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【医師監修】骨端線損傷とは?骨折との違い・治るまでの期間・身長が止まる心配を整形外科の医師が解説
「サッカーで足首をひねって、病院で『骨端線損傷』と言われました。骨折とは違うんですか?」
「骨端線を傷めたら、もう身長が伸びなくなると聞いて、夜も眠れません」
成長期のお子さんがけがをして受診し、聞き慣れない「骨端線(こったんせん)損傷」という言葉を告げられると、多くの親御さんが一気に不安になります。しかも、インターネットで調べると「身長が止まる」という言葉が並んでいて、余計に心配になってしまうものです。
結論から先にお伝えすると、骨端線の損傷の多くは、適切に診てもらえば後遺症なく治っていきます。一方で、ごく一部には成長への影響が残ることがあるため、「診断のつけ方」と「経過の見守り方」が大切になります。
この記事では、シンセルクリニック低身長治療センターで診療にあたる整形外科の医師・長田が、骨端線損傷とは何か、骨折との違い、治るまでの期間の考え方、早く治す方法はあるのか、そして身長への影響を、論文で確認できる範囲だけに絞って解説します。
この記事の結論
骨端線損傷は、子どもの骨の両端にある成長軟骨(骨端線)を傷めた状態。大人にはない、成長期ならではのけが
骨端線が傷んだ骨折は、ソルター・ハリス分類のI〜V型に分けられ、型と部位によって経過が変わる
報告では、多くは後遺症なく治る。ただし一部に成長障害(脚の長さの差、角度の変形)が起こり得るため、年単位の経過観察が行われる
治る期間は、分類・部位・年齢で異なる。「早く治す裏技」はなく、固定・安静・段階的復帰が近道
強い痛み・腫れ・体重をかけられない・変形・しびれがあるときは早めに整形外科へ
- この記事の結論
- 骨端線損傷とは?子どもの骨の「成長のもと」を傷めた状態
- なぜ子どもに骨端線損傷が起こるのか
- 骨折との違いは?ソルター・ハリス分類(I〜V型)をやさしく
- ソルター・ハリス分類とは
- 手首・足首・膝に多い?よくある部位とスポーツ
- スポーツ別に気をつけたい場面
- 「ただのねんざ?」と思ったら|受診の目安と危険なサイン
- これは危険なサインです
- レントゲンで骨端線損傷が見つからないこともある
- 骨端線損傷はどのくらいで治る?早く治す方法はある?
- 治療の流れ
- 「早く治す裏技」はありません
- 無理な早期復帰のリスク
- 骨端線損傷で身長は止まる?成長障害の頻度とリスク
- 多くは後遺症なく治る
- 部位や型で頻度は違う
- リスクを高めやすい要因
- なぜ「年単位の経過観察」をするのか
- 成長痛・オスグッド・シーバー病との違い
- 骨端線が今どんな状態か知りたいとき
- 骨端線損傷についてよくある質問
- Q. 骨端線損傷と骨折は、同じものですか?
- Q. 骨端線を傷めると、必ず身長が止まりますか?
- Q. 治るまで何週間かかりますか?
- Q. 早く治すために、食事やサプリでできることはありますか?
- Q. 治ったあと、スポーツに戻れますか?
- Q. 経過観察は、いつまで続けますか?
- Q. 成長痛と骨端線損傷は、どう見分けますか?
- 「うちの子も治療できる?」と思われた方へ
- まとめ|骨端線損傷は「正しく診て、年単位で見守る」けが
- 関連コラム
- 参考文献
骨端線損傷とは?子どもの骨の「成長のもと」を傷めた状態

骨端線(こったんせん)とは、成長期の子どもの長い骨の両端近くにある、軟骨でできた成長のための層です。レントゲンでは、骨の端の近くに黒っぽい線のように写るため「線」と呼ばれています。医学用語では「成長軟骨板」や「骨端軟骨」とも呼ばれます。
ここでは軟骨の細胞が次々と分裂し、それが少しずつ骨に置き換わることで、骨が縦に伸びていきます。身長が伸びるのは、この骨端線が開いている間だけです。思春期の終わりが近づくと、骨端線は硬い骨に置き換わって閉じ、縦の成長は止まります。
骨端線損傷とは、この成長軟骨の部分に、転倒・ねんざ・ぶつかり・ひねりなどの力が加わって傷んだ状態を指します。骨端線を含む骨折は「骨端線骨折」や「成長軟骨板損傷」とも呼ばれ、子どもの骨折に特有のものです。海外の論文でも、成長板の骨折は「子ども時代にしかないけが」と説明されています。
なぜ子どもに骨端線損傷が起こるのか
整形外科の教科書では、成長期の骨は、骨端線の部分が周囲の骨や靭帯と比べて力に弱い場所になり得ると説明されます。大人なら「ねんざ」で済むような外力でも、子どもでは靭帯より先に、骨端線のほうが傷むことがあります。
「足首をひねったのでねんざだと思っていたら、実は骨端線の損傷だった」ということが起こり得るのは、このためです。
アメリカの地域住民を10年間追跡した調査では、骨端線の骨折は人口10万人あたり年間約279件の割合で起きていました。発生の多い年齢は、女の子で11〜12歳、男の子で14歳でした(Petersonら、1994年)。ちょうど思春期の成長が盛んな時期に重なります。
【長田医師のコメント】「外来で『ねんざだと思っていました』とおっしゃる親御さんはとても多いです。お子さんの足首のけがは、見た目では骨端線が傷んでいるかどうか分かりません。だからこそ、腫れや痛みが強いときはレントゲンで確認することが大切です。気づくのが遅れたことを、決して責める必要はありません。」
骨折との違いは?ソルター・ハリス分類(I〜V型)をやさしく

「骨端線損傷」は、骨折と別の病気ではありません。骨折のうち、骨端線(成長軟骨)にかかったものを指す言い方です。大人の骨折との大きな違いは、骨が伸びていく場所を含んでいるため、治ったあとの成長まで見守る必要があることです。
骨端線を含まない骨折 | 骨端線損傷(骨端線を含む骨折) | |
|---|---|---|
傷んだ場所 | 骨の中間部分など | 骨の両端近くの成長軟骨 |
主な心配 | 骨がくっつくかどうか | くっついたあとに、骨が均等に伸びるかどうか |
治ったあとの経過 | くっついてリハビリが済めば終了が多い | 数か月〜年単位でレントゲンの経過観察が行われることがある |
見た目の判断 | 変形や強い腫れで気づきやすい | ねんざのように見えて気づきにくいことがある |
ソルター・ハリス分類とは
骨端線の骨折は、骨折線がどこを通っているかによって、ソルター・ハリス分類で5つに分けられます。この分類は、治り方や、成長に影響が出る可能性の見通しを立てるために使われています(Brown、1992年)。
型 | 骨折の通り方 | ポイント |
|---|---|---|
I型 | 骨端線だけを通る | 骨端線の部分がずれる、または傷む |
II型 | 骨端線から、骨の幹に近い側へ抜ける | 最も多い型。海外の調査では骨端線の骨折の半数以上を占めた |
III型 | 骨端線から、関節に近い側の骨へ抜ける | 関節の面に及ぶため、関節のずれの有無が重要 |
IV型 | 関節側の骨から骨端線を貫き、骨の幹側まで通る | 骨端線を縦に横切るため、より慎重な経過観察が必要 |
V型 | 骨端線がつぶれるような力で傷む | まれ。初期には分かりにくいことがある |
アメリカの調査では、骨端線の骨折のうちII型が54%で最も多く、一方で16%はこの分類に当てはまりませんでした(Petersonら、1994年)。分類はあくまで目安であり、実際には主治医がレントゲン(必要に応じてCTやMRI)を見て判断します。
一般に、型が大きくなるほど成長に影響が出る可能性は高くなると考えられています。ただし、型だけで結果が決まるわけではありません。部位、骨のずれ方、年齢、治療の内容も関わってきます。
【長田医師のコメント】「保護者の方は『IV型と言われた』『V型と言われた』という数字の大きさに、とても動揺されます。けれど、分類は治療の方針を決めるための道具であり、お子さんの将来を決める宣告ではありません。型の名前よりも、骨がどの位置に、どれだけずれているかのほうが、外来では重要な情報です。」
手首・足首・膝に多い?よくある部位とスポーツ

骨端線損傷は、体のどこの骨端線にも起こり得ますが、よく見られる場所があります。
部位 | 特徴・起こりやすい場面 |
|---|---|
手首(橈骨遠位) | 転倒して手をついた場面で起こる。子どもの手首の骨折は多く、体操、自転車、ボール遊びなどでも見られる |
足首(脛骨遠位) | 足首をひねる動きで起こる。サッカー、バスケットボールなどの着地やねじれで多い |
膝まわり(大腿骨遠位・脛骨近位) | コンタクトやひねりで起こる。頻度は少ないが、成長への影響に注意が必要な部位 |
肘 | 転倒や、投球動作の繰り返しなどで負担がかかる |
指 | ボールの突き指など。骨端線の骨折で最も多い部位という報告がある |
手首については、アメリカの子ども約2,000人を対象にした研究があります。手首(橈骨遠位)の骨折のうち、骨端線に及ぶものは21.0%で、その大半(84.3%)はII型でした。骨端線に及ぶ骨折は、他の型の骨折よりも年齢が高い子で起こる傾向がありました(Shahら、2023年)。原因はスポーツ中が28.4%で、勢いのある転倒に次ぐ多さでした。
足首は、子どもの骨折全体の約5%、骨端線の損傷の約15%を占めるとされています(Kayら、2001年)。
スポーツ別に気をつけたい場面
サッカー:足首をひねる、相手との接触、ジャンプの着地。足首の痛みが続くときは「ねんざ」と決めつけない
バスケットボール・バレーボール:ジャンプの着地で足首や膝に負担がかかる
体操・新体操:手首に体重をかける動きが多く、手首の骨端線に負担が積み重なることがある
野球:投球の繰り返しで、肘や肩の成長軟骨に負担がかかる
▶ サッカーは身長に影響する?
▶ バレーボール・バスケットボールと身長
▶ 少年野球と成長期の体
▶ 足首の捻挫の原因と治療
▶ ジャンパー膝とは
▶ 手首の小指側の痛み(TFCC損傷)
1回のけがだけでなく、同じ動作の繰り返しで骨端線に負担がたまる「使いすぎ」のけがもあります。子どものスポーツによる使いすぎの障害は、主に成長軟骨のまわりに起こるとされ、フランスの総説では、子どもがスポーツ中に感じる痛みは、普通のこととして片づけない、と述べられています(Launayら、2015年)。
【長田医師のコメント】「サッカーやバスケットボールをしているお子さんは、『痛いけれど試合には出たい』と我慢してしまいがちです。子どもは大人より痛みを言葉にするのが苦手です。歩き方が少しおかしい、靴下を脱ぎたがらない、片足をかばう、といった小さな変化を、ぜひ見てあげてください。」
「ただのねんざ?」と思ったら|受診の目安と危険なサイン

成長期のお子さんの痛みは、様子を見てよい場合もあれば、早めに整形外科で診てもらうべき場合もあります。目安を整理します。
受診の目安 | 具体的なサイン |
|---|---|
早めに整形外科へ(当日〜翌日) | 強い痛み/関節のまわりの腫れ/押すと骨の一点が強く痛む/痛くて体重をかけられない/動かすと痛い |
すぐに受診(救急も検討) | 手足の見た目が明らかに変形している/指先や足先のしびれ、色が白い・紫/傷口から骨が見える/指先が動かせない |
経過を見て相談 | 数日〜数週間たっても痛みが続く/運動のたびに同じ場所が痛む/腫れが引かない |
これは危険なサインです
手足の変形(形が明らかに違う、曲がっている)
しびれや、指先の感覚が鈍い、色が悪い(神経や血管に影響している可能性)
強い痛みで、体重をかけられない・使えない
傷口があり、骨が見える
けがのあとに、日を追って痛みが強くなる
これらがあるときは、夜間でも救急の受診を検討してください。それ以外の場合も、「様子を見ているうちに動かして悪化した」ということを避けるため、腫れや痛みが強いときは早めにレントゲンを撮ることをおすすめします。
▶ 整形外科で「様子を見ましょう」と言われたら
▶ 子どもの体のことは何科に相談する?
レントゲンで骨端線損傷が見つからないこともある
骨端線はもともと軟骨なので、レントゲンで骨のずれがほとんどないと、初回の画像では骨折線が見えないことがあります。そのため、受診時に「異常なし」と言われても、痛みや腫れが続く場合は、数日後・数週間後にもう一度診てもらう、反対側と比べて撮る、必要に応じてCTやMRIを検討する、といった方法がとられます。
「異常なしと言われたのに痛がる」というのは、決して気のせいではありません。遠慮なく主治医に伝えてください。
【長田医師のコメント】「初診のレントゲンで骨折がはっきりしなくても、押したときに骨端線の位置が痛むお子さんには、骨端線の損傷を念頭に置いて固定し、あとで見直すことがあります。念のための固定は大げさに見えるかもしれませんが、無理に動かして悪化させないための配慮です。」
骨端線損傷はどのくらいで治る?早く治す方法はある?

「どのくらいで治りますか?」は、外来でいちばん多い質問です。正直にお答えすると、治るまでの期間は、分類・部位・ずれの程度・年齢・治療の方法によって変わるため、一律の日数をお伝えすることはできません。ここでは、論文などで確認できる範囲の「考え方」をご説明します。
治療の流れ
段階 | 内容 |
|---|---|
診断 | レントゲンで骨のずれや骨折線を確認。必要ならCT・MRIで関節の面や骨端線の状態を詳しく調べる |
整復・固定 | ずれが小さければ、ギプスや装具で固定。ずれが大きい場合は、骨の位置を戻す処置(整復)を行う |
手術 | 関節の面がずれている場合や、整復しても位置が保てない場合に、ピンなどで固定することがある |
リハビリ・段階的復帰 | 固定が外れたあと、動かす範囲・筋力・スポーツ動作を、順番に戻していく |
経過観察 | 治ったあとも、レントゲンで数か月〜年単位で成長の様子を確認する |
足首の骨端線の損傷について、アメリカの総説は、ずれのない骨折はギプスなどによる固定と画像での経過観察で治療でき、成長が多く残る年下のお子さんの場合は、少なくとも1年間は慎重に見守ることを勧めています(Blackburnら、2012年)。
「早く治す裏技」はありません
「早く治す方法」を検索される親御さんの気持ちはよく分かります。試合や大会が迫っていると、なおさらです。しかし、骨や成長軟骨の治りを縮める、確かな方法は見つかっていません。大切なのは、次の3つを守ることです。
固定を守る:ギプスや装具を、自己判断で外さない。外すのは診察で許可が出てから
安静にする:痛む動作はしない。痛みは治りの目安であり、我慢して動かす目安ではない
段階的に戻す:歩く→軽く走る→ジャンプ→接触や試合、と少しずつ。画像と診察で、各段階を確かめる
手首の骨端線の骨折についての総説では、整復をやり直すことが多いほど、のちに成長がとまる(骨端線が早く閉じてしまう)危険が高くなるため、無理な操作を避けることが大切だと述べられています。また、スポーツ選手の手首は、強い圧迫とずれの力がかかりやすく、成長がとまりやすいとも指摘されています(Abzugら、2014年)。
無理な早期復帰のリスク
痛みが引いても、骨端線の治りが十分とは限りません。早く復帰して再びぶつけたり、ひねったりすると、骨のずれが再発したり、骨端線に新たな損傷を加えたりするおそれがあります。特に、ずれが治療後に残った場合は、あとから成長の問題が出る可能性が高くなることが報告されています。
大会や進学の予定がある場合は、隠さずに主治医にお伝えください。「いつ、どの段階まで戻れるか」を、画像を見ながら一緒に計画することができます。
【長田医師のコメント】「『あと何日で試合に出られますか』と聞かれたとき、私はまず『何のために出たいのか』を伺います。ずっと頑張ってきた気持ちを大切にしながら、お子さんの体の将来も守る。その両方を満たす戻し方を、一緒に探します。数日の我慢が、数年の安心につながることもあります。」
骨端線損傷で身長は止まる?成長障害の頻度とリスク

いちばん気になるのは、「身長が止まるのではないか」という点でしょう。ここは、不安を煽らないように、確認できている数字だけを整理してお伝えします。
多くは後遺症なく治る
成長板の骨折についての総説は、「ほとんどは変形を残さず治るが、ごく一部で成長がとまり変形につながる」と述べています(Brown、1992年)。
アメリカの小児外傷センターでは、脛骨(すねの骨)の上下と大腿骨(太ももの骨)の下の端の骨端線の骨折、合計1,585人を調べました。のちに手術などが必要になるような成長障害が出たのは5.0%で、すべて受傷後2年以内に起きていました。手術が必要な複雑な骨折、大腿骨の下端や脛骨の上端の骨折、年齢などが、リスクを高める要因でした(Yamamuraら、2023年)。
この研究の結論は、これらのけがは少なくとも2年間は経過を見るべきだ、というものでした。
部位や型で頻度は違う
部位・報告 | 分かっていること |
|---|---|
足首の内側の骨(脛骨遠位)の骨端線骨折 | 中国の143人の調査では、脚の長さの差1.5cm以上、または5度を超える角度の変形を「成長障害」として、約15%にみられた。III型・IV型、年齢の低い子、腓骨(外側の細い骨)の骨折を伴う子で多かった(Chenら、2022年) |
足首のI型・II型の骨折 | ある病院の報告では、骨端線が早く閉じたのは約4割。最も重要なのは、整復後に残るずれの大きさとされた(Rohmillerら、2006年) |
太ももの骨の膝側(大腿骨遠位) | これまでの論文をまとめた研究で、何らかの成長障害が約半数、1.5cm以上の脚の長さの差が約2割。ずれのある骨折は、ずれのない骨折の約4倍、成長がとまりやすかった(Basenerら、2009年) |
手首(橈骨遠位) | 多くは合併症なく治るが、一部で骨端線の成長がとまることがある。整復を繰り返さないことが大切(Abzugら、2014年) |
数字に幅があるのは、対象にした病院や骨折の重さ、「成長障害」の定義が論文ごとに違うためです。特に、太もものつけ根に近い部位や、大きなずれを伴う重い骨折の数字が高く出ています。すべての骨端線損傷に当てはまる数字ではありません。
骨端線の一部が早く閉じると、その骨だけ短くなったり(脚の長さの差)、片側だけ伸びが悪くなって曲がったり(角度の変形)することがあります。これが「成長障害」です。全身の身長が一律に止まるというよりも、傷んだ骨に局所的な問題が出る、という理解が近いでしょう。
リスクを高めやすい要因
骨折のずれが大きい、整復後もずれが残る
III型・IV型など、関節の面や骨端線を縦に横切る型
膝まわり(大腿骨の下端・脛骨の上端)など、部位によるもの
年齢が低く、成長がたくさん残っている
整復を何度も繰り返す
なぜ「年単位の経過観察」をするのか
骨端線が早く閉じる変化は、けがの直後ではなく、数か月〜1・2年かけて明らかになってきます。そのため、治療が終わったあとも、レントゲンで骨の長さや角度、骨端線の様子を確かめます。上の研究でも、成長障害はすべて2年以内に出ていました。
経過観察は、「問題があるから見張る」というよりも、もし小さな変化があれば、早く見つけて、早く手を打つためのものです。変化が見つかった場合も、骨端線の橋渡しのような部分を取り除く手術や、脚の長さをそろえる治療など、選択肢が用意されています。
【長田医師のコメント】「『経過観察』という言葉は、悪い意味で受け取られがちです。外来では、『治ったかどうかを一緒に確認する期間です』とお伝えしています。定期的に来ていただくことで、万一の変化に早く気づけます。何も起きなければ、それがいちばんの安心材料になります。」
成長痛・オスグッド・シーバー病との違い

成長期の「骨や関節まわりの痛み」には、骨端線損傷のほかにも、よく似た名前のものがあります。区別のポイントを表にまとめます。
痛みの特徴 | 主な場所 | 目安 | |
|---|---|---|---|
骨端線損傷 | けがのあとに急に出る、または繰り返す使いすぎで出る。強い痛みや腫れがあることが多い | 手首・足首・膝・肘・指など | レントゲン・診察で確認 |
成長痛 | 夕方〜夜間の両脚の痛み。朝には消え、腫れや熱はない | ふくらはぎ・太もも・膝の裏 | 画像で異常がないことを確認する診断 |
オスグッド病 | 運動で膝の下の出っ張りが痛む | 膝のお皿の下 | スポーツを頑張る成長期の男の子に多い |
シーバー病 | 運動でかかとが痛む | かかとの後ろ | サッカーなど走るスポーツで多い |
オスグッド病とシーバー病は、骨の端にある成長軟骨のまわり(骨端や腱がつく部分)が、成長期に引っ張られて傷むものです。成長スパートの時期に、骨の伸びに対して腱が相対的に短くなることが一因とされ、主な治療はスポーツの一時的な中止や調整、リハビリです。強くぶつけたわけでもないのに、運動のたびに痛む場合はこちらが多く、見た目に骨がずれるようなけがとは別のものです(Launayら、2015年)。
▶ オスグッド病で身長は止まる?
▶ シーバー病と身長の関係
▶ 成長痛と身長の関係
いずれも「痛みを我慢して続けない」ことが共通の基本です。痛みの場所と時間帯、けがのきっかけの有無、腫れや熱の有無をメモして受診すると、診断がスムーズになります。
骨端線が今どんな状態か知りたいとき
当院の低身長治療センターでは、手のレントゲンで、骨端線がどの程度残っているか(骨年齢)を確認する「精密身長検査」を行っています(手のレントゲンと採血の2つ。お近くの提携クリニックで受けられ、結果は当院のオンライン診察でご説明します)。これは自費診療です。骨端線の状態や今後の伸びしろには個人差が大きく、すべての方が対象となるわけではありません。なお、けがの診断や治療は、お近くの整形外科で行うものです。
▶ 骨年齢検査はどこで受ける?費用は?
▶ 低身長の検査ガイド
▶ 骨端線を閉じさせないためにできること
【長田医師のコメント】「骨端線を傷めたお子さんの親御さんに、『骨端線の話なら、身長のことも診てもらえますか』とお尋ねいただくことがあります。けがの治療は近くの整形外科で受けていただくのが基本です。そのうえで、身長が気になる場合は、手のレントゲンで骨端線の状態を知ることができる、とお伝えしています。」
骨端線損傷についてよくある質問

Q. 骨端線損傷と骨折は、同じものですか?
骨端線損傷は、骨折のうち、成長軟骨(骨端線)にかかったものを指す言い方です。骨折の中の特別な種類、と考えてください。
Q. 骨端線を傷めると、必ず身長が止まりますか?
いいえ、多くは後遺症なく治るとされています。ただし、部位・骨折の型・ずれの大きさによっては、成長に影響が出ることがあり、そのために年単位の経過観察が行われます。
Q. 治るまで何週間かかりますか?
分類・部位・ずれの程度・年齢によって異なるため、一律の日数は申し上げられません。診察とレントゲンで、固定の期間や運動を再開する時期を主治医が判断します。
Q. 早く治すために、食事やサプリでできることはありますか?
骨の材料になるカルシウムやたんぱく質、十分な睡眠など、基本的な生活を整えることは大切です。ただし、これらで治るまでの期間が確実に縮まる、という確かな根拠は示されていません。ネットで個人輸入した薬やサプリなどを、親御さんの判断で使うことは避けてください。
Q. 治ったあと、スポーツに戻れますか?
多くの場合、段階的に復帰できます。歩く、走る、ジャンプする、接触する、と順番に戻し、主治医の許可を得ながら進めます。
Q. 経過観察は、いつまで続けますか?
骨端線の状態や部位により異なります。報告では、成長障害は受傷後2年以内に出ることが多いとされていますが、個々のお子さんについては、主治医が画像を見て判断します。
Q. 成長痛と骨端線損傷は、どう見分けますか?
成長痛は、腫れや熱がなく、夜に両脚が痛んで朝には消えるのが典型です。けがのあとに急に痛くなった、片側だけ痛い、腫れている、体重をかけられない場合は、骨端線損傷を含めた診察が必要です。
「うちの子も治療できる?」と思われた方へ
子どもの身長について、ほかの記事もお探しの方は 子どもの身長コラム テーマ別インデックス(134本) からどうぞ。
まとめ|骨端線損傷は「正しく診て、年単位で見守る」けが

骨端線損傷は、子どもの成長軟骨を傷めた骨折。ソルター・ハリス分類のI〜V型で整理され、型と部位で経過が変わる
手首・足首・膝・肘・指に多く、サッカー、バスケットボール、体操、野球などで起こる。ねんざに見えても骨端線の損傷があることがある
強い痛み・腫れ・体重をかけられない・変形・しびれがあるときは、早めに整形外科へ。痛みが続く場合は再度の受診を
治る期間は分類や部位、年齢で異なり、一律の日数は言えない。早く治す裏技はなく、固定・安静・段階的復帰が基本
多くは後遺症なく治る。一部に成長障害(脚の長さの差、角度の変形)が起こり得るため、数か月〜年単位のレントゲン経過観察が行われる
骨端線が今どんな状態かは、手のレントゲンで確認できる。気になったときの相談先は、お近くの整形外科、または当院のLINEから
関連コラム
参考文献
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医師監修記事

長田 直祥
(おさだ なおき)
シンセルクリニック 低身長治療センター医師
大阪医科薬科大学卒業。豊田厚生病院、中東遠総合医療センター、国立長寿医療研究センター、名古屋大学整形外科などで整形外科医としての経験を積み、現在はシンセルクリニック低身長治療センターで、お子さまの成長・低身長治療に携わる。日本整形外科学会所属。
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大阪医科薬科大学卒業。豊田厚生病院、中東遠総合医療センター、国立長寿医療研究センター、名古屋大学整形外科などで整形外科医としての経験を積み、現在はシンセルクリニック低身長治療センターで、お子さまの成長・低身長治療に携わる。日本整形外科学会所属。
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