク質・ビタミンD・DHA・EPA)が豊富 | 青魚(サバ・イワシ)を週2〜3回食べる |
乳製品(カルシウム)が豊富 | 毎日牛乳・ヨーグルト・チーズを摂取する |
高タンパク質の食事 | 鶏むね肉・卵・納豆を毎食取り入れる |
屋内での十分な休養(寒い→外出が少ない) | 22時までに就寝して9〜11時間の睡眠を確保 |
成長期の子どもの骨端線がまだ残っているかどうかは骨年齢で確認できます。「まだ伸びる余地があるか」「成長ホルモン治療の適応があるか」を早めに確認することが最も確実な選択肢です。骨端線の確認方法については骨端線とは?身長が伸びる仕組みとレントゲンでの見え方をご覧ください。
「うちの子も治療できる?」と思われた方へ
子どもの身長について、ほかの記事もお探しの方は 子どもの身長コラム テーマ別インデックス(134本) からどうぞ。
よくある質問(FAQ)
北欧の人はなぜ背が高いのですか?
最も大きな理由は遺伝(数千年かけた自然選択による集団の体格の違い)です。加えて魚・乳製品・高品質タンパク質を中心とした食文化、ベルクマンの法則による寒冷環境への適応が複合的に影響していると考えられます。
「沖縄は温暖だから背が低い」は正しいですか?
単純化しすぎた説明です。沖縄の身長が低い傾向には気候だけでなく、遺伝的な集団差・伝統的な食文化・経済的要因なども関与しています。「温暖=背が低い」というわけではなく、複数の要因の複合的な結果です。
日本人が背を伸ばすために最も効果的なことは何ですか?
骨端線が残っている成長期であれば、①睡眠の最適化(22時までの就寝・9〜11時間)②タンパク質・カルシウム・ビタミンDを含む食事③適度な運動④成長ホルモン治療の検討——この4つが最も効果的です。地域や気候を変えることより、これらの習慣を整えることの方が確実に意味があります。
まとめ
寒い地域の人が背が高い傾向は日本国内(石川vs沖縄で約2.9cm差)・世界規模(北欧vs東南アジアで最大26cm差)で確認されている
主な理由:①遺伝(最大の要因)②食事(魚・乳製品・タンパク質の豊富さ)③ベルクマンの法則(寒冷環境への生物学的適応)
「寒い地域に引っ越せば身長が伸びる」は特に意味がない
身長に最も影響する要因はまず遺伝。次いで食事・睡眠・生活習慣
今すぐできることは食事改善(タンパク質・カルシウム・ビタミンD)と睡眠の最適化
骨端線が残っているなら成長ホルモン治療という選択肢がある
「身長のことで相談したい」「骨年齢を確認したい」という方は、シンセル低身長治療センターにお気軽にご相談ください。
関連コラム
参考文献
Bergmann C. "Uber die Verhaltnisse der Warmeokonomie der Thiere zu ihrer Grosse." Gottinger Studien. 1847;3:595-708.
文部科学省「平成26年度 学校保健統計調査(都道府県別身長平均値)」https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa05/hoken/
NCD Risk Factor Collaboration (NCD-RisC). "A century of trends in adult human height." eLife. 2016;5:e13410.
Stulp G, Barrett L. "Evolutionary perspectives on human height variation." Biological Reviews. 2016;91(1):206-234.
日本小児内分泌学会「成長ホルモンの適正使用に関する見解(2024年8月14日改訂)」https://jspe.umin.jp/medical/gh.html
医師監修記事

長田 直祥
(おさだ なおき)
シンセルクリニック 低身長治療センター医師
大阪医科薬科大学卒業。豊田厚生病院、中東遠総合医療センター、国立長寿医療研究センター、名古屋大学整形外科などで整形外科医としての経験を積み、現在はシンセルクリニック低身長治療センターで、お子さまの成長・低身長治療に携わる。日本整形外科学会所属。
医師プロフィールはこちら
大阪医科薬科大学卒業。豊田厚生病院、中東遠総合医療センター、国立長寿医療研究センター、名古屋大学整形外科などで整形外科医としての経験を積み、現在はシンセルクリニック低身長治療センターで、お子さまの成長・低身長治療に携わる。日本整形外科学会所属。
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