true

【整形外科医解説】50メートル走の平均タイム完全版|学年別早見表・世界記録・日本記録と「あなたの6秒台は本物か」
「うちの子のタイムは速いの?遅いの?」「50m走の世界記録は?」「もっと速く走るには?」――体力テストの季節になると、多くの方が検索するテーマです。この記事では整形外科医であり、自身も競技者だった武内が、スポーツ庁のデータに基づく学年別の平均タイム早見表と世界記録・日本記録を示したうえで、ほとんどの人が知らない「学校の計測タイムのカラクリ」、そして速く走るために医学的に本当に必要なことを解説します。
この記事の結論を3行で
小6男子の平均は8.91秒、小6女子は9.17秒(学年別早見表あり)
女子の50m走は「14歳」がピーク。その後、遅くなっていきます
学校の手動計測は、電動計測より0.2〜0.3秒も速く出ます
- 【早見表】50m走の学年別・男女別 平均タイム
- 小学生
- 中学生
- 高校生
- 運動部に入っている子は「0.3〜0.4秒」速い
- 【衝撃】女子の50m走は「14歳」がピークです
- 自分のタイムは、速いのか遅いのか
- 男女で、まったく違うカーブを描きます
- 女子は、高校で「遅くなっていく」
- なぜこうなるのか
- 50m走の世界記録・日本記録
- 公式記録(室内50m)
- 【重要】50mは、陸上競技の正式種目ではありません
- 参考:ボルトは50mを何秒で通過したか
- 【最重要】あなたの「6秒台」は、本当に6秒台ですか?
- 学校の体力テストは「手動計測」です
- 手動計測は、必ず「速く」出ます
- 【実話】甲子園球児のタイムが「日本記録超え」続出
- 正確に測ると、6秒を切るのは至難の業
- 【医学】速さを決めるのは「足の回転」ではありません
- 常識を覆した研究
- 研究の内容
- 【最重要】これが意味すること
- 50m走が速くなる|医学的に正しい4つのコツ
- ① スタートで「前に倒れる」
- ② 地面を「真下に」強く押す
- ③ 腕は「後ろに引く」
- ④ 目線は「まっすぐ前」
- 【整形外科医の警告】速くなりたい子が、必ず知るべきケガ
- 成長期は「骨が伸びる速さに、筋肉が追いつかない」
- オスグッド病|膝の下が痛くなる
- 【日本人データ】オスグッドを予測できる2つの因子
- これは、防げます
- 「痛みを我慢して走る」は、絶対にやめてください
- 成長期に多い3つの障害
- 「うちの子も治療できる?」と思われた方へ
- 平均より低いとき、家で確認できること
- 50メートル走に関するよくある質問(Q&A)
- Q1. 50m走の平均タイムは?
- Q2. 50m走の世界記録は?
- Q3. 50m走の日本記録は?
- Q4. 小学生で7秒台は速いですか?
- Q5. なぜ女子は高校で遅くなるのですか?
- Q6. 速く走るには足を速く回せばいい?
- Q7. 背が低いと不利ですか?
- Q8. シンセルクリニックでは何ができますか?
- まとめ|数字より、去年の自分と比べよう
- 成長期のスポーツ障害・お子さんの成長でお悩みの方へ
- 関連コラム
- 参考文献
【早見表】50m走の学年別・男女別 平均タイム
小学生
学年 | 男子 | 女子 |
|---|---|---|
1年生 | 11.31秒 | 11.74秒 |
2年生 | 約10.6秒 | 約10.9秒 |
3年生 | 約10.1秒 | 約10.4秒 |
4年生 | 約9.7秒 | 約9.9秒 |
5年生 | 約9.3秒 | 約9.5秒 |
6年生 | 8.91秒 | 9.17秒 |
小学6年間で、男子は約2.4秒、女子は約2.6秒も速くなります。1学年あたり、およそ0.4〜0.5秒。この時期の伸びは、人生で最も大きいのです。
同じ時期、身長も大きく伸びます。「小学生の平均身長と成長の目安。平均より低い時に親が確認すべき「骨年齢」」もあわせてご参照ください。
中学生
学年 | 男子 | 女子 |
|---|---|---|
1年生 | 8.50秒 | 9.06秒 |
2年生 | 約7.9秒 | 8.75秒 |
3年生 | 7.45秒 | 8.75秒 |
中学3年間で、男子は約1.05秒速くなります。一方、女子の伸びは約0.31秒にとどまります。
高校生
学年 | 男子 | 女子 |
|---|---|---|
1年生 | 7.49秒 | 8.89秒 |
2年生 | 約7.3秒 | 約9.0秒 |
3年生 | 7.23秒 | 9.05秒 |
※スポーツ庁「体力・運動能力調査」に基づく数値です。調査年により多少変動します。
運動部に入っている子は「0.3〜0.4秒」速い
同じ調査で、興味深い事実が示されています。
運動部・スポーツクラブに所属している子は、所属していない子より、平均タイムが0.3〜0.4秒速い
0.3〜0.4秒というのは、学年でいえば約1年分の差です。つまり、運動を続けているだけで、1学年分の"貯金"ができていることになります。
ここで大切なのは、「陸上部でなくてもいい」ということ。この統計には、走る競技以外のスポーツも含まれています。「定期的に体を動かしている子」と読み替えてください。
武内医師の臨床コメント①|「小学生の"0.5秒"は、大人の努力では出ません」
「この表を見て、私が一番強調したいのは"小学生の伸びの大きさ"です。1年生で11.31秒だった男子が、6年生で8.91秒。6年間で2.4秒も縮まる。これは、大人が必死にトレーニングしても、まず出せない数字です。私自身、競技をやってきましたが、大人になってから0.5秒縮めるというのは、本当に大変なこと。何か月も練習して、やっと0.1秒という世界です。ところが小学生は、放っておいても1年で0.4〜0.5秒速くなる。神経系と筋肉が、猛烈な勢いで発達しているからです。だから、この時期にきちんと体を動かす経験をさせてあげてほしい。人生で最も"伸びる"時期を、逃さないでください」
【衝撃】女子の50m走は「14歳」がピークです
自分のタイムは、速いのか遅いのか
その前に、目安をお伝えしておきます。平均から0.5秒以上速ければ「速い」、1秒以上速ければ「かなり速い」と考えてよいでしょう。
評価 | 目安(小6男子の場合) |
|---|---|
かなり速い | 7.9秒より速い |
速い | 8.4秒前後 |
平均 | 8.91秒 |
やや遅い | 9.4秒前後 |
ただし――この数字に、あまり意味はありません。その理由は、後ほど詳しく説明します。お子さんの体格の評価は「ローレル指数とは?計算式・計算方法と基準値一覧」もご参照ください。
男女で、まったく違うカーブを描きます
ピーク年齢 | ピークのタイム | |
|---|---|---|
男子 | 17歳 | 約7.2秒 |
女子 | 14歳 | 8.75秒 |
女子は、高校で「遅くなっていく」
データを見ると、驚くべき事実が浮かび上がります。
中学1年生女子:9.06秒
中学3年生女子:8.75秒
高校1年生女子:8.89秒
高校3年生女子:9.05秒
高校3年生の平均タイムは、中学1年生とほぼ同じ。つまり、女子は14歳頃をピークに、その後は遅くなっていくのです。
なぜこうなるのか
考えられる理由は、複数あります。
運動する機会が減る(部活動をやめる、体育の時間が減る)
思春期の体組成の変化(女性は思春期に体脂肪が増えるのが自然な変化)
身長の伸びが早く止まる(女子は男子より約2年早く成長が終わる)
成長のタイミングについては「成長スパートはいつ来る?子どもの身長が爆発的に伸びる時期と見逃せないサイン」「身長はいつまで伸びる?男女別のストップサインと骨端線のメカニズム」「【中学生必見】身長を伸ばす方法とは?日常生活から治療まで」もご参照ください。
武内医師の臨床コメント②|「女子が14歳でピーク、というデータの読み方」
「このデータを見て、"女子は高校生になると衰える"と読んでしまう方がいます。でも、それは違います。これは"能力が落ちた"のではなく、多くの場合"走らなくなった"結果です。思春期に体脂肪が増えるのは、女性にとって自然で、健康的な変化です。これを"太った"などと否定的に捉えるべきではありません。問題は、そこではない。中学・高校で運動する機会が減っていくこと、そちらのほうが大きい。実際、運動部に所属している子は、所属していない子より0.3〜0.4秒速いという統計もあります。つまり、"続けていれば、落ちない"んです。タイムの数字より、"体を動かし続けられているか"を見てあげてください」
50m走の世界記録・日本記録
公式記録(室内50m)
男子 | 女子 | |
|---|---|---|
世界記録 | 5秒56 | 5秒96 |
日本記録 | 5秒75 | 6秒47 |
【重要】50mは、陸上競技の正式種目ではありません
意外に思われるかもしれませんが、50m走は陸上競技の正式種目ではありません。屋外の公式大会には、50m走という種目が存在しないのです。
上記の記録は、すべて室内競技のものです。
参考:ボルトは50mを何秒で通過したか
100m走の世界記録保持者ウサイン・ボルト(9秒58)は、50m地点を約5秒47で通過したと分析されています。
さらに、中国の蘇炳添選手は2021年の東京オリンピック100m準決勝で、50m通過が5秒45だったと分析されています。
【最重要】あなたの「6秒台」は、本当に6秒台ですか?

学校の体力テストは「手動計測」です
ここが、この記事で最もお伝えしたい部分です。
学校の体力テストや運動会の50m走は、ほぼすべて先生がストップウォッチで測る「手動計測」です。
手動計測は、必ず「速く」出ます
なぜか。人間の反応には、必ず遅れがあるからです。
スタートの合図で押すタイミング → 遅れる(=計測開始が遅くなる)
ゴールで止めるタイミング → 目で見た瞬間に止められる
結果として、手動計測のタイムは、電動計測より0.2〜0.3秒ほど速く出ます。
陸上競技の世界では、100m走の手動記録には0.24秒を加算するのが常識とされています。
【実話】甲子園球児のタイムが「日本記録超え」続出
この問題は、実際に話題になったことがあります。
甲子園に出場する高校球児のプロフィールに書かれた50m走のタイムが、日本記録(5秒75)を上回る申告が続出している――そんな指摘がなされたのです。
もちろん、選手が嘘をついているわけではありません。手動計測、しかも助走やフライング気味のスタートを含めれば、そういう数字が出てしまうのです。
正確に測ると、6秒を切るのは至難の業
陸上のスプリンターでもない限り、正確な電動計測で50mを6秒切ることは、極めて困難です。
武内医師の臨床コメント③|「"6秒台"に、一喜一憂しないでください」
「これは、多くの保護者の方が知らない話です。学校の50m走は、ほぼすべて手動計測。つまり、実際より0.2〜0.3秒速く出ている。『うちの子、6秒台なんです!』と嬉しそうにおっしゃる方がいますが、正確に測れば7秒前後かもしれない。逆に言えば、"7秒台だった"と落ち込む必要も、まったくない。甲子園球児の申告タイムが日本記録を超えてしまう、という笑い話のような問題が実際に起きています。だから、私が保護者の方にお伝えしたいのは、"数字そのものより、去年の自分と比べてどうか"を見てほしい、ということ。同じ学校、同じ測り方で、去年より速くなっていれば、それは確実に成長です。他の学校の子と数字を比べても、あまり意味がありません」
【医学】速さを決めるのは「足の回転」ではありません

常識を覆した研究
「速く走るには、足を速く回せばいい」――多くの人がそう思っています。しかし、科学はまったく違う答えを出しました。
2000年に発表された画期的な研究は、こう結論づけています。
最高速度を決めるのは、「足をどれだけ速く動かすか」ではなく、「地面をどれだけ強く押せるか」である
研究の内容
研究チームは、走力の異なる33人の被験者を、トレッドミル(ランニングマシン)の上で全速力で走らせ、地面にかかる力を測定しました。
その結果――速い人ほど、地面を強く押していたのです。足を空中で速く動かす能力(脚の切り返しの速さ)は、速い人も遅い人も、ほとんど変わりませんでした。
【最重要】これが意味すること
速さは「足の長さ」でも「身長」でもなく、「地面を押す力」で決まる。
つまり――背が低くても、速く走れるということです。
実際、陸上のトップスプリンターには、決して長身ではない選手が数多くいます。身長が伸びるのを待つ必要はありません。今の体で、地面を強く押す力を鍛えればいいのです。
身長と運動能力の関係については「最終身長はどこまで決まる?母父の影響・振れ幅を医師が解説」「身長が伸びない子の特徴とは?早熟・肥満との関係」もご参照ください。また、「足が大きい子は速い」という俗説については「身長と足のサイズは関係ある?「足が大きいと背が伸びる」の医学的真実」、手の大きさと成長の関係は「身長別の手の大きさ平均は?早見表と骨年齢で分かること」で解説しています。
武内医師の臨床コメント④|「背が低いから遅い、は科学的に間違いです」
「診察室で、"うちの子は背が低いから、走るのも遅くて"とおっしゃる保護者の方がいます。そのたびに、私はこの研究の話をします。2000年に発表された有名な研究が示したのは、"最高速度を決めるのは、足の回転の速さではなく、地面を押す力だ"ということ。速い人と遅い人で、足を空中で動かす速さは、ほとんど変わらなかったんです。違ったのは、地面を押す力だった。これは、背が低いお子さんにとって、大きな希望です。速さは"体の大きさ"ではなく"押す力"で決まる。私も元競技者ですが、実感としてもその通りです。小柄でも、地面を叩ける選手は、抜群に速い。だから、"背が低いから諦める"必要は、まったくありません」
50m走が速くなる|医学的に正しい4つのコツ

① スタートで「前に倒れる」
50mはスタートの比重が非常に大きい種目です。100mよりも、スタートの出来がタイムを左右します。
合図と同時に、体を前に倒し込む。「倒れそうになるのを足で受け止める」感覚です。
② 地面を「真下に」強く押す
先ほどの研究の通り、地面を押す力がすべてです。後ろに蹴るのではなく、真下に叩きつけるイメージを持ってください。
この「押す力」を鍛えるには、その場でのジャンプ、階段の駆け上がり、坂道ダッシュなどが有効です。長い距離をゆっくり走っても、スプリント能力はほとんど伸びません。
③ 腕は「後ろに引く」
前に振ろうとするより、肘を後ろに引くことを意識します。腕を引くと、反対の脚が自然に前に出ます。腕を大きく振ろうとして力むと、かえって遅くなります。
④ 目線は「まっすぐ前」
下を向くと体が丸まり、地面を押す力が逃げます。ゴールの少し先を見るくらいがちょうどよいでしょう。そして、ゴールの手前で減速しない。ゴールラインの5m先まで走り抜けるつもりで走ってください。
より詳しいトレーニング方法は「足が速くなる方法とは?医学的根拠のある練習と、根拠のない俗説」で徹底解説しています。「ゴムバンドを巻けば速くなる」といった俗説の真偽も検証していますので、あわせてご覧ください。小学生向けの運動は「小学生の身長を伸ばす方法とは?整形外科医が徹底解説」もご参照ください。
武内医師の臨床コメント⑤|「50mは"スタート"が半分です」
「50m走のコツを聞かれたら、私は迷わず"スタート"と答えます。100mなら、中盤以降の最高速度で勝負がつきます。でも50mは、多くの選手が最高速度に達しきる前にゴールしてしまう。つまり、加速区間がほとんどすべてなんです。だから、スタートの反応と、最初の10〜20mの加速を練習するのが、最も効率がいい。コツは、"前に倒れ込む"こと。上体を起こしたまま走り出すと、力が上に逃げてしまいます。倒れそうになるのを、足で受け止める。この感覚がつかめると、一気にタイムが変わります。私が競技をやっていた頃も、スタートの1歩目で勝負が決まる感覚がありました」
【整形外科医の警告】速くなりたい子が、必ず知るべきケガ

成長期は「骨が伸びる速さに、筋肉が追いつかない」
ここは、整形外科医として絶対にお伝えしなければならない部分です。
成長期には、骨が急速に伸びます。しかし、筋肉と腱の伸びは、それに追いつきません。結果として、筋肉が骨を強く引っ張り、骨の付着部が炎症を起こすのです。
オスグッド病|膝の下が痛くなる
最も多いのがオスグッド病です。膝のお皿の下の骨が出っ張り、痛くなります。
発症の平均年齢は約13.1歳
若いアスリートの約13%が経験するという報告があります
ジャンプやダッシュの多い競技に多い
【日本人データ】オスグッドを予測できる2つの因子
日本の12〜13歳のサッカー選手302名を追跡した研究では、オスグッド病を発症しやすい子の特徴が明らかになりました。
成長スパートのピーク時期にあること
太ももの前(大腿四頭筋)と、ふくらはぎ(腓腹筋)の柔軟性が低いこと
つまり、「身長が急に伸びている時期に、体が硬い子」が危ないのです。
これは、防げます
成長スパートの時期を知り、太ももの前とふくらはぎをしっかり伸ばす。それだけで、リスクは大きく下がります。
成長スパートの見分け方は「成長スパートはいつ来る?子どもの身長が爆発的に伸びる時期と見逃せないサイン」、骨の成長の仕組みは「骨端線とは?身長が伸びる仕組みとレントゲンでの見え方を完全解説」をご参照ください。
武内医師の臨床コメント⑥|「"背が急に伸びた"子は、要注意です」
「整形外科医として、これだけは声を大にしてお伝えしたい。"最近、急に背が伸びた"というお子さんは、ケガのリスクが高い時期にいます。骨は急速に伸びますが、筋肉と腱は、その速さに追いつけません。結果、筋肉が骨をぐいぐい引っ張ることになる。その引っ張られた部分が炎症を起こすのが、オスグッド病です。日本のサッカー少年302人を追った研究では、"成長スパートのピーク時期"と"太ももの前とふくらはぎの硬さ"が、発症を予測する因子だと示されました。つまり、"急に伸びている時期に、体が硬い子"が危ない。逆に言えば、この時期にストレッチをしっかりやれば、防げる可能性が高い。速く走りたい気持ちはよく分かります。でも、ケガをしたら走れません。ストレッチは、遠回りではなく、最短距離です」
「痛みを我慢して走る」は、絶対にやめてください
膝の下、すねの内側、かかと――走ると痛む場所がある場合、我慢して続けてはいけません。
成長期に多い3つの障害
名前 | 痛む場所 | 特徴 |
|---|---|---|
オスグッド病 | 膝のお皿の下 | 13歳前後。骨が出っ張る |
シンスプリント | すねの内側 | 走ると痛む。放置で疲労骨折へ |
疲労骨折 | すね・足の甲など | 小さな衝撃の繰り返しで骨に亀裂 |
成長期の骨は、大人より脆く、疲労骨折を起こすこともあります。「少し痛いだけ」と続けた結果、数か月走れなくなる子を、私は何人も見てきました。
栄養面のケアも重要です。「子どもの身長を伸ばす食べ物とは?骨を育てる5大栄養素と食事メニュー」「骨を強くする食べ物・飲み物を解説」もご参照ください。骨が弱ければ、疲労骨折のリスクも上がります。
武内医師の臨床コメント⑦|「痛みを我慢した子が、一番損をします」
「これは、元競技者としても、整形外科医としても、心から伝えたいことです。"痛いけど、レギュラーを外されたくないから我慢する"――この判断が、一番損をします。成長期の骨は、大人より脆い。無理を重ねれば、疲労骨折になります。『少し痛いだけです』と言って走り続けた結果、3か月まったく走れなくなった子を、私は何人も見てきました。2週間休んでいれば治ったものが、3か月になる。どちらが損か、明らかです。だから、お子さんが"痛い"と言ったら、まず休ませてください。そして、痛みが続くなら、必ず診てもらってください。成長期は一度きり。この時期の体を大切にすることが、その先の何十年を守ります」
「うちの子も治療できる?」と思われた方へ
子どもの身長について、ほかの記事もお探しの方は 子どもの身長コラム テーマ別インデックス(134本) からどうぞ。
平均より低いとき、家で確認できること
「平均と比べて何cm低いか」という点よりも、「去年から何cm伸びたか」という線の傾きのほうが大事です。平均の帯と同じ傾きで上がっていれば、低めでも順調です。
目安は、思春期前で年4cm未満が2年続いたら一度確認したほうがいい、というところです。
下の3つは、ご家庭で確かめられます。
成長曲線 自動計算グラフ|身長と体重を入れるだけで、SDとパーセンタイルが出ます
身長予測の計算|今の身長から最終身長の目安を出します
遺伝身長(目標身長)の計算|ご両親の身長から、落ち着く幅を出します
50メートル走に関するよくある質問(Q&A)
Q1. 50m走の平均タイムは?
小6男子8.91秒/小6女子9.17秒、中3男子7.45秒/中3女子8.75秒、高3男子7.23秒/高3女子9.05秒です(スポーツ庁の調査より)。
Q2. 50m走の世界記録は?
室内50mで、男子5秒56(D.ベイリー/1996年)、女子5秒96(I.プリワロワ/1995年)です。なお50mは陸上競技の正式種目ではありません。
Q3. 50m走の日本記録は?
室内50mで、男子5秒75(朝原宣治/2002年)、女子6秒47(小西恵美子/1985年)です。
Q4. 小学生で7秒台は速いですか?
小6男子の平均が8.91秒なので、7秒台はかなり速い部類です。ただし学校の計測は手動なので、電動計測では0.2〜0.3秒遅くなる可能性があります。
Q5. なぜ女子は高校で遅くなるのですか?
女子のピークは14歳頃です。運動機会の減少、思春期の自然な体組成の変化などが理由と考えられます。能力が落ちたのではなく、走らなくなった結果である場合が多いです。
Q6. 速く走るには足を速く回せばいい?
いいえ。研究では、最高速度を決めるのは「足の回転の速さ」ではなく「地面を押す力」だと示されています。
Q7. 背が低いと不利ですか?
いいえ。速さは身長ではなく「地面を押す力」で決まります。トップスプリンターにも小柄な選手が多くいます。
Q8. シンセルクリニックでは何ができますか?
成長期のスポーツ障害(オスグッド病・疲労骨折など)の診療、成長曲線・骨年齢を含めた成長の評価に対応しています。無料カウンセリングでご相談ください。
まとめ|数字より、去年の自分と比べよう
小6男子8.91秒/小6女子9.17秒が平均
小学6年間で男子は約2.4秒、女子は約2.6秒速くなる(人生最大の伸び)
男子のピークは17歳、女子のピークは14歳
女子は高校で遅くなるが、それは「走らなくなった」結果であることが多い
世界記録は男子5秒56/女子5秒96(室内50m)
日本記録は男子5秒75(朝原宣治)/女子6秒47
50mは陸上競技の正式種目ではない
学校の手動計測は、電動より0.2〜0.3秒速く出る
速さを決めるのは「地面を押す力」(足の回転の速さではない)
だから背が低くても速くなれる
50mはスタートと最初の加速がすべて
成長スパート期+体が硬い=オスグッド病のリスク
痛みを我慢して走らない。2週間の休養が、3か月の離脱を防ぐ
50m走のタイムは、学校の測り方によって0.2〜0.3秒も変わります。だから、他の子や他の学校と数字を比べることに、あまり意味はありません。大切なのは、同じ測り方で、去年の自分より速くなっているかどうか。そして何より、痛みを我慢せず、走り続けられる体でいることです。速さは、身長でも足の長さでもなく、地面を押す力で決まります。今の体で、できることは必ずあります。
成長期のスポーツ障害・お子さんの成長でお悩みの方へ
シンセルクリニックでは、オスグッド病・シンスプリント・疲労骨折など成長期のスポーツ障害の診療、そして成長曲線・骨年齢を含めた成長の評価に対応しています。「膝の下が痛いと言っている」「急に背が伸びてから体の不調が増えた」「身長の伸びが気になる」――そんな保護者の方も、お気軽にご相談ください。
▶ LINEで相談する(お子さんの成長・スポーツ障害について気軽に質問いただけます)
関連コラム
参考文献
Weyand PG, Sternlight DB, Bellizzi MJ, Wright S. Faster top running speeds are achieved with greater ground forces not more rapid leg movements. J Appl Physiol. 2000;89(5):1991-1999.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11053354/Kujala UM, Kvist M, Heinonen O. Osgood-Schlatter's disease in adolescent athletes. Retrospective study of incidence and duration. Am J Sports Med. 1985;13(4):236-241.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/4025675/Developmental stage and lower quadriceps flexibilities and decreased gastrocnemius flexibilities are predictive risk factors for developing Osgood-Schlatter disease in adolescent male soccer players.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10356628/Angular kinematics during top speed sprinting in male intercollegiate track and field and team sport athletes.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11994691/De Leonibus C, Marcovecchio ML, Chiavaroli V, et al. Timing of puberty and physical growth in obese children: a longitudinal study in boys and girls. Pediatr Obes. 2014;9(4):292-299.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23713062/スポーツ庁「体力・運動能力調査」
https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/toukei/chousa04/tairyoku/1368148.htm文部科学省「学校保健統計調査」
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa05/hoken/1268826.htm
医師監修記事

長田 直祥
(おさだ なおき)
シンセルクリニック 低身長治療センター医師
大阪医科薬科大学卒業。豊田厚生病院、中東遠総合医療センター、国立長寿医療研究センター、名古屋大学整形外科などで整形外科医としての経験を積み、現在はシンセルクリニック低身長治療センターで、お子さまの成長・低身長治療に携わる。日本整形外科学会所属。
医師プロフィールはこちら
大阪医科薬科大学卒業。豊田厚生病院、中東遠総合医療センター、国立長寿医療研究センター、名古屋大学整形外科などで整形外科医としての経験を積み、現在はシンセルクリニック低身長治療センターで、お子さまの成長・低身長治療に携わる。日本整形外科学会所属。
医師プロフィールはこちら
同カテゴリの最新記事
GROWTH CONSULTATION
お子さまの成長が
気になる方へ
身長精密検査の内容・費用や、
治療の流れをご確認いただけます。
検査・治療について知りたい方も、
まずは質問したい方も、ご確認ください。
Access
アクセス
大阪院
所在地
〒542-0086
大阪府大阪市中央区西心斎橋1-9-15
大京心斎橋ビル3F
Googleマップ
電車でお越しの方
大阪メトロ御堂筋線
心斎橋駅から徒歩3分
大阪メトロ御堂筋線
四つ橋駅から徒歩3分
名古屋(ドクターフォースクリニック)
所在地
〒460-0003
愛知県名古屋市中区錦1-15-8
アミティエ錦第一ビル3階
Googleマップ
電車でお越しの方
名古屋市営地下鉄桜通線
国際センター駅 徒歩8分
名古屋市営地下鉄東山線
伏見駅 徒歩7分
所在地
〒542-0086
大阪府大阪市中央区
西心斎橋1-9-15
大京心斎橋ビル3F
Googleマップ
電車でお越しの方
大阪メトロ御堂筋線
心斎橋駅から徒歩3分
大阪メトロ四つ橋線
四つ橋駅から徒歩3分






