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【医師監修】桂枝茯苓丸の効果と副作用|肩こり・打撲・冷えのぼせに使う理由と合わない人の症状を整形外科の医師が解説

2026.09.28

「肩こりと頭痛が何年も続いている。マッサージに行っても数日で元通り」

「顔はのぼせるのに、足先は冷たい」

こうした訴えに対して処方されるのが桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)です。婦人科の薬というイメージが強い漢方ですが、実は肩こり、打撲、慢性的な痛みといった整形外科の症状にも使われます。

この記事では、シンセルクリニック総院長で整形外科の医師である武内晋司郎が、桂枝茯苓丸が「血の滞り」による痛みに使われる理由、効果が出るまでの期間、合わない人に出る症状、副作用を解説します。

この記事の結論

  • 桂枝茯苓丸は、漢方でいう「瘀血(おけつ)=血の滞り」を改善する代表的な処方

  • 効能に肩こり、めまい、頭重、打ち身(打撲)、しもやけが含まれ、整形外科でも使われる

  • 典型的なのは「顔はのぼせるのに足は冷える」という冷えのぼせのある方

  • 甘草を含まないため、低カリウム(偽アルドステロン症)の心配が少ない

  • 合わない場合は胃もたれ、下痢、めまい、のぼせの悪化が出ることがある

  • 効果判定の目安は2週間〜1か月。体重を増やす薬ではない

桂枝茯苓丸とは?ツムラ25番の成分と「瘀血」の考え方

桂枝茯苓丸とは?ツムラ25番の成分と「瘀血」の考え方

桂枝茯苓丸は、5種類の生薬でできたシンプルな構成の漢方薬です。医療用ではツムラの製品番号「25番」として知られています。

項目

内容(ツムラ桂枝茯苓丸エキス顆粒〈医療用〉)

構成生薬(1日量7.5g中)

桂皮4.0g、芍薬4.0g、桃仁4.0g、茯苓4.0g、牡丹皮4.0g

効能・効果

比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴える次の諸症:子宮ならびにその付属器の炎症、子宮内膜炎、月経不順、月経困難、帯下、更年期障害(頭痛、めまい、のぼせ、肩こり等)、冷え症、腹膜炎、打撲症、痔疾患、睾丸炎

用法・用量

通常、成人1日7.5gを2〜3回に分けて、食前または食間に服用

甘草

含まれていない

効能欄に「肩こり」「頭重」「めまい」「打撲症」が入っていることが、整形外科で使われる根拠です。婦人科の効能が目立ちますが、「血の滞り」という共通の状態に対する薬であり、男性にも処方されます。

「瘀血(おけつ)」とは何か

漢方では、血の巡りが滞り、古い血が体内にとどまっている状態を「瘀血」と呼びます。川の流れが淀んで水が濁るようなイメージです。

瘀血があると、次のような症状が現れるとされます。

  • 肩こり、頭痛、頭重感(流れが滞った場所に症状が出る)

  • 痛む場所が決まっていて、刺すような痛み

  • のぼせて足が冷える(血が上半身にとどまり、下半身に巡らない)

  • あざができやすい、あざが消えにくい

  • 唇・歯ぐき・舌の裏の色が暗い、紫がかっている

  • 目の下のクマ、顔色のくすみ

  • 足に細い血管が浮き出ている

5つの生薬の役割

  • 桂皮:体を温め、上半身にのぼった気を下ろす

  • 桃仁・牡丹皮:滞った血を動かす(この処方の主役)

  • 芍薬:筋肉の緊張をゆるめ、痛みをやわらげる

  • 茯苓:余分な水分を取り除き、めまいやむくみに働く

【武内院長のコメント】
「肩こりで来られる方に、私は舌の裏を見せていただくことがあります。舌の裏の血管が太く暗く浮いていると、漢方でいう瘀血の所見です。あわせて"顔はほてるのに足は冷たくないですか"と伺う。この2つが揃うと、桂枝茯苓丸が合う可能性が高いと考えます。肩こりだから湿布、では解決しない方がいるのです。」

整形外科で桂枝茯苓丸を使う場面

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整形外科で桂枝茯苓丸を使う場面

症状・場面

どんなときに使うか

慢性的な肩こり・頭重

マッサージや湿布では一時的にしか良くならない。のぼせを伴う

打撲・捻挫のあと

内出血が残っている、あざが消えにくい、痛みが長引いている

手術・骨折のあとに残る痛み

組織は治っているはずなのに、痛みやこわばりが続く

冷えを伴う腰痛・関節痛

のぼせと足の冷えが同時にある方

しもやけ、足先の血行不良

末梢の血流の滞りに対して

更年期の不調に伴う関節痛・肩こり

婦人科的な要素と整形外科的な症状が重なる場合

打撲・あざに使う理由

効能に「打撲症」が含まれているのは、桂枝茯苓丸が「滞った血を動かす」薬だからです。打撲によってできた内出血(あざ)は、組織の中に血液がとどまった状態であり、漢方の考え方ではまさに瘀血です。

整形外科では、打撲や捻挫の急性期には冷却と安静が基本ですが、腫れが引いた後も内出血や痛みが長引く場合に、桂枝茯苓丸や治打撲一方といった漢方が使われることがあります。

▶ 足首の痛みの原因
▶ 肩の痛みが左右で違う理由
▶ 肩甲骨のストレッチ

【武内院長のコメント】
「打撲のあと、腫れは引いたのにあざが黄色く残って、押すと痛い——こういう方は意外に多いです。西洋医学では"時間が解決します"としか言えない場面ですが、漢方には"滞った血を動かす"という発想がある。そこに一手あるというのは、診療をしていて心強い部分です。」

桂枝茯苓丸加薏苡仁との違い

桂枝茯苓丸加薏苡仁との違い

「桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)」という、よく似た名前の漢方薬があります。検索数も多く、混同されやすいので整理します。

桂枝茯苓丸(ツムラ25番)

桂枝茯苓丸加薏苡仁(ツムラ125番)

構成

5種類の生薬

桂枝茯苓丸+薏苡仁(ヨクイニン)の6種類

主な効能

月経不順、更年期障害、肩こり、めまい、打撲症、冷え症など

にきび、しみ、手足のあれ、月経不順、月経困難

薏苡仁の働き

—

ハトムギの種子。肌の代謝を整え、余分な水分を排出する

使われる場面

整形外科・婦人科・内科

主に皮膚のトラブル、美容目的

つまり、肩こりや打撲など整形外科の症状で使うのは「桂枝茯苓丸」(25番)、にきびやしみなど肌の悩みには「桂枝茯苓丸加薏苡仁」(125番)という使い分けです。市販薬では125番のほうが美容向けとして広く販売されているため、間違えて購入しないよう注意してください。

なお「桂枝茯苓丸料」という表記も見かけます。これは丸剤ではなく、煎じ薬をもとにしたエキス製剤という意味で、中身の考え方は同じです。

研究でわかっていること

桂枝茯苓丸は、中国では「桂枝茯苓丸(Guizhi Fuling)」として広く使われており、研究も比較的多く行われています。

  • 作用の仕組みの総説:桂枝茯苓丸の作用機序と臨床応用をまとめた総説では、血流の改善、炎症を抑える働き、酸化ストレスへの作用などが整理されています(Tanakaら、2021年)

  • 臨床での使用実態:中国で販売されている桂枝茯苓製剤について、市販後の使用実態と安全性を文献から検討した報告があります(Wangら、2018年)

  • 骨盤内炎症性疾患:慢性骨盤内炎症性疾患に対するランダム化比較試験を集めた系統的レビューが行われています(Zhangら、2017年)

  • 打撲・関節炎:治打撲一方と八味地黄丸について、捻挫・打撲・関節炎への作用を検討した報告があり、瘀血に対する漢方の考え方が整形外科領域でも検討されてきたことがわかります(Hijikataら、2007年)

ただし、肩こりや打撲といった整形外科の症状に絞った、人を対象にした質の高い臨床試験は限られています。婦人科領域での研究が中心であり、整形外科での使用は長年の経験に基づく部分が大きい、というのが実際のところです。

【武内院長のコメント】
「桂枝茯苓丸の研究は婦人科領域が中心で、肩こりや打撲に対する大規模試験はほとんどありません。だからこそ私は"効くはずです"とは言わず、"1か月試して、ご自身の体で確かめましょう"とお伝えします。エビデンスが少ない領域で医師ができるのは、期限を決めて、変化を一緒に記録することだと思っています。」

桂枝茯苓丸の効果が出るまでの期間

桂枝茯苓丸の効果が出るまでの期間

期間

期待される変化

1〜2週間

のぼせ、足の冷え、頭重感の変化(比較的早く感じられることがある)

2週間〜1か月

効果判定の目安。肩こりの重さ、頭痛の回数、あざの消え方を確認

2〜3か月

体質面の変化。顔色、冷えのぼせの程度、月経に伴う不調

判定しやすくするための記録

  1. 肩こりの重さ(0〜10の数字で、朝と夕方それぞれ)

  2. 頭痛が起きた回数(1週間に何回か)

  3. のぼせと足の冷えの程度

飲み方のコツ

  • 添付文書上は食前または食間(空腹時)。胃がもたれる場合は食後に変更可

  • 顆粒はそのまま水で、またはお湯に溶かして飲みます

  • 体を冷やす飲食、長時間の同じ姿勢、運動不足は血の滞りを悪化させます。薬と並行して見直してください

  • 飲み忘れたときは気づいた時点で1回分を。2回分をまとめて飲まないでください

【武内院長のコメント】
「桂枝茯苓丸を出すとき、私は必ず"薬だけでは限界があります"とお伝えします。血の滞りをつくっているのは、長時間の同じ姿勢と運動不足、そして体の冷えです。デスクワークで一日中座り、冷房に当たり、運動しない——この生活を変えずに薬だけ飲んでも、効果は限定的です。薬は後押しであって、主役は生活のほうです。」

血の滞りをつくる生活習慣

桂枝茯苓丸を飲むのと並行して、血の滞りをつくっている生活を見直すことが欠かせません。整形外科の外来でお伝えしているのは、次の5点です。

  1. 同じ姿勢を続けない:デスクワークでは30〜60分に一度立ち上がる。座り続けること自体が血流を滞らせます

  2. 体を冷やさない:冷房の直風を避ける、夏でも薄手の羽織りものを用意する、冷たい飲み物を控える

  3. 湯船につかる:シャワーだけで済ませず、ぬるめのお湯に10〜15分。血流を改善する最も手軽な方法です

  4. 軽い運動を毎日:15〜20分のウォーキングでも、ふくらはぎのポンプ作用で全身の血流が変わります

  5. 睡眠を確保する:睡眠不足は痛みを感じやすくし、血流の調節にも影響します

「薬を飲んでいるのに良くならない」という方の多くは、この5点のどれかが抜けています。とくに①同じ姿勢と②冷えは、現代の働き方だと避けにくいぶん、意識して手を打つ必要があります。

▶ ウォーキングの効果と正しい歩き方

桂枝茯苓丸が合わない人に出る症状

桂枝茯苓丸が合わない人に出る症状

「桂枝茯苓丸 合わない 症状」という検索が多いため、詳しくお伝えします。

合いにくい方の特徴

  • 体力が落ちていて、虚弱な方(効能の冒頭に「比較的体力があり」とある)

  • 胃腸が弱く、下痢しやすい方

  • 冷えが非常に強く、顔色が青白い方

  • 貧血が強い方

  • 妊娠中の方(血を動かす作用があるため慎重に扱われます)

合わないときに出やすい症状

症状

考えられる原因

胃もたれ、食欲不振

桃仁・牡丹皮が胃に負担をかけることがある

下痢、軟便、腹痛

体質に対して作用が強すぎる。胃腸が弱い方に多い

のぼせ、ほてりの悪化

桂皮の温める作用が強く出ている

めまい、ふらつき

血の巡りが急に変わったことによる反応

だるさ、疲労感

体力が不足している方に、血を動かす薬は負担になることがある

発疹、かゆみ

いずれかの生薬に対するアレルギー

これらの症状が出た場合、「好転反応だから続けたほうがよい」ということはありません。漢方における好転反応(瞑眩)はごくまれな現象であり、多くは単に合っていないサインです。自己判断で続けず、医師に相談してください。

「太る」という噂について

「桂枝茯苓丸 副作用 太る」という検索が見られますが、桂枝茯苓丸に体重を増やす作用はありません。食欲を増進させる薬でもありません。

体重が増えたと感じる場合、次の可能性が考えられます。

  • 体質に合わず、むくみが出ている

  • 他の薬との併用による影響

  • 薬とは無関係な生活習慣の変化

むしろ桂枝茯苓丸には茯苓という余分な水分を取り除く生薬が含まれており、むくみには働きかける方向です。体重が明らかに増えた場合は、別の原因を考えて受診してください。

桂枝茯苓丸の副作用と安全性

桂枝茯苓丸の副作用と安全性

甘草を含まないという利点

桂枝茯苓丸には甘草が含まれていません。芍薬甘草湯(1日6g)、桂枝加朮附湯(2g)、防已黄耆湯(1.5g)などで問題になる偽アルドステロン症(低カリウム・むくみ・血圧上昇・脱力)のリスクが低く、長期に続けやすい処方です。

▶ 芍薬甘草湯の効果と副作用|毎日飲んでも大丈夫か

注意すべき副作用

  • 肝機能障害・黄疸:だるさ、食欲不振、皮膚や白目が黄色くなる。まれですが重要です

  • 消化器症状:胃の不快感、食欲不振、下痢、腹痛

  • 発疹、かゆみ、じんましん

特に注意が必要な方

  • 妊娠中・妊娠の可能性のある方:血を動かす作用があるため、原則として慎重に扱われます。必ず医師に伝えてください

  • 体力が落ちている方、高齢で虚弱な方

  • 胃腸が弱い方

  • 出血しやすい方、抗凝固薬(血をサラサラにする薬)を飲んでいる方

【武内院長のコメント】
「甘草を含まないというのは、実はとても大きな利点です。整形外科で扱う痛みは年単位で付き合うものが多く、長く飲める処方かどうかは重要な判断材料になります。桂枝茯苓丸は、低カリウムを気にせず続けやすい。その代わり、体力がある方向けの薬なので、虚弱な方には別の処方を考えます。」

整形外科で使われる主な漢方薬の使い分け

同じ痛みやしびれでも、体質や症状の出方によって選ぶ漢方薬は変わります。整形外科でよく使われるものを一覧にしました。

漢方薬

ツムラ番号

主に使う場面

特徴

芍薬甘草湯

68番

こむら返り、急な筋肉のけいれん

数分で効く即効性。甘草が多く連用注意

疎経活血湯

53番

夜に強くなる腰痛・坐骨神経痛

血の巡りと水の滞りの両方に働く

牛車腎気丸

107番

下肢のしびれ・むくみ・夜間頻尿

八味地黄丸+牛膝・車前子

八味地黄丸

7番

加齢に伴う腰痛・下肢痛・しびれ

冷えと全身の衰えが中心の方に

防已黄耆湯

20番

膝に水がたまる、むくみ

色白・汗かき・水太りの方に

桂枝加朮附湯

18番

冷えると悪化する関節痛・神経痛

体力が低下した方の痛みに

桂枝茯苓丸(この記事)

25番

血の巡りの滞りによる肩こり・打撲

のぼせがあり下半身は冷える方に

漢方薬は「病名」ではなく「体質と症状の組み合わせ」で選びます。同じ腰痛でも、冷えが強い方、むくみが強い方、夜間に痛む方で処方が変わります。自己判断で選ばず、医師に相談してください。

【武内院長のコメント】
「"合わない症状が出たら続けたほうがいいのでしょうか"という質問をよく受けます。答えは明確にノーです。漢方に好転反応という言葉はありますが、実際にそれが起きることはごくまれで、多くは単に合っていないだけです。胃が痛い、下痢が続く、のぼせがひどくなった——これらは我慢して乗り越えるものではありません。」

肩こり・慢性的な痛みに対する、薬以外の選択肢

肩こり・慢性的な痛みに対する、薬以外の選択肢

方法

内容

姿勢の見直し

デスクワークの環境調整、スマートフォンの見方。最も根本的な対策

運動療法

肩甲骨まわりのストレッチ、軽い有酸素運動。血流を改善する

温熱療法

入浴、ホットパック。冷えを伴う肩こりに

飲み薬・外用薬

痛み止め、筋肉の緊張をゆるめる薬、湿布

注射

トリガーポイント注射など

肩こりが長く続く場合、頚椎の病気(頚椎症、頚椎椎間板ヘルニア)が隠れていることがあります。手のしびれ、握力の低下、足のもつれを伴う場合は、早めに受診してください。

▶ ストレートネックとは?
▶ 頚椎ヘルニアでやってはいけないこと
▶ 頚椎ヘルニアの症状(高位別)
▶ 手のしびれで注意すべきサイン
▶ 肩こりに効くストレッチ
▶ 痛み止めの強さランキング

薬で改善しない痛み・しびれに

飲み薬や注射で改善せず、手術は避けたいという場合に、再生医療(幹細胞治療)という選択肢もあります。ご自身の脂肪から採取・培養した幹細胞を点滴で投与し、傷んだ組織の修復と炎症の抑制を目指す治療です。自由診療であり、効果には個人差があります。適応は診察で判断します。

▶ 神経障害性疼痛とは?原因・薬一覧・何科を受診すべきか
▶ 片側の手のしびれの原因と最新治療
▶ 手足のしびれ・痛みの再生医療について

桂枝茯苓丸が向くタイプの見分け方(まとめ)

桂枝茯苓丸が向く

別の処方を考える

体力

比較的あり、がっしりしている

虚弱、疲れやすい、食が細い

のぼせ

顔はのぼせ、足は冷える

全身が冷えきっている

胃腸

丈夫なほう

弱い、下痢しやすい

痛みの性質

場所が決まっていて刺すような痛み

広い範囲が重だるい

見た目のサイン

唇・歯ぐき・舌裏の色が暗い、目の下のクマ

顔色が青白い、貧血傾向

桂枝茯苓丸についてよくある質問

桂枝茯苓丸についてよくある質問

Q. 男性が飲んでも大丈夫ですか?

問題ありません。婦人科の効能が目立つため女性の薬という印象がありますが、「血の滞り」は男女に共通する状態です。肩こり、頭重、打撲、冷えのぼせに対して男性にも処方されます。

Q. 市販薬と処方薬は違いますか?

中身は同じ処方です。ただし市販薬は製品によってエキス量が少なめのことがあります。また、美容向けに販売されている「桂枝茯苓丸加薏苡仁」(125番)と間違えないよう、パッケージを確認してください。保険適用の処方薬のほうが、診察料を含めても安く済むことが多い薬です。

Q. 血をサラサラにする薬(ワーファリンなど)と一緒に飲めますか?

血を動かす作用があるため、抗凝固薬・抗血小板薬を飲んでいる方は必ず医師に伝えてください。自己判断で併用しないでください。

Q. 痛み止めや他の漢方と併用できますか?

一般的な痛み止めとの併用は可能です。甘草を含まないため、甘草を含む他の漢方薬(芍薬甘草湯、桂枝加朮附湯など)と併用しても甘草の総量は増えません。ただし飲み合わせは医師・薬剤師に確認してください。

Q. 効かないときはどうすればよいですか?

1か月続けて変化がなければ体質が合っていない可能性があります。冷えが強ければ桂枝加朮附湯、むくみが強ければ防已黄耆湯、夜間痛が強ければ疎経活血湯、というように別の処方を検討します。

Q. 更年期の不調と肩こりが両方あります。婦人科と整形外科、どちらで相談すべきですか?

どちらでも処方できる薬ですが、手のしびれや握力の低下を伴う場合は、まず整形外科で頚椎を調べることをおすすめします。月経に関する症状が中心なら婦人科が適しています。二重に処方を受けないよう、どちらかで診てもらっていることを必ず伝えてください。

Q. あざができやすいのですが、飲んだほうがよいですか?

あざができやすい原因は、血の滞りだけではありません。血小板の減少や血液の病気、薬の影響(抗凝固薬など)が隠れていることもあります。ぶつけた覚えがないのにあざができる、点状の出血がある、治りにくいといった場合は、漢方を飲む前に血液検査を受けてください。

Q. どのくらいの期間飲み続けますか?

まず2週間〜1か月で判定し、合っていれば数か月続けることもあります。甘草を含まないため長期に続けやすい処方ですが、漫然と続けず、定期的に「今も必要か」を見直してください。

【武内院長のコメント】
「肩こりで来られた方の中に、実は頚椎の神経が圧迫されていた、という方がときどきいらっしゃいます。手のしびれ、ボタンが留めにくい、階段で足がもつれる。こういう症状があるときは、漢方で様子を見ている場合ではありません。肩こりは日常的な症状だからこそ、危険なサインが隠れていないかを一度は確かめておくべきです。」

まとめ|桂枝茯苓丸は「血の滞り」を動かす薬

まとめ|桂枝茯苓丸は「血の滞り」を動かす薬

  • 桂枝茯苓丸(ツムラ25番)は、瘀血=血の滞りを改善する代表的な漢方薬

  • 効能に肩こり、頭重、めまい、打撲症が含まれ、整形外科でも使う。男性にも処方される

  • 典型的なのは「顔はのぼせるのに足は冷える」方。舌の裏の血管の色も手がかりになる

  • 桂枝茯苓丸加薏苡仁(125番)は肌のトラブル向け。整形外科の症状には25番を使う

  • 甘草を含まないため、低カリウムの心配が少なく長期に続けやすい

  • 合わないときは胃もたれ・下痢・のぼせの悪化が出る。「好転反応」ではないので続けない

  • 体重を増やす作用はない。体重が増えたら別の原因を考える

  • 効果判定は2週間〜1か月。姿勢と運動、冷え対策を並行して行うことが前提

関連コラム

参考文献

  1. Tanaka K, et al. A Review on the Mechanism and Application of Keishibukuryogan. Front Nutr. 2021;8:760918. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35004802/

  2. Zhang LS, et al. Guizhi Fuling capsule/pill treatment for chronic pelvic inflammatory disease: a systematic review of randomized clinical trials. Zhongguo Zhong Yao Za Zhi. 2017;42(8):1500-1510. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29071853/

  3. Wang GQ, et al. Post-marketing surveillance on Guizhi Fuling Jiaonang based on literature review. Zhongguo Zhong Yao Za Zhi. 2018;43(3):618-624. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29600661/

  4. Hijikata Y, et al. Two kampo medicines, jidabokuippo and hachimijiogan alleviate sprains, bruises and arthritis. Evid Based Complement Alternat Med. 2007;4(4):463-7. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18227914/

  5. Uneda K, et al. Analysis of clinical factors associated with Kampo formula-induced pseudoaldosteronism based on self-reported information from the Japanese Adverse Drug Event Report database. PLoS One. 2024;19(1):e0296450. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38165850/

  6. ツムラ桂枝茯苓丸エキス顆粒(医療用)添付文書(PMDA 医療用医薬品情報検索) https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/

院長監修記事

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武内 晋司郎

(たけうち しんじろう)

シンセルクリニック総院長

三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

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三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

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