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足の付け根が痛い…これって股関節?リンパ?女性に多い原因と「やってはいけないこと」

2026.03.14

まずは動画でチェック!【足の付け根が痛い!】

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歩く、立つ、階段の上り下り……日常生活で何気なく行っている動作が、足の付け根の痛みによって困難になることは想像以上に深刻です。

特に、「病院に行くほどでもないかも」と放置している間に症状が進行し、後悔するケースが少なくありません。

こんにちは。関節治療に特化した「シンセルクリニック」総院長の武内晋司郎です。整形外科医として「足の付け根が痛い」と来院される患者様に多く接してきた経験から、この痛みは原因が非常に多岐にわたるため、正確な原因の特定なしに対処しても改善しないどころか悪化させる危険があることを痛感しています。

【このコラムでわかること】

  • 足の付け根(鼠径部)の痛みを引き起こす8つの原因と疾患の見分け方

  • 女性に特有の疾患(子宮内膜症・ヌック管水腫・大腿ヘルニア)について

  • 「股関節が原因」vs「腰の神経が原因」の見分け方

  • 症状別に「何科を受診すべきか」のフローチャート

  • 痛みを和らげる適切なストレッチと「絶対にやってはいけない動作」

  • 手術を避けて痛みを根本から治す「再生医療」という選択肢

1. 足の付け根(鼠径部)の痛み:原因8疾患を徹底解説

「鼠径部(そけいぶ)」とは、お腹の下端と太ももの付け根の境界にある三角形の領域を指します。この部位には動脈・静脈・リンパ管・神経・腸管・子宮円策(女性)など様々な組織が密集しているため、痛みの原因疾患は整形外科・外科・婦人科・内科にまたがります。

① 変形性股関節症(整形外科)

変形性股関節症イラスト

足の付け根の痛みで最も多い整形外科的疾患が変形性股関節症です。股関節のクッションである関節軟骨が加齢・過負荷・先天的な臼蓋形成不全などによってすり減り、骨同士が直接ぶつかることで炎症と痛みが生じます。

特徴的な症状:歩き始めの最初の数歩だけ痛む(動き出し痛)・靴下や爪切りができない・長距離歩行後に鼠径部が深く痛む・左右で歩き方が異なる(跛行)。

女性に多い理由:先天性の臼蓋形成不全(股関節の受け皿が浅い)が原因となる場合、女性に約4〜5倍多く発症します。また、妊娠・出産による骨盤のゆるみも発症リスクになります。

受診科:整形外科

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② 股関節唇損傷・FAI(整形外科)

股関節の受け皿(臼蓋)の縁を覆うラブラム(関節唇)という軟骨が損傷すると、鼠径部の奥に深い痛みや引っかかり感が生じます。また、大腿骨頭や臼蓋の形態異常によって動作時に骨が衝突する「大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)」も鼠径部痛の重要な原因です。

特徴的な症状:股関節を深く曲げたり内旋させたりすると鼠径部奥がズキッと痛む・股関節がパキッとひっかかる感覚(クリック感)・長時間座ったり車の乗り降りで痛む。

受診科:整形外科(股関節専門)

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③ 筋肉・腱の損傷(肉離れ・腸腰筋炎・グロインペイン症候群)(整形外科・スポーツ医学)

スポーツや急な動作によって足の付け根周辺の筋肉・腱が損傷し、痛みを引き起こします。特にサッカー・陸上競技など蹴る動作を繰り返すアスリートに多い「グロインペイン症候群(鼠径部痛症候群)」は、鼠径部・内もも・下腹部にかけた広範囲な痛みが特徴です。

特徴的な症状:運動中〜運動後に鼠径部・内もも・下腹部が痛む・特定の動作(蹴る・走る・横に踏み出す)で痛みが誘発される・安静にすると痛みが引く。

受診科:整形外科・スポーツ整形外科

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④ 坐骨神経痛・腰部神経圧迫(整形外科・神経内科)

腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症によって腰の神経が圧迫されると、腰〜お尻〜太もも〜ふくらはぎだけでなく、足の付け根(鼠径部)にも痛みやしびれが出ることがあります。

特徴的な症状:立っているだけで足の付け根から太もも全体にかけてしびれるように痛む・歩くと足が重くなり、休憩すると楽になる(間欠性跛行)・腰を前屈させると痛みが出る。

股関節との見分け方:股関節が原因なら「靴下を履く姿勢」「あぐら」など特定の股関節動作で痛む。神経が原因なら股関節を動かしても痛まないが、「立っているだけ」「歩くだけ」でしびれる。

受診科:整形外科

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⑤ 鼠径ヘルニア・大腿ヘルニア(外科)

鼠径ヘルニアイラスト

鼠径ヘルニア(脱腸)は、お腹の壁の弱い部分から腸などの内臓が皮膚の下に飛び出す病気です。中高年男性に多いですが、女性にも発症します。特に大腿ヘルニアは痩せた中高年女性に多く、鼠径部よりやや下の大腿部にしこりができ、嵌頓(腸が戻らなくなり壊死するリスク)の危険性が高いため早期手術が推奨されます。

特徴的な症状:立った時・お腹に力を入れた時・咳をした時に鼠径部がぽっこり膨らむ・横になると引っ込む・初期は痛みがないことも多い。

⚠️ 緊急のサイン(嵌頓):膨らみが突然痛くなり引っ込まなくなった場合は腸閉塞・腸壊死の可能性があります。すぐに救急受診してください。

受診科:外科(ヘルニア外来)

⑥ 子宮内膜症・卵巣嚢腫(婦人科)【女性特有】

本来子宮内にだけ存在するはずの子宮内膜組織が子宮外(卵巣・卵管・腸・腹膜など)に発生する子宮内膜症は、20〜40代女性に多く、鼠径部のリンパ節や腹膜に病変ができると足の付け根に痛みを引き起こします。

特徴的な症状:生理周期に連動して足の付け根が痛む(生理前〜生理中に悪化し、生理後は楽になる)・排卵期にも痛みが出る・生理痛がひどい・性交痛がある。

注意点:放置すると不妊症の原因になるため早期発見・早期治療が重要です。

受診科:婦人科

⑦ ヌック管水腫(外科・婦人科)【女性特有・知名度低】

ヌック管水腫は、女性特有の疾患で、鼠径部にある「ヌック管」と呼ばれる管状の組織に液体がたまって膨らむ病気です。1691年にオランダ人のNuckが報告したことでこの名があります。男性の精索水腫に相当します。

特徴的な症状:鼠径部に柔らかい弾力のある膨らみがある・通常は無痛・サイズはほぼ一定で自然消失しにくい・仰向けになっても引っ込まない(鼠径ヘルニアとの違い)。

注意点:鼠径ヘルニアと見た目が似ており、患者様が混同しやすい疾患です。超音波(エコー)検査で区別できます。

受診科:外科または婦人科

⑧ リンパ節腫脹・リンパ管炎・悪性リンパ腫(内科・血液内科)

鼠径部にはリンパ節が多く集まっており、感染・炎症・腫瘍性疾患などで腫れて痛みを生じます。

主な原因と特徴:

  • リンパ管炎:細菌感染によりリンパ管に炎症。赤い線が鼠径部に向かって伸びるように見える・発熱・悪寒を伴うことが多い。

  • 感染性リンパ節炎:足や下肢の皮膚感染・性感染症(梅毒・軟性下疳など)で鼠径リンパ節が腫れる。

  • 悪性リンパ腫・がん転移:リンパ節が固く、押しても痛みが少なく、全身症状(発熱・体重減少・倦怠感)を伴う場合は要注意。

⚠️ 緊急受診のサイン:発熱+鼠径部の急な腫れ・痛み・全身倦怠感を伴う場合は速やかに受診してください。

受診科:内科(感染症系)・血液内科・皮膚科

👨‍⚕️【武内院長の臨床メモ:「足の付け根が痛い=股関節」は危険な思い込み】
診察室で「足の付け根が痛いから股関節が悪いに違いない」と来院される患者様のなかには、股関節ではなく「腰の神経」が原因のケースが少なくありません。また、女性の場合は婦人科疾患(子宮内膜症など)が見落とされ、整形外科で「異常なし」と言われ続けることもあります。「足の付け根が痛い」という症状は、上記のように原因がまったく異なる8つの疾患が考えられ、自己判断で対処することは悪化のリスクがあります。まずは医師による正確な診断が最優先です。

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2. 症状別「何科を受診すべきか」フローチャート

こんな症状がある

疑われる原因

受診科

歩き始め・靴下を履く動作で鼠径部深部が痛む

変形性股関節症・ラブラム損傷

整形外科

立っているだけで足の付け根〜太ももがしびれる

坐骨神経痛・腰部脊柱管狭窄症

整形外科

運動中に鼠径部〜内もも〜下腹部が痛む

グロインペイン症候群・肉離れ

整形外科・スポーツ整形

力んだ時・立った時に鼠径部がぽっこり膨らむ

鼠径ヘルニア・大腿ヘルニア

外科(ヘルニア外来)

(女性)生理のたびに足の付け根が痛む

子宮内膜症・卵巣嚢腫

婦人科

(女性)鼠径部に柔らかい膨らみがある・引っ込まない

ヌック管水腫

外科・婦人科

発熱+鼠径部の腫れ・赤み・全身倦怠感

リンパ管炎・感染性リンパ節炎

内科(急いで受診)

鼠径部に硬いしこり・体重減少・長引く発熱

悪性リンパ腫・がん転移

血液内科・内科(早急に)

⚠️ こんな症状は即日受診してください

  • 鼠径部の膨らみが突然痛くなり、指で押しても戻らなくなった(ヘルニア嵌頓の疑い)

  • 発熱38℃以上+鼠径部の急激な腫れ・痛み・赤み

  • 足の付け根の痛み+排尿困難・血尿・血便

  • 足の付け根の痛み+急激な体重減少(1ヶ月で3〜5kg以上)

3. 女性に多い足の付け根の痛みの特徴

女性に多い足の付け根の痛みの特徴イラスト

「足の付け根が痛い」という症状は女性の方が男性より多くの異なる原因を持ちます。以下の3点が特に重要です。

① 臼蓋形成不全による変形性股関節症

股関節の受け皿(臼蓋)が浅く形成される「臼蓋形成不全」は女性に圧倒的に多く、これが変形性股関節症に進行するリスクの高い形態異常です。若い頃は無症状でも30〜50代から徐々に鼠径部の痛みが出始めます。

② 妊娠・出産後のホルモン変化

妊娠中はリラキシンというホルモンが骨盤を緩め、股関節や鼠径部に負荷をかけます。出産後もこの緩みが残り、股関節・恥骨・鼠径部の痛みとなって現れることがあります。

③ 生理周期に連動する婦人科系疾患

前述のように子宮内膜症・卵巣嚢腫などは生理周期に連動して足の付け根の痛みを起こします。整形外科で「異常なし」と言われた場合は、婦人科への受診も検討してください。

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4. 痛みを和らげる適切なストレッチと「やってはいけないこと」

痛みを和らげる適切なストレッチと「やってはいけないこと」イラスト

✅ 症状に合わせた安全なストレッチ

「変形性股関節症」や「筋肉・腱の損傷」が原因の場合、股関節周辺の筋肉の柔軟性を高めることで症状が緩和されます。特に腸腰筋・内転筋・梨状筋のストレッチが有効です。ただし、痛みがある急性期や、病態が確認されていない段階での強いストレッチは禁物です。

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❌ 足の付け根が痛い時に「やってはいけない動作」

以下の動作は、痛みの原因を問わず足の付け根の痛みを悪化させる可能性があります。

【変形性股関節症・ラブラム損傷の場合】

  • 椅子に座ったまま脚を組む:股関節を強制的に屈曲・内転させ、軟骨・ラブラムへの圧力が急増する

  • 上半身と下半身をねじる体操:関節内の炎症を悪化させる

  • 股関節を大きく反らせる動作(腰を反る運動):関節後面への過剰な負荷

  • 痛みを我慢して長距離歩行:軟骨の摩耗を加速させる

【鼠径ヘルニアの場合】

  • 腹圧をかける動作(重いものを持つ・強いいきみ・激しい咳):ヘルニアの嵌頓リスクを高める

  • 自己判断で膨らみを強く押し込もうとする:腸を傷つける危険がある

【リンパ節腫脹・リンパ管炎の場合】

  • 患部をマッサージする・温める:感染が広がるリスクがある

  • 自己判断で市販の痛み止めだけで様子を見る:敗血症に進行するケースがあるため必ず受診

【共通してNGな行動】

  • 「おそらく筋肉痛だろう」と自己判断して2週間以上放置する

  • 原因がわからないまま整体・マッサージに通い続ける

  • インターネットで似た症状を見つけ、自己診断で対処する

5. 手術を避けたい方へ|再生医療という選択肢

最近の再生医療とは?

近年、再生医療という言葉を耳にする機会が増えましたが、実際にはどのような治療法なのでしょうか?

再生医療とは、患者さん自身の細胞や組織を利用して、傷ついた組織を再生させる治療法です。

従来の治療法では難しかった、痛みの根本的な原因にアプローチできる可能性を秘めた、まさに「最新の治療法」と言えるでしょう。

股関節痛の治療にも、再生医療が積極的に導入され始めています。

当院の再生医療を受け方のインタビュー動画はこちらをご覧ください↓↓ 

手術との違い 

再生医療では、修復が不可能と言われている神経を新たに再生させていく画期的な治療法です。

この再生医療では手術を行いませんので、身体への侵襲が少ない治療となります。手術を実施した場合には、侵襲するため以前のお体の状態に戻るのに長い期間がかかりますが、 再生医療は侵襲が少ない治療法のため、 すぐに体の状態を回復させることができます。

「手術しかない」と言われた股関節の痛みにお悩みの方へ
手術を回避する、新しい選択肢としての「再生医療」

再生医療の症例実績を見る


まとめ

  • 「足の付け根の痛み」は8つの異なる疾患が原因となり、整形外科・外科・婦人科・内科にまたがる

  • 女性特有の疾患として子宮内膜症・ヌック管水腫・大腿ヘルニア・臼蓋形成不全を見落とさないことが重要

  • 「股関節が原因」vs「腰の神経が原因」の違いは、特定の股関節動作で痛むかどうかで区別できる

  • 発熱・急な腫れ・膨らみが戻らない場合は即日受診

  • ストレッチは原因疾患が確定してから。自己判断での強いストレッチは悪化のリスクがある

  • 整形外科的な股関節痛で改善しない場合は再生医療という選択肢がある

記事監修:シンセルクリニック 総院長 武内 晋司郎
(当院では変形性股関節症・ラブラム損傷など股関節疾患に対して、再生医療を用いた最新の治療を提供しています)

参考文献

  1. Hogan RD, Safran MR. "Hip joint pathology as the most common cause of chronic groin pain: femoroacetabular impingement, labral tears, and osteoarthritis." Journal of Athletic Training (2015). 慢性的な鼠径部痛の原因として股関節内病変(FAI・ラブラム損傷・変形性股関節症)が最多であることを示した研究。
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25964274/

  2. Weir A, et al. "Doha agreement meeting on terminology and definitions in groin pain in athletes." British Journal of Sports Medicine (2015). アスリートの鼠径部痛(グロインペイン症候群)の定義・分類・診断基準に関する国際コンセンサス。
    https://bjsm.bmj.com/content/49/12/768

  3. Bangalore Krishna K, et al. 日本整形外科学会「変形性股関節症」診療ガイドライン。臼蓋形成不全を含む変形性股関節症の診断基準・治療方針について定めた国内専門学会の公式指針。

  4. Elraiyah T, et al. "The pathophysiology and diagnosis of inguinal hernia." Journal of Gastrointestinal Surgery (2011). 鼠径ヘルニア・大腿ヘルニアの病態・診断・女性特有の特徴についてまとめた総説。大腿ヘルニアの女性への偏在と嵌頓リスクの高さを解説。
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21085973/

  5. Bulun SE. "Endometriosis." New England Journal of Medicine (2009). 子宮内膜症の病態・診断・治療について包括的にレビューした論文。鼠径部への子宮内膜症病変と生理周期に連動した鼠径部痛のメカニズムを論じる。
    https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMra0804690

院長監修記事

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武内 晋司郎

(たけうち しんじろう)

シンセルクリニック総院長

三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

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三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

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