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特発性大腿骨頭壊死症とは?...

特発性大腿骨頭壊死症とは?原因から治療まで医師が徹底解説!

2025.03.18

院長監修記事

シンセルクリニック総院長 武内の顔写真

武内 晋司郎

(たけうち しんじろう)

シンセルクリニック総院長

三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

股関節の痛み、特に足の付け根の痛みは、日常生活に大きな支障をきたします。

もしかしたら、「特発性大腿骨頭壊死症」という病名を耳にしたことがあるかもしれません。

この病気は、股関節の骨の一部が壊死してしまう病気で、初期症状は自覚しにくいことも多く、放置すると歩行困難にまで進行する可能性があります。

近年、30代~50代の男性に増加傾向にあるこの病気は、一体何が原因で、どのように治療していくのでしょうか?

この記事では、特発性大腿骨頭壊死症の原因から治療法まで、医師が詳しく解説します。ぜひ最後まで読んで、この病気について理解を深めてください。

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特発性大腿骨頭壊死症とは?

「特発性大腿骨頭壊死症」という病名、あまり聞き慣れないかもしれません。

初めてこの病名を告げられた方は、一体どんな病気なのか、原因は何か、これからどうなるのかと不安でいっぱいだと思います。

この病気は、股関節の一部である大腿骨頭への血流が滞り、骨が壊死してしまう病気です。「壊死」と聞くと怖いイメージを持つかもしれませんが、初期段階では自覚症状がない場合も少なくありません。しかし、進行すると股関節に痛みが出て、日常生活に支障をきたすこともあります。

この見出しでは、特発性大腿骨頭壊死症の概要と原因について、できるだけ分かりやすく解説します。

私たちの骨は、血液という栄養が供給されなければ、正常に機能しなくなります。

骨頭壊死とは何か?そのメカニズムを解説

大腿骨頭壊死は、骨の細胞が血液不足で栄養を受け取れなくなり、骨が壊れてしまう状態です。

例えるなら、みずみずしい果物が乾燥してカスカスになるようなイメージです。

新鮮なリンゴと、数日置いてしなびたリンゴを思い浮かべてみてください。新鮮なリンゴはハリがあって瑞々しいですが、しなびたリンゴは水分が失われて縮み、色も悪くなります。骨も栄養が供給されなくなると、同じように弱って壊れやすくなるのです。

正常な骨では、骨を作る細胞(骨芽細胞)と骨を壊す細胞(破骨細胞)がバランスよく働いています。

しかし、血液供給が断たれると、骨芽細胞が働かなくなり、破骨細胞の活動が活発化します。このバランスの崩壊が、骨の構造を弱体化させ壊れやすくするのです。

主な原因:ステロイド使用とアルコール摂取

特発性大腿骨頭壊死症の主な原因は、ステロイドの使用過度のアルコール摂取です。

ステロイドは炎症を抑える薬で、喘息やリウマチなど様々な病気の治療に用いられます。

しかし、長期間にわたって大量に服用すると、骨の細胞に悪影響を及ぼし、壊死のリスクを高める可能性があります。これは、ステロイドが骨を作る細胞の働きを弱め、骨を壊す細胞の働きを強めるためです。

私の患者さんの中にも、喘息の治療で長期間ステロイドを服用していた方が、大腿骨頭壊死を発症したケースがありました。

ステロイド注射の副作用とは?? 詳しくはこちら↓↓

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また、アルコールも骨の細胞にダメージを与え、血流を悪くする作用があります。

過剰に摂取すると、骨への栄養供給が滞り、大腿骨頭壊死症のリスクを高めます。特に、毎日大量のアルコールを摂取する方は注意が必要です。

その他にも、膠原病、血液凝固異常、外傷なども危険因子として挙げられます。

膠原病は、体の免疫システムが自分自身の組織を攻撃してしまう病気で、血管の炎症を引き起こし、血流を阻害する可能性があります。血液凝固異常は、血液が固まりやすくなる状態で、これも血流を悪くする原因となります。外傷は、股関節への強い衝撃が原因で血流が途絶え、骨壊死を引き起こすことがあります。

関節リウマチについて詳しく知りたい方併せてお読みください↓↓

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発症する年齢・性別とは?

特発性大腿骨頭壊死症は、30歳~50歳代に多く発症し、男性の方が女性よりも発症しやすい傾向があります

特に40歳代の男性は注意が必要です。年間の新規患者数は2,000~3,000人と推定されています。

小児期に発症する特発性大腿骨頭壊死症は、レッグ・カルヴェ・ペルテス病と呼ばれます。この病気は、股関節の痛みだけでなく、膝や太ももの痛みとして現れることもあります。そのため、初期症状を見逃さないように、股関節だけでなく、膝や太ももに痛みがある場合も注意が必要です。軽度から重度まで、股関節の状態は様々であり、早期発見と適切な治療が重要です。

特発性大腿骨頭壊死症の初期症状とは?

特発性大腿骨頭壊死症は、初期には自覚症状がないことが多く、知らないうちに病気が進行している場合も少なくありません。しかし、病気が進行すると股関節に痛みや違和感が出てきます。この痛みは、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。

早期発見・早期治療が重要となるため、少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。

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骨頭壊死とはどんな痛み?

特発性大腿骨頭壊死症の最も代表的な症状は、股関節の痛みです。

健康な状態では、股関節は滑らかに動き、痛みを感じることはありません。しかし、大腿骨頭が壊死すると、骨の表面が粗くなり、スムーズな動きが阻害されます。これが痛みの原因です。

この痛みは、急に現れることが多く、最初は安静にしていると改善する傾向があります。例えば、朝起きた時に股関節が痛くても、少し動いているうちに痛みが和らいでくる、といったケースです。

これは、安静にしていると炎症が一時的に鎮静化するためです。しかし、再び股関節に負荷がかかると、炎症が再燃し、痛みもぶり返します。

私の患者さんの中にも、「最初は立ち上がりや歩き始めだけ痛かったけれど、最近は常に痛みを感じるようになった」と訴える方がいらっしゃいます。

病気が進行すると、安静にしていても痛みが続くようになり、歩行や階段の上り下り、椅子からの立ち上がりなどが困難になってきます。

症状の進行段階

痛みの特徴

初期

急に現れる痛み、安静で改善、立ち上がりや歩き始めなど、動作の開始時に痛みが強いことが多い

中期

安静時にも痛み、動作で増悪、長時間の歩行や立位が困難になる

末期

常に激しい痛み、日常生活に大きな支障、歩行困難や寝たきりになる可能性もある

痛みは、股関節だけでなく、太ももやお尻、鼠径部(そけいぶ:太ももの付け根)に広がることもあります。

これは、痛みを伝える神経が複雑に絡み合っているためです。また、痛みの程度も人によって異なり、軽い痛みから激しい痛みまで様々です。

腰痛や膝痛との関係は?

特発性大腿骨頭壊死症では、股関節だけでなく、腰や膝に痛みを感じる人もいます。

これは、股関節の動きが悪くなることで、腰や膝に負担がかかることが原因です。

例えば、股関節が痛むと、無意識のうちに痛みをかばうような歩き方になり、その結果、腰や膝に負担がかかり、痛みを引き起こすことがあります。

また、前述のように、大腿骨頭壊死症の初期症状は、腰痛や膝痛として現れる場合もあります。腰痛や膝痛の原因は様々であり、必ずしも大腿骨頭壊死症が原因であるとは限りません。

他の疾患の可能性も考慮しながら、医師に相談し、適切な検査を受けることが大切です。レントゲンやMRI検査を行うことで、正確な診断を受けることができます。

症状の進行と見逃しやすいサイン

特発性大腿骨頭壊死症は、ゆっくりと進行していくため、初期の症状を見逃しやすい病気です。

特に、安静時に痛みが軽減するため、「疲れかな?」「歳のせいかな?」と思って放置してしまう人も少なくありません。

しかし、放置すると症状は徐々に悪化し、最終的には歩行困難や寝たきりになってしまう可能性もあります。

見逃しやすいサインとしては、以下のようなものがあります。

  • 股関節の違和感:痛みではなく、なんとなく違和感がある

  • 股関節の可動域制限:足を大きく開いたり、閉じたりすることが難しくなる。これは、壊死によって関節の動きが制限されるためです。

  • 跛行(はこう):足を引きずるように歩く。これは、痛みをかばうために、無意識に足を庇うような歩き方になるためです。

これらの症状は、初期の段階では軽微であることが多く、日常生活に大きな支障がないため、見過ごされがちです。

しかし、これらの症状に気づいたら、早めに医療機関を受診することが重要です。早期発見・早期治療によって、症状の進行を食い止め、日常生活への影響を最小限に抑えることができます。

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特発性大腿骨頭壊死症の診断方法

股関節の痛み、特に足の付け根の痛みは、日常生活に大きな支障をきたします。もしあなたがこのような痛みを抱えているなら、もしかしたら特発性大腿骨頭壊死症かもしれないという不安が頭をよぎるかもしれません。

この病気は早期発見と適切な診断が非常に重要です。どのように診断が行われるのか具体的に説明します。一緒に確認していきましょう。

診断に重要な画像検査:レントゲンとMRI

特発性大腿骨頭壊死症の診断には、画像検査が不可欠です。レントゲン検査とMRI検査は、この病気の診断に極めて重要な役割を果たします。

レントゲン検査は、骨の状態を直接確認できるため、壊死の有無や範囲を大まかに把握するのに役立ちます。骨の密度や形状の変化を捉えることができます。

一方、MRI検査は、レントゲンよりもさらに詳細な情報を得られる検査です。強力な磁場と電波を利用して、体の内部を鮮明に映し出します。これは、初期段階の骨壊死や、骨の周りの組織の状態まで確認できる、非常に強力なツールです。

例えば、初期の骨壊死はレントゲン写真では見つけるのが難しい場合があります。これは、骨の壊死が始まったばかりの頃は、骨の形はまだ変わっていないからです。例えるなら、リンゴの表面は傷んでいなくても、内部が腐り始めているような状態です。レントゲンでは表面しか見えないため、この時点での診断は困難です。

しかし、MRI検査では、骨の中の水分量の変化などを捉えることができるため、レントゲン検査で見つけることができない初期の骨壊死でも発見できる可能性があります。これは、腐りかけのリンゴの内部の水分量の変化を検出するようなイメージです。

私の経験では、レントゲンでは異常が見られなかった患者さんが、MRI検査で初期の骨壊死と診断されたケースが数多くあります。早期発見のためには、MRI検査が非常に有効です。

また、MRI検査では、壊死の範囲だけでなく、骨の周りの筋肉や軟骨の状態も確認することができます。これらの情報は、治療方針を決定する上で非常に重要です。

MRI検査について詳しく知りたい方併せてお読みください↓↓

MRI検査を受ける際に気を付けるべきことについて

特発性大腿骨頭壊死症の治療法解析

特発性大腿骨頭壊死症と診断された後、どのような治療法があるのか、ご自身の状況に合った治療法は何か、きっと不安に思っていらっしゃるでしょう。

この見出しでは、保存療法から最新の再生医療まで、それぞれの治療法について、具体例を交えながら詳しく解説します。

保存療法:リハビリと鎮痛剤の使い方

保存療法は、病気が初期段階で、痛みが軽度の場合や、手術が難しい場合に選択されることが多いです。手術を行わずに、痛みを管理し、日常生活の質を維持することを目標とします。

保存療法の中心となるのは、リハビリ薬物療法です。

生活指導では、まず体重管理が重要です。体重が増えると股関節への負担が増し、症状が悪化しやすくなります。肥満は、壊死した骨への負担を増大させ、まるで風化した岩にさらに重りを乗せるように、骨の崩壊を加速させかねません。

毎日決まった時間に30分のウォーキングを習慣づけるなど、無理なく続けられる運動を生活に取り入れることが大切です。

次に、運動療法も重要です。股関節の周りの筋肉を鍛えることで、関節の安定性を高め、痛みを軽減することができます。ストレッチや水中ウォーキングなど、股関節に負担の少ない運動を行いましょう。

股関節のストレッチについて詳しくご覧ください↓↓

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杖や歩行器などの装具療法も、股関節への負担を軽減し、歩行をサポートします。症状やライフスタイルに合わせて、適切な装具を選びましょう。初期段階では杖を使用し、痛みが強い時期には車椅子を使うなど、状況に応じて使い分けることが大切です。

杖について詳しくご覧ください↓↓

変形性股関節症の杖の使い方、選び方とは??医師が解説

薬物療法では、痛みを抑えるために鎮痛剤が処方されます。痛みは日常生活の質を低下させるだけでなく、精神的なストレスにもつながります。痛みを我慢し続けると、日常生活の活動性が低下し、QOL(生活の質)の悪化につながる可能性があります。痛みを感じたら我慢せずに医師に相談し、適切な薬物療法を受けましょう。

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手術療法:骨切り術と人工関節の選択肢

保存療法で効果が得られない場合や、壊死が進行している場合は、手術療法が選択されます。手術療法には、大きく分けて骨切り術人工関節置換術の2種類があります。

骨切り術は、骨を切って関節の形を変えることで、壊死した部分への負担を減らし、痛みを軽減する手術です。比較的若い患者さんや、壊死の範囲が限られている場合に適応となります。

人工関節置換術は、損傷を受けた関節を人工関節に置き換える手術です。

人工関節には、耐久性に優れた金属やセラミック、プラスチックなどが使用されています。

人工関節には、一定の寿命があるため、将来的に再手術が必要になる可能性があります。高齢の患者さんや、壊死が進行している場合に適応となることが多いです。人工関節は、まるで歯の詰め物のように、長持ちはしますが永遠に使えるわけではありません。

人工股関節置換術について詳しく知りたい方併せてお読みください↓↓

人工股関節置換術の仕事復帰はどれくらい?医師が解説

最新の再生医療:幹細胞治療の可能性

近年、再生医療が注目されており、特発性大腿骨頭壊死症の治療も始めています。幹細胞治療は、患者さん自身の幹細胞を培養し、患部に注入することで、組織の再生を促す治療法です。

幹細胞は様々な細胞に分化する能力を持つため、骨や軟骨の再生を促進し、関節機能の改善効果が期待されています。

今までの治療では、薬で痛みが抑えられなくなった場合には手術をするしかないと言われていました。

そのため、日常生活においても膝に負担がかからないように気をつけ、痛みが出たら痛み止めを服用し、痛みのコントロールが重要でした。しかし、最近では再生医療が注目されています。

当院の再生医療を受け方のインタビュー動画はこちらをご覧ください↓↓

手術との違い 

再生医療では、修復が不可能と言われている軟骨を新たに再生させていく画期的な治療法です。

この再生医療では手術を行いませんので、身体への侵襲が少ない治療となります。人工関節の手術を実施した場合には、侵襲するため以前のお体の状態に戻るのに長い期間がかかりますが、 再生医療は侵襲が少ない治療法のため、 すぐに体の状態を回復させることができます。

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記事監修医師

記事監修 シンセルクリニック

院長 武内晋司郎

参考文献

  1. Schwert A. "[Legg-Calvé-Perthes disease]." Radiologie (Heidelberg, Germany) 63, no. 10 (2023): 736-744.

  2. Divi SN, Bielski RJ. "Legg-Calvé-Perthes Disease." Pediatric annals 45, no. 4 (2016): e144-9.

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