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【整形外科医が解説】人工股関節の寿命は20年?「再手術」を避けたい60代が選ぶべき、自分の骨を守る治療法

2026.04.07

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▶ 6分34秒・字幕付き|人工股関節の耐用年数と、再手術のリスクを解説

関節の痛みや手足のしびれを諦める前に。医師が教える最新の改善ヒントを動画でチェックする▶

「先生、手術をすれば痛みは取れると聞きましたが、将来のことが心配で...」

診察室で、60代前半の患者さんが静かに口を開かれました。

変形性股関節症の診断を受け、他院で人工関節の手術を提案されたものの、即決できずに当院へ相談に来られたのです。

彼女が懸念されていたのは、手術そのものの怖さよりも、むしろ「術後の長い人生」についてでした。

「今60歳で人工関節を入れたとして、寿命が20年だとしたら...80歳でもう一度手術が必要になるのでしょうか? その年齢で耐えられる自信がありません」

その言葉は、まさに現代の医療が抱える課題を鋭く突いています。

人生100年時代と言われる今、60代での人工関節置換術は、決してゴールではありません。

そこから30年、40年と続く長い生活を見据えたとき、「人工関節の耐用年数」と「再置換術(入れ替え手術)」のリスクは、避けて通れない現実です。

私はかつて手術を執刀する立場にありました。だからこそ、人工関節の素晴らしさも、そして再手術の難しさも理解しています。

この記事では、教科書的な説明にとどまらず、現場の医師として感じてきた「長期的な視点での治療戦略」と、手術を先送りし、自分の骨で歩き続けるための「再生医療」という選択肢について、客観的な事実をお話しします。


この記事の結論

人工股関節は、手術から15年後で約9割、20年後で約7割、25年後でも約6割(57.9%)が、入れ替えなしで使い続けられていると報告されています(海外の大規模研究、2019年)。

  • 年齢が若いほど、生涯のうちに入れ替え(再置換)が必要になる可能性が高くなる

  • 活動量が多い・体重が重い方は、摩耗が早く進みやすい

  • セラミックなど摩耗しにくい素材の登場で、以前より長持ちする傾向

第1章:知っておくべき「人工関節の耐用年数」の現実

人工股関節置換術は、痛を取り除くための非常に有効な手段です。しかし、機械に寿命があるように、人工関節にも耐用年数が存在します。

1. 耐用年数は「約15年〜20年」が目安

近年の技術進歩により、人工関節(ポリエチレンやセラミックなど)の性能は飛躍的に向上しています。それでも、日々の歩行で体重を支え続ける以上、素材の摩耗や劣化を完全に防ぐことはできません。

手術から15年後で約9割、20年後で約7割、25年後でも約6割の人工股関節が、入れ替えなしで使われていると報告されています。

もちろん、生活スタイルや骨の質によっては20年以上持つケースもありますが、逆に活動量が多い方などの場合は、それより早く摩耗が進む可能性もあります。

素材によって耐用年数は違う?

人工股関節の摩耗しやすさは、ボール(骨頭)と受け皿(ライナー)の素材の組み合わせで変わります。

組み合わせ

特徴

金属 × ポリエチレン

古くからあり実績が多い。ポリエチレンの摩耗粉が骨を溶かすことがある

セラミック × 架橋ポリエチレン

摩耗が少ない。現在よく選ばれる組み合わせ

セラミック × セラミック

摩耗が非常に少ない。まれに破損や音鳴り(きしみ)が出る

2. 60代での手術が抱える「タイムリミット」

ここで重要になるのが、手術を受ける年齢です。

仮に80代で手術を受けた場合、耐用年数が20年あれば、再手術の必要はないでしょう。

しかし、60歳で手術を受けた場合はどうでしょうか。

単純計算で、75歳〜80歳頃に人工関節の寿命を迎える可能性があります。

日本人の平均寿命が伸びている現在、60代での手術は、将来的に「再置換術(入れ替えの手術)」が必要になる確率が高いという現実を、計画に含めておく必要があります。

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手術後20年後の経過

術後20年で、約7割の人工股関節が入れ替えなしで使い続けられていると報告されています。ただし、ゆるみや摩耗が起きる時期でもあるため、痛みが無くても定期的に検診を受けてください。

第2章:なぜ医師は「再置換術(入れ替え)」を慎重に考えるのか

「悪くなったら、また新しいものに入れ替えればいい」

そう思われるかもしれませんが、医学的には初回の手術と2回目の手術(再置換術)は、難易度が大きく異なります。

1. 骨の欠損と固定の難しさ

初回の手術では、健康な骨を削ってインプラント(人工関節)を固定します。

しかし、再手術を行う頃には、長年の使用による摩耗粉の影響(骨融解)や、古いインプラントを抜去する際のダメージにより、土台となる骨が薄く、脆くなっていることが少なくありません。

骨の量が不足している状態で新しい人工関節を固定するためには、特殊な補強金具を用いたり、骨移植を行ったりする必要があり、手術の手技は複雑になります。

2. 身体への負担とリハビリ

手術時間が長くなれば、それだけ出血量や感染症のリスクも高まります。

また、80代という年齢で全身麻酔下の大手術を行い、術後のリハビリに取り組むことは、体力的に決して楽なことではありません。

「できることなら、再手術は避けたい」

これが、多くの整形外科医、そして患者様に共通する願いです。だからこそ、「いかに手術を回避する」が、生涯のQOL(生活の質)を左右する重要な鍵となるのです。


入れ替え(再置換)が必要になるサイン

交換を検討するのは、痛みが再び出る、レントゲンでゆるみ・摩耗・骨の溶解が進んでいる、感染が疑われる、などの場合です。痛みが無くても、画像で異常が進んでいれば、手術を勧められることがあります。

  • 歩き始めや立ち上がりで、太ももや足の付け根が痛む

  • 脚の長さが変わった、ぐらつく感じがする

  • 発熱、傷の赤み・腫れ(感染のサイン。早めに手術を受けた病院へ連絡・受診してください)

  • レントゲンで、人工関節の周りの骨に黒い影(骨融解)が増えている

早めに入れ替えると、骨の欠損が小さいうちに手術できるため、「様子を見すぎない」ことも大切です。

第3章:自分の骨を守り、時間を稼ぐ「再生医療」

これまでは、変形性股関節症の治療といえば「痛み止めで保存療法」か、進行したら「人工関節」か、という二択が主流でした。

しかし現在は、その間を埋める選択肢として「再生医療」が確立されています。

シンセルクリニックが提供する再生医療は、人工物を入れるのではなく、「ご自身の修復力を活用する」治療法です。

1. 炎症を抑え、進行を緩やかにする

当院では、患者様ご自身の脂肪から採取した「幹細胞(かんさいぼう)」を使用します。

幹細胞には、関節内で起きている慢性的な炎症を鎮める「抗炎症作用」と、傷ついた組織の修復を促す「組織修復作用」があります。

これにより、痛みを緩和させるだけでなく、病気の進行スピードを緩やかにすることが期待できます。

仮に再生医療によって痛みがコントロールでき、手術の時期を5年、10年と先送りできれば、その分だけ「自分の骨」で過ごす時間を延ばすことができます。

結果として、将来的な再置換術のリスクを回避(あるいは高齢になってからの1回の手術で済むように調整)するという、長期的なライフプランが可能になります。

2. 入院不要、身体への負担は最小限

再生医療の大きな利点は、身体への侵襲(ダメージ)が少ないことです。

  • 入院: なし(日帰り治療)

  • 麻酔: 局所麻酔のみ

  • リハビリ: 治療翌日から通常の生活が可能

骨を切り取る必要がないため、治療後に「やっぱり手術をする」という選択に戻ることも可能です。

「手術というカード」を切る前に、まずはリスクの少ない方法で可能性を探る。これは非常に合理的な選択だと言えます。

「手術しかない」と言われた股関節の痛みにお悩みの方へ
手術を回避する、新しい選択肢としての「再生医療」

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第4章:【比較】人工関節手術と再生医療の違い

一般的な「人工股関節置換術」と、当院の「再生医療(幹細胞治療)」の特徴を比較します。

特徴

人工股関節置換術

再生医療(幹細胞治療)

アプローチ

骨を削り、人工関節に置き換える

注射で組織の修復・抗炎症を促す

入院期間

2週間〜1ヶ月程度

不要(日帰り)

麻酔

全身麻酔

局所麻酔

メリット

痛みが劇的に取れる、変形が強くても対応可

自分の骨を温存できる、再手術リスクがない

デメリット

脱臼・感染リスク、将来の再置換術の可能性

自費診療のため費用がかかる

将来性

人工物の寿命に依存する

自身のケア次第で維持可能

【医師としての見解】

関節の変形が末期まで進み、骨の破壊が著しい場合は、人工関節手術が適応となります。

しかし、「軟骨がすり減っているが、骨の形はある程度保たれている」という段階であれば、必ずしも急いで手術をする必要はありません。

まずは再生医療で保存的なアプローチを試み、自分の骨をできるだけ長く使い続ける。これが、人生100年時代における賢い戦略だと考えています。


当院では手術は行わず、必要に応じて連携先の医療機関をご紹介します。

第5章:当院での治療事例

実際に、将来を見据えて再生医療を選択された患者様の事例をご紹介します。

【症例】60代歳男性(変形性股関節症・進行期)

■来院時の状況:

長年の腰痛に加え、左股関節の激痛と左足のしびれにより、歩行や靴下の着脱が困難な状態でした。

近医にて「変形性股関節症」と診断され人工関節手術を勧められましたが、仕事や趣味への影響から手術回避を強く希望され、当院を受診されました。MRIでは軟骨摩耗に加え、骨のう胞や骨挫傷(骨のダメージ)が確認されました。

■治療内容:

腹部から微量の脂肪を採取し、約6週間培養して増やした幹細胞をエコーガイド下で股関節に正確に投与しました。

■経過:

2回目の投与後には夜間痛や立ち上がり時の痛みがほぼ消失しました。

治療1年後のMRIでは軟骨の再生が確認され、骨のう胞・骨挫傷ともに大幅に改善しています。痛みのレベルは治療前の「10」から「1〜2」へ激減し、可動域も拡大。

現在はゴルフを再開し、スコア更新を目指せるほど活動的な生活を取り戻されています。

症例の詳細はこちらから↓↓
夜間痛や立ち上がりの痛みがなくなった。

※経過には個人差がありますが、手術を回避して生活の質を取り戻された方は数多くいらっしゃいます。


最後に:大切な骨を「諦める」前に

「手術は怖いけれど、治すためには仕方がない」

そう自分に言い聞かせて、決断を急ごうとしていませんか?

一度人工関節にしてしまえば、二度とご自身の骨に戻ることはできません。

しかし、再生医療という選択肢を知っていれば、「切らずに守る」という道を選べるかもしれません。

シンセルクリニックでは、現在の股関節の状態やライフスタイル、そして将来のご希望をじっくりとお伺いし、

「再生医療でどの程度の改善が見込めるか」

「今、手術に踏み切るべきか、待つべきか」

を、医学的な見地から正直にお伝えします。

80歳、90歳になっても、自分の足で人生を楽しむために。

手術という大きな決断をする前に、ぜひ一度、ご自身の骨の可能性についてご相談ください。

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よくある質問(Q&A)

Q. 人工股関節は何年もちますか?

人工股関節は、手術から15年後で約9割、20年後で約7割、25年後でも約6割が入れ替えなしで使われていると報告されています。

Q. 人工股関節の20年後はどうなりますか?

手術から20年後で、約7割の人工股関節が入れ替えなしで使い続けられていると報告されています。ただし、ゆるみや摩耗が起きる時期でもあるため、痛みが無くても定期的に検診を受けてください。

Q. 人工股関節の入れ替え時期は、どう判断しますか?

痛みの再発、レントゲンでのゆるみ・摩耗の進行、感染の疑いがあれば検討します。痛みが無くても、画像で異常が進んでいれば勧められることがあります。

Q1. 変形が進んでいても、再生医療は受けられますか?

A. はい、受けられます。

変形が強くても、炎症を抑えることで痛み(疼痛)の緩和は十分に期待できます。痛みが減れば、筋力トレーニングも行えるようになり、結果として関節の寿命を延ばすことに繋がります。ただし、骨の破壊が著しい場合は手術を推奨することもありますので、まずはMRIやレントゲンでの診断が必要です。

Q2. 再生医療の効果はどれくらい続きますか?

A. 個人差がありますが、一度の治療で数年〜長期間にわたり痛みが軽減する方もいれば、定期的なメンテナンス治療を希望される方もいらっしゃいます。人工関節のように「20年で交換」という決まった寿命はありませんが、ご自身の細胞で組織を修復するため、日頃のケアやリハビリを行うことで、良好な状態を長く保つことが可能です。


参考文献

  • Evans, J. T., et al. "How long does a hip replacement last? A systematic review and meta-analysis of case series and national registry reports with more than 15 years of follow-up." The Lancet 393.10172 (2019): 647-654.

  • Freitag, J., et al. "Mesenchymal stem cell therapy in the treatment of osteoarthritis: reparative pathways, safety and efficacy - a review." BMC Musculoskeletal Disorders 17.1 (2016): 230.

  • Pivec, R., et al. "Hip replacement." The Lancet 380.9855 (2012): 1768-1777.

院長監修記事

シンセルクリニック総院長 武内の顔写真

武内 晋司郎

(たけうち しんじろう)

シンセルクリニック総院長

三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

医師プロフィールはこちら

三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

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