Column
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2026.01.19
院長監修記事

武内 晋司郎
(たけうち しんじろう)
シンセルクリニック総院長
三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。
三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

「足の付け根に、何かが挟まっているような違和感がある」
「あぐらをかいたり、深くしゃがみ込んだりすると激痛が走る」
「股関節を柔らかくしようとストレッチを頑張っているが、逆効果な気がする…」
もし、あなたがこのような症状でお悩みなら、それは単なる股関節の硬さや筋肉痛ではなく、「股関節唇損傷(こかんせつしんそんしょう)」という関節内部の損傷かもしれません。
多くの患者様が、「股関節が硬いから痛いんだ」と勘違いし、無理なストレッチを行って症状を悪化させてから来院されます。
はっきり申し上げますが、股関節唇損傷において、自己流のストレッチは「百害あって一利なし」のケースが多々あります。
この記事では、元ラグビー選手であり、数多くの関節手術を手掛けてきた整形外科医・武内晋司郎が、股関節唇損傷の正体と原因、絶対に避けるべきNG動作、そして手術を選ばずに改善を目指す「再生医療」について徹底解説します。
「手術しかない」と言われた股関節の痛み
入院なし・日帰りで治療可能です。




股関節は、丸いボールのような「大腿骨頭(だいたいこっとう)」と、それを受けるお椀のような「寛骨臼(かんこつキュウ)」でできています。 このお椀のフチをぐるりと取り囲んでいる、柔らかい軟骨組織が「股関節唇(こかんせつしん)」です。
役割:
吸盤効果(Suction Seal): ボールをお椀に吸い付かせ、関節を安定させる。
衝撃吸収: 股関節にかかる体重や衝撃を分散させるクッション。
この股関節唇が、骨に挟み込まれたり、繰り返しの衝撃で亀裂が入ったりして剥がれてしまった状態が「股関節唇損傷」です。股関節唇には神経が通っているため、損傷すると鋭い痛みを感じます。

■スポーツ選手:
サッカー、バレエ、野球、ゴルフ、ラグビーなど、股関節を深く曲げたり捻ったりする競技。
■骨の形に特徴がある人:
臼蓋形成不全(お椀が浅い)や、FAI(骨に出っ張りがある)の方。
■女性:
関節が柔らかい反面、負担がかかりやすい傾向にあります。
単なる股関節痛とは違う、特徴的なサインがあります。

■Cサイン(C-sign):
痛い場所を聞かれた時、親指と人差指で「C」の字を作り、股関節の横から前を鷲掴みにして「この奥が痛い」と訴える動作。
股関節唇損傷に特有のサインです。
■動作時痛:
あぐらをかく(パトリックテスト)
靴下を履く、爪を切る(股関節を深く曲げる)
車の乗り降り(体を捻る)
■引っかかり感(ロッキング):
動かした時に「カクッ」「ゴリッ」と音がしたり、何かが挟まって動かなくなる感覚がある。
■Giving way(脱力感):
歩いている時などに、急にガクッと力が抜けるような感覚。
「手術しかない」と言われた股関節の痛み
入院なし・日帰りで治療可能です。

「転んだわけでもないのに、なぜ?」と思われるかもしれませんが、多くは骨の形状と動きのミスマッチが原因です。
股関節唇損傷の多くに関連しているのがこの「FAI」です。 大腿骨や寛骨臼の骨の一部が出っ張っており、股関節を深く曲げた時に骨と骨が衝突(インピンジメント)してしまう状態です。 この衝突地点に股関節唇があるため、動くたびにギロチンのように挟まれ、損傷していきます。

日本人の女性に多いタイプです。お椀(屋根)が浅いため、体重を支える面積が狭く、股関節唇に過剰な負担がかかって損傷します。
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ここが最も重要です。 股関節唇損傷は、「骨と骨がぶつかって傷ついている」状態です。 つまり、ぶつかる動き(インピンジメントを誘発する動き)を無理に行うストレッチは、傷口をナイフで広げているのと同じです。

■痛みを我慢しての開脚・あぐら(パトリック姿勢)
内側の股関節唇に強いストレスがかかります。「痛いけど伸ばせば治る」は間違いです。
■膝を抱え込んで胸に近づける動作(深屈曲)
体育座りを深くしたようなポーズです。骨同士が最も衝突しやすい角度であり、損傷部を圧迫します。
■内側に捻る動作(内旋)
「女の子座り(横座り)」や、ゴルフのスイングのような内捻り動作も、股関節唇を巻き込んで損傷させます。

股関節唇損傷の場合、患部(関節の中)を直接ストレッチすることは推奨しません。その代わり、「股関節の動きを邪魔している周りの筋肉」をほぐすことで、関節への負担を減らします。
テニスボールを使います。
仰向けになり、お尻のえくぼあたり(痛気持ちいい場所)にテニスボールを入れます。
そのまま体重をかけ、30秒ほどキープします。
筋肉が緩むことで、股関節の噛み合わせが改善する効果が期待できます。
行儀が悪いと言われますが、医学的には有効です。
椅子に座り、かかとを少し上げ、小刻みに膝を揺らします。
関節液の循環が良くなり、軟骨への栄養補給とリラックス効果が得られます。
医師からのアドバイス 「痛い動作はしない」。これが鉄則です。 もしストレッチ中に痛みや引っかかりを感じたら、すぐに中止してください
股関節の正しいストレッチ方法についてはこちらをご覧ください
股関節唇は血流が乏しいため、一度切れると自然治癒することは稀です。 放置すると、クッション機能が失われ、軟骨がすり減り、最終的には「変形性股関節症」へと進行し、人工関節が必要になってしまいます。
早期に適切な治療を選ぶことが、将来の足を守ります。
■内容: 痛み止めの内服、活動制限、リハビリ(関節可動域訓練、筋力強化)。
■対象: 症状が軽い場合。
■限界: 痛みはコントロールできても、切れた唇自体はくっつきません。スポーツ復帰を目指す場合、限界があることが多いです。
■内容: 腰椎麻酔または全身麻酔下で、内視鏡を入れて断裂部を縫い合わせる(縫合術)、または削る(郭清術)。同時に骨の出っ張りも削ります(骨形成)。
■メリット: 物理的に修復できる。
■デメリット:
入院が必要(数日〜1週間程度)。
術後のリハビリが長く、スポーツ復帰まで早くて3〜6ヶ月かかる。
神経麻痺などの合併症リスクがゼロではない。
「手術は仕事が休めないから無理」
「リハビリ期間を短くして、早く競技に戻りたい」
「切らずに治したい」
そう願う方のために、シンセルクリニックが提供しているのが「再生医療」です。
再生医療は、ご自身の体にある「修復する力」を最大限に引き出す治療法です。 当院では、患者様自身の皮下脂肪から採取した「幹細胞(かんさいぼう)」を使用します。
幹細胞には、大きく分けて2つの能力があります。
強力な抗炎症作用: 損傷部で起きている慢性的な炎症を鎮め、痛みを取り除きます。
組織修復作用: 幹細胞が損傷部位に集まり(ホーミング効果)、傷ついた股関節唇や軟骨の修復を促します。

■手術不要・日帰り:
脂肪採取も関節への投与も、すべて注射で行います。入院の必要はなく、その日のうちに歩いて帰れます。
■早期復帰:
手術のように組織を切らないため、体へのダメージが最小限です。リハビリ期間も短縮でき、早期の社会復帰・スポーツ復帰が目指せます。
■変形性股関節症の予防:
関節内の環境を改善することで、将来的な軟骨の摩耗や変形の進行を食い止める効果も期待できます。
比較項目 | 関節鏡視下手術 | 再生医療(幹細胞治療) |
入院 | 必要(数日〜1週間) | 不要(日帰り) |
麻酔 | 全身麻酔 または 腰椎麻酔 | 局所麻酔 |
傷跡 | 数箇所の切開痕 | 注射痕のみ |
リハビリ期間 | 長い(スポーツ復帰まで3〜6ヶ月) | 短い(早期から日常生活が可能) |
痛み・負担 | 術後の痛みが強く、松葉杖が必要 | 負担が少なく、歩いて帰宅可能 |
費用 | 保険適用 | 自由診療(全額自己負担) |
「手術しかない」と言われた股関節の痛み
入院なし・日帰りで治療可能です。


症例:50代男性(ゴルフで股関節痛)
症状: キック動作時に激痛。MRIで股関節唇損傷とFAIを確認。手術を勧められたが、仕事が忙しく断念。
治療: 自己脂肪由来幹細胞治療を実施。
経過: 投与1カ月で痛みが半減。現在は痛みを気にせずゴルフのプレーを可能に。

Q. 股関節唇損傷は、レントゲンで分かりますか? A. いいえ、レントゲンには骨しか写らないため、軟骨である股関節唇は写りません。 「異常なし」と言われたのに痛い場合は、MRI検査が必要です。当院では提携機関でのMRI撮影と、専門医による詳細な読影を行っています。
Q. ストレッチで治るという動画をYouTubeで見ました。
A. 非常に危険な場合があります。 股関節唇損傷の原因の多くは「骨の衝突(インピンジメント)」です。動画の真似をして無理に動かすことで、衝突を繰り返し、断裂を悪化させる患者様が後を絶ちません。まずはMRIで自分の股関節の形を知ることが先決です。
Q. 再生医療は保険がききますか?
A. 現時点では自由診療(保険適用外)となります。 しかし、手術による長期入院や休職の経済的損失、将来的な人工関節のリスクを考慮し、選択される方が増えています。医療費控除の対象となる場合があります。
股関節唇損傷は、正しい知識なしに動かせば動かすほど悪化する、厄介な病気です。 しかし、正しく診断し、適切な治療を行えば、手術をしなくても痛みのない生活を取り戻せる可能性は十分にあります。
「痛いけど、ストレッチを続けたほうがいいのかな?」 「手術と言われたけど、他に方法はないのかな?」
そう迷っているなら、まずはシンセルクリニックにご相談ください。 整形外科医としての確かな診断力と、最新の再生医療で、あなたが「思うままに動ける人生」を取り戻すお手伝いをさせていただきます。
「手術しかない」と言われた股関節の痛み
入院なし・日帰りで治療可能です。



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