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【医師監修】腰痛の座り方|椅子・床・車で腰に負担をかけない姿勢と注意点

2026.10.25

「椅子に座って30分もすると、腰がズーンと重く痛くなってくる。どう座れば楽になるのだろう」

「床に座ると腰が痛い。あぐらも正座も続かなくて、法事や食事の席がつらい」

相談に来られる方から、「正しい姿勢で座っているつもりなのに痛い」「座り方を直せば腰痛は軽くなりますか」と聞くことがよくあります。実は、腰が痛いときの座り方は、「この形が正解」と一つに決めるより、「骨盤を起こす」「足の裏を床につける」「同じ姿勢を続けない」の3つを場面に合わせて使うほうがうまくいきやすいのです。一方で、座り方を工夫しても楽にならない痛みには、腰の病気が隠れていることもあります。

この記事では、シンセルクリニック総院長で整形外科の医師である武内晋司郎が、腰が痛いときの座り方を、椅子・床・車・デスクワークの場面ごとに解説します。座ると痛む場所の見分け方や、受診の目安もお伝えします。

この記事の結論

  • 腰が痛い時の座り方の基本は3つ。①お尻を椅子の奥まで入れて骨盤を起こす ②足の裏全体を床につける ③同じ姿勢を続けず、30分に1回は立つか動く

  • 床に座るなら、座布団を折ってお尻の下に敷いて骨盤を起こすか、背もたれのある座椅子を使う。あぐら・正座・横座りは、腰への影響がそれぞれ違う

  • 座る姿勢は、椅子を工夫しても腰を前に曲げた状態に近い。「正しい姿勢を固める」より「こまめに姿勢を変える」ほうが大切

  • 座ると楽か、悪化するか、脚にしびれが出るかは病気の手がかりになる

  • 脚に力が入らない、排尿・排便の感覚がおかしい、転んだあとの強い痛みがあるときは、座り方の工夫より先に、早めの受診が必要

腰が痛い時の座り方|まず押さえる基本の姿勢

腰が痛い時の座り方|まず押さえる基本の姿勢

場面を問わず使える基本です。頭から足先まで、上から順に確かめてください。

場所

目安

お尻

椅子の奥まで入れる。浅く腰かけない

骨盤

後ろに倒しすぎない。坐骨(お尻の下の硬い骨)で座る感覚をもつ

腰

背もたれとのすき間に、丸めたタオルなどを軽く入れてもよい

背中・頭

胸を軽く開く。反りすぎない。耳が肩の真上にくるあたり

膝・足

足の裏全体を床につける。膝は股関節と同じか少し低い位置

そして3つ目が「姿勢を固めすぎないこと」です。どれほど良い姿勢でも、同じ形で長く固まれば、腰の筋肉は疲れます。30分に1回は立ち上がる、座ったまま姿勢を変える。この「動き」が座り方の仕上げです。
▶ 腰痛の原因を場所・動作・病名から探す|症状別ガイド

坐骨で座る感覚をつかむ|お尻をずらしてもたれ込まない

お尻の下に手を入れて座ると、左右にゴツゴツ触れる骨があります。これが坐骨で、この2つに体重が均等にのっている感覚が、骨盤を起こした座り方の目安です。反対に、お尻を前にずらして背もたれにもたれ込み、お尻の割れ目の上の骨(仙骨)で座ると、骨盤が後ろに倒れて腰が丸まります。

浅く座ってもたれる姿勢と、奥まで座って骨盤を起こす姿勢を、骨盤の拡大図つきで比べた図
椅子での座り方の比べ(横から見た図)。左は浅く座って背もたれにもたれ、骨盤が倒れて腰が丸まる姿勢(×)。右は奥まで座って骨盤を起こし、足の裏を床につけた姿勢(◯)。丸い拡大図は骨盤と腰の背骨です。

【武内院長のコメント】
「相談に来られる方から、『背筋を伸ばして座ったら、かえって腰が痛くなった』という話をよく伺います。反りすぎると、腰の筋肉がずっと力を入れ続けることになります。きれいに座ることより、楽に座れて、ときどき動けることを目標にしてください。」

座ると腰が痛い…痛む場面・場所別の見分け表

座ると腰が痛い…痛む場面・場所別の見分け表

同じ「座ると腰が痛い」でも、どんなときに、どこが痛むかで考えられる原因は変わります。診断ではなく、受診のときに医師へ伝える材料にしてください。

痛むタイミング・場所

考えられること

座って30分〜1時間で腰全体が重く痛い。歩くと楽になる

筋肉・筋膜の疲れ(筋膜性腰痛など)

座った直後から腰やお尻が痛い。前かがみ、咳やくしゃみで響く

椎間板の問題(椎間板ヘルニアなど)

座っているとお尻から脚に痛みやしびれが走る

坐骨神経痛、梨状筋症候群など

座る・前かがみで楽。立つ・歩くと腰や脚が痛い、しびれる

腰部脊柱管狭窄症で見られやすい経過

立ち上がりの最初の一歩が痛い。動くと軽くなる

腰の関節のこわばり、腰椎すべり症など

骨盤の後ろ、背骨の外側が片側だけ痛い

骨盤と背骨をつなぐ関節(仙腸関節)まわり。腰の左右の痛みも参照

尻もちのあと、座っていても鋭く痛む。高齢、骨粗しょう症がある

圧迫骨折の可能性

座っていても寝ていても痛い。夜に目が覚める。熱がある

筋肉以外の原因も調べる必要がある

大切なのは、「座ると楽になる痛み」と「座ると悪化する痛み」は別物という点です。悪化するなら、座り方の工夫で軽くなる余地があります。座ると楽で、立つ・歩くと悪化する場合は、座り方より病気の確認が先です。

なぜ座ると腰が痛くなるのか|研究でわかっていること

なぜ座ると腰が痛くなるのか|研究でわかっていること

座ると、腰は「前に曲がった形」に近づく

立っているとき、腰の背骨は前に軽く反ったカーブを描きます。座ると骨盤が後ろに倒れ、このカーブが浅く、あるいは丸くなります。28人をレントゲンで調べた研究では、座っただけで、腰が曲がる範囲の約70%に達していました。オフィスの椅子の機能を変えても、腰の曲がり具合に差は出ず、差が出たのは骨盤の傾きでした。座面を傾けた椅子で、骨盤の姿勢が改善したと報告されています。椅子の工夫は役に立つものの、座ること自体が、腰を曲げた状態に近いのです。

「座ると椎間板への圧力が上がる」は本当か

「座ると立つより腰の負担が約1.4倍」という数字を見かけますが、測り方によって結果が変わります。

1999年に、ひとりの男性ボランティアの椎間板に圧力計を入れて測った研究があります。立っているときは0.5MPa、背もたれなしで座ると0.46MPa、座って前に大きく丸めると0.83MPaでした。10件の研究をまとめた2022年の解析でも、全体では座位のほうが圧が高い一方、1990年以降の研究や、椎間板がすり減った人では、立位と座位に差はありませんでした。「座る=必ず腰に悪い」とは言い切れず、腰を丸めたまま固まる座り方が負担を上げる、と考えるのが実態に近い理解です。

座る時間が長いほど、腰痛との関連は強い

観察研究27件の解析では、座る時間が長いことと腰痛の関連の強さ(オッズ比)は約1.4倍、運転時間が長いことでは約2倍でした。座った時間とその場の腰痛の強さを測った10件の研究をまとめたレビューでも、9件で、座る時間が長いほどその場の痛みが強くなると報告されています。ただし、41本のレビューを整理した研究は、姿勢や座位と腰痛の間に原因と結果の関係を示す証拠は十分でないと結論しています。座り方は「治す方法」ではなく、「痛みを増やしにくくする工夫」と考えるのが適切です。

【武内院長のコメント】
「座ると痛む方は、座り方が悪いと自分を責めがちです。でも研究を見ても、座ることと腰痛の関係は単純ではありません。大切なのは、きれいな姿勢を守り続けることではなく、固まる時間を減らすことです。」

骨盤の傾きは、股関節の硬さと体幹の筋力にも左右される

座ったときの骨盤の傾きは、椅子だけでなく、体の側の条件にも左右されます。太ももの裏やお尻の筋肉が硬いと骨盤が後ろに引かれやすく、お腹や背中を支える筋肉の力が落ちると、骨盤を起こした姿勢を保ちにくくなります。相談に来られる方からも、「昔は平気だった椅子で、最近は腰が痛い」という声を聞きます。無理のない範囲で歩き、股関節まわりを動かすことが助けになります。
▶ 股関節ストレッチおすすめ10選

椅子での腰が痛くならない座り方|7つのポイント

椅子での腰が痛くならない座り方|7つのポイント
  1. お尻を椅子の奥まで入れる:浅く腰かけると背中が丸まり、骨盤が後ろに倒れやすくなります。

  2. 足の裏全体を床につける:足が浮くと太ももの裏が引かれ、骨盤が後ろに倒れます。届かないときは足台や、厚い本の束を使います。

  3. 膝は股関節と同じか少し低く:低すぎる椅子には座布団を重ねて高さを調整します。

  4. 背もたれは「支え」として使う:寄りかかり切ると背中全体が丸まります。腰のすき間に、丸めたバスタオルを「触れる程度」に入れます。

  5. 机に近づく:肘が90度くらいに曲がり、脇が閉まる位置まで椅子を引きます。

  6. 画面や食事の高さを上げる:画面の上端が目の高さに近いと、頭が前に出にくくなります。

  7. 30分に1回は立つか、座ったまま姿勢を変える

椅子の高さ・背もたれの角度・腰当ての目安

座面は、足の裏が床につき、膝が股関節と同じか少し低くなる高さが目安です。背もたれは「100〜110度に倒す」と紹介されることがありますが、レントゲンで健康な38人を調べた研究では、背もたれの角度を変えても腰のカーブへの影響は小さく、腰当て(丸めたタオルなど)のほうが、カーブを保つ効果が大きかったと報告されています。角度にこだわるより、腰のすき間を支えることを優先してください。柔らかく沈む椅子は避けてください。

腰が痛いときに避けたい座り方

座り方

起きやすいこと

直し方

浅く座って背もたれにもたれる

骨盤が倒れ、腰が大きく丸まる

奥まで座り、腰のすき間を支える

足を組む

骨盤がねじれ、片側に負担が偏る

組むなら左右交互に、短時間で

柔らかく深いソファに沈む

腰が丸まり、立ち上がりもつらい

硬めの椅子を選ぶ。ソファでは厚めのクッションを背中とお尻に

前のめりで画面やスマホをのぞきこむ

頭が前に出て、腰まで負担が増える

画面やスマホを目の高さに上げ、椅子を机に近づける

椎間板ヘルニアと言われている方は、座り方や寝方を、さらに詳しくまとめた記事があります。
▶ 椎間板ヘルニアの「やってはいけないこと」完全ガイド

【武内院長のコメント】
「座っていて痛い方に、まず足が床についているかをお聞きします。椅子が高すぎて足が浮いている、机が低すぎて前かがみになっている、というケースは意外に多いのです。椅子を買い替える前に、高さや距離を見直すだけで楽になる方もいらっしゃいます。」

床に座るときの腰に負担をかけない座り方|あぐら・正座・横座り

床に座るときの腰に負担をかけない座り方|あぐら・正座・横座り

「床に座ると腰が痛い」というご相談は、和室の食事や法事、お孫さんとの床遊びでよく聞きます。床に座ると、椅子より腰が丸まりやすくなります。あぐらでは、骨盤が後ろに倒れ、腰のカーブが椅子のときより平らになりやすいと報告されています。背中を丸めて座ると椎間板への圧がさらに上がり、慢性的な腰痛を悪化させうる、と日本の研究グループは述べています。

座り方

腰への影響

工夫

あぐら

骨盤が後ろに倒れ、腰が丸まりやすい

座布団を二つ折りにしてお尻の下に敷き、お尻を膝より高くする。背中は壁や座椅子にあずける

正座

腰はまっすぐになりやすいが、膝・足首が先につらくなる

痛い時期は無理に続けない。お尻の下にクッションをはさむ

横座り

骨盤が傾き、背骨がねじれる。同じ側ばかりだと偏る

長く続けず、左右交互にする

体育座り

腰が大きく丸まる

壁にもたれ、短時間にとどめる

足を前に投げ出す

太ももの裏が硬いと、骨盤が倒れて腰が丸まる

お尻の下にクッションを入れ、背中を壁につける

座布団なしで背中が丸まるあぐらと、座布団を二つ折りにして骨盤を起こすあぐらを比べた図
床であぐらをかくときの比べ(横から見た図)。左は座布団なしで骨盤が倒れ、背中が丸まる姿勢(×)。右は二つ折りの座布団をお尻の下に敷き、膝より高くして、背中を壁にあずけた姿勢(◯)です。

床で腰が痛くなりにくい座り方の手順

  1. 座布団かたたんだバスタオルをお尻の下に敷き、膝がお尻とほぼ同じか少し下がる高さにする

  2. あぐらは、体を軽く左右に揺らして、左右の坐骨に体重が均等にのる位置を探す

  3. 背中を壁か座椅子にあずけ、腰のすき間に小さなタオルを入れる

  4. 20〜30分たったら、脚を組み替える、膝を立てる、立ち上がるなど、姿勢を変える

健康な若い男性10人の小さな研究ですが、あぐらで背中を丸めたときに比べ、お腹と背中の深い筋肉に軽く力を入れると、背中から腰の丸まりが小さくなったと報告されています。力みすぎず、息ができる程度で十分です。

立ち上がるときは、片膝を立て、両手を膝や床について、脚の力で立つようにします。腰を深く曲げてから一気に起きる動きは避けたほうが安心です。床で痛む理由には、股関節の硬さや膝の痛みが重なることもあります。
▶ 正座ができない本当の原因は「筋膜」

【武内院長のコメント】
「『正座は腰に悪いですか』とよく聞かれます。正座そのものより、膝や足首がつらくて続かないことが多いです。どの座り方にも長所と短所があるので、『これだけが良い』と決めず、つらくなる前に変えるのがコツです。座布団をひとつ足すだけでも、骨盤の向きは変わります。」

車の運転・デスクワークで腰が痛いときの座り方

車の運転・デスクワークで腰が痛いときの座り方

車の運転席の合わせ方

運転は、座ったまま、振動を受け、体の動きが少ないという、腰にとって条件のそろった場面です。プロの運転手を調べた56件の研究のまとめでは、筋肉や骨の痛みを訴える人は43〜93%で、最も多かった痛みの場所が腰(約53%)でした。

調整する場所

目安

シートの前後

ペダルを奥まで踏んだとき、膝が少し曲がる位置

背もたれ

立てすぎず、倒しすぎない。背中全体が自然に触れる角度

座面の前端

膝の裏に指が2〜3本入るすき間

腰のすき間

丸めたタオルや腰当てで軽く支える

お尻のポケット

財布やスマートフォンは入れたままにしない

長距離では、1〜2時間に1回は車を降りて歩きます。乗り降りは、先にお尻から座り、そのあとで両脚をそろえて車内に入れ、降りるときはその逆にして、腰をひねったまま動かないようにします。痛み止めや神経の痛みの薬には、眠気やふらつきが出るものがあります。運転してよいか、医師や薬剤師に確認してください。

デスクワークは、座りっぱなしを崩す工夫が大切

立って作業できる机を入れる職場が増えています。ところが、10件の研究をまとめたコクランレビューでは、立ち座りを切り替えられる机を入れただけでは、腰の症状の強さに、6か月以内で明らかな差は見られませんでした(根拠の質は低い、という評価です)。

一方、首や腰の痛みが起こりやすいと考えられるオフィスワーカー193人(現在は健康)を12か月追った研究では、こまめに立ち上がる、または座ったまま姿勢を変えるための道具を使った2グループは、見せかけのシートパッドを渡されたグループより、痛みがおさまるまでの期間が短くなりました(中央値で1か月と2か月)。再発した割合も、アクティブな休憩のグループ21%、姿勢を変えるグループ18%、対照グループ44%でした。大切なのは、立つことそのものより、姿勢を変え続けることです。

  • タイマーを30分にセットし、鳴ったら立って伸びをする、給水に行く

  • 立てないときは、お尻の位置をずらす、足を踏みかえる、背もたれにあずける・離れるを繰り返す

座ったままできる動き|固まるのを防ぐ3つ

  • 骨盤をゆらす:坐骨に体重をのせたまま、骨盤を前後にゆっくり傾ける

  • 腰をひねる:背もたれを持ち、息を吐きながら上体を左右にゆっくりひねる

  • 太ももの裏をのばす:片足を前に出し、かかとを床につけて、背すじを伸ばしたまま股関節から上体を倒す

反動をつけず、10秒ほどで十分です。痛みが強まる、足にしびれが出るときは中止してください。椎間板ヘルニアと言われている方は、前に倒す動きで悪化することがあるため、先に医師に確認します。座ったまま動く工夫を調べた7件の研究のレビューでは、単独で腰痛を治す方法とは言えないとされています。固まる時間を減らす補助として使ってください。

座りっぱなしで、股関節の前の筋肉(腸腰筋)が硬くなっていることもあります。
▶ 腸腰筋ストレッチ完全ガイド

【武内院長のコメント】
「『忙しくて30分ごとに席を立てない』という声をよく聞きます。立てないときは、座ったままお尻の位置を少しずらす、足を床で踏みかえる、それだけでも固まるのを防げます。大きな運動より、小さな動きを1日に何度も入れるほうが続きやすいです。」

クッション・座布団などの道具の使い方と注意点

クッション・座布団などの道具の使い方と注意点

道具は「痛みを治すもの」ではなく、「姿勢を保ちやすくする補助」です。特定の商品ではなく、種類ごとの使い方をまとめます。

道具

使い方

注意点

座布団

床で、お尻の下に敷いて骨盤を起こす

厚すぎると不安定になる

丸めたバスタオル

背もたれと腰のすき間に入れる

厚すぎると反りすぎる。「触れる程度」から

腰当てクッション

腰のいちばんへこんだ位置に当てる

位置がずれると意味がない

座面が傾いたクッション

前が低くなる向きで置く

合わないと滑る。短時間から試す

足台

足の裏全体をのせ、膝の高さを合わせる

安定したものを使う

コルセット

痛みが強い時期に、短期間だけ使う

使う期間や時間は、医師に確認する

道具で姿勢を「固定」しすぎず、座り直しやすくするための助けとして使ってください。
▶ コルセットの効果と正しい付け方

病気・状態別|ヘルニア・脊柱管狭窄症・圧迫骨折がある人の座り方

病気・状態別|ヘルニア・脊柱管狭窄症・圧迫骨折がある人の座り方

病気・状態

座り方の特徴と注意

椎間板ヘルニア

座る・前かがみで痛みが増しやすい。骨盤を起こし、長く座らない。脚のしびれや脱力が強まれば受診
▶ 椎間板ヘルニアの痛みを和らげる方法

腰部脊柱管狭窄症

座ると楽になるのが特徴。座り方よりも、歩く距離と休み方の工夫が中心
▶ 脊柱管狭窄症でやってはいけないこと8選

坐骨神経痛・梨状筋症候群

お尻の深いところを圧迫する座り方で悪化することがある。片側に体重をかけない
▶ 坐骨神経痛の時の座り方

圧迫骨折(骨粗しょう症)

座る・立つ・寝返りで鋭い痛みが出ることがある。骨折が疑われるときは、座り方の工夫より先に受診

骨粗しょう症がある方は、尻もちや、座る動作でドスンと落ちる衝撃でも、背骨の圧迫骨折が起こることがあります。椅子には、ゆっくり腰を下ろしてください。
▶ 骨粗鬆症とは?不安を解消する5つの知識

痛みが強い日は、座ることを無理に続けなくてかまいません。仰向けで膝の下にクッションを入れる、横向きで膝の間にクッションをはさむと、楽になる方が多いです。
▶ 腰痛が楽な寝方

座り方で改善しないときの治療の選択肢

座り方で改善しないときの治療の選択肢

自分でできること|動き続けることが基本

腰が痛いからと、ずっと安静にするのはおすすめできません。急な腰痛について、安静の助言と、できる範囲で動く助言を比べたレビューでは、動くように助言されたほうが、痛みと動きやすさがわずかに良かったと報告されています(坐骨神経痛では差はほとんどありませんでした)。痛みで動けない時期は休んでよいので、楽になったら、短い散歩から戻していきます。

病院で行う治療

整形外科では、診察とレントゲンなどの検査のうえで、薬(痛み止め・貼り薬・神経の薬)、リハビリ、神経ブロック注射、必要に応じて手術を組み合わせます。当院は手術を行うクリニックではありませんが、現在の状態の確認や、手術を考える前の選択肢のご相談をお受けしています。
▶ 椎間板ヘルニアの治療法|保存療法・注射・手術・再生医療

再生医療(幹細胞治療)という選択肢

薬や注射、リハビリを続けても改善せず、手術はできれば避けたいという方に、再生医療(幹細胞治療)という選択肢があります。相談に来られる方からも、「手術の前に、ほかにできることはないか」という声をよく聞きます。

腰や脊椎の病気では、ご自身の脂肪から取り出して培養した幹細胞を、点滴で体に戻します。幹細胞は「体の修復を担当する細胞」で、傷んだ組織の修復に働きかけ、炎症をしずめることを目指す治療です。流れは、まずお腹などから脂肪を少量採取します(局所麻酔・日帰り)。そのあと約4〜6週間かけて幹細胞を培養し、点滴で投与します。ご自身の細胞・血液を用いるため、拒絶反応のリスクはほぼありません。

ただし、自由診療(保険外)であり、効果には個人差があります。すべての腰痛が対象になるわけではなく、ヘルニアや脊柱管狭窄症など、対象になるかどうかは診察で判断します。しびれや脱力が強い、骨折や感染が疑われるといった場合は、先に別の検査や治療が必要です。座り方による筋肉の疲れだけの腰痛は、対象となる状態ではありません。

▶ 脊柱管狭窄症の再生医療とは
▶ 椎間板ヘルニアの再生医療について

【武内院長のコメント】
「手術を勧められて迷っている、できれば避けたいという相談はとても多いです。手術が必要な状態もありますし、そうでない場合もあります。座り方で楽になる腰痛と、治療の相談が必要な腰痛を分けて考えるだけでも、気持ちが整理されます。」

すぐ受診したいサインと、受診の目安

すぐ受診したいサインと、受診の目安

状態

受診の目安

排尿・排便の感覚がおかしい。尿が出にくい、漏れる。股のあたりがしびれる

その日のうちに受診

脚に力が入らない、つまずく。足首が上がらない

早めに受診(腰の神経の病気の可能性)

転倒・尻もちのあと、座っていても腰や背中が痛い

早めに受診(圧迫骨折の可能性)

発熱がある。安静でも痛む。夜に痛みで目が覚める。原因不明の体重減少

早めに受診(筋肉以外の原因を調べる)

座り方を変えても、2〜3週間以上痛みが続く

整形外科を受診

座ったときだけ痛み、日常生活に支障はない

座り方を工夫しつつ様子を見る

国際的な枠組みでも、危険なサインの多くは診断の精度を示す根拠がまだ十分でなく、複数のサインや経過を合わせて医師が判断するとされています。気になるときは一度ご相談ください。
▶ 腰痛と思ったら癌だった?どんな痛みか
▶ ご予約・ご相談のご案内

【武内院長のコメント】
「相談に来られる方の多くは、『こんなことで受診してよいのか』と迷いながら来られます。しびれや脱力、排尿の変化は、その『こんなこと』には入りません。様子を見てよい痛みか迷ったら、気軽にご相談ください。」

腰が痛い時の座り方についてよくある質問

腰が痛い時の座り方についてよくある質問

Q. 腰が痛いとき、座るのと立つのはどちらが楽ですか?

痛みの原因で違います。ヘルニアのように座ると悪化する痛みもあれば、脊柱管狭窄症のように座ると楽で、立つ・歩くと悪化する痛みもあります。座りっぱなしも立ちっぱなしも避け、こまめに切り替えるのが基本です。

Q. 椅子の背もたれは、何度にするのがよいですか?

「100〜110度」が目安と紹介されることがありますが、角度の影響は小さいとする研究もあります。角度より、腰のすき間を丸めたタオルなどで支えること、疲れたら姿勢を変えることを優先してください。

Q. 座っていられないほど痛いときは、どうすればよいですか?

無理に座り続けず、横になって休んでかまいません。仰向けで膝の下にクッションを入れるか、横向きで膝の間にはさむと楽になる方が多いです。足のしびれや脱力、排尿の変化があるとき、数日たっても変わらないときは、整形外科を受診してください。

Q. 骨盤を立てて座るのがつらいです。どうすればよいですか?

無理に反らす必要はありません。お尻を奥まで入れ、足の裏を床につけ、腰のすき間にタオルを入れて背もたれに軽くあずけます。疲れたら姿勢を変えてください。

Q. 正座は腰に悪いですか?

正座そのものが腰を痛めるとは限りません。膝や足首が先につらくなることが多い座り方です。痛い時期は無理に続けず、座布団を足したり、座椅子に変えたりしてください。

Q. 腰痛クッションは必ず必要ですか?

必須ではありません。丸めたバスタオルなどで代用できます。クッションがあるから動かなくてよい、というわけではないので、30分に1回は姿勢を変えてください。

Q. 足を組むクセは、やめたほうがよいですか?

必ず腰を悪くするわけではありません。ただ、同じ側ばかり組むと骨盤が偏りやすくなります。組むなら左右交互にして、長時間は続けないでください。

まとめ|腰が痛い時の座り方は「骨盤を起こす・足裏をつける・動き続ける」

まとめ|腰が痛い時の座り方は「骨盤を起こす・足裏をつける・動き続ける」
  • 基本は、お尻を奥まで入れて骨盤を起こす、足の裏全体を床につける、30分に1回は姿勢を変えるの3つ

  • 座るだけで、腰は曲がる範囲の約70%に達する。座ると必ず椎間板の負担が増えるとは言い切れず、腰を丸めたまま固まる座り方が負担を上げやすい

  • 床では、座布団でお尻を高くする、座椅子を使うと骨盤を起こしやすい。あぐら・正座・横座りには、それぞれ長所と短所がある

  • デスクワークでは、立つ机を入れるだけでは腰の症状に差がなく、こまめに立つ・姿勢を変えるほうが、回復も再発も良好だった

  • 座ると楽か悪化するかは病気の手がかり。脚の脱力、排尿・排便の異常、転倒後の強い痛みがあるときは、早めに受診する

関連コラム

参考文献

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院長監修記事

シンセルクリニック総院長 武内の顔写真

武内 晋司郎

(たけうち しんじろう)

シンセルクリニック総院長

三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

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三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

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