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【医師監修】絶対にやってはいけない腰痛ストレッチとは|タイプ別のNG動作7つと、中止すべきサインを整形外科の医師が解説

2026.09.29

「テレビで見た腰痛ストレッチをやったら、翌朝かえって痛みが強くなった」

「動画の先生と同じ体操なのに、私がやると足がしびれてくる。何が違うのだろう」

腰痛のストレッチは、インターネットやテレビで数えきれないほど紹介されています。ところが外来で診ていると、「その体操が、その人の腰にとっては逆効果だった」という方が少なくありません。体操そのものが悪いのではなく、腰痛のタイプと体操の組み合わせが合っていなかったのです。

この記事では、シンセルクリニック総院長で整形外科の医師である武内晋司郎が、「絶対にやってはいけない」と言われる腰痛ストレッチが、なぜ人によって正反対になるのか、タイプ別のNG動作、自分のタイプの見分け方、すぐに中止すべきサイン、そしてストレッチでは治らない腰痛について解説します。なお、ストレッチのやり方そのものは別の記事にまとめていますので、この記事では「やってはいけないこと」に絞ってお伝えします。

この記事の結論

  • 腰痛ストレッチの「やってはいけない」はタイプによって正反対。前かがみで痛む人には深い前屈が、反ると痛む人には深い反りがNGになりやすい

  • タイプを問わず避けたいのは、反動をつける・痛みを我慢して伸ばす・起床直後にいきなり行う・ねじりを強制するといった動作

  • 足のしびれ・脱力、排尿や排便の異常、発熱、転倒後の激痛があるときは、ストレッチより先に受診が必要

  • 研究では、マッケンジー法をはじめ特定のストレッチや体操が他の運動より優れているとは言えないという結論が多い。「これさえやれば治る」体操はない

  • ぎっくり腰の直後は強く伸ばさない。ただし完全な安静も勧められておらず、痛みの範囲で普段の生活を続けるほうが経過がよいとされる

腰痛ストレッチの「やってはいけない」が、人によって正反対になる理由

腰痛ストレッチの「やってはいけない」が、人によって正反対になる理由

「腰痛にはこのストレッチが効く」「これは絶対にやってはいけない」——こうした情報は、ときに真逆のことが書かれています。膝を抱えて腰を丸める体操を勧める記事もあれば、うつ伏せで上体を反らす体操を勧める記事もあります。どちらかが間違っているわけではありません。腰痛と一口に言っても、痛みの出る仕組みが人によって違うからです。

腰の骨(腰椎)は、骨と骨の間に椎間板というクッションがあり、背中側には神経の通り道である脊柱管があります。腰を前に曲げると椎間板の後ろ側に圧力がかかり、腰を反らすと脊柱管が狭くなります。つまり、前に曲げる動きが苦手な腰と、後ろに反らす動きが苦手な腰があるのです。

腰痛のタイプ

代表的な原因

やってはいけない動き

比較的楽な姿勢

① 前かがみで痛む

椎間板ヘルニアなど

深い前屈、反動をつけた前屈、長座体前屈

軽く反らす、立って休む

② 反ると痛む

腰部脊柱管狭窄症、すべり症、分離症など

コブラのような深い反り、腰を強く反らす体操

前かがみ、座る、カートを押す

③ ぎっくり腰の直後

腰の筋肉・関節・靭帯の急な損傷

患部を強く伸ばす、痛みを我慢して動く

痛みの出ない楽な姿勢

④ 圧迫骨折・骨粗しょう症

背骨の骨がつぶれた状態

ひねりの強制、前屈の強制

骨折の診断後は医師の指示による

⑤ 足のしびれ・脱力がある

神経の圧迫など

自己流のストレッチ全般(先に受診)

—

この表のとおり、①の人が行うと危ない「深い前屈」が、②の人にとっては楽になる動きでもあります。「腰痛だから前屈ストレッチ」「腰痛だから反らす体操」と、タイプを確かめずに決めてしまうこと自体が、いちばんのNGと言えます。

【武内院長のコメント】
「外来で"どんなストレッチをされましたか"と伺うと、テレビや動画で見た体操を、ご自分の腰の状態と関係なく続けている方が本当に多いのです。前かがみで痛む方が、毎朝『腰を丸めて膝を抱える体操』を頑張っていた、という例もあります。まじめな方ほど、痛くても続けてしまう。腰痛の体操は、量より前に"合っているか"を確かめるのが先です。」

腰痛の原因そのものについては、こちらで詳しく解説しています。
▶ 腰痛の原因と治療
▶ 腰痛ストレッチ10選(やり方の解説)

自分の腰痛はどのタイプ?セルフチェック表

自分の腰痛はどのタイプ?セルフチェック表

ここで紹介する表は診断ではなく、受診時に医師へ伝える材料として使ってください。腰痛の診断は、診察と画像検査を合わせて行うものです。

こんなとき痛い・つらい

考えられるタイプ

前かがみ(洗顔、靴下をはく、床の物を拾う)で腰やお尻・脚が痛む

① 前かがみで痛む型(椎間板ヘルニアなど)

咳やくしゃみ、座り続けたあとの立ち上がりで痛みや脚への響きが出る

① 前かがみで痛む型

立っている・歩いていると脚がしびれたり重くなったりし、前かがみで休むと楽になる

② 反ると痛む型(脊柱管狭窄症など)

腰を反らすと痛む。長く歩くと痛みが強まり、座ると和らぐ

② 反ると痛む型

重い物を持った、急にひねったなどで突然腰が動かなくなった

③ ぎっくり腰の直後

尻もちや軽い転倒のあと、背中や腰に鋭い痛みがある。高齢、骨粗しょう症と言われている

④ 圧迫骨折の疑い(早めに受診)

足に力が入らない、しびれが広がる、排尿・排便の感覚がおかしい

⑤ 神経の症状(ストレッチの前に受診)

チェックのコツ

  • 「前に曲げたとき」と「後ろに反らしたとき」のどちらで痛みが強いかを、無理のない範囲で観察する

  • 痛みが腰だけなのか、お尻や太もも、ふくらはぎ、足先まで響くのかを記録する

  • 楽になる姿勢(座る・立つ・横になる・前かがみ)をメモしておく

  • いつから、何をきっかけに始まったか(転倒、重い物、思い当たりなし)を書き出す

前かがみで痛むのか、反ると痛むのかが分かれば、避けるべき動きの方向がおおよそ決まります。どちらでもはっきりしない、複数当てはまる、という方は、自己判断せずに医師の診察を受けてください。

▶ 脊柱管狭窄症と椎間板ヘルニアの違い

タイプを問わず避けたい、腰痛ストレッチのNG動作7つ

タイプを問わず避けたい、腰痛ストレッチのNG動作7つ

まず、腰痛のタイプに関係なく誰にとっても避けたほうがよい動作から整理します。なぜNGなのか、理由もあわせてお伝えします。

NG1 反動をつけて伸ばす

「ぐいっ、ぐいっ」と反動をつけて体を倒す動きは、筋肉が急に引き伸ばされることを防ごうとして、かえって筋肉が縮んで固くなる反射を起こしやすくなります。腰の筋肉や靭帯、椎間板に瞬間的に大きな力がかかるため、痛めているときは症状を悪化させることがあります。伸ばすときは、ゆっくり伸ばして止める、が基本です。

NG2 痛みを我慢して伸ばす

「痛いところを伸ばせば楽になる」と考え、痛みを我慢して続ける方がいます。ストレッチで感じてよいのは「気持ちよく伸びている」という感覚までで、鋭い痛み、しびれ、脚への響きが出るなら、その動きは今の腰には合っていません。痛みは体からの「やめて」のサインです。

NG3 起床直後にいきなり行う

朝は、筋肉も椎間板も水分を含んで、夜間に比べると体が固く、負荷に弱い状態です。目が覚めた直後にベッドの上で深く前屈したり、反ったりするのは避けましょう。布団の中で手足をゆっくり動かし、ゆっくり座り、少し体が温まってから、軽い動きを始める順番が安全です。

NG4 ねじりを強制する

腰を反対側にねじる体操は、寝たままの「ひざ倒し」など、ごく軽いものであれば有用なこともあります。しかし、体をねじった状態で反動をつけたり、手や足で強く押し込んだりすると、椎間板や骨に負担がかかります。とくに骨がもろくなっている方には危険で、ねじる動きは無理に行わない、が原則です。

NG5 二人組で「押してもらう」

家族や友人に背中を押してもらって前屈するストレッチは、押す側は相手の痛みが分かりません。「もっと行けるよ」と力が加わったときに、限界を超えてしまうことがあります。他人の力に任せた伸ばし方は、腰痛のあるときは行わないでください。

NG6 動画やテレビを見て、そのまま真似る

動画やテレビの体操は、「腰痛の方全員向け」に作られていることが多く、あなたの腰のタイプは考慮されていません。しかも画面越しでは、姿勢のわずかなずれや、痛みの出方を確認できません。いくつかの体操を試しながら、痛みが強まるものは「合っていない」と判断してやめる、という感覚が必要です。

NG7 長時間、同じ姿勢で伸ばし続ける

「長く伸ばすほど効く」と、1つの姿勢を1分、2分と続けるのも勧められません。長く保つことで、逆に筋肉や神経に負担がかかり、終わったあとに痛みが増すことがあります。目安は、無理のない範囲で数十秒までとし、呼吸を止めないことです。

【武内院長のコメント】
「腰痛の患者さんで多いのが、"痛いから、伸ばしておけば良くなるはず"という思い込みです。ストレッチは腰の痛みを消す道具ではなく、動かしやすい腰を作るための補助にすぎません。反動、我慢、朝いちばん、押してもらう——この4つは、外来でこれまで何度も『やめてください』とお願いしてきた動作です。」

関連するNG行動については、こちらもご覧ください。
▶ 腰痛(急性期)でやってはいけないこと

タイプ別|やってはいけないストレッチと、その理由

タイプ別|やってはいけないストレッチと、その理由

次に、腰痛のタイプごとに「この動きは避けたい」というストレッチを整理します。前のセルフチェック表で当てはまったタイプを確認してください。

① 前かがみで痛む人(椎間板ヘルニアなど)

腰を前に曲げると、椎間板の内側の組織が背中側へ押し出されやすくなります。椎間板ヘルニアがある方は、次のような動きに注意が必要です。

  • 立って行う深い前屈(床に手をつける体操)

  • 反動をつけた前屈

  • 床に座って足先へ手を伸ばす長座体前屈

  • 仰向けで両膝を強く胸に引き寄せ続ける体操(痛みや脚の響きが増す場合)

▶ 腰椎椎間板ヘルニアのストレッチガイド

② 反ると痛む人(脊柱管狭窄症・すべり症・分離症)

腰を反らすと、神経の通り道である脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されやすくなります。すべり症や分離症では、反らす動きで骨のずれや負担が強まることもあります。次の動きは避けたいものです。

  • うつ伏せで上体を持ち上げる、コブラのような深い反りの体操

  • 立って腰を強く反らす体操

  • 仰向けで背中を大きくアーチにするブリッジのような動き

この場合は、寝たまま膝を曲げるなど、反らない姿勢が基本になります。

▶ 脊柱管狭窄症でやってはいけないこと
▶ 腰椎すべり症でやってはいけないこと

③ ぎっくり腰の直後

ぎっくり腰の直後、痛む場所を強く伸ばそうとするのは避けてください。損傷している部分にさらに負担をかけるおそれがあります。ただし、動かないほうがよいというわけでもありません。この点は、のちほど研究の結果とあわせて説明します。

④ 圧迫骨折・骨粗しょう症のある人

背骨の骨がもろくなっている方や、圧迫骨折の診断を受けた方は、ひねりの強制と、前屈の強制が避けたい動きです。前かがみの姿勢は、つぶれた骨の前側にさらに力をかけるためです。「骨粗しょう症と言われたことがある」「背中が丸くなってきた」という方は、ストレッチを始める前に医師へ相談してください。

▶ 圧迫骨折でやってはいけないこと

⑤ 足のしびれ・脱力がある人

足のしびれや、力の入りにくさがある場合は、神経が圧迫されている可能性があります。この状態で自己流のストレッチを重ねると、受診が遅れることが最大の問題です。ストレッチより先に、原因の確認を優先してください。

▶ 足のしびれの原因

【武内院長のコメント】
「"整体で腰を反らすように言われた"、"ヨガで腰を反るポーズをした"という方が、その後に脚がしびれて受診される、ということがあります。狭窄症の方にとって反らす動きは症状を引き出しやすい動きなのですが、教える側に診断がない場合、そこまで確認されません。ご自分の腰のタイプを知ったうえで、体操を選んでほしいと思います。」

ストレッチをすぐに中止すべきサイン

ストレッチをすぐに中止すべきサイン

ストレッチの最中、または終わったあとに、次の変化があるときはその体操をやめてください。

サイン

意味・対応

体操中に鋭い痛みが走る

その動きは今の腰に合っていない。中止し、同じ動きを繰り返さない

お尻・太もも・ふくらはぎ・足先へ痛みやしびれが広がる

神経に負担がかかっている可能性。中止して様子を見る。続くなら受診

終わったあと、痛みが強まり、翌日以降も続く

やり方や体操の選び方が合っていない。いったん休み、医師に相談

足に力が入りにくくなった

早めに受診(次の見出しの「危険なサイン」を参照)

尿が出にくい、漏れる、会陰部(股のあたり)の感覚が鈍い

ただちに受診

ストレッチの目的は、痛みを我慢して伸ばすことではなく、「気持ちよく動ける範囲を保つ」ことです。中止するのは、失敗ではなく、体からのサインを聞き取れたということです。

痛みが出たあとの過ごし方

  • まず、痛みが強まった動きの内容と回数を記録する

  • 楽な姿勢をとり、痛みが落ち着くまで同じ体操は繰り返さない

  • 入浴は、痛みが強い時期は長湯を避けてぬるめにする

  • 数日たっても痛みが増えるなら、受診する

【武内院長のコメント】
「ストレッチの最中に痛みが出たとき、"もう少し我慢すれば慣れる"と続けてしまう方がいますが、腰痛の体操では、この考え方はおすすめしません。痛みが強まったら、その日はそこで終わりにしてください。翌日に痛みが残るようなら、その体操はあなたの腰には合っていません。やめる判断ができることも、腰痛と上手につきあう大切な力です。」

ストレッチでは治らない腰痛|受診を急ぐべきサイン(レッドフラッグ)

ストレッチでは治らない腰痛|受診を急ぐべきサイン(レッドフラッグ)

腰痛の大半は、命にかかわる病気ではありません。しかし、ごく一部に、ストレッチや体操では対応できない病気が隠れていることがあります。医療の世界では、そのような病気を疑わせる症状の組み合わせを「レッドフラッグ(危険信号)」と呼びます。

症状・状況

考えられること

排尿・排便がしにくい、漏れる、股のあたりの感覚が鈍い

神経が強く圧迫されている状態(馬尾症候群など)

足に力が入らない、脱力が進む

神経の障害が進んでいる

転倒・事故など強い外傷のあとの腰痛

骨折

発熱を伴う腰痛

感染症の可能性

がんの治療歴がある、原因不明の体重減少がある

がんの転移などの可能性

安静にしていても、夜間も痛みが続き、横になっても楽にならない

体の内部の病気の可能性

これらに当てはまる場合は、ストレッチを試す前に、整形外科を受診して原因を確かめるのが先です。

なお、レッドフラッグについて、国際的な専門家のグループがまとめた文書(2020年)では、個々の危険信号の診断精度を示す質の高い根拠は、ほとんどの項目でまだ十分にないとしています。そのため、1つの症状だけで病気と決めるのではなく、症状の組み合わせや経過を含めて総合的に判断することが大切、という位置づけです。「当てはまる項目がある=重い病気」と怖がる必要はありませんが、不安なときに相談する目安として使ってください。

【武内院長のコメント】
「腰痛で受診される方のうち、大部分は筋肉や関節、椎間板に由来する痛みです。それでもごくまれに、発熱を伴う腰痛や、がんの既往がある方の夜間痛などが見つかります。だからこそ私は、'いつもと違う痛み'を最初に伺います。いつもの腰痛と違う、休んでも夜に痛む、足に力が入らない——そう感じたら、ストレッチではなく受診を選んでほしいのです。」

▶ 腰痛が病気のサインであるとき
▶ 整骨院で腰痛が治らないとき

代わりにやってよいことと、研究でわかっていること

代わりにやってよいことと、研究でわかっていること

ぎっくり腰の直後は「安静」か「動く」か

急性腰痛(ぎっくり腰など)や坐骨神経痛の方に、ベッドで安静にするよう勧めるか、活動を続けるよう勧めるかを比べた研究をまとめたコクランレビュー(2010年)があります。急性腰痛の方では、活動を続けるように助言されたグループのほうが、痛みや日常動作でわずかによい結果だったと報告されています。一方、坐骨神経痛の方では、両者にほとんど差はありませんでした。

つまり、ぎっくり腰の直後は、患部を強く伸ばすのは避けつつ、痛みが許す範囲で普段の生活を続けることが現実的な選択肢になります。「痛いからと1週間動かずに寝ている」ことは、少なくとも勧められていません。

「これさえやれば治る」体操はあるのか

「マッケンジー法」は、腰を反らす運動を中心にした、世界的に知られる腰痛の体操・評価法です。この方法について、研究の結果は次のようになっています。

研究

結論の要点

コクランレビュー(2023年、急性・亜急性の腰痛)

痛みと機能の改善は臨床的に重要な大きさではなく、有効な治療とは言えないと結論

メタ解析(2018年)

急性の腰痛では他のリハビリと比べて優れているとは言えない。慢性腰痛では、比べる相手によって差が出る

システマティックレビューのレビュー(2020年、急性腰痛の運動療法)

運動療法は、他の治療と比べて痛みや機能に大きな差がない。マッケンジー療法も他の運動と大きな差はない

ネットワークメタ解析(2022年、慢性腰痛)

ほとんどの運動に効果がある一方、ストレッチのみでは痛みの軽減が示されなかった。効果が高い運動は、ピラティス・筋力運動・体幹運動などと報告

ここから分かるのは、特定の体操やストレッチが、他よりずっと優れているという確かな根拠はない、ということです。またこれらの研究には、質のばらつきや、エビデンスの確からしさが低い部分もあります。「体操が無意味」という意味ではなく、自分に合い、無理なく続けられる運動を選ぶことのほうが大切、というのが現時点での妥当な理解です。

代わりにやってよいこと

  • 痛みの許す範囲で歩く:短い距離から始め、前かがみで楽になるなら休みながら

  • 軽い筋力運動・体幹運動:寝たまま、膝を曲げて行える範囲から

  • 痛みの出ない範囲の軽いストレッチ:自分のタイプに合った動きを、ゆっくり短時間

  • コルセットを一時的に使う:痛みが強い時期の補助として(長期の使用は勧めない)

  • 受診して診断を受ける:しびれや脱力があるなら、運動の前に

▶ 脊柱管狭窄症の筋トレ
▶ ウォーキングの効果と正しい歩き方
▶ 腰痛コルセットの選び方と使い方
▶ 腸腰筋のストレッチ
▶ 坐骨神経痛のストレッチ

【武内院長のコメント】
「患者さんに、'一番良いストレッチはどれですか'と聞かれることがよくあります。正直にお答えするなら、'これが一番、と言える体操は、研究でもはっきりしていません'ということになります。だからこそ、痛みが少なく、毎日続けられて、ご自分の腰に合う体操を、一緒に探すことが大切なのです。」

薬や注射で改善しない腰痛・しびれに

飲み薬やブロック注射、リハビリを続けても改善せず、手術は避けたいという場合に、再生医療(幹細胞治療)という選択肢もあります。ご自身の脂肪から採取・培養した幹細胞を点滴で投与し、傷んだ組織の修復と炎症の抑制を目指す治療です。自由診療であり、効果には個人差があり、すべての方に適応となるわけではありません。適応は診察で判断します。

▶ 脊柱管狭窄症の再生医療とは?
▶ 椎間板ヘルニアの再生医療について

腰痛ストレッチについてよくある質問

腰痛ストレッチについてよくある質問

Q. 朝、腰がこわばります。起きたらすぐストレッチしてもよいですか?

起床直後の深い前屈や反りは避けましょう。布団の中で手足を軽く動かし、ゆっくり座り、体が温まってから、軽い動きを始めてください。痛みが強い場合は、無理に伸ばさず様子を見ます。

Q. 前屈で床に手がつかないのは、悪いことですか?

床に手がつくかどうかは、腰痛とは直接関係しません。手が届かないからといって腰痛の原因とは言えませんし、無理に届かせようとして腰を痛めるほうが問題です。

Q. 動画で見た体操で痛みが出ました。続けたほうが慣れますか?

慣れるのを待たず、いったん中止してください。鋭い痛み、脚への響き、しびれが出る動きは、続けても改善しにくいだけでなく、症状を強める可能性があります。

Q. 整体やマッサージで「ボキッ」と鳴らして押してもらうのは?

強い力で関節をひねる、押し込むといった施術は、骨がもろくなっている方や、神経の症状がある方には勧められません。しびれ・脱力があるときは、先に整形外科で診断を受けてください。

Q. 圧迫骨折があるかもしれません。どうすればよいですか?

尻もちなどのあとに背中や腰が痛む、高齢で骨粗しょう症と言われているといった場合は、ストレッチを始める前に受診してください。骨折の有無は画像検査で確認できます。

Q. コルセットをつけて体操してもよいですか?

痛みが強い時期の補助には役立ちますが、つけたまま長期間過ごすと筋力が落ちることがあります。使う期間や使い方は、医師や理学療法士に確認してください。

Q. 腰痛でも、ウォーキングは続けてよいですか?

痛みの許す範囲で歩くことは、多くの場合で勧められます。ただし、歩くと脚がしびれる、重くなる、休むと楽になる、という場合は、脊柱管狭窄症などの可能性がありますので、一度診察を受けてください。

【武内院長のコメント】
「腰痛の患者さんに一番お伝えしたいのは、'正しい体操を探し続けなくてもいい'ということです。体操の選び方に悩みすぎて、かえって動けなくなってしまう方もいます。まず診断でタイプを知り、避ける動きを決める。あとは、痛みの少ない範囲で、歩く、寝たまま動かすといった単純なことを続けるだけでも、十分に意味があります。」

まとめ|「正しいストレッチ探し」の前に、自分の腰のタイプを知る

まとめ|「正しいストレッチ探し」の前に、自分の腰のタイプを知る

  • 腰痛ストレッチのNGはタイプによって正反対。前かがみで痛む人は深い前屈、反ると痛む人は深い反りに注意

  • タイプを問わず避けたいのは、反動・痛みの我慢・起床直後・ねじりの強制・人に押してもらう・動画の丸ごとの真似・長時間同じ姿勢で伸ばし続けること

  • ぎっくり腰の直後は強く伸ばさない。ただし完全な安静よりも、痛みの範囲で活動を続けるほうがわずかによいと報告されている

  • 圧迫骨折や骨粗しょう症のある人は、ひねりと前屈の強制を避ける

  • 足のしびれ・脱力、排尿や排便の異常、発熱、外傷後の激痛があるときは、ストレッチより先に受診する

  • 研究では、マッケンジー法を含め特定のストレッチが他の運動より優れるとは言えない。自分に合い、続けられる運動を選ぶ

  • 迷ったら自己流を重ねず、整形外科で腰のタイプを確認する

関連コラム

参考文献

  1. Almeida MO, et al. The McKenzie method for (sub)acute non-specific low back pain. Cochrane Database Syst Rev. 2023;4(4):CD009711. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37017272/

  2. Fernández-Rodríguez R, et al. Best Exercise Options for Reducing Pain and Disability in Adults With Chronic Low Back Pain: Pilates, Strength, Core-Based, and Mind-Body. A Network Meta-analysis. J Orthop Sports Phys Ther. 2022;52(8):505-521. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35722759/

  3. Karlsson M, et al. Effects of exercise therapy in patients with acute low back pain: a systematic review of systematic reviews. Syst Rev. 2020;9(1):182. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32795336/

  4. Dahm KT, et al. Advice to rest in bed versus advice to stay active for acute low-back pain and sciatica. Cochrane Database Syst Rev. 2010;(6):CD007612. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20556780/

  5. Finucane LM, et al. International Framework for Red Flags for Potential Serious Spinal Pathologies. J Orthop Sports Phys Ther. 2020;50(7):350-372. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32438853/

  6. Lam OT, et al. Effectiveness of the McKenzie Method of Mechanical Diagnosis and Therapy for Treating Low Back Pain: Literature Review With Meta-analysis. J Orthop Sports Phys Ther. 2018;48(6):476-490. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29602304/

院長監修記事

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武内 晋司郎

(たけうち しんじろう)

シンセルクリニック総院長

三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

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三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

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