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【整形外科医が解説】痛み止め(NSAIDs・ロキソニン)が効きにくい痛みの種類|効かない理由と代わりに使う薬・治療法
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▶ 7分11秒・字幕付き|痛み止めを毎日使う場合のリスクと、根本への対処法を解説
「ロキソニンを飲んでも全然効かない」「痛み止めを飲み続けているが痛みが変わらない」——こうした相談を整形外科外来でよくいただきます。
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は最もよく使われる鎮痛薬ですが、実はNSAIDsが根本的に効かない痛みの種類があります。「もっと強い痛み止めに変えれば効く」と考えてNSAIDsを増量・変更し続けることは、副作用リスクを高めるだけで効果が得られない場合があります。整形外科医として、NSAIDsが効かない痛みの種類と適切な対処法を解説します。
- NSAIDs(ロキソニンなど)はどんな痛みに効くのか
- NSAIDsが効きにくい痛みの種類
- ①神経障害性疼痛(最重要)
- ②慢性疼痛・中枢感作
- ③筋筋膜性疼痛(トリガーポイント由来)
- ④変性疾患の慢性期
- NSAIDsの長期使用に潜むリスク
- 「痛み止めが効かない」と感じたら確認すべきこと
- 「NSAIDsが効かない」と感じた時の正しい対処フロー
- NSAIDsを超えた薬物療法の選択肢
- NSAIDsが効かない痛みに対する非薬物療法
- 「NSAIDsを長く飲んでいる」方へ:副作用チェックリスト
- 整形外科で「薬を変えてほしい」と伝える方法
- 再生医療とは
- 再生医療のアプローチとは?
- よくある質問(FAQ)
- ロキソニンとカロナールのどちらがよく効きますか?
- 湿布(外用NSAIDs)と内服NSAIDsを両方使っていいですか?
- 痛み止めが効かない慢性腰痛に再生医療は有効ですか?
- 関連コラム
- まとめ
- 参考文献
NSAIDs(ロキソニンなど)はどんな痛みに効くのか

NSAIDsの作用機序は、シクロオキシゲナーゼ(COX)酵素を阻害してプロスタグランジンの産生を抑えることです。プロスタグランジンは炎症・発熱・痛みの感作(痛みを感じやすくする)に関与する物質であるため、NSAIDsが効く痛みは「プロスタグランジンが関与している炎症性の痛み」です。
具体的には急性の捻挫・打撲・筋肉痛・術後痛・歯痛・月経痛・関節炎の急性増悪などに有効です。
NSAIDsが効きにくい痛みの種類
①神経障害性疼痛(最重要)
神経そのものが傷ついたり異常な興奮状態になったりして生じる痛みを神経障害性疼痛といいます。炎症ではなく「神経の異常な電気信号」が痛みの原因であるため、プロスタグランジンを抑えるNSAIDsはほとんど効きません(※1)。
疾患 | 神経障害性疼痛の特徴 |
|---|---|
坐骨神経痛(腰椎ヘルニア・脊柱管狭窄症) | お尻〜足への電気が走るような痛み・しびれ |
帯状疱疹後神経痛 | ピリピリ・焼けるような慢性的な痛み |
糖尿病性末梢神経障害 | 足先の両側性のしびれ・灼熱感 |
頚椎症性神経根症 | 首から腕・手指への放散痛・しびれ |
神経障害性疼痛に対して有効な薬はNSAIDsではなく以下です。
タリージェ(ミロガバリン)・リリカ(プレガバリン):神経の過剰な興奮を抑えるα2δリガンド。神経障害性疼痛の第一選択薬。タリージェとリリカの違いと使い分けもご覧ください
メコバラミン(メチコバール):神経の修復を促すビタミンB12製剤。タリージェ・リリカと併用されることが多い。メコバラミンとは?効果・副作用・効果が出るまでの期間を徹底解説もご参照ください
ノイロトロピン:下降性疼痛抑制系に働く。ノイロトロピンとは?末梢神経痛への効果・副作用・使い方をご覧ください
神経ブロック:神経への局所麻酔薬・ステロイドの投与で神経の過剰興奮を抑える
②慢性疼痛・中枢感作
慢性的な痛みが3〜6ヶ月以上続くと、脳や脊髄の痛み処理システム自体が過敏化します。これを中枢感作(central sensitization)といい、実際の組織の損傷がなくても強い痛みを感じる状態になります(※2)。
中枢感作が起きた状態では、末梢の炎症を抑えるNSAIDsは原因に対処できていないため効果が非常に限定的になります。この状態の痛みには以下のアプローチが有効です。
デュロキセチン(サインバルタ):慢性疼痛・線維筋痛症・変形性関節症の慢性疼痛に使用
トラマドール系薬(トラムセット等):弱オピオイドとしての鎮痛効果。トラムセット・トラマドールの違い・副作用・依存性を徹底解説もご参照ください
認知行動療法・運動療法:中枢感作のリセットに有効
③筋筋膜性疼痛(トリガーポイント由来)
筋肉内の硬結(トリガーポイント)から生じる関連痛は、炎症よりも「筋肉の持続的な虚血・収縮」が主な原因です。NSAIDsは筋肉の緊張を直接解除しないため効果が限定的です。この場合はトリガーポイント注射・ストレッチ・理学療法が有効です。
④変性疾患の慢性期
変形性関節症・脊椎の変性疾患が慢性期に入ると、急性炎症は落ち着いているが慢性的な痛みが続く状態になります。この段階では炎症よりも「関節の変形による力学的ストレス」「滑膜の慢性炎症」「関節周囲の筋力低下」が痛みの主体になっており、NSAIDsだけでは十分に対処できません。
この段階には関節内注射・再生医療・筋力強化リハビリの組み合わせが有効です。
NSAIDsの長期使用に潜むリスク
「効かなくても飲み続ける」ことへのリスクも整形外科医として伝えておきます。
リスク | 詳細 |
|---|---|
消化器障害 | 胃潰瘍・消化管出血。長期使用では必ず胃薬を併用 |
腎機能障害 | 腎臓への血流を減少させる。腎機能低下がある方は特に注意 |
心血管リスク | 特にCOX-2選択的阻害薬(セレコックスなど)での長期使用 |
鎮痛薬乱用頭痛 | 頭痛薬(NSAIDs含む)を月15日以上使うと逆に頭痛が慢性化 |
ロキソニンの詳しい副作用・効果についてはロキソニンの効果・効果時間・副作用|ポンタール・ボルタレン・リリカとの違いも徹底比較もあわせてご覧ください。
「痛み止めが効かない」と感じたら確認すべきこと

以下を整形外科医に伝えることで、適切な次の治療につながります。
痛みの性質:ズキズキ(炎症性)か・ビリビリ・電気が走る(神経性)か・じんわり慢性的か
痛みの場所:局所か・広範囲か・しびれを伴うか
NSAIDsを使ってどのくらい経過しているか
他の症状:朝のこわばり・発熱・体重減少・排尿障害
「NSAIDsが効かない」と感じた時の正しい対処フロー
NSAIDsが効かない場合、以下の順序で考えることをお勧めします。
痛みの性質を確認:しびれ・電気が走る感覚→神経障害性疼痛の可能性。ズキズキした炎症性ではない→NSAIDs以外の薬が必要
痛みの期間を確認:3ヶ月以上続く→慢性疼痛・中枢感作の可能性。NSAIDsの単独使用より包括的なアプローチが必要
画像検査を受ける:X線・MRIで腰椎ヘルニア・脊柱管狭窄症・その他の器質的疾患がないか確認
整形外科専門医に相談:「NSAIDsが効かない」という情報を医師に伝え、薬の変更・追加・注射療法を検討
NSAIDsを超えた薬物療法の選択肢
整形外科・ペインクリニックで使われるNSAIDs以外の鎮痛薬を整理します。
薬の種類 | 主な適応 | 代表的な薬 |
|---|---|---|
α2δリガンド | 神経障害性疼痛(第一選択) | タリージェ・リリカ(プレガバリン) |
ビタミンB12製剤 | 神経の修復促進 | メコバラミン(メチコバール) |
SNRI | 慢性疼痛・うつを伴う痛み | デュロキセチン(サインバルタ) |
弱オピオイド | 中等度の慢性疼痛 | トラマドール(トラムセット・トアラセット) |
非オピオイド鎮痛薬 | NSAIDsが使えない方 | アセトアミノフェン(カロナール) |
ノイロトロピン | 慢性神経痛・腰痛 | ノイロトロピン |
神経障害性疼痛に使う薬の使い分けについてはタリージェとは?効果・副作用・やめ方・リリカとの違いを徹底解説もご参照ください。
NSAIDsが効かない痛みに対する非薬物療法

薬が効かない場合、薬以外のアプローチが有効なケースがあります。整形外科医として重要な非薬物療法を整理します。
理学療法・運動療法:慢性腰痛・変形性関節症・脊柱管狭窄症には、適切な運動療法が薬物療法以上の長期的効果をもたらすことがあります。水中ウォーキング・自転車・体幹強化などの有酸素運動は中枢感作の改善にも有効です。
認知行動療法(CBT):慢性疼痛・中枢感作では「痛みへの恐怖・破局化思考」が痛みを増幅させます。認知行動療法は「痛みとの付き合い方」を変え、中枢感作をリセットする効果が示されています。
神経ブロック療法:神経障害性疼痛・慢性腰痛に対して、ペインクリニックで行われる硬膜外ブロック・神経根ブロック・交感神経ブロックは、薬物療法が効きにくい痛みに一定の効果があります。梨状筋症候群による坐骨神経痛については梨状筋症候群とは?原因と治し方、やってはいけないこともご覧ください。
「NSAIDsを長く飲んでいる」方へ:副作用チェックリスト
NSAIDsを3ヶ月以上飲み続けている方は、以下の点を定期的に確認することをお勧めします。
胃の不調(胃もたれ・胃痛・黒い便)→消化性潰瘍・消化管出血の可能性。胃薬の併用が必要
足のむくみ・体重増加→腎機能低下のサイン。腎機能検査を定期的に受ける
血圧の上昇→一部のNSAIDsは血圧に影響する。高血圧の方は定期的に確認
皮疹・かゆみ→アレルギー反応。すぐに中止して医師に相談
NSAIDsの副作用が心配な方、または長期服用中の方は担当医に相談のうえで代替薬(アセトアミノフェン等)への切り替えや、減薬の可能性を検討してください。
整形外科で「薬を変えてほしい」と伝える方法
「ロキソニンが効かないので薬を変えてほしい」と医師に伝える際、具体的な情報を伝えると医師も適切な判断がしやすくなります。「どんな性質の痛みか(しびれ・電気が走る・鈍い・ズキズキ)」「いつから・どこが痛いか」「どの薬を・どのくらいの期間使っているか」「効いているか・副作用はあるか」を整理して伝えてください。「痛み止めが効かない」という一言より、「足にしびれが走るような痛みがあって、ロキソニンを3ヶ月飲んでいるが効いていない」という具体的な情報の方が、医師が神経障害性疼痛薬を提案しやすくなります。
再生医療とは
現在は、薬物療法でも手術でもない「再生医療」という選択肢があります。
当院、シンセルクリニックは、この再生医療を専門に行っています。
再生医療のアプローチとは?
痛みをごまかすのではなく、「組織を修復する」ことを目指す治療です。
ご自身の脂肪から採取した幹細胞や、血液中の成分(PRP)を患部に注射します。
強力かつ持続的な抗炎症作用: ステロイドのような副作用なく、しつこい炎症を鎮めます。
組織環境の改善: 傷んだ組織の修復を促し、「痛みが出にくい膝や腰」へと体質改善を図ります。
手術を回避する再生医療について詳しくご覧ください↓↓



よくある質問(FAQ)
ロキソニンとカロナールのどちらがよく効きますか?
ロキソニン(ロキソプロフェン)はNSAIDsで抗炎症作用があります。カロナール(アセトアミノフェン)は抗炎症作用が弱いですが胃腸への負担が少なく、高齢者・腎機能低下の方に使いやすい薬です。炎症を伴う急性の痛みにはロキソニンが強く、慢性疼痛・高齢者の慢性痛にはカロナールが使われることが多いです。どちらも「神経障害性疼痛には効きにくい」という点では同じです。
湿布(外用NSAIDs)と内服NSAIDsを両方使っていいですか?
原則として同じ成分(例:ロキソプロフェン)の外用薬と内服薬を同時に使うことは推奨されません。血中濃度が高くなりすぎて副作用リスクが増大します。どちらか一方を選択するか、成分が異なるものを組み合わせることが基本です。担当医に確認してください。
痛み止めが効かない慢性腰痛に再生医療は有効ですか?
薬(NSAIDs)が効かない慢性腰痛の原因が「関節内の炎症」「椎間板由来の炎症」にある場合、再生医療(PRP・幹細胞治療)が有効なことがあります。薬は炎症の場所に届きにくいのに対して、再生医療は炎症の中心(椎間板・関節)に直接アプローチできます。ただし神経の圧迫が強い場合は手術との比較が必要です。
関連コラム
まとめ
NSAIDs(ロキソニンなど)が効くのは「プロスタグランジンが関与している炎症性の痛み」のみ
NSAIDsが効かない主な痛みの種類:①神経障害性疼痛 ②中枢感作・慢性疼痛 ③筋筋膜性疼痛 ④変性疾患慢性期
しびれ・電気が走る痛みには神経障害性疼痛治療薬(タリージェ・リリカ・メコバラミン)が必要
NSAIDsの長期使用は消化器・腎機能・心血管へのリスクがある
「効かないのに飲み続ける」より「なぜ効かないか」を整形外科医に相談することが重要
参考文献
Finnerup NB, et al. "Pharmacotherapy for neuropathic pain in adults." Lancet Neurology. 2015;14(2):162-173.
Woolf CJ. "Central sensitization: Implications for the diagnosis and treatment of pain." Pain. 2011;152(3 Suppl):S2-15.
Nüesch E, et al. "Oral or transdermal opioids for osteoarthritis of the knee or hip." Cochrane Database of Systematic Reviews. 2009;(4):CD003115.
日本ペインクリニック学会「神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン 改訂第2版」https://www.jspc.gr.jp/
Bhala N, et al. "Vascular and upper gastrointestinal effects of non-steroidal anti-inflammatory drugs." Lancet. 2013;382(9894):769-779.
院長監修記事

武内 晋司郎
(たけうち しんじろう)
シンセルクリニック総院長
三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。
医師プロフィールはこちら
三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。
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