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【医師解説】刺身は何歳から食べれる?3歳が目安の理由と安全な始め方|アニサキス・アレルギー・水銀の注意点
「刺身は何歳から食べさせていい?」「わさびをつければアニサキスは大丈夫?」「回転寿司で子どもに何を頼めばいい?」――生魚は、保護者が最も判断に迷う食材のひとつです。本記事では子どもの成長を専門的に診てきた医師の長田が、刺身を与える年齢の目安とその医学的な根拠、そして公的機関が「迷信」と明言しているアニサキス対策の誤解まで、正直に解説します。結論を先に言えば、刺身を急いで食べさせる必要は、まったくありません。
この記事の結論を3行で
目安は3歳頃から(ただし国の明確な基準はありません)
わさび・酢・醤油ではアニサキスは死にません(噛んでも死にません)
刺身を食べなくても、成長に必要な栄養は足ります
- 刺身は何歳から?|目安は「3歳」
- 年齢別の目安
- 【正直にお伝えします】国の明確な基準はありません
- 「3歳」の根拠になっているもの
- なぜ3歳が目安なのか|3つの医学的な理由
- ① 免疫機能がまだ発達途中
- ② 消化器官が未熟
- ③ 奥歯が生えそろい、噛み切れるようになる
- 【最重要】わさび・酢・醤油では、アニサキスは死にません
- 公的機関が「迷信」と明言しています
- さらに、「噛めば大丈夫」も間違いです
- アニサキスを死滅させる、たった2つの方法
- 【注意】家庭用冷凍庫では足りない場合があります
- アニサキスが寄生する魚
- 症状
- アニサキス以外のリスク|4つ
- ① 細菌による食中毒
- ② ヒスタミン食中毒(アレルギーと間違えやすい)
- ③ アレルギー(特に魚卵)
- ④ 大型魚の水銀と、醤油の塩分
- 【成長専門医の視点】刺身を食べなくても、栄養は足ります
- 魚は、成長に必要な栄養の宝庫です
- でも、「生」である必要は、まったくありません
- サプリで補おうと考える前に
- 種類別|安全な進め方
- おすすめの順番
- 注意が必要なもの
- 回転寿司でのおすすめ
- 初めて食べさせるときの5つのルール
- ① 3歳を過ぎてから、少量(一口)だけ
- ② 新鮮な「生食用」を、購入した当日に
- ③ 体調のよい日に
- ④ 【重要】平日の日中に
- ⑤ 1種類だけを試す
- そして、成長は「線」で見てください
- 無理に食べさせないこと
- 「うちの子も治療できる?」と思われた方へ
- 平均より低いとき、家で確認できること
- 刺身は何歳からに関するよくある質問(Q&A)
- Q1. 刺身は何歳から食べれますか?
- Q2. わさびをつければアニサキスは大丈夫?
- Q3. よく噛めば大丈夫?
- Q4. 家の冷凍庫で凍らせれば安全?
- Q5. 2歳で少し食べてしまいました。
- Q6. 刺身を食べないと栄養が足りませんか?
- Q7. サバの刺身は?
- Q8. シンセルクリニックでは何ができますか?
- まとめ|急がなくて、大丈夫です
- お子さんの成長・栄養でお悩みの方へ|まずは無料でご相談ください
- 関連コラム
- 参考文献
刺身は何歳から?|目安は「3歳」
年齢別の目安
年齢 | 目安 |
|---|---|
離乳食期〜2歳 | 避ける(魚は必ず加熱して) |
3歳頃〜 | 白身魚・赤身魚の刺身を少量から |
3歳半頃〜 | イカ・タコ・貝類(噛む力がついてから) |
小学校入学以降 | 青魚(アジ・イワシ・サバ)が安心 |
【正直にお伝えします】国の明確な基準はありません
まず知っておいていただきたいのは、「刺身は何歳から」という日本の明確な基準は存在しないということです。厚生労働省の離乳のガイドラインにも、生魚を与えてよい年齢の具体的な記載はありません。
「3歳」の根拠になっているもの
では、なぜ「3歳」なのか。最も確かな根拠のひとつが、内閣府食品安全委員会が紹介しているフランスの食品安全機関(ANSES)の提言です。
「妊婦および3歳未満の子ども、ならびに高齢者や免疫が低下している人は、生魚や加熱不十分な魚、くん製を食べないこと」
つまり、3歳未満は「生魚のリスクを特に受けやすい対象」として明確に位置づけられているのです。
逆に言えば、これは「3歳になれば安全」という意味ではありません。「3歳未満は避けるべき」という下限を示しているだけで、3歳を過ぎたら大人と同じように食べてよい、ということではないのです。ここは、多くの記事が曖昧にしているポイントです。お子さんの成長全般については「今日からできる身長を伸ばす方法を医師が解説」もご参照ください。
長田医師の臨床コメント①|「"3歳"は魔法の線ではありません」
「外来で『刺身は何歳からですか?』と聞かれると、私は"3歳を目安に"とお答えします。でも、必ず付け加えるんです。"3歳は、魔法の線ではありませんよ"と。2歳11か月の子と3歳0か月の子で、体が劇的に変わるわけではありません。そして、日本には"何歳から"という国の基準は、実はないんです。ではなぜ3歳なのか。免疫の働き、消化する力、そして奥歯が生えそろって噛み切れるようになる――この3つが、だいたい3歳頃にそろってくるからです。ですから、"3歳になったから今日から刺身OK"ではなく、"3歳を過ぎて、奥歯がしっかり生えて、体調のいい日に、一口から"。そして何より大事なのは、"急ぐ必要はまったくない"ということ。刺身は、一生食べられますから」
なぜ3歳が目安なのか|3つの医学的な理由

① 免疫機能がまだ発達途中
幼い子どもは食中毒の原因菌やウイルスへの抵抗力が弱く、感染すると重症化しやすい傾向があります。ひどい下痢や嘔吐が続けば、乳幼児は容易に脱水に陥ります。
そして重要なのは、食中毒への抵抗力が大人とほぼ同じになるのは「12歳過ぎ頃」とされていることです。3歳になったからといって、大人と同じ感覚で与えてはいけません。
② 消化器官が未熟
胃や腸の働きが未熟なため、生魚のタンパク質や脂肪をうまく消化できず、腹痛や下痢の原因になることがあります。特に脂の多いトロやサーモンは負担が大きくなります。
③ 奥歯が生えそろい、噛み切れるようになる
意外と見落とされがちですが、刺身は弾力があり、噛み切りにくい食材です。奥歯が生えそろうのは3歳頃。それまでは噛み切れないまま飲み込もうとして、のどに詰まらせる危険があります。
3歳前後の発育の目安は「3歳児の月齢別平均身長・体重を公開!背を伸ばすために家庭でできること」「4歳児の発育の目安まとめ|平均身長・体重と成長を促す生活習慣」もご参照ください。なお、「何歳から」で迷う食品は刺身だけではありません。「チョコレートは何歳から食べれる?3歳が目安の理由と適量」もあわせてどうぞ。
長田医師の臨床コメント②|「大人と同じになるのは12歳過ぎです」
「あまり知られていないのですが、私が保護者の方に必ずお伝えするのが、"食中毒への抵抗力が大人とほぼ同じになるのは12歳過ぎ頃"という事実です。これを聞くと、皆さん驚かれます。"3歳で大丈夫になるんじゃないんですか?"と。違うんです。3歳は"少量なら始められる"という目安であって、"大人と同じ"では決してない。小学生でも、大人が平気なものでお腹を壊すことがあります。ですから、3歳で刺身を始めたあとも、"新鮮なものを""少量で""体調のいい日に"という原則は、しばらく続けてあげてほしい。特に夏場は要注意です。子どもの体は、見た目より、ずっと繊細ですから」
【最重要】わさび・酢・醤油では、アニサキスは死にません

公的機関が「迷信」と明言しています
ここが、この記事で最もお伝えしたい部分です。
厚生労働省・農林水産省は、はっきりとこう述べています。
一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキス幼虫は死滅しません
「酢で〆れば大丈夫」「わさびの殺菌効果でアニサキスも死ぬ」「醤油の塩分で死ぬ」は根拠がありません
さらに、「噛めば大丈夫」も間違いです
農林水産省は「噛めば大丈夫、というわけではありません」と明記しています。
アニサキス幼虫は表面がなめらかで丈夫、かつ細い糸のような形状のため、噛み切ることは困難だからです。しかも、どこに潜んでいるか目視でも分かりません。
アニサキスを死滅させる、たった2つの方法
方法 | 条件 |
|---|---|
冷凍 | −20℃で24時間以上 |
加熱 | 70℃以上(瞬時)/60℃なら1分 |
【注意】家庭用冷凍庫では足りない場合があります
家庭用の冷凍庫は−18℃前後の設定が一般的です。つまり、「−20℃で24時間」という条件を満たさない可能性があります。「家で凍らせたから大丈夫」とは考えないでください。
アニサキスが寄生する魚
サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、ヒラメ、マグロ、イカなど。魚の鮮度が落ちると、内臓から筋肉へ移動することが知られています。
症状
食後1時間〜数日(多くは12時間以内)に、激しいみぞおちの痛み、吐き気、嘔吐。じんましんやアナフィラキシーなどのアレルギー症状を起こすこともあります。
激しい腹痛があれば、すぐに医療機関を受診してください。
なお、これらのリスクは大人にも等しく当てはまります。「子どもだから危ない」のではなく、「子どもは重症化しやすい」というのが正確な理解です。ご家族全員で、鮮度と冷凍・加熱を意識してください。
長田医師の臨床コメント③|「わさびで死ぬなら、誰も苦労しません」
「これは、本当に多くの方が誤解されている点です。"わさびをつけているから大丈夫"、"酢で〆てあるから平気"――残念ながら、これは迷信です。厚生労働省も農林水産省も、はっきりと"死滅しません"と書いています。そして、もうひとつ。"よく噛めば大丈夫"も違います。アニサキスは表面がなめらかで丈夫なので、噛み切ることは難しいんです。確実に死滅させる方法は、−20℃で24時間以上の冷凍か、しっかりした加熱。この2つだけ。そして、ここが盲点なのですが、家庭用の冷凍庫は−18℃前後です。つまり、条件を満たしていない可能性がある。"うちで一晩凍らせたから安心"は、通用しないことがあるんです。だからこそ、お子さんに与えるなら、信頼できるお店の"生食用"を選んでください」
アニサキス以外のリスク|4つ

① 細菌による食中毒
腸炎ビブリオなどの細菌は、生の魚介類で増殖します。子どもは重症化しやすく、脱水に陥りやすいため注意が必要です。
② ヒスタミン食中毒(アレルギーと間違えやすい)
赤身魚や青魚は、鮮度が落ちるとヒスタミンが増加します。食後すぐに口の周りが赤くなる、じんましん、頭痛、下痢――これはアレルギーではなくヒスタミン食中毒かもしれません。
③ アレルギー(特に魚卵)
いくら・とびこ・たらこなどの魚卵は、アレルギーを発症しやすい食品です。しかも1〜3歳は新規の食物アレルギー発症が多い時期。魚卵は3歳以降、少量から試してください。
なお、鶏卵アレルギーと魚卵アレルギーはアレルゲンが別物です。鶏卵が大丈夫でも、魚卵が大丈夫とは限りません。逆に、鶏卵アレルギーがあるからといって、魚卵を避ける必要もありません。魚を食べたがらないお子さんについては「偏食とは?好き嫌いとの違い・原因と正しい対処法」もご参照ください。
④ 大型魚の水銀と、醤油の塩分
マグロなど大型の魚には、メチル水銀が蓄積しやすいことが知られています。食物連鎖の上位にいる魚ほど濃度が高くなるためです。幼児には少量にとどめ、頻繁に与えないようにしましょう。白身魚やサーモンのほうが、この点では安心です。
また、3〜5歳の1日の食塩の目標量は3.5g未満です。醤油のつけすぎには注意してください。小皿に少量だけ出し、たっぷりつけないよう大人が調整してあげましょう。お子さんの体格の評価は「カウプ指数とは?計算式・計算方法と年齢別の基準値一覧」「ローレル指数とは?計算式・計算方法と基準値一覧」もご参照ください。
長田医師の臨床コメント④|「じんましんが出ても、アレルギーとは限りません」
「『刺身を食べたらじんましんが出たので、魚アレルギーだと思います』というご相談を受けることがあります。でも、必ずしもそうとは限らないんです。赤身魚や青魚は、鮮度が落ちるとヒスタミンという物質が増える。これを食べると、アレルギーそっくりの症状――口の周りの赤み、じんましん、頭痛――が出るんです。これを"ヒスタミン食中毒"といいます。アレルギーではなく、食中毒。ですから、症状が出たら、"アレルギーだ"と自己判断せず、必ず受診してください。アレルギーなら一生その魚を避ける必要がありますが、ヒスタミン食中毒なら、新鮮なものを選べば食べられる。この違いは、お子さんの食生活を大きく左右します。血液検査で調べられますから、ぜひ確認してください」
【成長専門医の視点】刺身を食べなくても、栄養は足ります

魚は、成長に必要な栄養の宝庫です
たしかに魚は素晴らしい食材です。
良質なタンパク質(骨と筋肉の材料)
ビタミンD(カルシウムの吸収に必須)
DHA・EPA(脳と神経の発達)
研究でも、魚をよく食べる子どもの神経発達によい関連があることが繰り返し報告されています。
でも、「生」である必要は、まったくありません
ここが最も重要です。
焼き魚でも、煮魚でも、これらの栄養素はしっかり摂れます。むしろ、加熱すればアニサキスも細菌も死滅するため、安全性は圧倒的に高いのです。
「刺身を食べさせないと、栄養が足りないのでは」――そんな心配は、まったく不要です。
成長に必要な栄養については「子どもの身長を伸ばす食べ物とは?骨を育てる5大栄養素と食事メニュー」「骨を強くする食べ物・飲み物を解説」もご参照ください。魚が苦手なお子さんは、卵・肉・大豆・乳製品からタンパク質を、きのこ類からビタミンDを補うこともできます。ひとつの食材にこだわる必要はありません。
サプリで補おうと考える前に
「魚を食べないから、DHAのサプリを」と考える方もいますが、子どものサプリメントには注意が必要です。「「背が伸びるサプリ」は本当に効果がある?身長を伸ばす栄養素と医学的な事実」「亜鉛サプリで身長は伸びる?医学的根拠と過剰摂取の危険性」で、効果と限界を正直に解説しています。まずは普段の食事からが基本です。
長田医師の臨床コメント⑤|「刺身を食べなくても、お子さんは立派に育ちます」
「成長を専門に診ている立場から、この記事で一番お伝えしたいのがこれです。"刺身を食べさせないと栄養が足りない"――そんなことは、絶対にありません。『周りの子はもうお寿司を食べているのに、うちの子はまだで…』と焦る保護者の方がいます。でも、焦る理由がまったくないんです。魚に含まれるタンパク質もビタミンDもDHAも、焼き魚で、煮魚で、しっかり摂れます。しかも加熱すれば、アニサキスも細菌も死ぬ。つまり、"より安全に、同じ栄養が摂れる"。刺身は"栄養のため"ではなく、"食の楽しみのため"のもの。だから、お子さんが3歳になっても、5歳になっても、"まだいいかな"と思うなら、それでいいんです。刺身は逃げません。一生楽しめます。焦らないでください」
種類別|安全な進め方
おすすめの順番
順番 | 種類 | 目安 |
|---|---|---|
1 | 白身魚(タイ・ヒラメ) | 3歳頃〜/脂質が少なく消化しやすい |
2 | 赤身魚(マグロ赤身・カツオ) | 3歳頃〜/トロは脂が多く負担大 |
3 | 青魚(アジ・イワシ・サバ) | 小学校入学以降が安心 |
注意が必要なもの
種類 | 注意点 |
|---|---|
イカ・タコ・貝類 | 噛み切りにくく窒息リスク。3歳半頃から、細かく切って |
いくら・魚卵 | 3歳以降。アレルギー・塩分過多に注意 |
ネギトロ | 複数の魚種が混ざり、酸化しやすい。リスク高 |
生牡蠣 | 大人でも食中毒が多い。幼児期は避ける |
サーモン | 脂質が多く消化に負担。少量に |
マグロ(トロ) | 脂質・水銀ともに注意。赤身を少量 |
回転寿司でのおすすめ
「家族でお寿司に行くけれど、子どもには何を頼めばいい?」――そんなときは、加熱されたネタが安心です。
卵焼き、穴子(加熱済み)、えび(ゆでたもの)
かっぱ巻き、納豆巻き
茶碗蒸し、うどん
「生魚を食べられなくても、お寿司屋さんは十分に楽しめます。」無理に生ものに挑戦させる必要はありません。お子さんが食べ物を嫌いにならないことのほうが、ずっと大切です。甘いものとの付き合い方は「チョコレートは何歳から食べれる?3歳が目安の理由と適量」、成長ホルモンと睡眠の関係は「成長ホルモンとは?増やす方法と注射(効果・費用・デメリット)を徹底解説」もあわせてご参照ください。
長田医師の臨床コメント⑥|「青魚は、あえて急がなくていい」
「種類別で私が特に慎重にお伝えするのが、青魚――アジ、イワシ、サバです。理由は3つ。アレルギーが出やすい、傷みやすい(ヒスタミン食中毒のリスク)、そしてアニサキスが多い。特にサバは、大人でもアニサキスの食中毒事例が非常に多い魚です。ですから私は、"青魚の刺身は、小学校に入ってからでも遅くないですよ"とお伝えしています。白身魚や赤身魚で十分、生魚の楽しさは味わえます。それと、イカやタコ。これは意外な落とし穴で、噛み切れないまま飲み込んで、のどに詰まらせる事故が起こりうる。与えるなら、必ず細かく切って、飲み込むまで大人がそばで見ていてください。食中毒より先に、窒息のほうが怖い場合もあるんです」
初めて食べさせるときの5つのルール

① 3歳を過ぎてから、少量(一口)だけ
いきなり何切れも与えないでください。まずは一口から。
② 新鮮な「生食用」を、購入した当日に
「生食用」の表示があるものを選び、買った日のうちに食べきってください。残ったら加熱調理に切り替えましょう。
③ 体調のよい日に
疲れているとき、体調が悪いときは免疫力が落ちています。元気な日を選んでください。
④ 【重要】平日の日中に
万が一アレルギー症状や食中毒が起きたとき、すぐに医療機関を受診できる時間帯を選びましょう。夜や休日の前は避けてください。
⑤ 1種類だけを試す
複数を同時に試すと、何が原因か分からなくなります。1回に1種類が原則です。
そして、成長は「線」で見てください
食べられるものが少なくても、成長曲線に沿って身長・体重が増えているなら、心配は要りません。月に一度、身長と体重を測って母子健康手帳に記録する。その「線」こそが、お子さんの体が発している最も正直なメッセージです。「身長が伸びない子の特徴とは?早熟・肥満との関係と親が気づくべきサイン」「成長スパートはいつ来る?子どもの身長が爆発的に伸びる時期と見逃せないサイン」もご参照ください。
無理に食べさせないこと
お子さんが嫌がるなら、無理強いは絶対にしないでください。「食べなさい」という圧力は、かえってその食べ物を嫌いにさせることが研究で示されています。「偏食とは?好き嫌いとの違い・原因と正しい対処法|「食べなさい」が逆効果である理由」もご参照ください。
長田医師の臨床コメント⑦|「初めての生ものは、必ず"平日の日中"に」
「5つのルールの中で、私が特に強調したいのが"平日の日中に"ということです。これは、多くの方が見落とされます。『日曜日の夜、家族でお寿司を食べに行って、そこで子どもに初めて刺身を——』これは、私からするとかなり危ない。なぜなら、万が一アレルギー症状や食中毒が起きたとき、多くの医療機関が閉まっているからです。じんましんだけで済めばいいですが、呼吸が苦しくなるようなことがあれば、一刻を争います。ですから、初めての生ものは、必ず"病院が開いている平日の日中"に、少量、1種類だけ。これは刺身に限らず、初めての食材すべてに言えることです。少しの段取りで、防げるリスクがあります。ぜひ覚えておいてください」
「うちの子も治療できる?」と思われた方へ
子どもの身長について、ほかの記事もお探しの方は 子どもの身長コラム テーマ別インデックス(134本) からどうぞ。
平均より低いとき、家で確認できること
「平均と比べて何cm低いか」という点よりも、「去年から何cm伸びたか」という線の傾きのほうが大事です。平均の帯と同じ傾きで上がっていれば、低めでも順調です。
目安は、思春期前で年4cm未満が2年続いたら一度確認したほうがいい、というところです。
下の3つは、ご家庭で確かめられます。
成長曲線 自動計算グラフ|身長と体重を入れるだけで、SDとパーセンタイルが出ます
身長予測の計算|今の身長から最終身長の目安を出します
遺伝身長(目標身長)の計算|ご両親の身長から、落ち着く幅を出します
刺身は何歳からに関するよくある質問(Q&A)
Q1. 刺身は何歳から食べれますか?
3歳頃が目安です。ただし国の明確な基準はありません。免疫・消化・噛む力がそろってくるのが3歳頃、という目安です。
Q2. わさびをつければアニサキスは大丈夫?
いいえ。厚生労働省・農林水産省は「食酢・塩漬け・醤油・わさびでは死滅しない」と明記しています。「わさびで死ぬ」は迷信です。
Q3. よく噛めば大丈夫?
いいえ。農林水産省は「噛めば大丈夫、というわけではありません」と明記。アニサキスは表面がなめらかで丈夫なため、噛み切ることは困難です。
Q4. 家の冷凍庫で凍らせれば安全?
不十分な可能性があります。アニサキスの死滅には−20℃で24時間以上が必要ですが、家庭用冷凍庫は−18℃前後の設定が一般的です。
Q5. 2歳で少し食べてしまいました。
少量なら過度な心配は不要です。腹痛・嘔吐・下痢・じんましんがないか様子を見てください。激しい腹痛があれば、すぐに受診を。
Q6. 刺身を食べないと栄養が足りませんか?
まったく問題ありません。タンパク質・ビタミンD・DHAは、焼き魚や煮魚で十分に摂れます。むしろ加熱したほうが安全です。
Q7. サバの刺身は?
サバはアニサキスの食中毒事例が非常に多い魚です。アレルギー・ヒスタミン食中毒のリスクもあり、青魚の刺身は小学校入学以降が安心です。
Q8. シンセルクリニックでは何ができますか?
お子さんの成長曲線・骨年齢を含めた成長の評価、身長や栄養に関するご相談に対応しています(自由診療)。無料カウンセリングでご相談ください。
まとめ|急がなくて、大丈夫です
刺身の目安は3歳頃から(国の明確な基準はない)
根拠は「3歳未満は生魚を避ける」というANSESの提言(食品安全委員会が紹介)
3歳の理由は免疫・消化・奥歯(噛む力)
食中毒への抵抗力が大人並みになるのは12歳過ぎ
わさび・酢・醤油ではアニサキスは死なない(公的機関が明言)
噛んでも死なない
死滅条件は−20℃で24時間以上/70℃以上の加熱のみ
家庭用冷凍庫(−18℃前後)では不十分な場合がある
青魚・イカ・タコ・魚卵・生牡蠣はさらに慎重に
初めては少量・新鮮・体調のよい日・平日の日中・1種類だけ
刺身を食べなくても、栄養は足ります
刺身は「栄養のため」ではなく「食の楽しみのため」の食べ物です。焼き魚や煮魚で、同じ栄養が、より安全に摂れます。周りのお子さんがもう食べていても、焦る必要はまったくありません。3歳を過ぎ、奥歯が生えそろい、体調のよい日に、新鮮な白身魚を一口から。それで十分です。刺身は逃げません。お子さんが安全に楽しめる日を、ゆっくり待ってあげてください。
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参考文献
Hibbeln JR, Davis JM, Steer C, et al. Maternal seafood consumption in pregnancy and neurodevelopmental outcomes in childhood (ALSPAC study): an observational cohort study. Lancet. 2007;369(9561):578-585.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17307104/Nel L, Emmett PM, Golding J, Taylor CM. Seafood intake in children at age 7 years and neurodevelopmental outcomes in an observational cohort study (ALSPAC). Eur J Nutr. 2025;64(3):120.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40064696/Darling AL, Rayman MP, Steer CD, et al. Association between maternal vitamin D status in pregnancy and neurodevelopmental outcomes in childhood (ALSPAC). Br J Nutr. 2017;117(12):1682-1692.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28697816/Taylor CM, Emmett PM. Picky eating in children: causes and consequences. Proc Nutr Soc. 2019;78(2):161-169.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30392488/Samuel TM, Musa-Veloso K, Ho M, et al. A Narrative Review of Childhood Picky Eating and Its Relationship to Food Intakes, Nutritional Status, and Growth. Nutrients. 2018;10(12):1992.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30558328/厚生労働省「アニサキスによる食中毒を予防しましょう」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000042953.html農林水産省「海の幸を安全に楽しむために~アニサキス症の予防~」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/f_encyclopedia/anisakis.html厚生労働省「乳幼児身体発育調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/73-22.html
医師監修記事

長田 直祥
(おさだ なおき)
シンセルクリニック 低身長治療センター医師
大阪医科薬科大学卒業。豊田厚生病院、中東遠総合医療センター、国立長寿医療研究センター、名古屋大学整形外科などで整形外科医としての経験を積み、現在はシンセルクリニック低身長治療センターで、お子さまの成長・低身長治療に携わる。日本整形外科学会所属。
医師プロフィールはこちら
大阪医科薬科大学卒業。豊田厚生病院、中東遠総合医療センター、国立長寿医療研究センター、名古屋大学整形外科などで整形外科医としての経験を積み、現在はシンセルクリニック低身長治療センターで、お子さまの成長・低身長治療に携わる。日本整形外科学会所属。
医師プロフィールはこちら
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