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【医師監修】コルセットの効...

【医師監修】コルセットの効果と正しい付け方|腰痛・ぎっくり腰でいつまで着ける?選び方と使い分けを整形外科の医師が解説

2026.09.29

「ぎっくり腰をしてから、ドラッグストアでコルセットを見たけれど、種類が多すぎてどれを選べばいいのかわからない」

「コルセットを着けると楽になるけれど、ずっと着けていると筋肉が弱ると聞いて、やめどきがわからない」

腰が痛いとき、コルセットは最も手に取りやすい対策のひとつです。ドラッグストアや通販でも数千円で買え、「着けると楽になる」という声もよく聞きます。その一方で、「着けっぱなしはよくない」「そもそも効果はない」など、正反対の情報が並んでいて、迷っている方が少なくありません。

この記事では、シンセルクリニック総院長で整形外科の医師である武内晋司郎が、腰のコルセットが効く仕組みと、その根拠がどこまであるのかを、研究の限界も含めて正直に解説します。種類の違い、症状別の使い分け、正しい付け方、いつまで使うか、やめ方、受診の目安までまとめました。

この記事の結論

  • コルセットは、腹圧を高めて腰を安定させる・腰の動きを制限する・安心感を得るという3つの働きで、動きやすくするための道具。腰痛そのものを治す道具ではない

  • 研究では、コルセットが腰痛の予防に役立つという根拠は示されておらず、治療効果もはっきりしていない。それでも痛みの強い時期の補助として使う価値はある

  • 位置は骨盤の上縁(腰骨の出っ張りのあたり)が目安。強く締めすぎず、痛みが落ち着いたら少しずつ外す時間を増やす

  • 圧迫骨折・術後・すべり症など、病気によって着ける期間や種類が違う。自己判断ではなく、医師の指示を優先する

  • 足のしびれ・力の入りにくさ・排尿の異常・発熱や安静でも消えない痛みがあるときは、コルセットで様子を見ず早めに受診する

コルセットが腰を支える仕組みと、研究でわかっていること

コルセットが腰を支える仕組みと、研究でわかっていること

コルセットは、お腹から腰にかけて巻きつけるベルト状の装具です。「腰を固めて守るもの」というイメージがありますが、実際の働きは大きく3つに分けて考えられます。

働き

内容

腹圧を高める

お腹まわりを締めることで、お腹の中の圧力(腹圧)が上がり、腰の背骨が安定しやすくなると考えられています

動きを制限する

前かがみやひねりの動きが小さくなり、痛みの出る動作を避けやすくなります。硬いタイプほど制限は強くなります

安心感を得る

「支えられている」という感覚で、動くことへの怖さが和らぎます。痛みが強い時期には、この心理的な効果も無視できません

腹圧と筋肉の働きについての研究

カナダのグループが2019年に発表した研究では、腰痛のある人とない人に、伸縮性のある腰ベルトと伸縮性のないベルトを着けてもらい、体幹の筋肉の働きと腰の硬さ(剛性)を測りました。その結果、どちらのベルトでも体幹の硬さは大きく増え、腹部の筋肉(外腹斜筋など)の活動は減りました。2種類のベルトの間に一貫した差はなく、腰痛のある人とない人の間にも差はありませんでした。研究者は、ベルトが腹圧を高めることで、背骨への負担を増やさずに安定性を上げている可能性と一致する結果だと述べています。

ただし、これは短い動作を測った実験室での研究です。「ベルトで腰が安定する」ことと、「腰痛が良くなる」ことは別の話で、この論文だけで治療効果を語ることはできません。

【武内院長のコメント】「コルセットを"腰の骨を固定して治す道具"と思っている患者さんは多いのですが、実際は少し違います。腹圧を高めて腰を支え、動くときの怖さを減らす、いわば"歩行器の腰版"のようなものです。痛くて動けない時期に、動ける範囲を広げてくれる。その位置づけで使うのが、いちばん失望が少ないと感じています。」

効果の根拠はどこまであるのか

ここは、正直にお伝えします。腰痛に対する腰部サポーター(コルセット類)を調べた2008年のコクラン・レビュー(複数の臨床試験を統合した信頼性の高い分析)では、予防に関する7件(約1万4千人)、治療に関する8件(約1,400人)の試験が検討されました。結論は次のとおりです。

  • 予防:腰痛の発症を防ぐという点で、コルセットは、何もしない場合や運動指導に比べて効果が高いとはいえない、という中程度の根拠が示されました

  • 治療:すでにある腰痛に対して、何もしない場合や他の治療より有効かどうかは、はっきりしないままとされました

  • 検討された試験の質は全体に低く、質の高い試験がさらに必要だと結論づけられています

つまり、「コルセットで腰痛が良くなると証明された」わけでも、「意味がないと証明された」わけでもありません。効果がわからないというのが、現時点での正確な状況です。だからこそ、痛みの強い時期の補助として賢く使い、頼りきりにならないことが大切になります。

疾患ごとのコルセットの考え方は、こちらの記事でも解説しています。
▶ 椎間板ヘルニアのコルセットの使い方
▶ 脊柱管狭窄症のコルセットの使い方
▶ 膝サポーターの効果とリスク

コルセットの種類|軟性・半硬性・硬性、市販品と医療用の違い

コルセットの種類|軟性・半硬性・硬性、市販品と医療用の違い

コルセットは、支える強さによって大きく3種類に分けられます。

種類

特徴

主な使い場面

軟性(ソフト)

布やメッシュ、ゴムで作られた柔らかいタイプ。装着が楽で、服の下にも着けやすい。支える力は弱め

ぎっくり腰の痛みが強い時期の補助、軽い慢性腰痛、長時間の立ち仕事や運転

半硬性

背中側に金属やプラスチックの支柱(ステー)が入ったタイプ。軟性より動きをしっかり制限する

ヘルニア・狭窄症・すべり症の保存療法、手術後など、医師の指示のもとで使う場面

硬性

プラスチックなどで体に合わせて作る硬いタイプ。動きをほぼ固定する

圧迫骨折や手術後など、腰を強く保護する必要がある場面

硬いほど良い、というものではありません。硬いタイプほど動きを制限する分、筋肉を使う機会が減り、着け心地の負担も大きくなります。必要な強さは病気と時期で決まるため、目的に合わせて選びます。

市販品と医療用(治療用装具)の違い

市販品

医療用(治療用装具)

入手先

ドラッグストア、通販、スポーツ用品店

医療機関の処方に基づき、義肢装具士が採寸して作る、または既製品を調整する

費用

数千円〜1万円台が中心。全額自己負担

製作費は高くなりやすい。医師が必要と認めた治療用装具は、健康保険の療養費として払い戻しの対象になり得る

体への合い方

サイズは規格品。合わないと位置がずれやすい

体型に合わせて調整でき、病状に合った支持力にできる

診断

原因の確認なしに買える

診察と画像検査のうえで処方される

治療用装具の払い戻しは、まず自費で支払い、あとから保険者(加入している健康保険)に申請する流れが一般的です。対象になるかどうか、必要な書類、払い戻し額は、加入している保険者や医療機関によって異なるため、必ず医療機関の窓口と保険者に確認してください。装具を作る前に確認しておくと安心です。

市販品を選ぶときのポイント

  • サイズ:ウエストではなく、骨盤まわり(腰骨の出っ張りのあたり)を測って選ぶ。大きすぎるとずれ、小さすぎると食い込みます

  • 幅:背中側が腰から骨盤の上までしっかり覆う幅があるもの。細すぎると腰の支えになりません

  • 調整のしやすさ:面ファスナーやゴムで、締め具合を自分で微調整できるもの

  • 肌触り:長時間着けるので、通気性がよく、肌がかぶれにくい素材のもの

【武内院長のコメント】「ドラッグストアで一番高いものを買って、きつく締めて、かえって息苦しくなって続かなかった、という方をよく診ます。市販品は、まず柔らかいタイプで、痛みが強い数日〜数週間の補助として使うのが現実的です。痛みが2週間以上続く、足にしびれが出てきた、という段階なら、買い足すより先に受診してください。」

症状別のコルセットの使い分け|ぎっくり腰・ヘルニア・狭窄症・圧迫骨折・すべり症・術後

症状別のコルセットの使い分け|ぎっくり腰・ヘルニア・狭窄症・圧迫骨折・すべり症・術後

コルセットは、病気によって「何のために着けるのか」が違います。ここでは代表的な場面の考え方を一覧にしました。詳しい使い方は各疾患の記事にゆずりますが、大まかな違いをつかんでください。

状態

コルセットの位置づけ

目安・注意点

ぎっくり腰(急性腰痛)

痛みが強い最初の数日〜1〜2週間の補助。動きやすくするために使う

安静にしすぎず、動ける範囲で日常生活を続けることが大切。長く着けすぎない

椎間板ヘルニア

痛みが強い時期に、腰の負担を減らして動きを助ける

着けたまま無理に動かない。しびれや脱力が強いときは受診して指示を受ける

腰部脊柱管狭窄症

歩行時の痛みやしびれを和らげ、歩ける距離を延ばす補助

反らす動きを制限するタイプが選ばれることがある。長期の着けっぱなしは避ける

圧迫骨折

骨がつくまでの間、潰れた背骨を守る。医師の処方が原則

種類・着ける期間・外す時期は医師が決める。自己判断で外さない

腰椎すべり症

痛みが強い時期の補助。保存療法の選択肢のひとつ

すべりが強い、神経症状が出ているときは受診が必要

手術後

手術した部分を守り、動きを制限する。執刀医の指示が最優先

着ける期間や種類は手術の内容で違う。市販品への自己判断の変更は避ける

腰椎すべり症の保存療法についてのまとめ論文(2008年)でも、変性すべり症の治療の選択肢として、鎮痛薬・消炎鎮痛薬、硬膜外ブロック注射、装具(ブレース)、腹筋などの強化運動が挙げられています。ただし、これは選択肢のひとつという位置づけで、装具単独で滑りが治るという意味ではありません。神経症状(間欠跛行や排尿・排便の障害)があるケースでは、手術をしなければ悪化しやすいとも述べられています。

各疾患について、詳しくはこちらをご覧ください。
▶ ぎっくり腰・急性腰痛でやってはいけないこと
▶ 椎間板ヘルニアの痛みを和らげる方法
▶ 腰部脊柱管狭窄症とは?
▶ 圧迫骨折でやってはいけないこと
▶ 腰椎すべり症でやってはいけないこと

【武内院長のコメント】「患者さんは"コルセットは腰痛全般に使うもの"と考えがちですが、私たち医師は病名ごとに目的を変えて処方しています。同じ半硬性でも、圧迫骨折なら骨を守るため、狭窄症なら歩行を助けるため。目的が違えば、着ける時間も外す時期も違います。市販のコルセットで様子を見ている間に病気が進むことがあるので、初めての痛みや、いつもと違う痛みなら、一度は診察を受けてほしいです。」

コルセットの正しい付け方|位置・締め具合・服の上か下か

コルセットの正しい付け方|位置・締め具合・服の上か下か

せっかく買っても、付け方が合っていないと効果を感じにくく、逆に不快感の原因になります。次の手順を目安にしてください。

付ける位置

  • 基本は骨盤の上縁(腰骨の出っ張りのあたり)から、その上の腰にかけて覆う位置です

  • 背中側の中央(背骨の真ん中)に、コルセットの中心がくるようにします

  • お腹側は、みぞおちにかからないよう、おへそのやや下あたりまでにします

  • 座ると上にずり上がることがあるので、座ってから位置を直します

付ける手順

  1. 仰向けに寝て、コルセットを腰の下に敷き、お腹側に回して留めると、位置が決まりやすいです

  2. 立ったまま付ける場合は、息を軽く吐いてお腹を少し引いた状態で、ベルトを留めます

  3. 締め具合は、「軽く支えられている」と感じ、息が苦しくない程度にします

締め具合の目安

締め方

状態

対処

ちょうどよい

お腹が軽く支えられ、深呼吸ができる。指が1〜2本入る程度の余裕がある

そのまま使う

きつすぎる

息苦しい、食後に気持ち悪い、皮膚に跡が強く残る、足がむくむ

すぐに緩める。食後は特に緩める

ゆるすぎる

座ったり動いたりするとずれる、支えられている感じがない

サイズが合っていない可能性。調整するか買い替える

服の上か下か

直接、肌に着けると、汗やかぶれの原因になり、ずれも起きやすくなります。薄手の下着や肌着の上から着けるのが基本です。アウターの上から着けると、位置がずれても直しやすい反面、締め具合がわかりにくく、見た目も気になります。かぶれやすい方は、肌着を1枚はさむと着け心地が良くなります。

【武内院長のコメント】「診察室で、コルセットの位置がみぞおち近くまでずれ上がっている方をよく見かけます。これでは腰にはほとんど効いていません。座った状態で骨盤の上縁に当たっているかを、鏡で一度確認してみてください。ここが合うだけで、"楽になった"と感じる方は少なくありません。」

コルセットはいつまで使う?寝るときは外す?やめる手順

コルセットはいつまで使う?寝るときは外す?やめる手順

いつまで使うか

痛みの種類と時期によって、目安が変わります。

状態

着ける期間の目安

ぎっくり腰

痛みが強い最初の数日〜1〜2週間が中心。痛みが和らいだら、外す時間を増やす

ヘルニア・狭窄症など

痛みが強い時期や、長く歩く・立つ場面での補助。着けっぱなしにしない

圧迫骨折

医師が決める(骨の状態を見ながら、数週間〜数か月)

手術後

執刀医が決める。手術の内容で大きく異なる

急性腰痛と坐骨神経痛について安静と活動の助言を比べた2010年のコクラン・レビュー(10件の試験)では、急性の腰痛では、ベッドで安静にするよう勧められるより、活動を続けるよう助言されたほうが、痛みや機能の面でわずかに良い結果でした。坐骨神経痛では、両者の間に差はほとんどありませんでした。コルセットで動きを助けることは、この「できるだけ普通に動く」ための手段として意味があります。逆に、コルセットを着けているからと言って、動かずにじっとしているのでは本末転倒です。

寝るときは外す?

基本的には、寝るときは外して構いません。寝ている間は背骨にかかる負担が小さいためです。ただし次の場合は、医師の指示に従ってください。

  • 圧迫骨折や手術後で、医師から「寝るとき以外は常に着ける」「寝るときも着ける」など指示がある

  • 寝返りで痛みが強く、着けたほうがよく眠れると医師に確認した

寝るときの姿勢の工夫は、こちらも参考になります。
▶ 腰痛のときの寝方

コルセットをやめる手順

痛みが落ち着いてきたら、いきなりやめるのではなく、外す時間を少しずつ増やします。

  1. 座っているとき、家の中で過ごすときは外す(動きの少ない場面から外す)

  2. 短い歩行や家事のときは外す。長い外出や重い物を持つ場面だけ着ける

  3. 着ける場面を、長時間の立ち仕事や運転など、負担が大きい場面だけに絞る

  4. 1〜2週間、着けずに過ごして痛みが出なければ、卒業する

  5. 痛みがぶり返すときは、無理に我慢せず、もう一度着けて様子を見る。それでも繰り返すなら受診する

このとき、腹筋・背筋・お尻の筋肉を無理のない範囲で動かす運動を並行して行うと、卒業しやすくなります。狭窄症の方の運動については、こちらが参考になります。
▶ 脊柱管狭窄症の筋トレ

【武内院長のコメント】「"いつ外せばいいですか"と聞かれたとき、私は"痛みの点数が半分になったら、外す練習を始めましょう"とお話ししています。ゼロになるまで待つと、いつまでも外せなくなるからです。まず家の中で外す。次に短い外出で外す。この段階を踏むだけで、卒業できる方は意外に多いです。」

「コルセットで筋力が落ちる」は本当?逆効果になるケースと、やってはいけない使い方

「コルセットで筋力が落ちる」は本当?逆効果になるケースと、やってはいけない使い方

筋力低下の話を、研究の限界も含めて整理する

「コルセットに頼ると腹筋や背筋が弱る」という話は、よく聞きます。実際のところ、どこまで確かなのでしょうか。

先ほどの2019年の研究では、コルセット(腰ベルト)を着けている間、腹部の筋肉の活動が減ることが確かめられています。ですから、着けている間は筋肉を使う機会が減る、という点は事実です。ここから「長期間着けっぱなしにすると筋力が落ちる」と考えるのは、理屈としては自然です。

ただし、この研究は着けている最中の筋活動を短時間測ったもので、長期間の使用で筋力が実際に落ちるかどうかを追いかけた研究ではありません。また、コクラン・レビューを見ても、コルセットの着用によって筋力が落ちて腰痛が悪化する、という明確な結論は示されていません。つまり、「筋力が落ちる」は、可能性としては考えられるが、十分に証明されてはいないというのが正確な言い方です。

ここで大切なのは、証明されているかどうかよりも、実用上の考え方です。

  • 痛みが強い間だけ短期間使う分には、筋肉が落ちることを過度に心配する必要はない

  • 数か月以上、毎日長時間着けたままにするのは、理屈のうえでは避けたほうがよい

  • 着けている間に、体幹の筋肉を使う運動を並行して行う

逆効果になりやすいケース

ケース

なぜ問題になるか

痛みがなくなっても、なんとなく着けている

安心感から離れにくくなり、外すと不安になる悪循環になる

強く締めすぎている

息苦しさ、胃のもたれ、皮膚トラブル、足のむくみの原因になる

着けたまま、重い物を無理に持つ

コルセットがあるからと油断し、かえって腰を痛める

安静のために着けて、一日中動かない

安静より、できる範囲で動くほうが良いという研究結果とあべこべになる

やってはいけない使い方

  • 足のしびれや脱力が出ているのに、コルセットで様子を見続ける:神経の圧迫が進んでいるサインを見逃すことがあります

  • 圧迫骨折の疑いで、自己判断で市販品を着ける:骨折の診断と、適切な種類の装具の選択が先です

  • 手術後に、医師の指示なく外す・別のものに変える

腰痛でやってはいけないことは、こちらも参考になります。
▶ 腰痛のときに避けたいストレッチ
▶ 腸腰筋とは?腰痛との関係

【武内院長のコメント】「"コルセットを外したら痛みが戻りそうで怖い"という声はとても多いです。この不安は自然なものですが、怖がって着け続けるほど、外せなくなります。私は"コルセットは杖のようなもの。杖が必要な時期もあるし、いつか手放してもいい"とお伝えしています。手放す練習を、安全な場面から少しずつ始めましょう。」

こんなときは受診を|危険なサインと、コルセット以外の選択肢

こんなときは受診を|危険なサインと、コルセット以外の選択肢

すぐに受診してほしい症状

次のような症状があるときは、コルセットで様子を見ず、早めに医療機関を受診してください。

  • 足に力が入らない、つまずきやすくなった

  • 足や股のあたりのしびれ・感覚の低下

  • 尿が出にくい、漏れる、便が出にくいなどの排泄の異常(緊急性が高いサインです)

  • 転んだ・尻もちをついたあとに、強い痛みが続く(圧迫骨折の可能性)

  • 安静にしていても痛い、夜間に痛みで目が覚める

  • 発熱、体重減少、がんの既往がある(感染や腫瘍が隠れていることがあります)

  • 痛みが2〜3週間たっても、まったく良くならない

こうした症状は、コルセットの問題ではなく、原因となる病気の診断が必要なサインです。
▶ 腰痛が病気のサインであるとき
▶ 足のしびれの原因
▶ 腰椎椎間板ヘルニアの症状と段階

慢性腰痛の管理で大切なこと

2024年に発表された、成人の慢性腰痛(12週間以上続く腰痛)の評価と管理についてのまとめ論文では、まず診察で危険なサインを確かめることが重要とされています。画像検査は、危険なサインがある、神経の障害がある、保存療法でも良くならないといった場合に行い、ベッドでの安静は避けることが勧められています。治療は、運動療法、カウンセリング、マッサージ、温熱などの薬を使わない方法が第一で、次に薬(消炎鎮痛薬が第一選択)という順番です。コルセットは、この論文の要旨では取り上げられておらず、慢性腰痛の管理の中心は装具ではなく、体を動かすことと原因の見直しだとわかります。

薬や注射の選択肢

痛みが強く、動くのがつらいときは、薬や注射で痛みを抑えて動けるようにする方法もあります。
▶ 痛み止めの強さランキング
▶ ブロック注射とは

【武内院長のコメント】「受診の目安でいちばん強調したいのは、排尿・排便の異常と、足の力が入らない症状です。これはコルセットで様子を見るものではありません。年齢を重ねた方ほど、"年だから"と我慢しがちですが、神経の圧迫は時間がたつと戻りにくくなることがあります。迷ったら早めに来てください。」

薬や注射で改善しないときに

コルセットや飲み薬、ブロック注射を試しても腰やしびれの症状が改善せず、手術は避けたいという場合に、再生医療(幹細胞治療)という選択肢もあります。ご自身の脂肪から採取・培養した幹細胞を点滴で投与し、傷んだ組織の修復や炎症の抑制を目指す治療です。自由診療であり、効果には個人差があります。すべての方が対象になるわけではなく、適応は診察で判断します。

▶ 脊柱管狭窄症の再生医療とは?
▶ 腰のヘルニア・しびれの再生医療について

コルセットについてよくある質問

コルセットについてよくある質問

Q. コルセットは一日中着けていてもいいですか?

痛みが強い時期でも、一日中の着けっぱなしはおすすめしません。立つ・歩く・重い物を持つなど、腰に負担がかかる場面に絞って着けるのが基本です。座っているときや家の中で過ごすときは、できるだけ外す時間をつくってください。圧迫骨折や手術後は、医師の指示に従います。

Q. 寝るときも着けたほうがいいですか?

基本的には外して構いません。医師から着用の指示がある場合(圧迫骨折や術後など)は、その指示に従ってください。

Q. 病院で作るコルセットは保険がききますか?

医師が治療に必要と認めた治療用装具は、健康保険の療養費として払い戻しの対象になり得ます。ただし、いったん全額を支払ってから申請する流れが一般的で、対象や金額は保険者や医療機関によって異なります。作る前に、医療機関の窓口と加入している保険者に確認してください。

まとめ|コルセットは「動きやすくするための補助」として使う

まとめ|コルセットは「動きやすくするための補助」として使う

  • コルセットは、腹圧・動きの制限・安心感で腰を支え、動きやすくするための道具。腰痛そのものを治すものではない

  • コクラン・レビューでは、予防効果は示されず、治療効果もはっきりしない。効果は「わからない」が正確な状況

  • 種類は軟性・半硬性・硬性。硬ければ良いわけではなく、病気と時期で選ぶ。医師が必要と認めた治療用装具は、療養費の対象になり得るため、医療機関と保険者に確認する

  • 位置は骨盤の上縁あたり。息苦しくない程度に締め、肌着の上から着ける。寝るときは基本的に外してよい

  • 「筋力が落ちる」は、着けている間に筋肉を使う機会が減るのは事実だが、長期の影響は十分に証明されていない。だらだら着け続けず、外す練習を少しずつ行う

  • 圧迫骨折・術後・すべり症は、医師の指示を最優先にする

  • 足の力が入らない・排尿排便の異常・発熱・安静でも消えない痛みは、コルセットで様子を見ず、早めに受診する

関連コラム

参考文献

  1. van Duijvenbode IC, et al. Lumbar supports for prevention and treatment of low back pain. Cochrane Database Syst Rev. 2008;(2):CD001823. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18425875/

  2. Ludvig D, et al. The effect of extensible and non-extensible lumbar belts on trunk muscle activity and lumbar stiffness in subjects with and without low-back pain. Clin Biomech (Bristol). 2019;67:45-51. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31075735/

  3. Maharty DC, et al. Chronic Low Back Pain in Adults: Evaluation and Management. Am Fam Physician. 2024;109(3):233-244. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38574213/

  4. Dahm KT, et al. Advice to rest in bed versus advice to stay active for acute low-back pain and sciatica. Cochrane Database Syst Rev. 2010;(6):CD007612. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20556780/

  5. Kalichman L, Hunter DJ. Diagnosis and conservative management of degenerative lumbar spondylolisthesis. Eur Spine J. 2008;17(3):327-335. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18026865/

院長監修記事

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武内 晋司郎

(たけうち しんじろう)

シンセルクリニック総院長

三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

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三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

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