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トミージョン手術とは?多くのスポーツ選手がうける手術を徹底解説

2025.03.12

「トミージョン手術」という言葉を耳にしたことはありますか? 大谷翔平選手やダルビッシュ有選手が受けたことで、一躍有名になったこの手術。

実は、野球選手だけでなく、肘の靭帯損傷に悩む多くの人にとって、希望となる手術なのです。

この記事では、トミージョン手術の詳細から歴史、費用、合併症のリスク、そして気になる手術後の復帰率や成績への影響まで、徹底的に解説していきます。

「肘の痛みを我慢して競技を続けるべきか、手術という選択肢を選ぶべきか」

そんな悩みを抱えるあなたにとって、この記事が未来を決断するために是非最後までお読みください。

トミージョン手術とは?手術の詳細や歴史、費用や合併症のリスクまで医師が徹底解説

「トミージョン手術ってよく聞くけど、実際どんな手術なの?」 「手術費用やリスクが気になる…」

野球ファンなら一度は耳にしたことがある「トミージョン手術」。 最近では、大谷翔平選手やダルビッシュ有選手が手術を受けたことでも話題になりましたね。 今回は、トミージョン手術について、その詳細から歴史、費用、合併症のリスクまで詳しく解説していきます。

トミージョン手術とは?

皆さんは、肘の内側にある「靭帯」という組織をご存知でしょうか? 靭帯は、骨と骨を繋ぎとめる役割を担っており、関節が正常に動くために欠かせない存在です。

特に、肘の内側にある「内側側副靭帯」は、野球の投球動作のように、肘に大きな負担がかかる動きをする際に重要な役割を果たしています。この靭帯が損傷することで、投球時に痛みを感じたり、コントロールが不安定になったりします。重症になると日常生活にも支障が出ることもあります。

では、なぜこの靭帯は損傷してしまうのでしょうか? 野球の投球動作を例に考えてみましょう。ボールを投げる際、肘の内側には、引っ張られる力が働きます。特に、ボールをリリースする瞬間には、最大で体重の約8倍もの力がかかるといわれています。子供が遊びでボールを投げる程度であれば、靭帯への負担は大きくありません。しかし、本格的に野球に取り組む選手の場合、練習や試合で繰り返し投球動作を行うため、肘への負担が大きくなり、靭帯を損傷するリスクが高まります。

トミージョン手術とは、この傷ついた内側側副靭帯を再建する手術のことです。具体的には、自分の体の一部である腱を移植して、靭帯の代わりとすることで、肘の関節を安定させ、再びスポーツができるようにします。自身の体から腱を採取するため、拒絶反応のリスクが低いことも大きなメリットです。

トミージョン手術の歴史

この手術の名前は、1974年に世界で初めてこの手術を受けた、アメリカのメジャーリーグの投手、トミー・ジョン選手に由来しています。

当時、この手術は非常に珍しく、成功率も低いと言われていました。しかし、ジョン選手はこの手術から見事に復活し、その後も14年間も現役を続けることができたのです。このことから、トミージョン手術は次第に注目を集めるようになり、現在では、多くの野球選手にとって、肘の靭帯損傷からの復帰を可能にする、希望の手術として知られるようになりました。

初期の頃は、トミージョン手術後の選手は、復帰までに長い時間を要し、復帰率も低い傾向にありました。しかし、近年では、手術技術の進歩やリハビリテーションの進歩により、手術の成功率は向上し、復帰までの期間も短縮しています。

トミージョン手術の費用

気になる手術費用ですが、日本国内では健康保険が適用されるため、自己負担額は約15万円から30万円程度です。 ただし、これはあくまでも目安であり、病院や手術の内容、入院期間などによって費用は異なります。 また、入院中の差額ベッド代や食事代などは別途必要となる場合があります。

一方、アメリカなど海外で手術を受ける場合は、保険適用外となるため、100万円から300万円程度の費用がかかると言われています。 さらに、渡航費や滞在費なども考慮する必要があるため、高額な費用が必要となります。

トミージョン手術のリスクと合併症

トミージョン手術は、近年では技術の進歩により、成功率が80~90%と比較的高い手術とされています。 しかし、他の手術と同様に、合併症のリスクが全くないわけではありません。

考えられる合併症としては、以下のようなものがあります。

  • 感染症:どの手術にも共通するリスクとして、手術部位の感染症があります。

  • 神経損傷:肘周辺には神経が通っているため、手術操作中に神経を傷つけてしまうリスクがあります。神経損傷は、しびれや麻痺などの症状を引き起こす可能性があります。

  • 移植した腱の断裂:移植した腱が完全に骨とくっつかず、強い力が加わることで断裂してしまうことがあります。

  • 肘の拘縮:手術後、痛みや炎症によって、肘の関節が硬くなってしまうことがあります。拘縮は、肘の可動域を制限し、日常生活に支障をきたす可能性があります。

これらの合併症は、必ずしも起こるわけではありませんが、万が一、合併症が起こった場合は、再手術や長期の治療が必要となる可能性もあります。

手術を受けるかどうかは、医師から手術のメリットとデメリット、合併症のリスクについて十分に説明を受け、よく考えた上で、最終的には患者さん自身が決断することが重要です。

近年では、トミージョン手術を受けた選手の多くが、術後1年程度で競技に復帰し、高いレベルで活躍しています。しかし、手術後の成績は、選手個人の年齢、競技レベル、リハビリテーションへの取り組み方など、様々な影響を受ける可能性があります。

トミージョン手術を受ける前に知っておくべきこと

「肘の痛み、なかなか治らない…」「このままでは野球を続けられないかもしれない…」 そんな不安を抱えているあなたへ。トミージョン手術は、損傷した肘の靭帯を再建し、スポーツ復帰を目指すための手術です。 今回は、トミージョン手術を受ける前に知っておくべきことを、わかりやすく解説します。

適応となる症状

私たちの肘関節には、上腕骨と前腕部の骨をつないでいる靭帯が存在し、肘の安定性やスムーズな動きを支えています。 特に、野球の投球動作のように、肘を繰り返し強く使うことで、肘の内側にある靭帯(内側側副靭帯)に大きな負担がかかり、損傷してしまうことがあります。

初期は、投球後や運動後に肘の内側に軽い痛みや違和感を感じる程度かもしれません。 しかし、損傷が進行すると、徐々に日常生活でも痛みを感じるようになり、肘の不安定感や引っ掛かり感、指先のしびれといった症状が現れることもあります。

例えば、私の患者さんの中にも、最初は「軽い筋肉痛かな?」と軽く考えていた方が、次第に痛みが強くなり、日常生活にも支障をきたすようになってから来院されるケースが少なくありません。 重症化すると、肘の可動域が狭まり、腕を伸ばしたり曲げたりする動作も困難になることもあります。

このような症状に心当たりがある方は、早めに専門の医療機関を受診し、適切な診断を受けることが大切です。

手術の方法と流れ

トミージョン手術は、損傷した内側側副靭帯を、他の部位から採取した腱で置き換える手術です。 自分の体の一部を使うため、拒絶反応のリスクが低く、より自然な形で肘の機能を回復させることが期待できます。

手術の流れは、大きく分けて以下のようになります。

  • 麻酔

全身麻酔で行われることがほとんどです。

  • 靭帯の切除

損傷した靭帯を切除します。

  • 腱の採取と移植

主に前腕にある長掌筋腱(ちょうしょうきんけん)や、場合によっては膝の近くの腱などを採取し、損傷した靭帯の場所に縫い付けます。

  • 固定

手術後は、肘をギプスなどで固定します。

手術時間は、2時間程度です。

手術を受けるメリット・デメリット

トミージョン手術を受けるかどうかは、患者さん自身の症状や生活スタイル、将来的な目標などを考慮して、医師とじっくり相談した上で決めることが大切です。 メリットとしては、肘の痛みや不安定感がなくなり、スポーツ復帰が可能になる可能性が高まります。 特に、野球選手のように肘を酷使するスポーツ選手にとっては、競技人生を諦めずに済む可能性があるという大きなメリットがあります。

しかし、手術には必ずリスクが伴います。 感染症や神経損傷などの合併症が起こる可能性もゼロではありませんし、リハビリテーションには根気と努力が必要です。 手術後、完全に回復するまでに1年程度の時間が必要になることも考慮しなければなりません。 復帰までの道のりは長く、焦らずにリハビリに取り組む強い意志が求められます。

スポーツ復帰の可能性

トミージョン手術後のスポーツ復帰率は、80~90%と比較的高いと言われています。 近年では、手術技術の進歩やリハビリテーションの進歩により、手術の成功率は向上し、復帰までの期間も短縮しています。

しかし、これはあくまで目安です。 復帰までの期間は、患者さん自身の年齢や体力、スポーツの種類やレベル、リハビリの進捗状況などによって大きく異なります。 特に、野球のように肘に大きな負担がかかるスポーツでは、復帰までに時間がかかる場合が多いでしょう。

焦らず、医師の指示に従って、無理のない範囲でリハビリを続けることが大切です。 また、手術を受けた後も、再発のリスクを減らし、長くスポーツを楽しむためには、正しいフォームを身につける、ウォーミングアップを入念に行うなど、予防策を心がけるようにしましょう。

トミージョン手術を受けた選手と復帰後の成績

トミージョン手術を受けた選手がその後どうなったのか、気になる方も多いのではないでしょうか。ここでは、実際に手術を受けた選手の成績や、復帰後のパフォーマンスについて、特に復帰率と成績への影響に焦点を当てて詳しく見ていきましょう。

有名選手の症例(大谷翔平選手など)

トミージョン手術を受けた選手の中には、華々しく競技の世界に復帰し、活躍を続けている選手が多くいます。例えば、2018年にトミージョン手術を受けた大谷翔平選手は、手術から約1年後に打者として復帰し、その後投手としても完全復活を果たしました。復帰後は、手術前と遜色ない、むしろそれ以上の活躍を見せており、トミージョン手術が成功した一例と言えるでしょう。

このような成功例は、肘の痛みを抱えながらプレーを続けるか、手術という大きな決断をするか迷っている患者さんにとって、大きな希望と言えるでしょう。しかし、復帰の過程は決して平坦な道のりではありません。大谷選手も、復帰までの道のりにおいて、地道なリハビリとトレーニングに真摯に取り組んでいたことは、想像に難くありません。

ポジション別に見る復帰率と成績への影響

トミージョン手術後の復帰率や成績への影響は、選手のポジションによって異なってきます。内側側副靱帯は、投球動作のように肘に負担がかかる動きをする際に重要な役割を果たすため、当然ながら、投手は他のポジションの選手に比べて、復帰までに時間がかかります。

実際に、メジャーリーグの投手を対象にした研究では、手術後約12ヶ月で80%から97%が競技に復帰したという報告があります。しかし、これはあくまでも復帰率であり、以前と同じレベルでの競技復帰(RTSP)となると、さらに時間がかかります。同じ研究では、MLB投手の67%から87%が約15か月で以前と同じレベルに復帰したと報告されています。

野手の場合、投手と比較すると肘への負担が小さいため、復帰率は高くなる傾向にあります。ポジション別に復帰率を見てみると、捕手は59%~80%、内野手は76%、外野手は89%と報告されています。

ポジション

復帰率

競技成績への影響

投手

80%~97%

球速やコントロールに影響が出ることがある

捕手

59%~80%

送球への影響が出ることがある

内野手

76%

送球への影響は比較的少ない

外野手

89%

送球への影響は比較的少ない

※復帰率は、手術後、以前と同じレベルで競技に復帰できた選手の割合です。

肘の靭帯損傷の再生医療

治療の選択肢のひとつに、「再生医療」という最新の治療法もあります。今までの治療では、薬で痛みが抑えられなくなった場合には手術をするしかないと言われていました。

そのため、日常生活においても膝に負担がかからないように気をつけ、痛みが出たら痛み止めを服用し、痛みのコントロールが重要でした。しかし、最近では再生医療が注目されています。

当院の再生医療を知りたい方はこちらをご覧ください↓↓

手術との違い 

再生医療では、修復が不可能と言われている神経を新たに再生させていく画期的な治療法です。この再生医療では手術を行いませんので、身体への侵襲が少ない治療となります。手術を実施した場合には、侵襲するため以前のお体の状態に戻るのに長い期間がかかりますが、 再生医療は侵襲が少ない治療法のため、 すぐに体の状態を回復させることができます。

当院の再生医療もっと詳しく知りたい方は併せてお読みください↓↓

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記事監修医師

記事監修 シンセルクリニック

院長 武内晋司郎

参考文献

  1. Thomas SJ, Paul RW, Rosen AB, Wilkins SJ, Scheidt J, Kelly JD 4th, Crotin RL. Return-to-Play and Competitive Outcomes After Ulnar Collateral Ligament Reconstruction Among Baseball Players: A Systematic Review. Orthopaedic journal of sports medicine 8, no. 12 (2020): 2325967120966310.

院長監修記事

シンセルクリニック総院長 武内の顔写真

武内 晋司郎

(たけうち しんじろう)

シンセルクリニック総院長

三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

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三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

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