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コロナ後遺症の筋肉痛・関節痛とは?原因から治療まで整形外科医が解説

2025.09.22

熱は下がったはずなのに、原因不明の筋肉痛や関節痛が続く…。

それは決して気のせいではなく、コロナ後遺症に悩む方の多くがが関節痛を経験するという報告もある、代表的な症状の一つです。

日によって痛む場所が変わったり、鉛のような倦怠感を伴ったりと、そのつかみどころのなさに「この痛みはいつまで続くのか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、整形外科医の視点から、その長引く痛みの正体である3つの原因を解き明かし、薬物療法からリハビリ、最新の再生医療に至るまで、症状を和らげるための具体的な治療法を詳しく解説します。

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コロナ後遺症による関節痛・筋肉痛の主な特徴と3つの原因

「先生、熱は下がったのに、体のあちこちが痛くて動くのが辛いんです」。

診察室では、新型コロナウイルス感染症から回復したはずなのに、原因不明の痛みに悩む方が後を絶ちません。

咳や喉の痛みといった急性期の症状は消えたにもかかわらず、まるで体の中に痛みが居座ってしまったかのような感覚。 これは決して気のせいではなく、多くの方が経験するコロナ後遺症の代表的な症状の一つです。

整形外科医として長年、様々な痛みの治療に携わってきましたが、コロナ後遺症の痛みには特有の厄介さがあります。

なぜこのような痛みが続くのか、その正体と原因を私の臨床経験も踏まえながら、一つひとつ丁寧に解き明かしていきます。

痛む場所が移動する・広範囲に及ぶなど特有の症状

コロナ後遺症でみられる痛みの最大の特徴は、私が診察室で感じる「つかみどころのなさ」にあります。

患者さんからお話を伺うと、実に多彩な痛みの訴えを耳にします。

「昨日は右肩が上がらなかったのに、今日は左の股関節が痛みます」

「体中が重く、まるで鈍器で殴られたような痛みがずっと続いています」

このように、痛む場所が日によって移動したり、特定の関節だけでなく広範囲に及んだりするのが、一般的な筋肉痛やケガとは大きく異なる点です。

ある研究では、コロナ後遺症を持つ方のうち、関節痛を訴える割合は26%にも上ると報告されています。

さらに、この痛みは単独で現れることは稀で、多くの場合、他の症状と複雑に絡み合って患者さんを苦しめます。

  • 強い倦怠感

鉛のように体が重く、起き上がることさえ困難に感じることがあります。

  • ブレインフォグ

頭に霧がかかったように、思考力や集中力が低下する状態です。

  • その他の症状

頭痛、息切れ、動悸、嗅覚・味覚障害などが併発することもあります。

これらの症状が重なり合うことで、日常生活や仕事のパフォーマンスが著しく低下し、精神的にも追い詰められてしまうのです。

通常の筋肉痛や関節リウマチとの見分け方

「この痛み、もしかしてリウマチなのでは?」と、大きな不安を抱えてクリニックを訪れる方も少なくありません。

確かに関節が痛むという点では似ていますが、両者には明確な違いがあります。

比較項目

コロナ後遺症の痛み

通常の筋肉痛

関節リウマチ

痛む場所

移動性・広範囲

運動で使った特定の筋肉

手足の指など左右対称の関節

痛みの性質

鈍い・鋭いなど多彩

筋肉の張り、押すと痛む

朝の関節のこわばり、腫れ、熱感

きっかけ

コロナウイルス感染後

運動など原因が明確

不明(自己免疫反応)

他の症状

倦怠感、ブレインフォグなど

なし

微熱、食欲不振、関節変形(進行期)

ここで非常に重要なのは、新型コロナウイルス感染が引き金となり、関節リウマチなどの自己免疫疾患が新たに発症するケースが報告されている点です。

ある研究では、コロナ感染後に関節リウマチ様の症状が新たに出現する可能性が示唆されています。

自己判断で「後遺症だから」と決めつけず、痛みが続く場合は必ず医師の診察を受けるようにしてください。

原因1:サイトカインストームによる過剰な炎症反応

では、なぜこのような厄介な痛みが長引くのでしょうか。 最も有力な原因の一つが、「サイトカインストーム」と呼ばれる免疫システムの暴走です。

私たちの体は、ウイルスが侵入すると「サイトカイン」という情報伝達物質を放出し、免疫細胞に攻撃の指令を出します。 これは体を守るための正常な防御反応です。

しかし、新型コロナウイルスとの戦いでは、この免疫システムが過剰に反応し、サイトカインが嵐のように放出されることがあります。 これがサイトカインストームです。

この状態は、ウイルスを撃退するための火事が、燃え広がって家全体を焼いてしまうようなもの。 暴走したサイトカインは、ウイルスだけでなく自分自身の健康な細胞、特に関節を包む滑膜や筋肉の組織まで無差別に攻撃し、全身に強い炎症を引き起こします。

この過剰な炎症こそが、長引く関節痛や筋肉痛の直接的な原因となるのです。

原因2:自己抗体の産生による自己免疫反応の可能性

もう一つの有力な原因として、免疫システムが自分自身の体を「敵」と誤認して攻撃してしまう「自己免疫反応」が挙げられます。

本来、免疫はウイルスなどの外敵と、自分の体(自己)を正確に見分けて攻撃する精巧なシステムです。 ところが、新型コロナウイルスに感染すると、この識別の仕組みに異常が生じることがあるのです。

その結果、自分の関節や筋肉の成分を異物と誤認し、それを攻撃するための「自己抗体」が作られてしまうことがあります。 実際に、新型コロナウイルス感染が関節リウマチをはじめ、様々な自己免疫疾患や炎症性疾患の引き金になる可能性が複数の研究で示されています。

私が以前勤務していた病院でも、コロナ感染をきっかけに関節リウマチを発症された患者さんを何人か診察しました。 ウイルスという外敵と戦っているうちに免疫システムが混乱し、自分自身に牙をむいてしまう、非常に厄介なメカニズムと言えます。

原因3:長引く倦怠感に伴う身体活動の低下(廃用)

炎症や自己免疫といった直接的な原因に加え、絶対に見過ごせないのが「廃用」による二次的な影響です。 廃用とは、簡単に言えば「体を使わないことで心身の機能が低下すること」を指します。

コロナ後遺症の代表的な症状である、強烈な倦怠感がこの問題の引き金となります。

  • 活動性の低下

強い倦怠感のため、体を動かすことができなくなります。

  • 筋力低下と関節拘縮

長期間動かないことで筋肉は痩せ細り、関節の動きも悪くなります。

  • 痛みの発生

機能が低下した体で少し動くだけで、筋肉や関節に過大な負担がかかり、痛みが生じます。

  • 悪循環の形成

痛みが生じることで、さらに動くのが億劫になり、廃用が進行します。

この悪循環に陥ってしまうのです。

私自身、学生時代にラグビーで大怪我をして長期離脱した経験がありますが、復帰当初は筋力が落ち、体の動かし方を忘れたような感覚がありました。

コロナ後遺症の患者さんが感じる痛みは、この状態と非常によく似ています。 焦って無理に動こうとすると、かえって体を痛めてしまうため、専門家の指導のもとで慎重にリハビリを進める必要があります。

痛み止めを飲んでも痛みが改善しない場合

痛み止めの内服は根本な治療ではなく、対症療法となります。痛み止めが効かない場合などは症状の進行などが考えられ根本的な治療が必要な場合が多くなります。当院は手術必要としない根本的な最先端の治療方法である再生医療専門クリニックとなります。

再生医療とは

治療の選択肢のひとつに、「再生医療」という最新の治療法もあります。今までの治療では、薬で痛みが抑えられなくなった場合には手術をするしかないと言われていました。

しかし、最近では再生医療が注目されています。

実際に再生医療を受けた患者様の【体験ドキュメンタリー動画】をご紹介します。

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症状を和らげるための治療法とセルフケア

長引く痛みを抱えていると、

「この痛みはいつまで続くのだろう」

「どうすれば少しでも楽になるのか」

と、出口の見えないトンネルにいるような不安な気持ちになりますよね。 診察室でも、そうした切実な声を毎日のように伺います。

コロナ後遺症の痛みは、単に痛みを抑えるだけでなく、身体全体の機能回復を目指す総合的なアプローチが回復への近道です。 ここでは、症状を和らげるための代表的な治療法と、ご自身でできるケアについて、具体的な選択肢をいくつかご紹介します。

痛みの段階に応じた薬物療法(NSAIDs、神経障害性疼痛治療薬)

痛みの治療でまず検討されるのがお薬を使った治療です。 コロナ後遺症の痛みは複雑で、痛みの種類や強さに応じて使うお薬を使い分ける必要があります。

炎症を抑えるお薬(NSAIDs:非ステロイド性抗炎症薬) 

皆さんが「痛み止め」と聞いて思い浮かべるのが、このタイプのお薬かもしれません。  ロキソプロフェンやイブプロフェンなどが代表的で、炎症による熱や腫れ、痛みを和らげる効果が期待できます。  急な痛みや、サイトカインストームによる炎症が強く残っている時期には有効な選択肢となります。

神経の痛みに効くお薬(神経障害性疼痛治療薬)  

コロナ後遺症の痛みには、ウイルス感染によって神経が過敏になり、「ジンジン」「ピリピリ」とした痛みを感じるケースがあります。  これは通常の痛み止めが効きにくいのが特徴です。  その場合、プレガバリンなど、過敏になった神経の興奮を鎮めるお薬を使います。

【整形外科医の視点】

診察では、まず痛みの性質を丁寧に見極めます。 炎症が主体か、神経の過敏さが原因かによって最初の選択が変わります。 特に注意が必要なのは、コロナ治療でステロイドを使った方です。

ある研究では、コロナ感染後に持続する関節痛の背景に、骨の組織が壊死してしまう大腿骨頭壊死症が隠れている可能性が報告されています。

ステロイドの使用量が少なくても、比較的早期に発症するケースが指摘されており、整形外科医として常にこのリスクを念頭に置いて診察にあたっています。

運動機能の回復を目指すリハビリテーション

「痛いときは安静に」と思いがちですが、過度な安静はかえって筋力を低下させ、関節を硬くしてしまいます。

私自身、学生時代にラグビーや柔道で怪我を繰り返してきましたが、動かさないことで体がなまってしまい、回復が遅れるという経験を何度もしました。 痛みの悪循環を断ち切るためには、専門家の指導のもとで適切に体を動かすことが非常に重要です。

リハビリテーションの目的は、一人ひとりの状態に合わせた運動を通じて、安全に身体機能を取り戻すことです。

目的

具体的な内容

ポイント

柔軟性の向上

ストレッチ

痛気持ちいい範囲で、ゆっくりと筋肉や関節を伸ばします。

体力・持久力の回復

有酸素運動

ウォーキングや軽い水泳など、息が弾む程度の運動を短時間から始めます。

筋力の維持・向上

軽い筋力トレーニング

椅子に座ったままでもできる運動など、負荷の少ないものから行います。

これらの運動療法と並行して、温熱療法で血行を良くしたり、電気刺激で筋肉の緊張をほぐしたりする物理療法を行うこともあります。 重要なのは、焦らず、ご自身のペースで続けることです。

【先進医療】幹細胞を用いた再生医療

お薬やリハビリを続けてもなかなか痛みが改善しない、とお悩みの方もいらっしゃるでしょう。 整形外科医として手術が中心だった時代を経験した私にとって、そうした患者さんにもどかしい思いをすることがありました。 しかし、再生医療は、そのような状況に新たな可能性を示してくれます。

当院で行っている「自己脂肪由来幹細胞治療」は、ご自身の体から取り出した幹細胞を用いる治療法です。

【幹細胞治療の仕組み】

  1. ご自身の腹部などから少量の脂肪を採取します。

  2. 専用の施設で、脂肪の中から「幹細胞」という、体の様々な細胞になる能力を持つ細胞だけを取り出します。

  3. その幹細胞を、痛みのある関節などに注射で投与します。

投与された幹細胞には、傷ついた組織の修復を促したり、コロナ後遺症の原因とも考えられる体内の過剰な炎症を抑えたりする働きが期待できます。 診察室で「副作用が心配です」というご質問をよく受けますが、ご自身の細胞を使うため、アレルギーや拒絶反応といったリスクが極めて低いのが大きな特徴です。

長引く痛みや炎症の根本にアプローチできる可能性のある治療として、私たちはこの再生医療を提供しています。

よくあるQ&A

Q1. この痛みは、いつまで続くのでしょうか?

A1. 個人差が非常に大きく、「いつまでに治ります」と断言することは難しいのが現状です。 数週間で軽くなる方もいれば、数ヶ月以上にわたって症状が続く方もいらっしゃいます。 海外の報告でも、感染から1年以上経過しても関節痛などの症状が残るケースが指摘されています。 大切なのは、痛みを放置せずに早期に適切な対処を始めることです。 それによって、痛みが慢性化するのを防ぎ、回復までの期間を短くできる可能性があります。

Q2. 何科を受診すればよいか分かりません。

A2. 筋肉や関節の痛みが主な症状であれば、まずは整形外科の受診をおすすめします。 整形外科医は、骨や関節、筋肉の専門家として、痛みの原因がどこにあるのかを診断します。 コロナ後遺症は、倦怠感や息切れ、思考力の低下など、全身に多様な症状が現れることが特徴です。 そのため、必要に応じて内科や心療内科など、他の専門分野の医師と連携しながら総合的に治療を進めていくことが理想的です。

Q3. 再生医療は保険がききますか?費用はどのくらいかかりますか?

A3. 現在、コロナ後遺症に対する再生医療は保険適用外の自由診療となります。 そのため、治療費は全額自己負担となり、決して安価な治療ではありません。 当院では、治療を始める前に必ず詳しい費用についてご説明し、ご納得いただいた上で治療に進んでいただきます。 費用面だけでなく、あなたの症状にとってこの治療が本当に最善の選択肢なのかを一緒に考え、最適な治療計画を立てることを最も大切にしていますので、まずはお気軽にご相談ください。

痛み止めを飲んでも痛みが改善しない場合

痛み止めの内服は根本な治療ではなく、対症療法となります。痛み止めが効かない場合などは症状の進行などが考えられ根本的な治療が必要な場合が多くなります。当院は手術必要としない根本的な最先端の治療方法である再生医療専門クリニックとなります。

再生医療とは

治療の選択肢のひとつに、「再生医療」という最新の治療法もあります。今までの治療では、薬で痛みが抑えられなくなった場合には手術をするしかないと言われていました。

そのため、日常生活においても負担がかからないように気をつけ、痛みが出たら痛み止めを服用し、痛みのコントロールが重要でした。しかし、最近では再生医療が注目されています。

実際に再生医療を受けた患者様の【体験ドキュメンタリー動画】をご紹介します。

手術との違い 

再生医療では、修復が不可能と言われている軟骨や神経を新たに再生させていく画期的な治療法です。この再生医療では手術を行いませんので、身体への侵襲が少ない治療となります。人工関節の手術を実施した場合には、侵襲するため以前のお体の状態に戻るのに長い期間がかかりますが、 再生医療は侵襲が少ない治療法のため、 すぐに体の状態を回復させることができます。

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記事監修医師

記事監修 シンセルクリニック

院長 武内晋司郎

参考文献

  • Davis, H. E., Assaf, G. S., McCorkell, L., Wei, H., Low, R. J., Re’em, Y., Redfield, S., Austin, J. P., & Akrami, A. (2021). Characterizing long COVID in an international cohort: 7 months of symptoms and their impact. EClinicalMedicine, 38, 101019. https://doi.org/10.1016/j.eclinm.2021.101019
    (世界3,700人以上の患者を対象とした国際調査で、関節痛・筋肉痛・倦怠感が長期に持続することを報告)

  • Nalbandian, A., Sehgal, K., Gupta, A., Madhavan, M. V., McGroder, C., Stevens, J. S., Cook, J. R., Nordvig, A. S., Shalev, D., Sehrawat, T. S., Ahluwalia, N., Bikdeli, B., Dietz, D., Der-Nigoghossian, C., Liyanage-Don, N., Rosner, G. F., Bernstein, E. J., Mohan, S., Beckley, A. A., … Wan, E. Y. (2021). Post-acute COVID-19 syndrome. Nature Medicine, 27(4), 601–615. https://doi.org/10.1038/s41591-021-01283-z
    (Nature Medicineの総説で、後遺症の多彩な症状の中に「筋肉痛・関節痛」が頻出することを解説)

  • Khamsi, R. (2021). Rogue antibodies involved in COVID’s ‘long haul’. Nature, 590(7844), 29–31. https://doi.org/10.1038/d41586-021-00149-1
    (新型コロナ感染が自己抗体産生を誘発し、関節痛や自己免疫疾患のトリガーになる可能性について報告)

院長監修記事

シンセルクリニック総院長 武内の顔写真

武内 晋司郎

(たけうち しんじろう)

シンセルクリニック総院長

三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

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三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

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