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【医師監修】SGA性低身長症とは?小さく生まれた子の追いつき成長・最終身長・保険治療の対象を医師が解説
「生まれたときに小さかったから、この子はずっと背が低いままなのでしょうか」
「3歳を過ぎても、背の順はいつも一番前。SGAという言葉を調べたら、成長ホルモンや保険の話が出てきて、何から確かめればいいのか分からない」
お腹の中での育ちが少しゆっくりだったと言われたお子さんを見守るお母さんにとって、「SGA性低身長症」は聞き慣れない病名です。ただ、はじめにお伝えしたいのは、小さく生まれたお子さんの多くは、2歳ごろまでに自然に追いつくということです。そして、追いつかなかった場合にも、相談できる場所と、検討できる治療があります。
この記事では、シンセルクリニック低身長治療センターで診療にあたる整形外科の医師・長田が、日本小児内分泌学会のガイドラインなどの一次資料で確認できた範囲に絞って、SGAとSGA性低身長症の定義、追いつき成長の見通し、最終身長の考え方、そして成長ホルモン療法が保険で受けられる条件を解説します。あわせて、診断と保険治療は小児内分泌の病院の領域であること、基準に当てはまらない場合にどう考えればよいかも、正直にお伝えします。
この記事の結論
SGAは在胎週数(お腹にいた週数)に比べて小さく生まれたという意味。そのうち2歳までに追いつかなかった場合を、SGA性低身長症と呼ぶ
学会ガイドラインでは、SGAの子の約9割は2年以内に追いつくとされる。日本の449人の調査でも、3歳で約9割(89%)が追いついていた
追いつかなかった子は、成人身長も低めになることが多いと報告されているが、個人差が大きく、日本には成人身長まで追った多数例の報告がまだ少ない
SGA性低身長症の成長ホルモン療法は健康保険の対象。ただし3歳以上・身長がマイナス2.5標準偏差未満などの条件があり、診断は小児内分泌の専門の外来で行われる
小さく生まれたのはお母さんのせいではない。原因はさまざまで、はっきりしないことも多い
- この記事の結論
- 「小さく生まれた」とSGAの定義|在胎週数に比べてどれくらい小さい?
- 日本小児内分泌学会ガイドラインの定義
- パーセンタイルと標準偏差のイメージ
- 小さく生まれても追いつく子が多い|追いつき成長はいつまで?
- 日本の449人の調査
- 3歳以降は「自然に追いつく」ことが増えにくい
- 追いつかなかった場合の最終身長は?|大人になったら困る?
- 分かっていること
- まだ分かっていないこと
- 小さく産んだのは私のせい?|お母さんが自分を責めなくていい理由
- 今日から新しい宿題は増やさなくて大丈夫
- SGA性低身長症の成長ホルモン療法|保険が使える条件
- 治療を始める条件
- 治療の内容と、続ける期間の目安
- 効果と副作用の、確認できている範囲
- 医療費の助成について
- 保険の基準に当てはまらないとき|相談先と、当院でできること
- 保険診療の病院と、当院の役割の違い
- 専門の外来に相談したほうがよい目安
- 保険の基準に当てはまらなかった方のための、当院の精密身長検査
- 「顔つき」や発達が気になるとき|SGAとの関係で分かっていること
- 顔つきについて
- 発達との関係について
- SGA性低身長症についてよくある質問
- Q. 小さく生まれた子は、みんな低身長になりますか?
- Q. SGAかどうかを自分で計算できますか?
- Q. 3歳や小学生になってから気づきました。もう遅いですか?
- Q. サプリメントや、ネットで買える薬で伸ばせますか?
- Q. 当院で相談する場合の費用は、医療費控除の対象になりますか?
- 「うちの子も治療できる?」と思われた方へ
- まとめ|SGAは「小さく生まれた」ことで、多くの子は追いつく
- 関連コラム
- 参考文献
「小さく生まれた」とSGAの定義|在胎週数に比べてどれくらい小さい?

SGA(エスジーエー)は、「在胎週数に比べて小さく生まれた」という意味の言葉です。ここでいう在胎週数とは、お母さんのお腹の中にいた週数のこと。たとえば同じ40週で生まれた赤ちゃんでも、体重や身長には幅があります。その週数の赤ちゃんのなかで特に小さい側に入る場合を、SGAと呼びます。
「早産で小さく生まれた」ことと、SGAは同じではありません。早産は「生まれた週数が早い」こと、SGAは「その週数にしては小さい」ことです。また、「生まれ月」の差とも別の話です。
▶ 早生まれの子は身長で不利?
日本小児内分泌学会ガイドラインの定義
日本小児内分泌学会のガイドライン(SGA性低身長症における成長ホルモン治療の手引き)では、次のように定義されています。
用語 | 意味 |
|---|---|
SGA(治療対象になる範囲) | 出生時の体重と身長がともに、在胎週数相当の10パーセンタイル未満で、かつ体重か身長のどちらかが、在胎週数相当のマイナス2標準偏差未満であるもの。重い新生児で身長が測れていない場合は、出生体重だけで判定してよいとされている |
SGA性低身長症 | 上のSGAのうち、暦年齢(実際の年齢)2歳までにマイナス2標準偏差以上に追いつかなかったもの |
子宮内発育遅延 | 妊娠中に超音波検査で成長の遅れが確認された状態。出生時の状態を指す言葉ではなく、SGAと同じ意味ではない |
パーセンタイルと標準偏差のイメージ
同じ週数・同じ性別の赤ちゃんが100人、小さい順に並んだとします。10パーセンタイル未満とは、小さいほうから10番目より前に入るということ。マイナス2標準偏差以下とは、100人並んだときに前から3番目までに入るくらい、さらに小さい側です。
この判定には、在胎週数・性別(週数によっては初産か経産かも)ごとの出生時体格の基準表を使います。お母さんが計算する必要はありません。母子手帳に書かれた出生時の体重・身長・在胎週数を、専門の医師が基準表に照らして判定します。
【長田医師のコメント】「外来で『小さく生まれたので』とおっしゃるお母さんは少なくありません。ただ、学会の定義でSGAに当たるかどうかは、母子手帳の数字を週数ごとの基準に当てはめて、はじめて分かります。SGAかどうかの診断そのものは、小児内分泌の専門の外来で行われるものだと、私は考えています。」
小さく生まれても追いつく子が多い|追いつき成長はいつまで?

まず、いちばん大切な事実からお伝えします。SGAで生まれたお子さんの大多数は、生後の早い時期に身長が追いつきます。これを「追いつき成長」と呼びます。日本小児内分泌学会のガイドラインには、SGAの子のほとんど(約90%)は生後に追いつき、2年以内に正常範囲の身長になると書かれています。
日本の449人の調査
日本でも、SGAで生まれた449人を5歳まで追った調査があります。マイナス2標準偏差以上に届いた割合を調べたものです。
年齢 | 追いついた割合(全体) |
|---|---|
1歳 | 68% |
3歳 | 89% |
5歳 | 88% |
さらに、在胎32週未満で生まれたグループでは、3歳・5歳とも追いついた割合が74%で、ほかのグループ(約90%)より低くなっていました。つまり、早く小さく生まれたお子さんほど、追いつくまでに時間がかかる傾向があります。ガイドラインにも、超早産のお子さんは4歳ごろまで追いつきが続くことがある、と書かれています。
3歳以降は「自然に追いつく」ことが増えにくい
日本の調査では、3歳を過ぎてから追いつく子の割合は増えなかったとされています。学会が成長ホルモン療法の対象を「3歳以上」としているのはこのためで、逆にいえば、2〜3歳ごろまでは、様子を見ながら待つことに医学的な意味があるということです。
血液検査で、その子が追いつくかどうかを予測することはできないとされています。焦って検査を探す必要はありません。
お子さんの成長の様子は、母子手帳の成長曲線に身長を記入すると一目で分かります。線の傾きを見るコツはこちらにまとめています。
▶ 成長曲線の見方とグラフの使い方
【長田医師のコメント】「『様子を見ましょう』という言葉は、放っておくという意味に聞こえて不安になりますよね。でも、SGAの場合、2歳ごろまでは追いつく子が多いので、待つこと自体は理にかなっています。大切なのは、待っている間に身長を記録して、線で見ておくこと。数字を1回ずつ見て一喜一憂するより、成長曲線の傾きを見るほうが、ずっと正確に状況が分かります。」
追いつかなかった場合の最終身長は?|大人になったら困る?

では、2歳を過ぎても追いつかなかった場合、最終身長(大人になったときの身長)はどうなるのでしょうか。
分かっていること
日本小児内分泌学会のガイドラインでは、SGA性低身長症は「多くは成人身長も低身長に終わり、成人の低身長の約20%を占める」と報告されている
SGAで生まれた子全体で見ると、平均的な成人身長は同性の平均より約1標準偏差低いとされる
スウェーデンで約3,650人の正期産の赤ちゃんを18歳ごろまで追った研究では、出生時の身長が小さかった子の大多数(86%超)が、生後6〜12か月で追いつく。追いつかなかった子のうち、約半数が最終身長も低いままだった
SGAで低身長の子は、思春期の始まりが正常範囲か、やや早めだと報告されている。思春期の伸びについては、研究によって結果が分かれる
まだ分かっていないこと
ガイドライン自体が、日本には、成人身長まで経過を追った多数例の報告がないと述べています。病院で経過を見ているお子さんは低身長の程度が重い子が集まりやすく、数字が偏っている可能性もあります。海外の少数例では、成人になったときのほうが、4歳のころより平均の身長が少し改善していた報告もあります。つまり、「追いつかなかった=必ず低身長のまま」とは言えません。
最終身長の見通しに関係すること | ポイント |
|---|---|
追いつきの有無 | 2〜3歳までに追いついたかどうかが、いちばんの分かれ目 |
両親の身長 | 追いつきの大きさに、両親の身長も関係すると報告されている。遺伝的な背景であり、誰かのせいではない |
思春期の始まり方 | 早めに始まると、伸びる期間が短くなることがある |
骨年齢(骨端線の状態) | あと何年伸びる時間が残っているかを、手のレントゲンで確認する |
最終身長の見通しは、あくまで目安です。
▶ 身長予測の計算ツールと予測のしかた
▶ 低身長とは何cmから?年齢別の目安
▶ 骨端線とは?身長が伸びる仕組み
「大人になったら困るのでは」という不安は、こちらで整理しています。
▶ 低身長を治療しないとどうなる?
【長田医師のコメント】「最終身長のことを聞かれたとき、私は『何センチになります』とは言いません。言えないからです。追いつきの有無、両親の身長、思春期のタイミング、骨年齢と、決める要素が複数あって、そのうえ個人差が大きい。分かっている範囲の見通しをお伝えして、骨年齢のように確かめられるものは確かめる。外来でできるのは、その積み重ねだと思っています。」
小さく産んだのは私のせい?|お母さんが自分を責めなくていい理由

SGAのお話をすると、多くのお母さんが「妊娠中に何かいけなかったのでしょうか」と、ご自身を責めてしまわれます。この点は、はっきりお伝えします。小さく生まれたのは、お母さんのせいではありません。
日本小児内分泌学会のガイドラインには、SGA性低身長症は「種々の原因による雑多な集団」と書かれています。つまり、原因は一つではありません。胎盤のはたらき、赤ちゃん自身の体質、双子などの多胎、お母さんの病気など、さまざまな要因が関わりうるとされ、調べてもはっきりした原因が分からないことも少なくありません。
追いつきの程度には、出生時の身長の小ささのほか、両親の身長も関わると報告されています。これは体質の一部であって、誰かの落ち度ではありません。遺伝と身長の関係については、こちらもご覧ください。
▶ 身長は遺伝で決まる?
今日から新しい宿題は増やさなくて大丈夫
ガイドラインでは、幼児期に急激に体重が増えると、将来の肥満のリスクが高まると指摘されています。無理に太らせようとしなくて大丈夫です。いつもどおりの食事・睡眠・運動で十分です。
【長田医師のコメント】「外来で『妊娠中に無理をしたからでしょうか』とおっしゃる方は本当に多いです。でも、医学的にお話しできる範囲では、原因がはっきりしないことのほうが多く、お母さんの行動が原因だと決められる根拠はありません。ここまで育ててこられた時間を、まず認めてあげてほしいと思っています。」
SGA性低身長症の成長ホルモン療法|保険が使える条件

SGA性低身長症に対する成長ホルモン療法は、健康保険の適用対象です。日本では2008年10月に承認されました。学会ガイドラインと、成長科学協会の適応判定基準で確認できた条件をまとめます。
治療を始める条件
項目 | 基準 |
|---|---|
年齢 | 暦年齢が3歳以上 |
出生時の体格 | 体重と身長がともに在胎週数相当の10パーセンタイル未満で、かつどちらかがマイナス2標準偏差未満 |
現在の身長 | 同性・同年齢の平均よりマイナス2.5標準偏差未満 |
治療前1年間の成長速度 | 同性・同年齢の平均を下回っている |
骨年齢 | 男子17歳未満、女子15歳未満(骨端線が閉じていない) |
事前の検査 | 成長ホルモンの分泌をみる検査で、別の病気(成長ホルモン分泌不全性低身長症)でないことを確認する。ターナー症候群が否定できない場合は染色体の検査も検討する |
出生時の記録、現在の身長、これまでの成長速度、骨年齢、検査結果をあわせて、小児内分泌の専門の外来で判断されます。基準は見直されることがあるため、実際の適応は担当の医師にご確認ください。
治療の内容と、続ける期間の目安
成長ホルモンは、体重に合わせた量を、週に6〜7回に分けて皮下注射します(添付文書の記載)。反応を見ながら、量を増やすこともあります。ガイドラインによれば、2〜3年で治療をやめると成長が元のペースに戻る傾向があるため、短期間の治療はあまり勧められない、とされています。
成長ホルモン治療の全体像や、費用・期間などはこちらで詳しく説明しています。
▶ 成長ホルモン治療のすべて
▶ 成長ホルモン治療でどれくらい伸びる?
効果と副作用の、確認できている範囲
日本で行われた治験では、治療1年間で身長の標準偏差が0.6〜0.9改善したと、ガイドラインに記載されています。また、日本の実際の診療での長期調査(452人が参加)では、治療が成人身長に近い時期まで続いた57人の平均で、治療を始めたときより身長の標準偏差が0.85ほど改善していました。ただし、この調査は製薬会社の支援を受けた観察研究で、治療しなかった子との比較ではなく、効果には個人差があり、保証できるものではありません。
安全性については、同じ調査で、重い副作用が出たのは452人中6人(1.3%)でした。学会は、SGA性低身長症の治療で新たに問題になった副作用はないとしつつ、3〜6か月ごとを目安に血糖や血液の検査を定期的に行い、血糖値の変化に注意することを勧めています。
医療費の助成について
SGA性低身長症は、健康保険の対象ですが、小児慢性特定疾病の医療費助成の対象疾患には含まれないとされています。自己負担がどうなるかは、お住まいの自治体の子ども医療費助成の内容によっても変わります。詳しくは、通院先の病院や自治体の窓口でご確認ください。
▶ 成長ホルモン分泌不全性低身長症とは ※SGAとは別の病気です。保険の成長ホルモン療法の対象になる、もう一つの代表的な病名です
【長田医師のコメント】「保険が使える基準は、きちんと整理されていて、条件に当てはまるお子さんには、大切な選択肢です。ただ、この診断と治療は、成長ホルモンの分泌をみる検査も含めて、小児内分泌の病院で行うものです。私たちの外来で代わりにできることではありませんし、そこは正直にお伝えするようにしています。」
保険の基準に当てはまらないとき|相談先と、当院でできること

「調べてみたら、うちの子は基準に当てはまらなさそうだ」「小児科で様子を見ましょうと言われたけれど、不安が残る」。そうしたご相談も、外来では少なくありません。まず、どこに相談するとよいかを整理します。
保険診療の病院と、当院の役割の違い
小児内分泌の病院・専門外来 | 当院(低身長治療センター) | |
|---|---|---|
診療の位置づけ | SGA性低身長症などの病名の診断と、保険での治療 | 自費診療。病気とまでは言えないが、あと5〜10cm伸ばしたいという方が中心 |
検査 | 成長ホルモンの分泌をみる検査などを含む精密検査 | 手のレントゲンと採血のみ(成長ホルモンの分泌をみる負荷試験は行わない) |
見ているもの | 病名の診断、保険の基準に当てはまるか | 骨年齢=あと何年伸びる時間が残っているか |
▶ 子どもの身長は何科に相談する?
▶ 低身長の検査の種類と流れ
専門の外来に相談したほうがよい目安
次のような場合は、小児科や小児内分泌の外来にご相談ください。緊急の話ではなく、次の受診の機会に相談する目安としてお考えください。
2歳を過ぎても(早産の場合は4歳ごろまで)、成長曲線でマイナス2標準偏差のラインより下にとどまっている
3歳以降、成長曲線が平均のカーブから徐々に離れていく
マイナス3標準偏差未満など、著しく低い(ガイドラインでは原因を調べるべきとされている)
急に背が伸びなくなった、あるいは、頭痛・嘔吐・視力の変化・水をたくさん飲んでおしっこの量が多い、といった症状を伴う
受診の際は、母子手帳(出生時の体重・身長・在胎週数の記録)と、これまでの身長の記録をお持ちください。学会の基準の判定に、これらの数字が使われます。
保険の基準に当てはまらなかった方のための、当院の精密身長検査
当院は、SGA性低身長症の診断や、保険での成長ホルモン療法を行う施設ではありません。小児内分泌の病院などで診断を受けたうえで、保険の基準には当てはまらなかった、あるいは病気とまでは言えないと言われたけれど、伸びる時間があるうちに確かめておきたいという場合に、選択肢の一つとしてご相談いただけます。
当院の精密身長検査は、全国の提携クリニックで受けられる手のレントゲンと採血の2つです(約30分、痛いのは採血1回)。費用は20,000〜27,000円(提携施設により異なります)。結果は1〜2週間で出て、当院のオンライン診察でご説明し、今後の方針を一緒に相談します。骨年齢を見ることで、あと何年伸びる時間が残っているかを確認します。
ご相談の対象は主に6〜15歳ですが、15歳を過ぎたらもう無理ということではなく、今の骨端線の状態で判断します。
当院で行うのは自費診療であり、効果には個人差があり、すべての方が治療の対象になるわけではありません。成長ホルモンの注射などの治療には、注射部位の赤み、頭痛、関節の痛み、むくみ、まれに血糖への影響などの副作用の可能性もあります。費用は決して安くありませんので、検査の結果を聞いてからゆっくりご判断ください。ご相談はこちらのお問い合わせフォームから受け付けています。
ネットで個人輸入した薬を、親御さんの判断でお子さんに使うことは絶対にしないでください。成長ホルモンなどを不適切に使うと、骨端線を早く閉じさせてしまい、かえって身長に悪影響が出る危険があります。
【長田医師のコメント】「SGAの診断と保険での治療は、小児内分泌の先生方の領域です。私は、その診断を代わりにする立場ではありません。ただ、病院で『基準には当てはまらないので経過観察で』と言われたあと、それでも不安が消えないご家庭があるのも事実です。そういう方に、骨年齢という、あと何年伸びる時間が残っているかを確かめる手段があることを、お伝えするのが私の役割だと考えています。」
「顔つき」や発達が気になるとき|SGAとの関係で分かっていること

「sga性低身長症 顔つき」と検索される方が多いように、お子さんの顔立ちを気にされるお母さんもいらっしゃいます。ここでは簡潔にお伝えします。
顔つきについて
SGAという生まれの状態そのものに、決まった顔つきがあるわけではありません。ただ、SGAの一部には、特定の症候群(たとえばラッセル・シルバー症候群など)が背景にあるお子さんがいて、その場合は特徴的な顔立ちが知られています。顔立ちだけで判断することは難しいので、気になる場合は、母子手帳を持って専門の外来で相談してください。
▶ 低身長の子の顔つきの特徴
発達との関係について
ガイドラインには、在胎週数に比べた低出生体重、低出生身長、小さな頭囲がそれぞれ独立して、発達の障害の発症と関連するという報告があると記載されています。また、身長や頭囲が追いつかなかった子で、より起こりやすいという報告もあります。ただし、これは「SGAで生まれたから発達に問題がある」という意味ではありません。集団としての傾向が報告されているということで、お子さん一人ひとりのことを決めるものではありません。
もし、気になることがあれば、身長とは別に、乳幼児健診や小児科でご相談ください。
▶ 低身長と発達障害は関係ある?
【長田医師のコメント】「ネットで見た情報をもとに、顔つきや発達のことを心配されて来られる方がいます。私は整形外科の医師として、骨と成長の面はお話しできますが、発達の評価は、小児科や発達の専門の先生にお願いするのが適切です。心配なことを一人で抱え込まず、それぞれ得意な専門家に相談する。それでいいのだと、お伝えしています。」
SGA性低身長症についてよくある質問

Q. 小さく生まれた子は、みんな低身長になりますか?
いいえ。学会ガイドラインでは、SGAの子の約90%は生後に追いつくとされています。日本の調査でも3歳で89%が追いついていました。低身長のままになるのは、追いつかなかった一部のお子さんです。
Q. SGAかどうかを自分で計算できますか?
出生時の体格の判定には、在胎週数・性別(週数によっては初産か経産か)ごとの基準表を使います。母子手帳の数字を医師が基準に照らして判定しますので、ご家庭で計算する必要はありません。将来の身長の予測も、あくまで目安として考えてください。
Q. 3歳や小学生になってから気づきました。もう遅いですか?
遅いということはありません。保険の基準は、骨年齢が男子17歳未満・女子15歳未満(骨端線が閉じていない)と示されており、3歳以上という下限はあっても、年齢だけで区切る基準ではありません。当院でも、年齢ではなく骨端線の状態で判断します。気づいた時点で、成長曲線を確認して相談することが大切です。
Q. サプリメントや、ネットで買える薬で伸ばせますか?
身長を伸ばすサプリメントの効果を裏づける十分な根拠は、現時点で確認されていません。個人輸入した薬を親御さんの判断でお子さんに使うことは、危険ですのでしないでください。
▶ 身長サプリは効果がある?
Q. 当院で相談する場合の費用は、医療費控除の対象になりますか?
対象になる可能性があります。ただし、判断はケースによって異なりますので、詳しくはお住まいの地域の税務署や税理士にご確認ください。
「うちの子も治療できる?」と思われた方へ
子どもの身長について、ほかの記事もお探しの方は 子どもの身長コラム テーマ別インデックス(134本) からどうぞ。
まとめ|SGAは「小さく生まれた」ことで、多くの子は追いつく

SGAは在胎週数に比べて小さく生まれたこと。そのうち2歳までに追いつかなかった場合をSGA性低身長症と呼ぶ
SGAの子の約9割は2年以内に追いつく。日本の調査でも3歳で89%が追いついていた。早産で生まれた子は時間がかかることがある
追いつかなかった子は成人身長も低めになることが多いと報告されているが、個人差は大きく、日本には成人身長まで追った多数例の報告がまだ少ない
小さく生まれたのはお母さんのせいではない。原因はさまざまで、はっきりしないことも多い
成長ホルモン療法は健康保険の対象。3歳以上・身長がマイナス2.5標準偏差未満などの条件があり、診断は小児内分泌の専門の外来で行われる
保険の基準に当てはまらない場合の相談先の一つとして、当院の精密身長検査(手のレントゲンと採血)で、骨年齢を確認する方法がある。自費診療で、効果には個人差がある
いま、何かを新しく始める必要はありません。母子手帳と、これまでの身長の記録を持って、小児科や小児内分泌の外来で、成長曲線を見てもらう。まずはそれだけで十分です。そのうえで、LINEでのご相談(https://lin.ee/qwu4e86)も、お気軽にご利用ください。
関連コラム
参考文献
日本小児内分泌学会 下垂体・成長障害委員会. SGA性低身長症におけるGH治療の手引き(2017年統合版). https://jspe.umin.jp/medical/files/SGA_guide.pdf
日本小児内分泌学会 成長ホルモン委員会. SGA性低身長症におけるGH治療の実施上の注意(2008年10月16日、2009年6月一部改訂). https://jspe.umin.jp/medical/files/SGA201004.pdf
成長科学協会. SGA性低身長症 治療適応判定基準とフローチャート. https://www.fgs.or.jp/business/growth_hormone/treatment_decision/sga/chart.html
小児慢性特定疾病情報センター. 成長ホルモン治療について. https://www.shouman.jp/assist/hormone/certification/index.php
Clayton PE, et al. Management of the child born small for gestational age through to adulthood: a consensus statement of the International Societies of Pediatric Endocrinology and the Growth Hormone Research Society. J Clin Endocrinol Metab. 2007;92(3):804-10. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17200164/
Saenger P, et al. Small for gestational age: short stature and beyond. Endocr Rev. 2007;28(2):219-51. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17322454/
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Karlberg J, Albertsson-Wikland K. Growth in full-term small-for-gestational-age infants: from birth to final height. Pediatr Res. 1995;38(5):733-9. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8552442/
Horikawa R, et al. The long-term safety and effectiveness of growth hormone treatment in Japanese children with short stature born small for gestational age. Clin Pediatr Endocrinol. 2020;29(4):159-171. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33088015/
医師監修記事

長田 直祥
(おさだ なおき)
シンセルクリニック 低身長治療センター医師
大阪医科薬科大学卒業。豊田厚生病院、中東遠総合医療センター、国立長寿医療研究センター、名古屋大学整形外科などで整形外科医としての経験を積み、現在はシンセルクリニック低身長治療センターで、お子さまの成長・低身長治療に携わる。日本整形外科学会所属。
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大阪医科薬科大学卒業。豊田厚生病院、中東遠総合医療センター、国立長寿医療研究センター、名古屋大学整形外科などで整形外科医としての経験を積み、現在はシンセルクリニック低身長治療センターで、お子さまの成長・低身長治療に携わる。日本整形外科学会所属。
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