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【医師監修】足がしびれる原因は?場所と出方で絞る|すぐ受診すべき危険なしびれ・何科・検査を整形外科の医師が解説
「最近、足がしびれる日が増えてきた。年のせいだと思って様子を見ているが、本当にそれでよいのか」
「親の足しびれるという訴えが続いていて、どこに連れて行けばよいのかわからない」
足のしびれは、50代、60代、70代と年齢を重ねるほど増えてくる症状です。正座のあとに一時的にしびれるだけなら心配はいりませんが、何日も続くしびれ、片方だけに出るしびれ、歩くと強くなるしびれの中には、腰の神経、血管、糖尿病、脳の病気が隠れていることがあります。
この記事では、シンセルクリニック総院長で整形外科の医師である武内晋司郎が、足がしびれるときにすぐ受診すべき危険なサイン、しびれの場所と出方から原因を絞る方法、主な病気、何科でどんな検査を受けるのか、自分でできる対処までを解説します。なお、だるさ・むくみ・冷えが中心の方は、次の記事をご覧ください。
この記事の結論
足のしびれの多くは、腰の神経の圧迫や末梢神経の障害が原因だが、排尿・排便の異常、股やお尻周りのしびれ、顔や手も同じ側がしびれる、ろれつが回らない場合は、すぐに医療機関を受診する
しびれは「どこがしびれるか」で原因の見当がつく。太もも、すね〜足の甲、足の裏、靴下型では、疑う病気が変わる
歩くとしびれて休むと楽になる場合は、腰部脊柱管狭窄症か、足の血管の病気を疑う。この2つは治療がまったく違うため、見分けが大切
片足だけなら腰や局所の神経、両足の先から靴下のように広がるなら糖尿病などの全身の病気を疑う
受診先は、まず整形外科。神経の診察、MRI、足の脈の確認、血液検査で原因を絞り込む。自己判断で放置せず、続く場合は早めに相談を
- この記事の結論
- 足がしびれるとき、すぐ受診すべき危険なしびれ
- 馬尾症候群とは
- 脳卒中のしびれは「片側」に出る
- 急に足首が上がらないときは
- 足がしびれる原因を「しびれの場所」から絞る
- 上位の腰椎椎間板ヘルニアでは、しびれの分布が手がかりになる
- 足がしびれる「出方」で見分ける|歩くと・座ると・じっとしていても
- 「歩くとしびれて、休むと楽になる」は最重要のサイン
- 片足だけか、両足か
- 足がしびれる主な原因①|腰・骨盤・足の神経の病気
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 腰部脊柱管狭窄症
- 梨状筋症候群
- 足根管症候群
- モートン病
- 足がしびれる主な原因②|血管・糖尿病・ビタミン・脳の病気
- 閉塞性動脈硬化症(足の動脈が狭くなる)
- 糖尿病などによる末梢神経障害
- ビタミンB12の不足など、栄養の問題
- 高齢者では、しびれの原因がはっきりしないことも多い
- 脳の病気によるしびれ
- 足がしびれるときは何科?どんな検査を受けるか
- まずは整形外科が受診しやすい
- 行われる主な検査
- 受診の目安
- 足のしびれの治療と、自分でできること
- 自分でできること
- 薬や注射で改善しないしびれに
- 足がしびれるときによくある質問
- Q. 足がしびれるとき、様子を見てよいのはどんなときですか?
- Q. 足しびれるのは、年のせいでしょうか?
- Q. 片足のふくらはぎだけがしびれて痛みます。
- Q. MRIで異常がないと言われましたが、しびれが続きます。
- Q. 足のしびれは手術しないと治りませんか?
- まとめ|足がしびれるときは「場所」「出方」「危険なサイン」の順に確認を
- 関連コラム
- 参考文献

足がしびれるとき、すぐ受診すべき危険なしびれ
足のしびれのほとんどは、命にかかわるものではありません。しかし、なかには急いで対応しないと、後遺症が残る可能性があるものがあります。原因を探す前に、まず次の危険なサインに当てはまらないかを確認してください。
危険なサイン | 疑われる状態 | 行動の目安 |
|---|---|---|
尿が出にくい、漏れる、便が出にくい・漏れる。股やお尻周り(肛門のまわり)がしびれる、感覚が鈍い | 馬尾(ばび)症候群。腰の神経の束が強く圧迫された状態 | 当日中に受診(救急を含む) |
両足に力が入らない、しびれが両足に急に広がった | 脊髄や馬尾の強い圧迫、ギラン・バレー症候群など | 当日中に受診 |
顔や手も同じ側がしびれる、ろれつが回らない、言葉が出ない、片側の口が下がる | 脳卒中(脳梗塞・脳出血)の疑い | ためらわず119番 |
急に足首が上がらなくなり、つまずく・スリッパが脱げる | 下垂足(腰の神経や、膝外側の神経の障害) | 数日以内に受診 |
突然の足の強い痛み、足が冷たく白い・紫色になった | 足の動脈が急につまった状態 | 当日中に受診 |
発熱、原因不明の体重減少、夜間や安静時も続く痛み、がんの既往 | 感染、腫瘍など背骨の重い病気の可能性 | 早めに受診 |
馬尾症候群とは
腰の骨(腰椎)の中を通る神経の束を「馬尾(ばび)」といいます。馬の尾のような形をしているためについた名前です。ここが椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などで強く圧迫されると、両足のしびれや脱力に加えて、膀胱と直腸の働きの異常(排尿・排便のトラブル)と、股・お尻周りの感覚の低下が出ることがあります。
馬尾症候群の警告となる症状(レッドフラッグ)については、複数のガイドラインを比較した報告があります(Toddら、2017年)。この報告は、ガイドラインに挙げられている症状の中に、すでに進んで元に戻りにくい段階の症状が多く含まれていることを指摘し、そうなる前の早い段階で紹介・検査に進むべきだと述べています。「おかしい」と感じた時点で相談することが大切という考え方です。
一方で、背骨の重い病気を疑う警告症状の多くは、診断の精度を裏づける質の高い証拠がまだ十分ではないことも報告されています(Finucaneら、2020年)。だからこそ、症状を一つだけで判断せず、複数のサインを組み合わせ、医師の診察で総合的に判断することが重要です。
【武内院長のコメント】「足のしびれで来られた方に、私は必ず"トイレの様子は変わっていませんか""お尻や股のまわりの感覚はどうですか"と尋ねます。足の話をしているのに、と不思議そうな顔をされますが、ここが最も大事な質問です。排尿や排便の変化、股まわりのしびれは、神経の束が強く圧迫されているサインかもしれません。恥ずかしがらずに、最初にお話しください。」
脳卒中のしびれは「片側」に出る
脳の病気によるしびれは、体の片側(顔・腕・足)にまとめて、突然出るのが特徴です。ろれつが回らない、ものが二重に見える、ふらつくといった症状を伴うこともあります。様子を見ずに救急要請をしてください。
急に足首が上がらないときは
足首や足の指を持ち上げる力が急に落ちて、つま先が引っかかる状態を「下垂足(かすいそく)」といいます。腰の神経や、膝の外側を通る神経の障害で起こります。
発熱、体重減少、安静時や夜間の痛みを伴うしびれは、まれに背骨の感染や腫瘍が関係します。

足がしびれる原因を「しびれの場所」から絞る
足のしびれは、どの場所がしびれるかで、障害されている神経の見当がつきます。腰の神経は、腰の骨の高さごとに枝分かれして、足の決まった範囲の感覚を担当しているためです。次の表で、ご自身のしびれの場所に近いものを探してみてください。
しびれる場所 | 考えられる原因 | ポイント |
|---|---|---|
太ももの前〜膝の内側 | 上位腰椎(腰の上のほう)の神経の障害 | 膝より上の太ももなら第2腰神経、膝の内側なら第3腰神経が疑われる |
太ももの外側 | 外側大腿皮神経の圧迫、腰の神経の障害 | 締めつけの強い服や体重増加で悪化することがある |
すねの外側〜足の甲〜親指 | 腰の下のほうの神経(第5腰神経)の障害 | 親指を持ち上げる力が落ちることがある |
足の裏〜かかと〜小指側 | 仙骨の高さの神経(第1仙骨神経)の障害、足根管症候群 | つま先立ちがしにくいことがある |
足の指の付け根(第3・4指の間) | モートン病(足の指の神経の炎症) | 先の細い靴や、ヒールで悪化する |
両足の先から靴下をはいたように | 糖尿病などによる末梢神経障害、ビタミン不足 | 左右対称に、足先から上に広がる |
お尻から太もも裏〜ふくらはぎ | 坐骨神経の圧迫(腰の病気、梨状筋症候群) | 座ると悪化することがある |
上位の腰椎椎間板ヘルニアでは、しびれの分布が手がかりになる
腰の上のほうの椎間板ヘルニアについて、痛みやしびれの場所が診断にどれほど役立つかを調べた報告があります(Kidoら、2016年)。この研究では、腰の神経の根元の障害で手術を受けた58人を調べ、痛みやしびれが膝より上の太ももにあれば第2腰神経の障害、膝の内側にあれば第3腰神経の障害を強く疑う手がかりになると結論づけています。一方で、筋力や反射などの診察所見だけでは、障害されている高さを正確に特定できなかったとされています。
【武内院長のコメント】「診察室で"足がしびれます"とだけ言われると、実は絞り込みが難しいのです。"右のすねの外側から足の甲にかけて""足の裏の外側だけ"と場所を教えていただけると、腰の神経のどの高さかが見えてきます。診察のときは、しびれる場所を指でなぞって示していただくのが、いちばん確実です。」
また、坐骨神経痛を詳しく調べた小さな研究(Tampinら、2021年。26人)では、神経根の障害で感覚が落ちている人の78%がしびれを訴え、痛みだけの人では訴えがありませんでした。少人数の研究ですが、しびれは神経の障害を示すサインとして丁寧に評価する価値があります。
各部位の詳しい解説は、次の記事もご覧ください。
▶ 太ももの痛み・しびれを部位別に解説
▶ 足の親指のしびれの原因
▶ 腰椎椎間板ヘルニアの高さ別の症状

足がしびれる「出方」で見分ける|歩くと・座ると・じっとしていても
場所とどんなときにしびれが出るかも、原因を絞る大きな手がかりです。
歩くと足がしびれる・痛くなり、前かがみで休むと楽になる:腰部脊柱管狭窄症(神経の通り道が狭くなる)
歩くとふくらはぎが痛くなり、立ち止まるだけで楽になる。足が冷たい:閉塞性動脈硬化症(足の動脈が狭くなる)
座っているとお尻から足にしびれが出る。立つと楽:椎間板ヘルニア、梨状筋症候群
正座やあぐらのあとに、一時的にしびれ、動かすと数分で消える:神経と血管の一時的な圧迫(多くは心配なし)
じっとしていても常にしびれる・ジンジンする:末梢神経障害、神経自体の障害
「歩くとしびれて、休むと楽になる」は最重要のサイン
歩いているうちに足がしびれたり重くなったりして、少し休むとまた歩ける。これを「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」といいます。この症状の原因は主に2つです。
腰部脊柱管狭窄症(神経性) | 閉塞性動脈硬化症(血管性) | |
|---|---|---|
楽になる姿勢 | 前かがみ、座る、しゃがむ | 立ち止まるだけで楽になる |
自転車 | こげる(前かがみのため) | こぐと痛くなる |
足の状態 | 温かく、脈も触れる | 冷たい、色が悪い、足の脈が弱い |
背景 | 加齢による背骨の変化 | 喫煙、糖尿病、高血圧、脂質異常症 |
この2つは、治療の方針がまったく異なります。前者は腰の治療が中心で、後者は血管の治療と生活習慣病の管理が中心です。合併している方もいるため、診察での見極めが大切です。
▶ 腰部脊柱管狭窄症とは?症状・原因・治療法
▶ 間欠性跛行とは?原因と見分け方
【武内院長のコメント】「間欠性跛行の患者さんには、"スーパーで買い物をするとき、カートを押していると楽ではないですか"と伺います。カートにつかまって前かがみになると楽、という方は、狭窄症の可能性が高い。逆に、立ち止まるだけで楽になり、足が冷たいという方は、血管の検査を優先します。こうした日常の何気ない場面が、診断のヒントになります。」
片足だけか、両足か
しびれが片足か両足かも、重要な手がかりです。
片足だけ:腰の神経の片側の圧迫(椎間板ヘルニアなど)、坐骨神経の圧迫、足の局所の神経障害が多い。血管の病気も、左右差が出ることがある
両足:脊柱管狭窄症(神経の通り道が広い範囲で狭い場合)、糖尿病などの全身の神経障害、ビタミン不足が疑われる。両足に急に出た場合は、危険なサインの表を確認
片側の顔・手・足がまとめて:脳の病気を最初に考える
片足だけのしびれ・痛みの原因については、次の記事もご覧ください。
▶ 坐骨神経痛の原因と症状

足がしびれる主な原因①|腰・骨盤・足の神経の病気
整形外科でよく出会う、神経の圧迫や障害によるしびれを整理します。
腰椎椎間板ヘルニア
背骨の間でクッションの役割をする椎間板が飛び出して、神経を圧迫する病気です。お尻から太もも、ふくらはぎ、足先にかけての痛みとしびれが、片側に出るのが典型です。前かがみや座位で悪化することが多いのが特徴です。
腰部脊柱管狭窄症
背骨の中の神経の通り道(脊柱管)が、加齢による骨や靭帯の変化で狭くなる病気です。50代以降に多く、歩くとしびれが強くなり、休むと楽になるのが特徴です。両足に出ることも、片足だけに出ることもあります。
梨状筋症候群
お尻の深い場所にある梨状筋という筋肉が硬くなり、その下を通る坐骨神経を圧迫する状態です。長時間座るとお尻から足にしびれが出て、立ち上がると楽になることがあります。腰のMRIで大きな異常が見つからないのに、坐骨神経痛のような症状が続く場合に疑います。
足根管症候群
足首の内側にある「足根管」というトンネルの中で、足の裏に向かう神経が圧迫される病気です。足の裏や指のしびれ、ジンジンした痛みが出ます。夜間に強くなることがあります。
モートン病
足の指の付け根で、指へ向かう神経が挟まれて炎症を起こす病気です。足の第3指と第4指の間を中心に、しびれや焼けるような痛みが出ます。先の細い靴やヒールで悪化し、女性に多いとされます。
【武内院長のコメント】「腰のMRIで"大きな問題はない"と言われたのに、しびれが続くという相談は少なくありません。腰以外に、お尻の梨状筋、足首の足根管、足の指の付け根で神経が圧迫されていることもあります。画像で腰に異常がないことと、しびれの原因が腰でないことは、イコールではありません。」

足がしびれる主な原因②|血管・糖尿病・ビタミン・脳の病気
腰や足の神経以外にも、しびれの原因になる病気があります。整形外科の診察でも、これらを見落とさないことが大切です。
閉塞性動脈硬化症(足の動脈が狭くなる)
足への血流が悪くなり、歩くとふくらはぎや足がしびれる・痛む病気です。足が冷たく、足の甲の脈が触れにくくなります。喫煙、糖尿病、高血圧、脂質異常症のある方に多くみられます。腰の病気と症状が似ているため、足の脈の確認が診察の重要な一部になります。
糖尿病などによる末梢神経障害
糖尿病では、高い血糖が長く続くと、足先の細い神経から障害されていきます。両足の先から、靴下をはいたようにしびれ、左右対称に広がるのが典型的です。進行すると足の感覚が鈍くなり、傷や火傷に気づきにくくなります。
末梢神経障害の評価と鑑別を解説した総説(Castelliら、2020年)によると、末梢神経障害は一般の人の1〜7%にみられ、50歳を超えると割合が高くなります。原因として多いのは糖尿病、神経の圧迫や外傷、アルコール、薬などの毒性、遺伝性の病気、栄養の不足で、25〜46%では原因がはっきりしないとされています。初期のしびれは「手袋・靴下型」の分布で始まることが多く、その後、より体に近い部分へ広がることがあるとも述べられています。
ビタミンB12の不足など、栄養の問題
ビタミンB12が不足すると、足先のしびれや感覚の低下が出ることがあります。胃の手術後や偏った食事の方などで起こりえます。前述の総説でも、末梢神経障害の初期の検査として、血糖、ビタミンB12、甲状腺ホルモンなどの血液検査が挙げられています。B12は、補充によって改善が見込める「治療可能な原因」の一つです。
高齢者では、しびれの原因がはっきりしないことも多い
65歳以上の795人を調べた研究(Moldら、2004年)では、両足に感覚の低下がある人の割合は、65〜74歳の26%から、85歳以上の54%へと上がっていました。ところが、感覚の低下のある人のうち、末梢神経障害の原因となる病気があると自覚していたのは約40%にとどまりました。多くの場合、原因が明らかでなかったということです。増えやすい要因として、年齢、体格指数の上昇、糖尿病、ビタミンB12の不足などが挙げられ、感覚の低下はしびれ、痛み、歩きにくさ、バランスの悪さ、生活の質の低下と関連していました。
【武内院長のコメント】「高齢の患者さんが"年だから仕方ない"と長く我慢されていて、調べてみると糖尿病が見つかった、血液検査でビタミンB12が低かった、ということがあります。しびれは"年のせい"と言い切れない症状です。特に、両足の先から広がるしびれは、腰ではなく全身の病気が関係していることがあるため、整形外科と内科の両方の目で確認するようにしています。」
脳の病気によるしびれ
脳梗塞や脳出血では、体の片側の足や手、顔にしびれが出ることがあります。突然起こるのが特徴で、一時的に治まっても、再発の前ぶれ(一過性脳虚血発作)のことがあります。しびれが数分で消えたとしても、片側の顔・手・足がまとめてしびれた場合は、その日のうちに受診してください。

足がしびれるときは何科?どんな検査を受けるか
まずは整形外科が受診しやすい
足のしびれで最初に受診する診療科としては、整形外科が最も一般的です。腰・足の神経の病気の診察と画像検査ができ、必要に応じて血管や糖尿病の検査、ほかの診療科への紹介につなげられます。
状況 | 受診先の目安 |
|---|---|
腰・お尻・足の痛みとしびれ、歩くとつらい | 整形外科 |
顔・手も同じ側がしびれる、ろれつが回らない | 救急(119番)→脳神経内科・脳神経外科 |
両足の先が靴下型にしびれる、血糖が高いと言われた | 内科(糖尿病内科)+整形外科 |
足が冷たい、歩くとふくらはぎが痛く立ち止まると楽 | 血管外科・循環器内科(整形外科でも初期評価が可能) |
排尿・排便の異常、股のしびれ | 救急対応が可能な医療機関(整形外科・脳神経外科) |
行われる主な検査
問診・神経の診察:しびれの場所と出方、筋力、反射、感覚の鈍さ。診断の中心になる
足の脈の確認・血圧比の測定:足の動脈が狭くなっていないか
レントゲン:背骨の変形、すべり、骨の状態
MRI:神経の圧迫(ヘルニア、狭窄)の場所と程度。神経の通り道の状態を直接見られる
神経伝導検査など:末梢神経が正常に働いているか。原因の絞り込みが難しいときに行う
血液検査:血糖、ビタミンB12、甲状腺ホルモンなど。全身の病気や栄養の不足を確認
受診の目安
2週間以上続く、少しずつ範囲が広がる:整形外科を受診
歩くと悪化して、休まないと歩けない:早めに整形外科を受診
足の力が落ちた、つまずきやすくなった:数日以内に受診
排尿・排便の異常、股・お尻のしびれ、両足の急な脱力:当日中に受診
顔や手も同じ側がしびれる、ろれつが回らない:119番
【武内院長のコメント】「しびれを我慢する期間が長すぎる方が多いと感じます。"こんなことで受診してよいのか"とおっしゃいますが、しびれは神経からの大切な報告です。2週間続いたら、ぜひ一度来てください。早いほど選択肢が広がります。」

足のしびれの治療と、自分でできること
足のしびれの治療は、原因によって異なります。ここでは、腰の神経の病気が原因の場合を中心に整理します。
原因の治療:糖尿病なら血糖管理、ビタミンB12不足なら補充、血管の病気なら血流の改善。最も大切なのは原因への対応
飲み薬:ビタミンB12製剤、血流を改善する薬(リマプロストなど)、神経の痛みの薬(プレガバリン、ミロガバリンなど)、漢方薬
神経ブロック注射:痛みやしびれが強い時期に、神経の周囲に薬を注射する
運動・生活の工夫:体幹と下肢の筋力の維持、姿勢の工夫、体重の管理
装具:コルセットなど。長期の使用は筋力低下を招くことがある
手術:神経の圧迫が強い、力が落ちている、排尿・排便に異常がある場合
飲み薬の詳しい使い分けは、次の記事で解説しています。
▶ 脊柱管狭窄症に効く薬の種類と使い分け
▶ リリカ(プレガバリン)の効果と副作用
▶ 神経障害性疼痛とは?原因・薬一覧・何科を受診すべきか
自分でできること
同じ姿勢を続けない:長い座位や正座で悪化する方は、30〜60分ごとに立って歩く
足の観察:感覚が鈍い方は、毎日、足の裏や指の間に傷や赤みがないかを見る。靴下やくつの中の異物にも注意
禁煙と生活習慣病の管理:血管と神経を守る
【武内院長のコメント】「"しびれにいいストレッチを教えてください"とよく聞かれます。ただ、しびれの原因によって、してよい運動と避けるべき運動が変わります。腰を反らすと悪化する狭窄症の方に、反らす運動をすすめては逆効果です。自己流で始める前に、原因を確かめてください。原因がわかってからの運動療法は、驚くほど効率が良くなります。」
薬や注射で改善しないしびれに
飲み薬やブロック注射を続けてもしびれが改善せず、手術は避けたいという場合に、再生医療(幹細胞治療)という選択肢もあります。ご自身の脂肪から採取・培養した幹細胞を点滴で投与し、傷んだ神経の修復と炎症の抑制を目指す治療です。自由診療であり、効果には個人差があります。すべての方に適応となるわけではなく、まず原因の診断が前提です。適応は診察で判断します。
▶ 脊柱管狭窄症の再生医療とは?
▶ 手足のしびれ・痛みの再生医療について

足がしびれるときによくある質問
Q. 足がしびれるとき、様子を見てよいのはどんなときですか?
正座のあとに一時的にしびれ、数分で消える場合は多くは心配いりません。一方、2週間以上続くしびれ、少しずつ広がるしびれ、力が入りにくいなどの症状を伴うしびれは、様子を見ずに受診してください。危険なサインに当てはまる場合は、すぐの受診が必要です。
Q. 足しびれるのは、年のせいでしょうか?
加齢とともに足の感覚が鈍くなる方が増えるのは事実です。しかし、その背景に糖尿病、ビタミンB12の不足、腰の神経の圧迫、血管の病気が隠れていることがあります。「年のせい」と決めつけず、一度は原因を調べることをおすすめします。
Q. 片足のふくらはぎだけがしびれて痛みます。
腰の神経の圧迫のほか、ふくらはぎの筋肉の問題、まれに足の静脈に血のかたまりができる病気(深部静脈血栓症)などが原因になることがあります。ふくらはぎの腫れや赤み、熱感を伴う場合は、早めに受診してください。
Q. MRIで異常がないと言われましたが、しびれが続きます。
腰のMRIに大きな異常がなくても、原因が腰以外にあることがあります。お尻の筋肉や足首・足の指の付け根での神経の障害、糖尿病、ビタミンの不足などです。場所と出方を整理し直し、血液検査や神経の検査も含めて探します。
Q. 足のしびれは手術しないと治りませんか?
手術が必要になるのは、神経の圧迫が強く、筋力の低下や排尿・排便の異常がある場合などに限られます。多くの方は、薬、注射、運動、生活の見直しで経過をみます。手術を急ぐかどうかは、症状の進み方と画像の所見をあわせて判断します。

まとめ|足がしびれるときは「場所」「出方」「危険なサイン」の順に確認を
まず危険なサインを確認する。排尿・排便の異常、股・お尻周りのしびれ、顔や手も同じ側がしびれる、ろれつが回らない、急に足首が上がらない場合は、すぐ受診(脳卒中が疑われるときは119番)
しびれの場所(太もも、すね〜足の甲、足の裏、靴下型)で、原因の神経や病気の見当がつく
しびれの出方(歩くと、座ると、朝だけ、正座後)も手がかり。歩くとしびれて休むと楽になる場合は、脊柱管狭窄症か閉塞性動脈硬化症を見分ける
片足なら腰や局所の神経、両足の先から靴下型なら糖尿病などの全身の病気を疑う
高齢では原因がはっきりしないしびれも多く、「年のせい」で片づけないことが大切
受診先はまず整形外科。神経の診察、足の脈、MRI、血液検査で原因を絞る。2週間以上続くしびれは相談を
再生医療は自由診療で、効果には個人差がある。すべての方が対象ではなく、診察による診断が前提
関連コラム
参考文献
Kido T, et al. Clinical diagnosis of upper lumbar disc herniation: Pain and/or numbness distribution are more useful for appropriate level diagnosis. J Orthop Sci. 2016;21(4):419-424. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27053156/
Todd NV. Guidelines for cauda equina syndrome. Red flags and white flags. Systematic review and implications for triage. Br J Neurosurg. 2017;31(3):336-339. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28637110/
Finucane LM, et al. International Framework for Red Flags for Potential Serious Spinal Pathologies. J Orthop Sports Phys Ther. 2020;50(7):350-372. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32438853/
Castelli G, et al. Peripheral Neuropathy: Evaluation and Differential Diagnosis. Am Fam Physician. 2020;102(12):732-739. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33320513/
Mold JW, et al. The prevalence, predictors, and consequences of peripheral sensory neuropathy in older patients. J Am Board Fam Pract. 2004;17(5):309-18. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15355943/
Tampin B, et al. Disentangling 'sciatica' to understand and characterise somatosensory profiles and potential pain mechanisms. Scand J Pain. 2021;22(1):48-58. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34333881/
院長監修記事

武内 晋司郎
(たけうち しんじろう)
シンセルクリニック総院長
三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。
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三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。
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