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【医師監修】桂枝加朮附湯の効果と副作用|冷えると痛む関節痛に処方される理由・飲んではいけない人・長期服用の注意を整形外科の医師が解説

2026.09.28

「寒い朝は、膝や指がこわばって動かしにくい」

「お風呂に入ると楽になるのに、冷えるとまた痛みだす」

こうした「冷えると痛み、温めると楽になる」という痛みに対して、整形外科で処方されるのが桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)です。痛み止めを飲んでも「冷えからくる痛み」にはいまひとつ、という経験をされた方も多いのではないでしょうか。

この記事では、シンセルクリニック総院長で整形外科の医師である武内晋司郎が、桂枝加朮附湯が使われる理由、効果が出るまでの期間、飲んではいけない人、副作用、長期に服用するときの注意点を解説します。

この記事の結論

  • 桂枝加朮附湯は、関節痛・神経痛が正式な効能。「冷えると悪化し、温めると楽になる」痛みに使う

  • 体力が落ちていて、汗をかきやすく、冷えが強い方に向く処方

  • 附子(トリカブトを加工したもの)が体を温める主役。のぼせ・動悸・舌のしびれに注意

  • 甘草が1日2gと比較的多く、長期服用では低カリウム(偽アルドステロン症)に注意が必要

  • のぼせやすい方、暑がりの方、炎症で熱を持って腫れている時期には向かない

  • 効果判定の目安は2週間〜1か月。冷えの改善は比較的早く感じられることがある

桂枝加朮附湯とは?ツムラ18番の成分と名前の意味

桂枝加朮附湯とは?ツムラ18番の成分と名前の意味

桂枝加朮附湯は、風邪の初期に使う「桂枝湯」に、蒼朮(そうじゅつ)と附子(ぶし)を加えた処方です。名前はそのまま「桂枝湯に朮と附子を加えた湯」という意味です。医療用ではツムラの製品番号「18番」として知られています。

項目

内容(ツムラ桂枝加朮附湯エキス顆粒〈医療用〉)

構成生薬(1日量7.5g中)

桂皮4.0g、芍薬4.0g、大棗4.0g、蒼朮4.0g、甘草2.0g、生姜1.0g、加工ブシ0.5g

効能・効果

関節痛、神経痛

用法・用量

通常、成人1日7.5gを2〜3回に分けて、食前または食間に服用

保険

医師の処方で保険適用あり

効能欄が「関節痛、神経痛」の2つだけという、非常に的を絞った処方です。疎経活血湯と並んで、整形外科の痛みのために設計された漢方薬といえます。

加えられた2つの生薬の役割

  • 蒼朮:体にたまった余分な水分(湿)を取り除く。関節の腫れやこわばり、天候による悪化に働く

  • 附子:体を強く温め、冷えによる痛みをやわらげる。この処方の要

もとになった桂枝湯は、体を温めて表面の巡りを整える薬です。そこに「水を除く蒼朮」と「深く温める附子」を加えることで、「冷えと湿気によって起こる関節の痛み」に対応する処方になっています。

【武内院長のコメント】
「桂枝加朮附湯が合うかどうか、私は"お風呂に入ると楽になりますか"という一言で見当をつけます。温めて楽になる痛みは、冷えと巡りの問題であることが多い。逆に"お風呂で悪化する""湿布で冷やすと楽"という方は、炎症が強い状態なので、この薬ではなく痛み止めのほうが向きます。」

どんな痛みに効く?|「冷えると痛む」タイプ

どんな痛みに効く?|「冷えると痛む」タイプ

合いやすい方の特徴

  • 冷えると痛みが強くなり、温めると楽になる

  • 寒い朝や、雨・雪の前に痛みやこわばりが強くなる

  • 手足が冷たく、冷房が苦手

  • 体力が落ちていて、疲れやすい

  • 汗をかきやすい、寝汗をかく

  • 胃腸はそれほど丈夫ではない

  • 関節が腫れぼったく、こわばる(熱は持っていない)

合いにくい方の特徴

  • のぼせやすい、暑がり、顔がほてりやすい(附子が合わないことが多い)

  • 関節が赤く腫れて熱を持っている(炎症が強い急性期)

  • 体力があり、がっしりしていて汗をあまりかかない

  • 血圧が高く不安定な方

整形外科で処方される代表的な場面

病名・状態

どんなときに使うか

変形性膝関節症

冬になると痛みが強くなる、朝のこわばりが長い

手指の変形性関節症

ヘバーデン結節など。冷たい水に触れると痛む

五十肩(肩関節周囲炎)

炎症が落ち着いた後の、冷えるとうずく痛み

関節リウマチ

薬物治療と併用して、冷えによるこわばりに対して

神経痛・しびれ

冷えを伴う慢性的な神経痛。帯状疱疹後神経痛に使われた報告もある

腰痛・肩こり

冷えると悪化する慢性の痛み

▶ 変形性膝関節症でやってはいけないこと
▶ 五十肩が治るまでの期間
▶ 指先の痛みの原因と対処法
▶ 神経痛の原因・治療・薬

【武内院長のコメント】
「"冬になると決まって膝が痛む"という方は本当に多いです。痛み止めを1年中飲み続けるのは、胃や腎臓への負担を考えると望ましくありません。そこで寒い時期だけ桂枝加朮附湯を併用し、痛み止めの回数を減らす、という使い方をすることがあります。季節に合わせて処方を変えられるのは、漢方の良いところです。」

なぜ冷えると関節が痛むのか

「寒くなると痛む」という訴えは、整形外科で最もよく聞く言葉のひとつです。医学的には、次のような要因が重なっていると考えられています。

  • 血流の低下:体が冷えると末梢の血管が縮み、関節周囲の血流が減ります。痛みを起こす物質が流れにくくなり、その場にとどまって痛みが続きます

  • 筋肉のこわばり:寒いと無意識に体をすくめ、関節周囲の筋肉が緊張します。緊張した筋肉は関節への圧力を高めます

  • 関節液の粘度:関節の潤滑油である関節液は、温度が下がると粘り気が増し、動きがスムーズでなくなります

  • 気圧の変化:低気圧が近づくと関節内部との圧力差が生じ、痛みを感じやすくなるという説があります

  • 痛みの感じ方:寒さそのものがストレスとなり、痛みを強く感じやすくなります

桂枝加朮附湯は、このうち血流の低下と筋肉のこわばりに対して、体を内側から温めることで働きかけます。湯たんぽやカイロで外から温めるのと同じ方向の治療を、飲み薬で行うイメージです。

ただし、しびれがある方の温め方には注意が必要です。感覚が鈍くなっていると熱さに気づきにくく、低温やけどを起こすことがあります。湯たんぽやカイロを長時間肌に当てないようにしてください。

研究でわかっていること

研究でわかっていること

  • 変形性膝関節症:韓国で、変形性膝関節症の患者80人を対象に、桂枝加朮附湯(現地名:桂枝加朮附湯/ケイシカジュツブトウ)と偽薬を比較する二重盲検の臨床試験が計画・登録されています(Sulら、2019年)。膝の痛みの変化を主な評価項目とした研究です

  • 帯状疱疹後神経痛:桂枝加朮附湯とブシ末を併用した治療について、症状への効果を検討した報告があります(Nakanishiら、2012年)

  • 抗がん剤による神経障害:漢方薬が神経の再生や保護、神経の痛みの治療に役立つ可能性を検討した総説の中で取り上げられています(Schröderら、2013年)

桂枝加朮附湯についての人を対象にした質の高い臨床試験は、現時点では限られています。長く使われてきた経験に支えられた処方であり、「必ず効く」と保証できる段階ではない、という点は正直にお伝えします。

桂枝加朮附湯の効果が出るまでの期間

桂枝加朮附湯の効果が出るまでの期間

期間

期待される変化

数日〜1週間

体が温まる感じ、手足の冷えが和らぐ(比較的早く感じられる部分)

2週間〜1か月

効果判定の目安。朝のこわばりの時間、寒い日の痛みの強さを確認

1〜3か月

痛み止めを飲む回数の変化、季節による悪化の程度

判定しやすくするための記録

  1. 朝のこわばりが取れるまでの時間(何分・何時間か)

  2. 痛み止めを飲んだ回数(1週間に何回か)

  3. 寒い日と暖かい日の痛みの差(0〜10の数字で)

飲み方のコツ

  • 添付文書上は食前または食間(空腹時)。胃がもたれる場合は食後に変更可

  • 体を温める処方なので、お湯に溶かして飲むのが理にかなっています

  • 寒い時期だけ服用し、暖かくなったら減らす・中止する、という使い方もできます

  • 体を冷やす飲食、薄着、冷房の直風を避けると効果を実感しやすくなります

【武内院長のコメント】
「桂枝加朮附湯は、"冷え"という分かりやすい指標がある薬です。飲み始めて1週間で手足が温かく感じられるなら、体質に合っている可能性が高い。逆に何も感じない、あるいは顔がほてるようなら合っていません。この最初の1週間の体の反応を、ぜひ意識して観察してみてください。」

【武内院長のコメント】
「動物実験のデータが少ない処方なので、私は患者さんに"この薬は長年の経験で使われてきた薬です"と正直にお伝えします。エビデンスが豊富でないことは弱点ですが、逆に言えば、数百年にわたって使われ続けてきた実績がある。どちらの面も知ったうえで、ご自身の体で1か月試していただく、という提案の仕方をしています。」

桂枝加朮附湯を飲んではいけない人は?

桂枝加朮附湯を飲んではいけない人は?

「桂枝加朮附湯を飲んではいけない人は」という検索が多いので、整理してお伝えします。

添付文書上、飲んではいけない方(禁忌)

  • アルドステロン症の方

  • ミオパチー(筋肉の病気)のある方

  • 低カリウム血症のある方

これらは甘草による偽アルドステロン症が悪化する危険があるため、飲むことができません。

慎重に使う必要がある方

該当する方

理由

のぼせが強い方、暑がりの方

附子によってほてり・動悸が出やすい

心臓の病気がある方、脈が速い方

附子が動悸を強める可能性がある

高血圧の方

甘草によって血圧が上がることがある

腎臓・心臓の病気で、むくみがある方

甘草によってナトリウムと水分がたまる

利尿薬を飲んでいる方

甘草と併用すると低カリウムになりやすい

高齢の方(特に女性、体重の軽い方)

甘草の影響が出やすい

妊娠中・妊娠の可能性のある方

附子を含むため原則使わない

胃腸が弱い方

胃の不快感が出ることがある

炎症が強く、熱を持って腫れている方

体を温める処方のため、症状が悪化することがある

また、ほかの漢方薬でブシ末(附子)を追加されている場合や、甘草を含む漢方薬を併用している場合は、成分が重複していないかを必ず確認してください。

【武内院長のコメント】
「"飲んではいけない人"で最も見落とされやすいのが、他の医療機関で甘草入りの漢方をもらっている方です。整形外科で桂枝加朮附湯、内科で芍薬甘草湯、婦人科で加味逍遙散——これで甘草が1日9gを超えることがあります。お薬手帳は必ず1冊にまとめて、すべての医療機関で見せてください。これだけで防げる副作用があります。」

市販薬と処方薬の違い・値段

桂枝加朮附湯は、ドラッグストアや通販で市販薬(第2類医薬品)としても購入できます。ただし取り扱い店舗は限られています。

病院の処方薬(医療用)

市販薬(一般用)

中身

桂皮・芍薬・大棗・蒼朮・甘草・生姜・加工ブシ

同じ処方

1日量

医療用の基準量

製品によりエキス量が少なめのことがある

費用の目安

保険適用。3割負担で1か月あたり数百円程度+診察料

全額自己負担。1か月分で4,000〜7,000円程度

医師のチェック

関節の画像検査、併用薬、血液検査(カリウム)を確認できる

自己判断(薬剤師への相談は可能)

附子と甘草という、体質によって合う・合わないがはっきり出る生薬を含む処方です。自己判断で長く飲むより、一度診察を受けて体質に合うかを確かめてから始めることをおすすめします。保険適用なので、診察料を含めても市販薬より安く済むことがほとんどです。

桂枝加朮附湯の副作用と長期服用の注意

桂枝加朮附湯の副作用と長期服用の注意

甘草による偽アルドステロン症

桂枝加朮附湯には甘草が1日量で2.0g含まれています。整形外科で使う漢方薬の中では多めの部類で、長期服用では注意が必要です。

症状

内容

手足のだるさ・脱力

力が入らない、階段が上りにくい

手足のしびれ・こわばり

関節痛の薬なのに、こわばりが増えるという紛らわしさ

むくみ・急な体重増加

顔や足のむくみ

血圧の上昇・頭痛

もともと血圧が高い方は特に注意

筋肉痛

進行すると横紋筋融解症につながることがある

長期服用で気をつけること

「桂枝加朮附湯 長期服用」という検索も多く見られます。長く続ける場合は、次の点を守ってください。

  1. 定期的に血液検査でカリウムを確認する(目安として3〜6か月ごと)

  2. 季節で見直す。冷えが原因の痛みなら、暖かい時期は減量・中止を検討できます

  3. ほかの薬との甘草の重複を確認する

  4. 「効いているか」を定期的に評価する。漫然と続けない

  5. だるさ、むくみ、血圧上昇に気づいたら自己判断で続けず受診する

附子による症状

  • のぼせ、ほてり、顔の赤み

  • 動悸、脈が速くなる

  • 舌や口のまわりのしびれ

  • 吐き気、頭痛、発汗

これらは飲み始めて比較的早く出ることが多く、「附子が合っていないサイン」です。中止して受診してください。

そのほかの副作用

  • 発疹、かゆみ

  • 胃の不快感、食欲不振

  • まれに肝機能障害、間質性肺炎

整形外科で使われる主な漢方薬の使い分け

同じ痛みやしびれでも、体質や症状の出方によって選ぶ漢方薬は変わります。整形外科でよく使われるものを一覧にしました。

漢方薬

ツムラ番号

主に使う場面

特徴

芍薬甘草湯

68番

こむら返り、急な筋肉のけいれん

数分で効く即効性。甘草が多く連用注意

疎経活血湯

53番

夜に強くなる腰痛・坐骨神経痛

血の巡りと水の滞りの両方に働く

牛車腎気丸

107番

下肢のしびれ・むくみ・夜間頻尿

八味地黄丸+牛膝・車前子

八味地黄丸

7番

加齢に伴う腰痛・下肢痛・しびれ

冷えと全身の衰えが中心の方に

防已黄耆湯

20番

膝に水がたまる、むくみ

色白・汗かき・水太りの方に

桂枝加朮附湯(この記事)

18番

冷えると悪化する関節痛・神経痛

体力が低下した方の痛みに

桂枝茯苓丸

25番

血の巡りの滞りによる肩こり・打撲

のぼせがあり下半身は冷える方に

漢方薬は「病名」ではなく「体質と症状の組み合わせ」で選びます。同じ腰痛でも、冷えが強い方、むくみが強い方、夜間に痛む方で処方が変わります。自己判断で選ばず、医師に相談してください。

【武内院長のコメント】
「甘草2gというのは、毎日続けるなら決して少なくない量です。私は桂枝加朮附湯を半年以上お出しする方には、必ず血液検査を組み込みます。そして冬が終わったら"いったん減らしてみましょうか"と提案する。漢方は西洋薬より気軽に見られがちですが、やめ時を考えるという点ではまったく同じです。」

関節の痛みに対する、薬以外の選択肢

関節の痛みに対する、薬以外の選択肢

方法

内容

温熱療法

入浴、ホットパック、手浴・足浴。冷えると悪化するタイプには特に有効

運動療法

関節周囲の筋力トレーニング、可動域訓練。治療の土台

飲み薬・外用薬

痛み止め(NSAIDs)、湿布、塗り薬

関節注射

ヒアルロン酸、ステロイド

生活の工夫

関節を冷やさない、重いものを持つ動作を見直す、体重管理

手術

保存療法で改善しない場合の選択肢

▶ 膝のヒアルロン酸注射とは?効果・回数
▶ 膝サポーターの効果とリスク
▶ 関節の炎症をやわらげる食べ物
▶ 痛み止めの強さランキング
▶ 痛み止めが効かない痛みの種類
▶ 水中ウォーキングの効果

関節を冷やさないための工夫

桂枝加朮附湯が合う「冷えると痛む」方には、薬と並行した冷え対策が欠かせません。外来でお伝えしている具体策です。

  1. 湯船につかる:ぬるめのお湯(38〜40℃)に10〜15分。熱すぎるお湯は逆に湯冷めを招きます

  2. 痛む関節を直接守る:膝ならレッグウォーマー、手指なら手袋。サポーターより保温を目的にしたもののほうが適する場合があります

  3. 冷房の直風を避ける:夏場のほうが冷えで悪化する方は少なくありません。膝掛けや羽織りものを常備してください

  4. 朝の準備運動:起き上がる前に布団の中で手足の指をゆっくり開閉し、足首を回す。こわばりが取れやすくなります

  5. ふくらはぎを動かす:かかとの上げ下げを1日数回。下半身の血流が改善し、全身の冷えに効きます

なお、しびれがある方は温め方に注意が必要です。感覚が鈍くなっていると熱さに気づきにくく、湯たんぽやカイロで低温やけどを起こすことがあります。肌に直接、長時間当てないでください。

▶ ウォーキングの効果と正しい歩き方

薬や注射で改善しないときに

痛み止めや注射を続けても改善せず、手術は避けたいという場合に、再生医療(幹細胞治療・PRP療法)という選択肢もあります。ご自身の脂肪から採取・培養した幹細胞を関節に投与し、炎症の抑制と組織の修復を目指す治療です。自由診療であり、効果には個人差があります。適応は診察で判断します。

▶ ヒアルロン酸が効かなくなった後の選択肢
▶ 変形性膝関節症の再生医療とは?
▶ 膝の痛みの再生医療について

桂枝加朮附湯についてよくある質問

桂枝加朮附湯についてよくある質問

Q. 痛み止めと一緒に飲めますか?

併用は一般的です。むしろ「痛み止めの回数を減らすために漢方を加える」という使い方をよくします。飲み合わせは医師・薬剤師に確認してください。

Q. 夏でも飲んだほうがよいですか?

冷えが原因の痛みなら、暖かい時期は減量や中止を検討できます。ただし冷房で冷える環境にいる方は、夏でも続けたほうがよい場合があります。自己判断でやめず、医師と相談してください。

Q. 桂枝加朮附湯と芍薬甘草湯を一緒に飲めますか?

どちらも甘草を含むため、合計量が増えます(桂枝加朮附湯2g+芍薬甘草湯6g=8g)。併用する場合は医師の管理のもと、期間を区切ってください。

▶ 芍薬甘草湯の効果と副作用

Q. 効かないときはどうすればよいですか?

1か月続けて変化がなければ体質が合っていない可能性があります。むくみが強ければ防已黄耆湯、夜間痛が強ければ疎経活血湯、しびれが強ければ牛車腎気丸、というように別の処方を検討します。

Q. 附子(トリカブト)と聞くと不安です。安全ですか?

漢方薬に使われるのは加工ブシといって、加熱などの処理で毒性を大幅に減らしたものです。定められた量を守って使う限り、安全に使える生薬です。ただし体質に合わないと、のぼせや動悸が出ることはあります。

Q. 高齢の親に飲ませても大丈夫ですか?

高齢の方にも処方される薬ですが、甘草による低カリウムは高齢の方、特に女性や体重の軽い方で起こりやすくなります。また附子による動悸は、心臓に持病のある方では負担になることがあります。必ず診察を受けたうえで、定期的な血液検査を行いながら使ってください。

Q. 飲み始めてから顔がほてります。続けてよいですか?

附子が合っていない可能性が高いサインです。いったん中止して受診してください。量を減らす、附子を含まない処方に変更する、といった対応を検討します。我慢して続けるものではありません。

Q. 関節リウマチでも飲めますか?

関節リウマチの方に、標準的な治療と併用して処方されることがあります。ただし漢方はリウマチそのものの進行を止める薬ではありません。主治医の治療を続けたうえで、冷えによるこわばりへの上乗せとして考えてください。

【武内院長のコメント】
「冷えると痛む、という訴えは、検査では何も出ないことがほとんどです。レントゲンを撮っても"年相応の変化です"としか言えない。そこで終わってしまうと、患者さんは行き場を失います。桂枝加朮附湯のような漢方は、そういう"検査では説明しきれない痛み"に対して、医師が差し出せる手立てのひとつだと思っています。」

まとめ|桂枝加朮附湯は「冷えると痛む」人の薬

まとめ|桂枝加朮附湯は「冷えると痛む」人の薬

  • 桂枝加朮附湯(ツムラ18番)は、関節痛・神経痛に絞られた、整形外科向けの漢方薬

  • 桂枝湯に蒼朮(水を除く)と附子(温める)を加えた処方。「冷えと湿気による痛み」に対応する

  • 冷えると悪化し、温めると楽になる痛みに向く。のぼせやすい方、熱を持って腫れている時期には向かない

  • 飲んではいけないのはアルドステロン症・ミオパチー・低カリウム血症のある方

  • 甘草2gと多めのため、長期服用では3〜6か月ごとの血液検査を

  • 附子によるのぼせ・動悸・舌のしびれは「合っていないサイン」

  • 効果判定は2週間〜1か月。寒い時期だけ使う、という季節に合わせた使い方もできる

関連コラム

参考文献

  1. Sul JU, et al. Efficacy and safety of gyejigachulbutang (Gui-Zhi-Jia-Shu-Fu-Tang, Keishikajutsubuto, TJ-18) for knee pain in patients with degenerative knee osteoarthritis: a randomized, placebo-controlled, patient and assessor blinded clinical trial. Trials. 2019;20(1):140. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30782208/

  2. Nakanishi M, et al. Efficacy of traditional Japanese herbal medicines-Keishikajutsubuto (TJ-18) and Bushi-matsu (TJ-3022)-against postherpetic neuralgia aggravated by self-reported cold stimulation: a case series. J Altern Complement Med. 2012;18(7):686-92. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22830970/

  3. Schröder S, et al. Can medical herbs stimulate regeneration or neuroprotection and treat neuropathic pain in chemotherapy-induced peripheral neuropathy? Evid Based Complement Alternat Med. 2013;2013:423713. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23983777/

  4. Uneda K, et al. Analysis of clinical factors associated with Kampo formula-induced pseudoaldosteronism based on self-reported information from the Japanese Adverse Drug Event Report database. PLoS One. 2024;19(1):e0296450. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38165850/

  5. ツムラ桂枝加朮附湯エキス顆粒(医療用)添付文書(PMDA 医療用医薬品情報検索) https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/

  6. 厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 偽アルドステロン症」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/topics/tp061122-1.html

院長監修記事

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武内 晋司郎

(たけうち しんじろう)

シンセルクリニック総院長

三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

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三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

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