Column
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2025.11.15
院長監修記事

武内 晋司郎
(たけうち しんじろう)
シンセルクリニック総院長
三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。
三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

「昔は当たり前にできていた正座が、いつの間にかできなくなった」
「膝に痛みや違和感があって、正座するのが怖い」
──多くの方が抱えるこの悩み。その原因を「骨の変形」や「軟骨のすり減り」だと考えがちですが、私の臨床経験から言えるのは、実は骨や軟骨の問題だけで正座ができない方は全体の1割程度に過ぎないということです。多くの人が知らない「正座ができない本当の理由」は他にあるのです。
本記事では、長年患者さんの膝と向き合ってきた整形外科医が、正座ができない意外な原因から、今日からできる痛みの対処法、ストレッチ、さらには最新の専門治療まで徹底解説します。




「昔は当たり前にできていた正座が、いつの間にかできなくなった」
「膝に痛みや違和感があって、正座するのが怖い」──
退職後のセカンドライフを楽しまれている多くの患者さんから、このようなお悩みをよく耳にします。茶道を長年嗜んでいらっしゃった方や、お孫さんと一緒に床に座って遊びたいのにできない、というお声を聞くと、私自身の胸も痛みます。
私は整形外科医として長年、患者さんの膝と向き合ってきました。
その中で強く感じているのは、正座ができない原因は一つではないということです。
変形性ひざ関節症のような疾患だけでなく、さまざまな要素が複雑に絡み合っています。しかし、多くの場合、適切な対処と専門的な治療によって改善が期待できます。

診察室で患者さんから「正座ができないんです」と相談を受けた時、私は必ず「どこが痛みますか?」「どんな時に怖さを感じますか?」と詳しくお伺いします。多くの方が訴えるのは、膝の裏や膝の内側、膝の外側、または膝全体に広がる痛みです。中には、痛みだけでなく「膝が壊れてしまうのではないか」という漠然とした恐怖感から正座ができないとおっしゃる方もいらっしゃいます。
多くの患者さんは、正座ができない原因を「骨が変形しているから」「膝の軟骨がすり減っているから」「半月板(はんげつばん)という軟骨組織が傷ついているから」だと考えていらっしゃるようです。もちろん、変形性ひざ関節症が重度に進行していれば、骨の変形も大きな要因となります。
しかし、私の15年以上の臨床経験から言えることは、骨や軟骨の問題だけで正座ができない方は、実は全体の1割程度だと感じています。
これは、最近の医学研究でも示唆されていることです。私自身、学生時代に柔道やラグビーで膝を酷使し、痛みを感じた経験もありますが、その原因は必ずしも骨の損傷だけではありませんでした。
正座ができない原因は、膝そのものの問題以外にも多様な側面があります。
変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)
加齢や筋力低下により、股関節の骨が変形して足が動かしづらくなる疾患です。股関節は、脚の柔軟性を支える重要な部位であり、骨の変形による痛みで生活に支障が出ることがあります。
加齢による影響
年齢を重ねると、足の筋肉量が低下したり、骨が変形したりすることがあります。これにより、正座がしにくくなる方もいらっしゃいます。関節部分は加齢による負荷がかかりやすいため、違和感や痛みから身体を動かす機会が減り、さらに筋力が低下するという悪循環につながることもあります。
肥満
体重の増加や肥満も正座ができない原因の一つです。体重が増えると足が重みで圧迫され、痛みやしびれのために正座姿勢を長時間維持することが難しくなります。筋肉や神経にも負担がかかり、正座がしにくくなる傾向があります。
残りの多くの方々は、骨や軟骨に大きな問題がなくても正座ができないケースに該当します。この差こそが、今日のテーマである「多くの人が知らない真実」へと繋がっていくのです。




多くの患者さんが「骨のせい」だと諦めてしまう正座の痛み。しかし、私の診察室では「骨には問題がないのに、なぜか正座ができない」という方に、ある共通点を見つけることがよくあります。それは、「筋膜(きんまく)」の硬さです。
筋膜とは、筋肉を一本一本、そして体全体をまるで全身タイツのように包み込んでいる薄い膜のことです。この筋膜は、筋肉の動きをスムーズにする潤滑油のような役割を果たしており、全身に途切れることなく繋がっています。

「正座ができないのは関節ではなくて筋膜が原因である人が多い」という事実は、近年注目され始めている考え方です。なぜなら、骨の変形や軟骨のすり減りがあっても、筋膜のケアをすることでその場で正座ができるようになる患者さんが非常に多いからです。
正座をするためには、膝だけでなく、太ももの筋肉(大腿四頭筋:だいたいしとうきん)、ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋:かたいさんとうきん)、さらには足首の筋肉(前脛骨筋:ぜんけいこつきん)や股関節、お尻の筋肉まで、全身の筋膜がしなやかに伸び縮みする必要があります。

例えば、足首の筋膜が硬いだけでも、膝への負担が増え、正座ができなくなることがあるのです。
筋膜が硬くなる原因は、長時間の同じ姿勢、運動不足、過去の怪我、そして加齢による水分不足などが考えられます。
多くの患者さんが、筋肉をマッサージしたりストレッチしたりしてもなかなか改善しないのは、「筋肉の本当の問題ではない」ことが多いからです。筋肉そのものよりも、その筋肉を包み込んでいる筋膜の硬さが正座を妨げているケースが非常に多いのですね。

「正座ができないけれど、病院に行くほどではないかも…」と、痛みを我慢していらっしゃる患者さんが多くいらっしゃいます。
しかし、私が整形外科医として強くお伝えしたいのは、痛みや違和感を感じたら、できるだけ早く整形外科を受診してほしいということです。
なぜなら、痛みの裏には、単なる筋肉の張りだけでなく、変形性膝関節症や変形性股関節症といった深刻な疾患が隠れている可能性があるからです。自己判断で様子を見ることは、症状を悪化させることにも繋がりかねません。
「病院に行くのはまだ…」と考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、ご自宅でできるセルフケアはたくさんあります。日々の少しの心がけが、膝の負担を減らし、正座ができるようになる第一歩となります。
私が患者さんによくお勧めする、膝に優しい日常生活の送り方とセルフケアのポイントをご紹介しましょう。

和式から洋式へ
地べたに座る和式の生活は、膝への負担が大きくなりがちです。椅子やソファ、ベッドを積極的に活用し、膝の曲げ伸ばしを最小限に抑えましょう。立ち座りが多いトイレも、和式から洋式に変えるだけで膝への負担は大きく軽減されます。
バランスの取れた食事
骨や筋肉を作る材料となるタンパク質(肉、魚、卵、大豆製品など)を意識して摂りましょう。骨を強くするカルシウム(乳製品、小魚など)や、カルシウムの吸収を助けるビタミンD(鮭、きのこ類など)も重要です。
適正体重の維持
膝関節は、歩くだけでも体重の約3倍、階段を降りる時には約7倍もの負担がかかると言われています。適正な体重を保つことは、膝への負担を減らす上で非常に重要です。肥満は、正座ができない原因の一つでもあります。
無理のない運動
関節に痛みがない場合は、ウォーキングや水中ウォーキング、サイクリングなど、膝に負担の少ない運動から始めてみましょう。
日常生活で「一駅多く歩く」「エレベーターではなく階段を使う」といった小さな工夫からでも十分効果が期待できます。
私自身、柔道やラグビーで常に身体を動かしてきましたが、運動は心身の健康に欠かせない要素です。
筋肉と筋膜の柔軟性維持
硬くなった筋肉や筋膜は、正座を妨げる大きな要因です。湯船に浸かって体が温まった後など、リラックスした状態で行うのが効果的です。特に、膝周りの筋肉だけでなく、股関節や足首のストレッチも忘れずに行いましょう。
これらのセルフケアは、毎日の生活に無理なく取り入れられるものばかりです。焦らず、ご自身のペースで続けることが大切です。
正座ができないというお悩みは、単なる痛みの問題だけでなく、日常生活の質(QOL)にも大きく影響します。これまでご紹介したセルフケアや一般的な治療で改善が見られない場合、あるいはもっと積極的に根本的な解決を目指したいとお考えの方もいらっしゃるでしょう。
私が整形外科医として長年患者さんの膝と向き合い、最終的に再生医療専門クリニックを開設するに至ったのは、まさにこの「根本的な解決」への強い思いがあったからです。
長年の臨床経験で、「骨の変形は軽度なのに強い痛みに苦しむ方」「手術は避けたいと願う方」に多く出会いました。従来の治療では、痛み止めや湿布で症状を抑えること、あるいは手術で人工関節に置き換えることが主な選択肢でした。しかし、私が再生医療と出会い、その可能性を目の当たりにした時、「治す」だけでなく「再生させる」という新しい概念に大きな希望を見出しました。
治療の選択肢のひとつに、「再生医療」という最新の治療法もあります。今までの治療では、薬で痛みが抑えられなくなった場合には手術をするしかないと言われていました。
そのため、日常生活においても膝に負担がかからないように気をつけ、痛みが出たら痛み止めを服用し、痛みのコントロールが重要でした。しかし、最近では再生医療が注目されています。
実際に再生医療を受けた患者様の【体験ドキュメンタリー動画】をご紹介します。
再生医療では、修復が不可能と言われている軟骨を新たに再生させていく画期的な治療法です。この再生医療では手術を行いませんので、身体への侵襲が少ない治療となります。人工関節の手術を実施した場合には、侵襲するため以前のお体の状態に戻るのに長い期間がかかりますが、 再生医療は侵襲が少ない治療法のため、 すぐに体の状態を回復させることができます。



ここでは、診察室で患者さんからよく聞かれる質問とその回答をいくつかご紹介します。
Q1: 正座はもう一生できないのでしょうか?
A1: いいえ、決してそのようなことはありません。 多くの患者さんが「もう歳だから」「骨が悪いから」と諦めていらっしゃいますが、正座ができない原因は多様です。骨や軟骨に重度の問題がなくても、筋膜の硬さや筋肉のバランスの崩れが原因であることも非常に多いです。 適切な診断を受け、筋膜ケアやリハビリテーション、あるいは再生医療といった専門的な治療を受けることで、再び正座ができるようになる可能性は十分にあります。
Q2: 再生医療は誰でも受けられますか?
A2: 再生医療は、すべての患者さんに適応できるわけではありません。 患者さんの年齢、健康状態、膝や関節の疾患の進行度合いによって、適応となるかどうかが変わってきます。例えば、重度の感染症がある方や、悪性腫瘍(がん)を患っている方など、一部の方は治療ができない場合があります。 当院では、患者さん一人ひとりの状態を詳しく診察し、画像診断も踏まえた上で、再生医療が最適な選択肢かどうかを丁寧に判断し、ご説明させていただきます。まずは一度、ご相談にいらしてください。
Q3: 治療費が高そうで心配です。保険は適用されますか?
A3: 再生医療は、現在のところ公的医療保険(健康保険)の適用外となる「自由診療」です。 そのため、一般的な治療に比べて費用が高額になる傾向があります。費用面でのご心配は、多くの患者さんが抱える正直な気持ちだと理解しています。 しかし、当院では患者さんが安心して治療を受けられるよう、事前に詳しい料金体系をご説明し、ご納得いただいた上で治療を進めています。
Felson DT, et al. "Osteoarthritis: New insights. Part 1: The disease and its risk factors." Annals of Internal Medicine, 2000
リンク: Osteoarthritis: New insights (PubMed)
Hunter DJ, et al. "The role of biomechanics in the pathogenesis of osteoarthritis." Rheumatic Disease Clinics of North America, 2008
リンク: The role of biomechanics (PubMed)
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