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【整形外科医が解説】ヒアルロン酸注射が効かなくなった理由と次の一手|膝・肩・股関節の部位別対処法

2026.04.27

まずは動画をチェック⇊⇊

▶ 11分36秒・字幕付き|ヒアルロン酸注射の効果の限界と、切り替えを考える目安を解説

「最初は効いていたヒアルロン酸注射が、最近全然効かない」「毎週打っているのに痛みが戻るのが早くなってきた」——整形外科外来でこうした訴えを多くいただきます。

ヒアルロン酸注射は変形性関節症の代表的な保存療法ですが、長期使用で効果が薄れるのには医学的な理由があります。「効かなくなったから仕方ない」と諦める前に、なぜ効かなくなるのか・次に何ができるのかを整形外科医として正直にお伝えします。

そもそもヒアルロン酸注射はなぜ効くのか

そもそもヒアルロン酸注射はなぜ効くのか

ヒアルロン酸は健康な関節液に豊富に含まれる成分で、関節の潤滑・クッション機能を担います。変形性関節症が進むと関節液中のヒアルロン酸が減少・変性するため、注射で補充することで以下の効果が期待されます。

  • 潤滑効果:骨同士のこすれを軽減して動作時の痛みを和らげる

  • クッション効果:衝撃吸収能力を補う

  • 抗炎症効果:関節内の炎症性サイトカインを抑制する

  • 軟骨保護効果:軟骨細胞の代謝を保護する(エビデンスは限定的)

これらの効果は注射後数日〜数週間持続しますが、一定期間で体内に吸収されます。整形外科外来では原則2週間ごとに5回を1クールとして行うことが多いです。

ヒアルロン酸注射が効かなくなる3つの理由

理由①:関節の変形が進行した

変形性関節症はゆっくりと進行します。注射を繰り返している間にも軟骨の摩耗・骨の変形は続いており、「注射の効果」を上回るペースで「変形の進行」が起きると、相対的に効果が感じられなくなります。

特にグレードIII〜IVまで進行すると、ヒアルロン酸の潤滑・クッション効果を発揮できる関節の隙間自体が減少するため、効果が限定的になります。

理由②:体が反応しにくくなる(受容体の下方制御)

同じ刺激を繰り返すと、細胞の受容体が反応しにくくなるという現象があります。ヒアルロン酸注射を長期間繰り返すと、関節内の細胞がヒアルロン酸に対する反応性を下げる可能性が指摘されています(※1)。これが「最初は効いたのに最近効かない」という経過の説明のひとつです。

理由③:炎症の原因が「潤滑不足」以外にある

変形性関節症の痛みの原因は「軟骨のすり減りによる潤滑不足」だけではありません。滑膜炎(関節を覆う膜の炎症)・半月板損傷・軟骨下骨の病変・筋力低下による力学的ストレスなど複合的な原因があります。ヒアルロン酸注射は「潤滑補助」には働きますが、これらの原因への直接的なアプローチには限界があります。

効かなくなる理由

見分けるポイント

次の対処

関節変形の進行

X線で関節裂隙がさらに狭小化している

より強いアプローチ(再生医療・手術)を検討

受容体の反応低下

同じ注射でも効果期間が短くなってきた

注射の種類変更・一定期間休止後に再開

炎症原因が複合的

安静時痛・夜間痛が出てきた

滑膜炎にはステロイド注射・再生医療を検討

何回目から効かなくなる?目安と判断基準

何回目から効かなくなる?目安と判断基準

「何回打てば効果がなくなるか」という明確な基準は個人差が大きいですが、整形外科医として以下の目安を参考にしてください。

  • 1クール(5回)で改善を感じない場合:その後の継続効果は期待しにくい

  • 効果の持続期間が毎回短くなってきた場合:次の選択肢を検討するタイミング

  • 1〜2年以上継続しても症状が一向に改善しない場合:根本的な治療法の見直しが必要

日本整形外科学会の変形性膝関節症診療ガイドラインでも、保存療法を3〜6ヶ月継続しても効果が不十分な場合は治療法の見直しを検討することが示されています(※2)。

部位別:ヒアルロン酸が効かなくなった後の次の選択肢

部位別:ヒアルロン酸が効かなくなった後の次の選択肢

膝(変形性膝関節症)

膝はヒアルロン酸注射が最も多く使われる部位です。効果が薄れてきた場合の選択肢は以下のとおりです。

  • ステロイド関節内注射:滑膜炎が強い場合に即効性がある。ただし繰り返しは腱板を傷める可能性があるため年3〜4回以内が目安

  • PRP療法:自分の血液から成長因子を濃縮して注射。炎症抑制と修復促進に働く

  • 幹細胞治療:より進んだ損傷に対して強いアプローチ。グレードII〜IIIに適応

  • 手術(骨切り術・人工関節):グレードIV・末期に検討

膝のヒアルロン酸注射の限界と次の選択肢については膝のヒアルロン酸注射が効かなくなったら?回数の限界・やめどき・次の選択肢を解説で詳しく解説しています。また変形性膝関節症への再生医療については変形性膝関節症の再生医療:手術を避ける「切らない」治療法もご覧ください。

肩(変形性肩関節症・腱板断裂)

肩へのヒアルロン酸注射も変形性肩関節症・腱板断裂後の炎症管理に使われます。効果が薄れてきた場合は以下を検討します。

  • ステロイド注射への切り替え(炎症が強い時期)

  • 再生医療(肩腱板断裂への幹細胞治療・PRP)

  • 超音波ガイド下での正確な注射部位の見直し

股関節(変形性股関節症)

股関節は関節が深いため超音波ガイド下での注射が必要です。ヒアルロン酸注射の効果が薄れた場合は変形の程度を画像で確認し、再生医療の適応や手術の必要性を評価します。股関節への再生医療については変形性股関節症の再生医療|手術を回避!費用や効果を医師が解説もご参照ください。

再生医療への切り替えを検討すべきタイミング

以下に1つでも当てはまる場合は、ヒアルロン酸注射の継続より再生医療を含む次の選択肢を整形外科医に相談することをお勧めします。

  • ヒアルロン酸注射を1〜2年以上続けているが症状が改善しない

  • 効果の持続期間が回を重ねるごとに短くなってきた

  • 安静時にも痛みが続くようになってきた(夜間痛・安静時痛)

  • X線で関節の隙間がさらに狭くなっていると言われた

  • 「手術しかない」と言われたが踏み切れない

「様子を見ましょう」と言われ続けている方の判断基準については「様子を見ましょう」と言われ続けている方へ|その言葉の3つの意味・次の行動もあわせてご覧ください。

ヒアルロン酸注射の種類と「変えると効果が戻る」ケース

「同じヒアルロン酸注射なのに種類がある」と知らない方も多いです。整形外科で使われるヒアルロン酸注射には分子量の違いがあり、高分子量(アルツ・ジョイントなど)と低分子量(スベニール・アデック等)があります。また回数・クール数も施設によって異なります。

「同じ薬を同じ方法で続けているのに効果が薄れた」という場合、分子量の異なる製品に変えることで一時的に効果が戻るケースがあります。ただしこれはあくまで一時的な対処であり、関節の変形が進んでいる場合は根本的な解決にはなりません。担当医に「別の種類のヒアルロン酸に変える選択肢があるか」を確認してみてください。

「ヒアルロン酸注射を続けながら再生医療を検討する」という段階的アプローチ

整形外科医として推奨するのは「ヒアルロン酸注射か・再生医療か」の二者択一ではなく、段階的なアプローチです。ヒアルロン酸注射を継続しながら再生医療の適応を確認し、効果が薄れてきた段階でPRP療法に切り替え、それでも改善しなければ幹細胞治療へとステップアップするという流れが合理的です。

PRP療法はヒアルロン酸注射と同様に日帰りで受けられますが、修復の信号を送る成長因子が含まれており、単なる潤滑補助以上の効果が期待されます。PRP療法とヒアルロン酸注射の違いについてはPRP-FD注射で絶対知っておきたいこととは?もご覧ください。

「ヒアルロン酸が効かなくなった」は治療を再考するチャンス

整形外科医として、ヒアルロン酸注射の効果が薄れてきたという状況を「治療の行き詰まり」ではなく「次のステップを考えるタイミング」として捉えていただきたいと思っています。関節の変形は進行し続けており、現状維持の治療で経過を見ているうちに、再生医療の効果が期待できる段階を過ぎてしまうケースがあります。「まだ何とかなっているから」という段階でこそ、次の選択肢を相談することが最善の結果につながります。シンセルクリニックでは「ヒアルロン酸注射の次を考えたい」という段階でのご相談を歓迎しています。MRIをお持ちでない方も初回カウンセリング無料でご相談いただけます。

現在は、薬物療法でも手術でもない「再生医療」という選択肢があります。

当院、シンセルクリニックは、この再生医療を専門に行っています。

再生医療のアプローチとは?

痛みをごまかすのではなく、「組織を修復する」ことを目指す治療です。

ご自身の脂肪から採取した幹細胞や、血液中の成分(PRP)を患部に注射します。

  1. 強力かつ持続的な抗炎症作用: ステロイドのような副作用なく、しつこい炎症を鎮めます。

  2. 組織環境の改善: 傷んだ組織の修復を促し、「痛みが出にくい膝や腰」へと体質改善を図ります。

手術を回避する再生医療について詳しくご覧ください↓↓

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ヒアルロン酸注射に関する最新のエビデンス:整形外科医の見解

ヒアルロン酸注射の有効性については、医学文献でも評価が分かれています。2015年のBMJ Open誌に掲載されたメタアナリシスでは、PRP療法とヒアルロン酸注射を比較した場合、PRPの方が変形性膝関節症の痛みと機能改善において優れた結果を示すことが報告されました(※4)。また長期的な効果(1年以上)ではヒアルロン酸の優位性が低下するという報告も複数あります。こうしたエビデンスの蓄積から、整形外科の標準治療における位置づけは「軽度〜中等度の変形性関節症への一時的な症状緩和」が適切な期待値と言えます。「ヒアルロン酸は何年打っても問題ない」ではなく、一定の効果が見られない場合は積極的に治療法を見直すことを整形外科医として推奨します。

ヒアルロン酸注射に関するよくある質問(FAQ)

ヒアルロン酸注射はやめると急に悪化しますか?

注射をやめることで急激に悪化することは通常ありません。ヒアルロン酸は体内に吸収されると痛みが戻ることがありますが、これは「注射をやめたから悪化した」のではなく「注射の効果がなくなった」だけです。やめるかどうかは症状と次の選択肢を踏まえて医師と相談することをお勧めします。

何年もヒアルロン酸注射を続けているが、副作用はありますか?

ヒアルロン酸自体は体内に元々ある成分のため、長期的な副作用は少ないとされています。ただし注射という処置に伴う感染リスク(極めてまれ)・注射後の一時的な腫れなどは常に存在します。何年も注射を続けているということは、その間に関節の変形が進んでいる可能性があります。現在の状態を画像で確認することをお勧めします。

自分の関節の状態が「再生医療の適応か」を知りたい場合は?

再生医療の適応は画像所見(X線・MRI)と症状の経過から判断します。シンセルクリニックでは初回カウンセリング(無料)で現在の状態を確認し、「PRP・幹細胞治療の適応があるか」「今の段階でヒアルロン酸注射を継続すべきか」を医師が正直にお伝えします。MRIをお持ちでない方も相談可能です。

ヒアルロン酸注射を続けながら並行してできること

ヒアルロン酸注射の効果が薄れてきた段階でも、注射の効果を高め・関節の悪化を遅らせるために日常生活でできることがあります。整形外科医として特に重要な3点をお伝えします。

第一は体重管理です。体重が1kg増えると膝関節への負荷は歩行時に約3〜4kg増加します。ヒアルロン酸の効果が薄れた段階で体重が増加していると、注射の潤滑効果を上回る機械的ストレスが関節に加わり続けます。5kgの体重減少が膝の痛みを有意に改善するというデータがあります。

第二は大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)の強化です。膝関節を支える大腿四頭筋の筋力が低下すると、関節面への圧力が増加します。椅子からゆっくり立ち上がる「スロースクワット」や仰向けでの片足上げが、膝に負荷をかけずに筋力を鍛える効果的な方法です。

第三は正座・深いしゃがみ込みの回避です。膝を深く曲げる姿勢は関節内圧を急激に上昇させます。日本的な生活習慣の洋式化(椅子座り・洋式トイレ)だけで、関節への負荷が大幅に軽減されます。変形性膝関節症でやってはいけない動作については変形性膝関節症でやってはいけないこと10選もあわせてご覧ください。

まとめ

  • ヒアルロン酸注射が効かなくなる主な理由:①変形の進行 ②受容体の反応低下 ③炎症原因が複合的

  • 1クールで改善なし・効果期間が短くなってきた・1〜2年継続で改善なしが次を考えるサイン

  • 次の選択肢:ステロイド注射・PRP療法・幹細胞治療・手術(部位と重症度で異なる)

  • 「ヒアルロン酸が効かなくなった=手術しかない」ではない。再生医療という第三の選択肢がある

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参考文献

  1. Trojian TH, et al. "Viscosupplementation for osteoarthritis of the knee." American Family Physician. 2016;94(6):471-478.

  2. 日本整形外科学会「変形性膝関節症診療ガイドライン 2023年版」https://www.joa.or.jp/

  3. Altman RD, et al. "Intra-articular injection of hyaluronic acid." Seminars in Arthritis and Rheumatism. 2000;30(2):81-93.

  4. Richette P, et al. "Hyaluronan for knee osteoarthritis." Annals of the Rheumatic Diseases. 2015;74(5):851-858.

  5. Trigkilidas D, Anand A. "The effectiveness of hyaluronic acid intra-articular injections in managing osteoarthritic knee pain." Annals of the Royal College of Surgeons of England. 2013;95(8):545-551.

院長監修記事

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武内 晋司郎

(たけうち しんじろう)

シンセルクリニック総院長

三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

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三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

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