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【医師監修】低身長を治療しなかったらどうなる?最終身長・大人になってからの困りごとを医師が正直に解説

2026.09.29

「低身長の治療をしなかったら、この子は大人になってどうなるんだろう」

「病気ではないと言われたけれど、このまま様子を見るだけで本当にいいのかな」

お子さんの背がクラスでいつも前のほうにいる。母子手帳の成長曲線が、帯の下のほうを進んでいる。そう気づいたとき、多くの親御さんが最初に浮かべる疑問は、費用でも注射の痛みでもなく、「何もしなかったらどうなるのか」ではないでしょうか。

この記事では、シンセルクリニック低身長治療センターで診療にあたる整形外科の医師・長田が、低身長を治療しなかった場合にどうなるのかを、「治療しなくても追いつく子」と「追いつかない子」の違い、様子を見てよいときと専門の医師に相談したほうがよいときの分かれ目、最終身長や大人になってからの困りごとまで、根拠のある範囲で正直に解説します。決められないことは、親御さんの落ち度ではありません。

この記事の結論

  • 「低身長」には、経過をみてよいもの(体質・家族性・思春期の遅れなど)と、病気が原因のもの(成長ホルモン分泌不全性低身長症、SGA性低身長症、ターナー症候群など)がある。「治療しなかったらどうなるか」の答えは、どちらのタイプかで大きく変わる

  • 体質や思春期の遅れによる低身長は、治療をしなくても最終的に追いつく子が少なくない。ただし全員ではなく、「様子を見る」と「何もしない」は別

  • 様子を見てよいか迷ったときの分かれ目は、成長曲線の傾き・1年間の伸び・骨年齢の3つ。年齢や見た目だけでは判断できない

  • 治療した子としなかった子で最終身長に差がつくことがあるが、個人差が非常に大きく、必ず何センチとは断言できない。研究でも反応はばらつく

  • 大人になってからの困りごとは、「背が低いこと」そのものより、病気の見落としのほうが重い。治療を始めても、中止しても、その時点までの身長が失われることはない

「治療しなかったらどうなる?」の答えは、低身長のタイプで変わります

「治療しなかったらどうなる?」の答えは、低身長のタイプで変わります

最初にお伝えしたいのは、「低身長」とひとくくりにされている状態の中に、性質のまったく違うものが混ざっているということです。「治療しなかったらどうなるか」は、お子さんがどのタイプかによって、答えがまるで変わります。

医学的な低身長の目安は、同じ性別・同じ年齢の平均に対してマイナス2.0標準偏差(−2SD)以下です。分かりやすく言うと、同い年の子が100人横一列に並んだとき、前から3番目までに入るくらいの位置にあたります。

ただし、−2SDを下回っているからといって、すぐに病気があるというわけではありません。国際的な専門家の合意文書(Cohenら、2008年)では、−2SDを下回っていても、詳しい検査で病気が見つからないものを「特発性低身長」と呼び、その中に家族性のもの(両親が小柄)や、思春期の始まりが遅いものなどが含まれるとされています(Witら、2008年)。

タイプ

どんな状態か

治療しなかった場合の見通し

体質性(思春期が遅いタイプ)

成長の始まりが遅く、骨年齢も遅れている。のちに思春期が来て追いつくことが多い

治療しなくても、最終的に平均的な範囲に届く子が多いとされる

家族性(両親が小柄)

遺伝的に小柄な体格。成長の勢いや思春期の時期は標準的

そのまま両親に近い身長になることが多い

特発性(原因が見つからない)

−2SD以下で、検査でも病気は見つからない

個人差が大きい。平均まで追いつく子もいれば、低いままの子もいる

病気が原因のもの

成長ホルモン分泌不全性低身長症、SGA性低身長症、ターナー症候群など

病気の種類によっては、治療しないと低いままになることが多い。原因の確認が先

大切なのは、どのタイプに近いのかを見分けることです。見分ける材料は、成長曲線、1年間の伸び、骨年齢の3つです。

【長田医師のコメント】「外来で『治療しなかったらどうなりますか』と聞かれると、私はまず『お子さんがどのタイプかによります』とお答えします。タイプを見分けないまま『大丈夫です』とも『大変です』とも言えないのが、この分野の正直なところです。」

治療しなくても追いつく子と、追いつかない子|様子を見てよいタイプ

治療しなくても追いつく子と、追いつかない子|様子を見てよいタイプ

思春期が遅いタイプは、あとから追いつくことがある

同級生より背が低くても、思春期の始まりが遅いだけの子がいます。こうした状態を「体質性成長・思春期遅延」と呼び、骨年齢が実年齢より遅れているのが特徴です。周りの子が思春期に入って一気に伸びるころ、この子たちは伸びる時期がまだ来ておらず、一時的に差が開いて見えます。

この状態の男の子が、治療を受けずに最終的にどうなったかを調べた研究があります(Lucianoら、2025年)。ブラジルの専門施設で経過をみた46人の男の子を後ろ向きに調べたもので、最初の診察では93%が低身長でしたが、最終評価の時点で低いままだったのは17%でした。成人身長に達した子では、身長は両親の身長から見込まれる目標の身長と同程度で、思春期が自然に始まった年齢の中央値は15歳でした。薬による治療を受けた子はいませんでした。

この研究からは、思春期が遅いタイプの男の子は、治療をしなくても追いつく子が多いと読み取れます。ただし対象は男の子のみで、1つの専門施設の記録をさかのぼった研究です。骨年齢からの成長予測も、最終身長を高く見積もりすぎる傾向があったと報告されており、予測はあくまで目安であって、確定ではありません。

家族性のタイプは、ご両親の身長が目安になる

ご両親のどちらか、あるいは両方が小柄な場合、お子さんも同じように小柄になることがあります。身長は遺伝の影響を強く受けますが、それがすべてではありません。栄養、睡眠、病気の有無、思春期の時期など、複数の要素が重なって決まります。

「私が小さいから」と自分を責める必要はありません。身長は多くの遺伝子と環境が組み合わさって決まるもので、親御さんの誰かのせいで決まるものではありません。

【長田医師のコメント】「思春期が遅めのお子さんを持つ保護者の方は、周りの子とどんどん差が開いていく数年間がいちばんつらいとおっしゃいます。その気持ちはよく分かります。ただ、この時期の差だけを見て、最終的な身長まで悲観する必要はない場合があります。大切なのは、『遅いだけ』なのか『そうでない何か』があるのかを、骨年齢などで一度見分けておくことです。」

病気が原因の低身長を治療しないと|成長ホルモン分泌不全性低身長症・SGA性低身長症・ターナー症候群

病気が原因の低身長を治療しないと|成長ホルモン分泌不全性低身長症・SGA性低身長症・ターナー症候群

ここまでは「様子を見てよいことが多いタイプ」の話でした。一方で、病気が背景にある低身長は、様子を見ているだけでは追いつかないことがあります。主なものを整理します。

成長ホルモン分泌不全性低身長症

身長を伸ばすよう骨に指令を出す成長ホルモンが、脳の下垂体から十分に出ない病気です。成長ホルモンが足りないと、骨の両端にある骨端線(成長軟骨)で骨が縦に伸びる働きが弱くなります。

中国で行われた研究(Zhaoら、2025年)は、原因が特定されない成長ホルモン分泌不全性低身長症で成人身長に達した169人を対象に、成長ホルモン治療を受けた人と受けていない人の最終身長を比べました。成人身長を標準偏差の形で表した値の中央値は、治療を受けていない群で−0.78、治療を受けた群で−0.45で、治療群のほうが統計的に有意に高い結果でした。

ただし、治療を受けるかどうかを無作為に決めた研究ではないため、「治療すれば必ずこの差がつく」とは読めません。成長ホルモンが不足している病気では、治療をしないと十分に伸びきれない可能性がある、という程度の受け止めが適切です。

▶ 成長ホルモン分泌不全性低身長症とは?診断基準・治療

SGA性低身長症

生まれたときの体重や身長が、在胎週数の割に小さかった赤ちゃんを「SGA(在胎週数に比べて小さく生まれた)」と呼びます。国際的な専門家の合意文書(Claytonら、2007年)では、SGAで生まれた子のうち、追いつき成長がみられないのは約1割とされています。追いつきがみられない場合は、成長の専門外来での早めの経過観察が勧められ、身長が大きく低い場合には成長ホルモン治療が検討されるとされています。

▶ SGA性低身長症とは?追いつき成長・最終身長

ターナー症候群

ターナー症候群は、女の子にみられる染色体の病気で、低身長がよくみられる特徴のひとつです。国際的な診療ガイドライン(Gravholtら、2024年)が整備されており、身長だけでなく全身のフォローアップが大切な病気とされています。

治療をしないことで「見落とされるもの」のほうが重い

病気が原因の低身長で本当に困るのは、背が低いことそのものより、その背景にある病気が気づかれないまま時間が過ぎることです。

そのため、身長が低いこと以外に次のような様子があるときは、身長とは別に、早めに小児科や成長の専門外来へご相談ください。

  • 強い頭痛や吐き気が続く、視力や視野に違和感がある

  • 食欲や体重の変化が大きい、慢性的な腹痛や下痢が続く

  • 極端に疲れやすい、活動量が急に落ちた

  • 顔つきや手足のバランスが、ほかの子と明らかに違って見える

これらは「今すぐ何かを」という意味ではなく、身長の伸びの悪さと併せて見られる場合に背景の確認を優先する、という目安です。

【長田医師のコメント】「保険診療の対象となる病気の診断と、その治療は、小児内分泌を専門にする病院の役割です。病気の疑いが少しでもあるなら、まずそちらで確かめていただくのが順序です。そのうえで『病気とまでは言えないと言われたけれど、悩みは残っている』という方の相談先として、当院があると考えています。」

様子を見てよいか迷ったときの分かれ目|成長曲線・1年の伸び・骨年齢

様子を見てよいか迷ったときの分かれ目|成長曲線・1年の伸び・骨年齢

「様子を見ましょう」と言われたけれど、本当にそれでよいのか。その判断の材料は、大きく3つあります。

見るもの

何がわかるか

ご家庭でできること

成長曲線

お子さんの身長の伸びが、平均の帯と同じ傾きで進んでいるか、帯から離れていっていないか

母子手帳や学校の健康診断の記録を使って、身長を点で打ち、線でつなぐ

1年間の伸び

「今の高さ」ではなく「伸びる勢い」が保たれているか

同じ条件で、半年〜1年ごとに測る

骨年齢

骨が実年齢と比べてどこまで成熟しているか。あと何年伸びる時間が残っているか

医療機関で手のレントゲンを撮ると分かる(ご家庭では調べられない)

成長曲線は「点の高さ」ではなく「線の傾き」を見る

身長を1回測って「平均より低い」と気にするより、去年と今年の2点を打って線でつなぎ、平均の帯と同じ傾きで進んでいるかを見るほうが、はるかに多くのことが分かります。帯の下のほうでも同じ傾きで進んでいれば、その子なりのペースで成長している可能性があります。帯から徐々に離れていく場合は、一度確認したほうがよい目安になります。

▶ 成長曲線の見方と使い方

骨年齢が分かると、「あとどれくらい時間があるか」が見える

身長が伸びるのは、骨の両端にある骨端線という軟骨が開いている間だけです。骨端線が閉じると、骨は硬くなって縦に伸びなくなります。骨年齢は、この骨端線がどこまで成熟しているかを示す指標で、手のレントゲンで調べます。

骨年齢が実年齢より遅れていれば、まだ伸びる時間が残っている可能性が高く、様子を見る余地があります。実年齢と同じか進んでいる場合は、伸びる時間が限られます。

▶ 骨端線(成長軟骨)とは?
▶ 身長はいつまで伸びるのか
▶ 骨年齢検査はどこで受けられる?費用は?

「様子を見る」と「何もしない」は違う

「様子を見ましょう」は、正しい判断であることがよくあります。ただしそれは、「半年〜1年後にもう一度測って、伸びの勢いを確かめましょう」という意味であるべきです。何を、いつまで見るのかが分からないときは、主治医にそのまま聞いてかまいません。

【長田医師のコメント】「『様子を見ましょう』は、とても大切な診断のひとつです。ただ、次の受診までに何を確認するのかが伝わっていないと、保護者の方は宙ぶらりんなまま半年を過ごすことになります。外来では、次に確認する点を一緒に決めるようにしています。」

最終身長はどうなる?治療した子としなかった子の差と、その限界

最終身長はどうなる?治療した子としなかった子の差と、その限界

研究では、治療の効果は「平均」と「ばらつき」の両方で読む

原因が見つからない低身長(特発性低身長)に成長ホルモン治療を行った場合の効果について、国際的な合意文書(Cohenら、2008年)は、成人身長の平均的な上乗せは3.5〜7.5cm(治療期間は平均4〜7年)とまとめています。同時に、「反応は非常にばらつきが大きい」とも書かれています。

当院の外来では、治療を始めた子としなかった子で最終身長に5cmや10cmの差がつくことがある、とお伝えしています。ただ、この数字は「いつもそうなる」という意味ではありません。研究の平均値を上回る子もいれば、下回る子もいます。始める前に「何センチ伸びる」とお約束することは、私たちにもできません。

差の大きさを左右する条件

伸びる幅は、いくつかの条件の組み合わせで決まります。

  • 始めたときに、骨端線がどれだけ残っているか(いちばん影響が大きい)

  • 始めた年齢と、思春期がどの段階にあるか

  • 体質や、睡眠・食事などの生活習慣

  • 続けられるかどうか(毎日の注射を数年続ける必要がある)

この中で、ご家庭で変えられないのは「骨端線がどれだけ残っているか」です。年齢を重ねるほど選択肢が狭まる分野であることは、正直にお伝えします。

▶ 低身長は何センチから?基準と考え方
▶ 成長ホルモン治療で身長はどのくらい伸びるか

治療を始めても、やめても、それまでの身長は失われません

「一度始めたら、やめられないのでは」「やめたら元に戻ってしまうのでは」という心配も、決めきれない理由のひとつだと思います。当院の考え方は次のとおりです。

  • 治療は途中で中止できます(初回の1か月はお試し期間としています)

  • 中止しても、その時点までの身長が失われることはありません

  • ただし、治療をやめれば、それ以降の「上乗せ」は止まります。この点も正直にお伝えします

▶ 成長ホルモン治療はいつまで続けるか・やめ時

【長田医師のコメント】「治療をするかどうかを決めるとき、『始めるかやめるか』の二択で悩まれる方が多いのですが、実際にはその手前に『まず検査を受けて、いまの状態を知る』という段階があります。何センチ伸びるか分からない治療を、状態も知らないまま決めることはできません。まずは知ることから、が私の考えです。」

大人になったら困る?低身長で起こりうること・起こりにくいこと

大人になったら困る?低身長で起こりうること・起こりにくいこと

「低身長」と「心の不調」は、必ずしも結びつかない

心配なのは、「学校でからかわれたり、自信をなくしたりしないか」「大人になってから困ることが増えないか」という点だと思います。研究では、次のように整理されています。

低身長の心理・社会面への影響についてまとめた総説(SandbergとVoss、2002年)は、平均より背が低い人の心理的な適応は、子どもでも思春期でも大人でも、ほかの人と区別がつきにくい場合が多いとしています。また、「低身長」という身体的特徴は、それだけでは心理的な適応や生活の質を予測する材料として重要ではない、とも述べています。国際的な合意文書(Cohenら、2008年)も、特発性低身長は心理社会的な問題の危険因子になりうるが、本格的な精神的問題はまれである、と整理しています。

これは「背の低さは気にしなくてよい」という意味ではありません。ただ、背が低いことが、自動的に大人になってからの不幸につながるわけではないという事実は、知っておいていただきたいと思います。

大人になってからの現実的な場面

一方で、身長が影響する場面が全くないわけではありません。職業によっては身長の条件があり、運動競技でも体格の影響を受けることがあります。

寿命への影響や、成人後の生活について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
▶ 低身長は大人になってから困る?寿命への影響は?

「あのとき始めておけば」という声について

外来では、あとから「あのとき治療を始めておけばよかった」とおっしゃる方がいらっしゃいます。それは事実です。しかしこれは、決断に迷った方の落ち度ではありません。身長の分野は、時間に限りがあるために、あとからそう感じやすい分野であるというだけのことです。迷われるのは、お子さんのことを真剣に考えているからです。

そして、相談した結果として「今は様子を見よう」と決めることも、立派な決断です。何となく時間が過ぎることと、判断材料を得たうえで「今は見送る」と決めることは、別のことです。

【長田医師のコメント】「保護者の方が、決められないご自身を責めていらっしゃる場面によく出会います。でも、迷うのは当然です。費用も、毎日の注射も、お子さんの気持ちも関わる決断ですから。私は急かすことはしません。判断に必要な情報を揃えて、ご家族が納得できる形で決めていただくことを大切にしています。」

専門の外来に相談するとき|検査で分かること、当院の考え方

専門の外来に相談するとき|検査で分かること、当院の考え方

専門の外来に相談したほうがよいとき

次のような場合は、専門の医師に相談することを考えてみてください。

  • 成長曲線が、平均の帯から離れる方向に進んでいる

  • −2SD以下(前から3番目くらい)に入っていて、伸びの勢いも弱い

  • 病院で「病気ではない」と言われたが、ご本人やご家族の悩みが続いている

  • 骨年齢が実年齢と同じか、進んでいるかもしれない

  • 何科に行けばよいのか分からない

受診先については、こちらもご参考にしてください。
▶ 子どもの身長が気になるとき、何科に行けばよい?
▶ 低身長の検査は何をする?

当院(シンセルクリニック低身長治療センター)の低身長治療は自費診療で、対象は「病気とまでは言えないが、あと5〜10cm伸ばしたい」とお考えの方が中心です。効果には個人差があり、すべての方が治療の対象になるわけではありません。

当院の精密身長検査

当院の精密身長検査は、手のレントゲンと採血のみで行います。目的は、骨年齢を確認して「あと何年伸びる時間が残っているか」を見ることです。所要時間は待ち時間を含めて約30分で、お子さんが痛みを感じるのは採血の1回だけです。検査は全国の提携クリニックで受けられ、遠方まで通う必要はありません。費用は20,000〜27,000円(提携施設により多少異なります)です。

結果が出るまでには1〜2週間ほどかかります。結果はご自宅には届きません。当院がオンライン診察でご説明し、そのうえで今後の方針をご相談します。なお、成長ホルモンの分泌を調べる「負荷試験」は当院では行っておりません。負荷試験や、保険診療での病気の診断・治療は、小児内分泌を専門とする病院の領域です。

▶ 成長ホルモン治療の完全ガイド

ネットで調べた薬を、親の判断で使わないでください

お子さんの身長のために、インターネットで見つけた薬や成長ホルモンを個人輸入して使うことは、絶対に避けてください。骨端線を逆に早く閉じさせてしまい、お子さんの身長を一生縮めてしまう危険があります。成長ホルモンや関連する薬は、診察と検査、定期的な血液検査を通じて、量を調整しながら使うものです。

▶ プリモボランは低身長に効く?効果と副作用
▶ 成長ホルモン治療の副作用と確率

【長田医師のコメント】「検査を受けることと、治療を始めることは、別の話です。検査を受けたうえで『今は様子を見ましょう』となることもあります。むしろそれは、必要のない治療を避けるための大切な過程です。『検査を受けたら治療に進まなければならないのでは』と心配される方がいらっしゃいますが、そんなことはありません。」

低身長の治療についてよくある質問

低身長の治療についてよくある質問

Q. 低身長を治療しなかった人のブログを読むと、追いついた人も追いつかなかった人もいます。どう受け止めればよいですか?

どちらも本当のことだと思います。ブログの主が「どのタイプだったか」は文章だけでは分かりません。お子さんに当てはまるかどうかは、成長曲線と骨年齢を確かめてはじめて見えてきます。

Q. 病院で「病気ではないので様子を見ましょう」と言われました。それでも相談してよいのですか?

はい、構いません。「病気ではない」と「悩まなくてよい」は別のことです。保険診療は病気が対象のため、病気ではないと判断されると保険での治療の対象になりません。これは制度の仕組みで、「もう伸びない」という意味ではありません。

Q. 治療をしなかったら、最終身長は何センチになりますか?

個人差が大きく、正確に予測することは難しいのが実情です。骨年齢やご両親の身長から見積もる方法はありますが、どちらも目安で、思春期が遅いお子さんでは実際より高く見積もられることもあります。「必ず何センチ」とはお答えできません。

Q. 一度始めたら、ずっと続けなければなりませんか?

いいえ。途中で中止できます。中止しても、その時点までの身長が失われることはありません。ただし、やめればそれ以降の上乗せは止まります。

Q. 費用はどのくらいかかりますか?

当院の治療は自費診療で、月額は体重に応じた4段階制です。決して安くはありません。ここは正直にお伝えします。詳しい金額は、こちらのページと個別のご相談でご確認ください。なお、医療費控除の対象になる可能性がありますが、詳しくは税務署または税理士にご確認ください。
▶ 成長ホルモン注射の費用

「うちの子も治療できる?」と思われた方へ

子どもの身長について、ほかの記事もお探しの方は 子どもの身長コラム テーマ別インデックス(134本) からどうぞ。

まとめ|「しなかったらどうなるか」は、お子さんのタイプを知ってから考える

まとめ|「しなかったらどうなるか」は、お子さんのタイプを知ってから考える
  • 「治療しなかったらどうなるか」の答えは、体質・家族性・思春期の遅れなのか、病気が背景にあるのかで変わる

  • 思春期が遅いタイプの男の子では、治療をしなくても追いつく子が多いという報告がある。ただし予測はあくまで目安

  • 成長ホルモン分泌不全性低身長症やSGA性低身長症では、追いつかない場合もある。病気が背景にあるときは、見落とさないことが最優先

  • 迷ったときの分かれ目は、成長曲線の傾き・1年間の伸び・骨年齢

  • 治療した子としなかった子で、最終身長に差がつくことがあるが、個人差が非常に大きく、断言はできない。研究上の平均は3.5〜7.5cmで、反応はばらつく

  • 低身長が、自動的に大人の不幸につながるわけではない。始めても、やめても、それまでの身長は失われない

  • ネットで調べた薬を、親の判断で個人輸入して使うことは避ける

お子さんのタイプを見極めるために、いちばん最初にできることを、1つだけお伝えします。それは、手のレントゲンで骨年齢を確認し、「あと何年伸びる時間が残っているか」を数字で知ることです。知ったうえで、「今は見送る」でも「相談を続ける」でも、ご家族が納得できる形で選んでいただければと思います。ご相談は、LINEまたはお問い合わせフォームから受け付けています。

関連コラム

参考文献

  1. Cohen P, et al. Consensus statement on the diagnosis and treatment of children with idiopathic short stature: a summary of the Growth Hormone Research Society, the Lawson Wilkins Pediatric Endocrine Society, and the European Society for Paediatric Endocrinology Workshop. J Clin Endocrinol Metab. 2008;93(11):4210-7. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18782877/

  2. Wit JM, et al. Idiopathic short stature: definition, epidemiology, and diagnostic evaluation. Growth Horm IGF Res. 2008;18(2):89-110. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18182313/

  3. Luciano TM, et al. Boys with constitutional delay of growth and puberty developed spontaneous puberty and reached standard adult height without pharmacological therapy. J Pediatr (Rio J). 2025;101(6):101429. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40784365/

  4. Zhao Q, et al. Recombinant growth hormone improves growth and adult height: a comparison between treated and untreated patients with idiopathic growth hormone deficiency. Transl Pediatr. 2025;14(3):442-451. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40225070/

  5. Clayton PE, et al. Management of the child born small for gestational age through to adulthood: a consensus statement of the International Societies of Pediatric Endocrinology and the Growth Hormone Research Society. J Clin Endocrinol Metab. 2007;92(3):804-10. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17200164/

  6. Gravholt CH, et al. Clinical practice guidelines for the care of girls and women with Turner syndrome. Eur J Endocrinol. 2024;190(6):G53-G151. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38748847/

  7. Sandberg DE, Voss LD. The psychosocial consequences of short stature: a review of the evidence. Best Pract Res Clin Endocrinol Metab. 2002;16(3):449-63. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12464228/

  8. Grimberg A, et al. Guidelines for Growth Hormone and Insulin-Like Growth Factor-I Treatment in Children and Adolescents: Growth Hormone Deficiency, Idiopathic Short Stature, and Primary Insulin-Like Growth Factor-I Deficiency. Horm Res Paediatr. 2016;86(6):361-397. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27884013/

医師監修記事

シンセルクリニック低身長治療センター医師 長田の顔写真

長田 直祥

(おさだ なおき)

シンセルクリニック 低身長治療センター医師

大阪医科薬科大学卒業。豊田厚生病院、中東遠総合医療センター、国立長寿医療研究センター、名古屋大学整形外科などで整形外科医としての経験を積み、現在はシンセルクリニック低身長治療センターで、お子さまの成長・低身長治療に携わる。日本整形外科学会所属。

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大阪医科薬科大学卒業。豊田厚生病院、中東遠総合医療センター、国立長寿医療研究センター、名古屋大学整形外科などで整形外科医としての経験を積み、現在はシンセルクリニック低身長治療センターで、お子さまの成長・低身長治療に携わる。日本整形外科学会所属。

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