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【医師監修】腰の右側が痛い原因|右後ろ・右上・左右の違いと内臓の病気
「腰の右側だけがずっと痛い。左は何ともないのに、どうして右だけなのだろう」
「右の腰の後ろがズキズキする。ただの腰痛なのか、内臓の病気なのか、何科に行けばいいのか分からない」
ご相談では、「腰の右側だけが痛いのは、内臓の病気でしょうか」と聞かれることがよくあります。実は、腰の右側が痛む原因の大半は、筋肉・関節・椎間板といった「腰そのもの」の問題です。ただし、ごく一部に、右側の臓器や神経の病気が隠れています。
この記事では、シンセルクリニック総院長で整形外科の医師である武内晋司郎が、腰の右側が痛む原因を、場所別と痛むタイミング別に整理します。左側との違い、内臓の病気のサイン、そして整形外科ではなく内科・泌尿器科・救急へ行くべき線引きまで解説します。
この記事の結論
腰の右側が痛い原因で最も多いのは、筋肉・椎間関節・椎間板・仙腸関節(せんちょうかんせつ)など、腰とその周辺の痛み。動くと痛みの強さが変わるのが特徴
右側には肝臓・胆のう・右の腎臓と尿管・虫垂・右の卵巣があり、これらの病気が「腰や背中の右の痛み」として現れることがある。動いても楽にならない、波がある、発熱・吐き気・血尿を伴うのが手がかり
整形外科ではなく内科・泌尿器科・救急へ行くのは、発熱、血尿、冷や汗、じっとしていられない激痛、右下腹部への痛みの移動、片側の発疹があるとき
女性は、月経に関わる子宮内膜症など婦人科の病気が右の腰痛として出ることもある
腰痛で受診した1,172人の研究で、重大な病気が見つかったのは11人(約1%)。多くは心配いらないが、見逃したくない病気を知っておくことが大切
- この記事の結論
- 腰の右側が痛いとき|右上・右後ろ・右横・右下の4か所に分けて考える
- 痛むタイミング・一緒に出る症状で見分ける|「動くと変わるか」が最大の手がかり
- 腰の右側と左側の違い|臓器の位置で、右に多い病気・左に多い病気
- 女性に右の腰痛の相談が多いのはなぜか
- 右側の腰が痛い内臓の病気①|腎臓・尿管・胆のう・肝臓
- 尿路結石(腎臓・尿管の石)
- 腎盂腎炎(腎臓の感染症)
- 胆石・胆のう炎
- 肝臓・胃十二指腸・膵臓の病気
- 右側の腰が痛い内臓の病気②|虫垂炎・大腸・婦人科・帯状疱疹・血管
- 虫垂炎(いわゆる盲腸)
- 大腸の病気(便秘・憩室炎)
- 女性に多い、婦人科の病気
- 帯状疱疹と肋間神経痛
- まれだが急ぐ病気|大動脈の病気
- 右の腰だけが痛む、整形外科の病気|筋肉・椎間関節・椎間板・仙腸関節
- 見逃されやすい、仙腸関節と股関節
- 圧迫骨折は「いつのまにか」のこともある
- 整形外科ではなく、内科・泌尿器科・救急へ|受診先の線引きと急ぐサイン
- 発熱を伴う腰痛では、背骨の感染も考える
- 受診前に整理しておくと役立つこと
- 整形外科の痛みの場合|自分でできること、病院の検査と治療、再生医療
- 自分でできること・避けたいこと
- 右に偏りやすい生活の癖と見直し方
- 病院で行う検査と治療
- 長引く腰の痛みの選択肢|再生医療(幹細胞治療)
- 腰の右側の痛みについてよくある質問
- Q. 腰の右側だけが痛いのは、内臓の病気のサインですか?
- Q. 右の腰の後ろが痛い女性は、何を疑えばよいですか?
- Q. 右の腰の上のほうが痛いのは、腎臓が悪いのでしょうか?
- Q. 右の腰が痛いとき、何科に行けばよいですか?
- Q. 市販の痛み止めを飲んでもよいですか?
- Q. 湿布や温めてもよいですか?
- Q. 何日くらい様子を見てよいですか?
- まとめ|腰の右側の痛みは「場所・動き・一緒に出る症状」で見分ける
- 関連コラム
- 参考文献
腰の右側が痛いとき|右上・右後ろ・右横・右下の4か所に分けて考える

ここで言う「腰」は、肋骨の下のふちから、骨盤の上のふち(ベルトの位置)までの背中側です。肩甲骨の下あたりの痛みは別の記事で解説しています。
▶ 背中の筋肉痛のような痛みの原因(右・左・真ん中)
腰の右側の痛みは、次の4か所に分けると原因の見当がつきます。まず、痛い場所を指1本で指してみてください。
先日、こんなご相談をいただきました。60代の方で、腰と足の症状があり、診断名がいくつか付いているものの、どれが原因なのか特定できないというお話でした。どこを治せばよいのか分からないまま、治療を進めたくない、と話されていました。原因をはっきりさせたい気持ちは、治療を選ぶうえでとても大切な感覚だと思います。腰の右側の痛みも、まず場所で整理するところから始めます。
痛む場所 | 骨・筋肉・神経の原因 | 内臓などの原因 |
|---|---|---|
右上(肋骨の下のふちからウエストの上) | 肋骨まわりの筋肉の痛み、圧迫骨折、肋間神経痛 | 右の腎臓の上部、肝臓、胆のう、十二指腸、帯状疱疹 |
右後ろ(背骨のすぐ右) | 筋肉・筋膜の痛み、ぎっくり腰、椎間関節の痛み、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症 | 右の腎臓、尿管の上のほう(尿路結石・腎盂腎炎) |
右横(脇腹から腰の側面) | 腹筋や腰の横の筋肉の痛み、肋骨の痛み | 尿管、上行結腸(便秘・憩室炎)、帯状疱疹 |
右下(骨盤の上のふちからお尻の上) | 仙腸関節の痛み、股関節・大転子まわりの痛み、梨状筋症候群 | 虫垂(虫垂炎)、右の卵巣・卵管、尿管の下のほう |

日本の成人65,496人の調査では、生涯に腰痛を経験した人は83%(10人に8人強)、直近4週間では36%(10人に3〜4人)でした。国際的な総説でも、腰痛の大半は原因を1つに特定できず、骨折・悪性腫瘍・感染のように原因が明らかな病気はごく一部とされています。その「ごく一部」を見逃さない見分け方を次に示します。
▶ 腰痛の原因を場所・動作・病名から探す|症状別ガイド
【武内院長のコメント】
「相談に来られる方から、『腰の右のほうが痛い』と言いながら、手のひら全体でさすっている場面をよく伺います。指1本で『ここ』と示すと、筋肉か、骨盤の関節か、内臓かの見当がつきやすくなります。」
痛むタイミング・一緒に出る症状で見分ける|「動くと変わるか」が最大の手がかり

いちばん役に立つのは、体を動かしたときに痛みの強さが変わるかどうかです。筋肉・関節・椎間板が原因の痛みは、前かがみ、後ろへの反らし、ひねり、立ち座りで強くなったり楽になったりします。内臓が原因の痛みは、姿勢を変えても変わらなかったり、波のように強弱を繰り返したりすることが多くなります。

痛むタイミング・症状 | 考えやすいもの |
|---|---|
前かがみ、立ち上がり、物を持ち上げたときに痛い | 筋肉・筋膜、ぎっくり腰、椎間板ヘルニア |
後ろに反らすと、右の腰の外側が痛い | 椎間関節の痛み、脊柱管狭窄症、腰椎分離症 |
寝返り、起き上がり、片足立ち、階段で右の腰の下が痛い | 仙腸関節の痛み、股関節の病気 |
長く歩くと右の腰から脚が痛む・しびれる。座ると楽になる | 脊柱管狭窄症 |
咳やくしゃみで響く。尻もちや軽い転倒のあと | 圧迫骨折、椎間板ヘルニア、肋骨の痛み |
姿勢を変えても楽にならず、波のように強くなる。冷や汗や吐き気がある | 尿路結石 |
発熱・悪寒があり、片側の腰がずっしり痛い。排尿時の痛みや頻尿がある | 腎盂腎炎(じんうじんえん) |
脂っこい食事のあと、右上の腰や背中、右肩へ痛みが広がる | 胆石・胆のう炎 |
みぞおちやへその周りの痛みが、右下腹部に移ってきた。歩くと響く | 虫垂炎 |
片側の帯状の範囲がピリピリ痛み、数日後に発疹が出る | 帯状疱疹 |
夜、じっとしていても痛みで目が覚める。体重が減ってきた | 感染やがんなど(早めの受診が必要) |
ただし、例外もあります。虫垂炎のように、内臓の病気でも歩くと響く痛みがあります。反対に、圧迫骨折は、じっとしていても痛むことがあります。表は診断ではなく「手がかり」です。迷うときは、早めに相談してください。
【武内院長のコメント】
「相談に来られる方から、『ただの腰痛だと思って我慢していたら、実は腎臓の病気だった』という話を聞くことがあります。熱がある、おしっこの様子が違う、吐き気がある。『腰以外の変化』が1つでもあれば、整形外科より先に、内科か泌尿器科で相談するほうが安全です。」
腰の右側と左側の違い|臓器の位置で、右に多い病気・左に多い病気

腰の骨や筋肉は左右対称ですが、内臓の位置は左右で違います。右側には肝臓と胆のう、大腸のはじまり(盲腸・虫垂・上行結腸)があります。左側には胃、脾臓(ひぞう)、膵臓(すいぞう)の尾の部分、大腸の終わりがあります。腎臓は左右にありますが、右は肝臓に押されて少し低い位置にあります。
部位・病気 | 右側 | 左側 |
|---|---|---|
肝臓・胆のう | あり。胆石・胆のう炎は、右上腹部から右の背中・右肩へ痛みが広がる | なし |
胃・脾臓・膵臓 | 十二指腸が右にある | 胃・脾臓・膵臓の尾部。胃潰瘍や膵炎の痛みは、左のみぞおちから背中へ抜けることが多い |
腎臓・尿管 | 尿路結石・腎盂腎炎が起こる | 同じく起こる。左右どちらにも起こる病気 |
大腸 | 盲腸・虫垂・上行結腸(虫垂炎、便秘、憩室炎) | 下行結腸・S状結腸(便秘、憩室炎など) |
女性の骨盤 | 右の卵巣・卵管 | 左の卵巣・卵管 |
腰の骨・筋肉・椎間板 | 左右どちらにも起こる | 左右どちらにも起こる |

つまり、「右だから内臓」「左だから骨や筋肉」という決まりはありません。右側に特有の病気は、肝臓・胆のう、虫垂、右の卵巣です。左側の脇腹の痛みは、こちらをご覧ください。
▶ 左脇腹が痛い原因10選|場所・症状・性別で見分ける
骨や筋肉の痛みが右に偏る理由には、生活の癖が関わることがあります(見直し方は後半の表にまとめました)。
女性に右の腰痛の相談が多いのはなぜか
腰痛そのものが、男性より女性に多いことが分かっています。98の研究・約77万人をまとめた総説では、女性の腰痛は男性の約1.1〜1.4倍で、閉経後の年代で差がさらに広がっていました。筋肉量が少ないことや、妊娠・出産とホルモンの変化で靭帯がゆるみやすいことが理由と考えられています。さらに、右の腰の痛みには、子宮内膜症・子宮筋腫・卵巣の病気が隠れていることもあります(後述)。
右側の腰が痛い内臓の病気①|腎臓・尿管・胆のう・肝臓

尿路結石(腎臓・尿管の石)
腎臓でできた石が尿管(にょうかん)に落ちて詰まると、突然、腰から脇腹にかけて激しい痛みが出ます。石が下へ進むにつれて、痛みが下腹部や足の付け根へ移ることもあります。痛みは波のように強弱を繰り返し、どんな姿勢でも楽にならず、じっとしていられないのが特徴です。吐き気、冷や汗、血尿を伴うことがあります。
日本の2015年の調査では、初めての腎臓・尿管の結石は男性(人口10万人あたり約192人)が女性(約87人)の2倍ほどでした。強い痛み、発熱、尿が出ない場合は、早めの受診が必要です。
腎盂腎炎(腎臓の感染症)
膀胱の細菌が腎臓まで上がって炎症を起こす病気です。発熱、悪寒、片側の腰や背中の痛みが典型で、腎臓のあたりを軽くたたくと響く(叩打痛)ことがあります。排尿時の痛み、頻尿、尿の濁りが先に出ていることもあり、女性に多い病気です。抗菌薬による治療が必要なので、高熱を伴う腰の痛みは、整形外科ではなく、内科や泌尿器科、夜間は救急へ相談してください。
胆石・胆のう炎
胆石が詰まったり、胆のうが炎症を起こしたりすると、みぞおちから右上腹部が痛み、右の背中や右肩に響くことがあります。脂っこい食事のあとに出やすく、発熱、吐き気、皮膚や白目が黄色くなる黄疸(おうだん)を伴うこともあります。
肝臓・胃十二指腸・膵臓の病気
肝臓は痛みを感じにくい臓器ですが、肝炎や腫れで、右上の腰から背中に鈍い重さを感じることがあります。だるさ、食欲低下、黄疸があれば、内科へ。十二指腸潰瘍や膵炎は、みぞおちから背中に抜ける痛みが特徴です。
【武内院長のコメント】
「相談に来られる方から、『背中の右が痛く、整骨院で何度もほぐしてもらったが変わらない』と聞くことがあります。ほぐしても、温めても、姿勢を変えても変わらない痛みは、筋肉以外の原因を考えるサインです。痛み止めでごまかさず、内科や泌尿器科で調べる価値があります。」
右側の腰が痛い内臓の病気②|虫垂炎・大腸・婦人科・帯状疱疹・血管

虫垂炎(いわゆる盲腸)
虫垂は、大腸のはじまりにある小さな突起です。典型は、みぞおちやへその周りの痛みが、半日ほどで右下腹部に移る経過です。発熱、吐き気、食欲の低下を伴い、歩いたり咳をしたりすると響きます。虫垂が腸の後ろ側に回り込んでいる人では、お腹ではなく、右の腰や背中、お尻の奥の痛みとして感じることがあります。食欲がない、熱っぽいときは、早めに内科や救急へ。
大腸の病気(便秘・憩室炎)
右側の大腸の便秘やガスで、右の脇腹から腰が張って痛むことがあります。大腸の壁の袋が炎症を起こす憩室炎では、発熱や便通の変化が加わります。便通と痛みが連動するときは、内科へ。
女性に多い、婦人科の病気
女性の右の腰の後ろや下腹部の痛みには、卵巣・卵管・子宮の病気が隠れていることがあります。卵巣嚢腫(のうしゅ)が捻じれると、突然の強い痛みと吐き気が出ます。子宮内膜症は、月経のたびに腰や下腹部が痛みます。子宮筋腫が大きくなると腰が重く痛むことがあり、月経前症候群(PMS)で腰が痛む方もいます。月経の前に強まり、終わると軽くなるなら手がかりになります。妊娠の可能性があり、不正出血と下腹部の痛みがあるときは、子宮外妊娠の可能性もあるため、急いで婦人科や救急を受診してください。
帯状疱疹と肋間神経痛
帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、水ぼうそうのウイルスが再び活動して起こる病気です。体の片側の、帯のように細長い範囲に、ピリピリ、チクチク、焼けるような痛みが出て、数日後に赤い発疹と水ぶくれが現れます。発疹が出る前は筋肉痛と間違われやすい病気です。抗ウイルス薬は、発疹が出てから早い時期(目安として3日以内)に始めることが勧められているので、疑ったら皮膚科や内科へ早めに受診してください。
▶ 帯状疱疹後神経痛(PHN)はいつまで続く?
▶ 肋間神経痛でやってはいけないこと
まれだが急ぐ病気|大動脈の病気
腹部大動脈瘤や大動脈解離は、背中や腰に突然の裂けるような激痛が出ることがあります。冷や汗を伴うときは、迷わず救急車(119番)を呼んでください。
【武内院長のコメント】
「相談に来られる女性から、『右の腰が痛く、整形外科で異常なしと言われた。でも、月経の前になると毎回痛くなる』と聞くことがあります。腰の骨に異常がなくても、婦人科の病気が原因ということはあります。月経との関係は、どの科でも遠慮せずに伝えてください。」
右の腰だけが痛む、整形外科の病気|筋肉・椎間関節・椎間板・仙腸関節

内臓の病気を除いたうえで、腰の右側の痛みの多くを占めるのが、整形外科で扱う病気です。
病気・状態 | 痛む場所の特徴 | 悪化しやすい動作・ほかの症状 |
|---|---|---|
筋肉・筋膜の痛み | 腰の筋肉の張り。押すと痛い場所がある | 同じ姿勢の続き、疲れ、冷え |
ぎっくり腰 | 急に右の腰が強く痛む | 重い物を持つ、くしゃみ。動き出しがつらい |
椎間関節(ついかんかんせつ)の痛み | 腰の右の外側。背骨の脇 | 後ろに反らす、ひねる。前かがみで楽 |
椎間板ヘルニア | 腰の右から、お尻・脚へ | 前かがみ、座る、咳。右脚のしびれや力の入りにくさ |
脊柱管狭窄症 | 腰から、お尻・脚にかけて | 歩く、立ち続ける。休む・前かがみで楽(間欠性跛行) |
仙腸関節の痛み | 腰の下の右側。お尻の上 | 寝返り、立ち上がり、片足立ち。長く座ると痛む |
圧迫骨折 | 背骨の中央〜腰の中央。右に寄ることもある | 起き上がり、寝返り。骨粗しょう症、尻もち |
詳しい症状は、次の記事をご覧ください。
▶ 筋膜性腰痛とは?症状・治し方・慢性化を防ぐ方法
▶ ぎっくり腰で「絶対にやってはいけない」3つのNG行動
▶ 腰椎椎間板ヘルニアの症状レベルを4段階で解説
▶ 腰部脊柱管狭窄症(LSS)とは?
見逃されやすい、仙腸関節と股関節
腰の右の下のほうが痛いとき、見逃されやすいのが仙腸関節です。背骨の下の仙骨と骨盤の腸骨をつなぐ、お尻の上のあたりの関節です。腰痛で脊椎外科を受診した200人を調べたアメリカの報告では、股関節の病気が12.5%、仙腸関節の病気が14.5%にあり、最大で4人に1人は、これらが痛みに大きく関わっていました。腰の治療を続けても右の腰の下だけ痛みが残るときは、調べる価値があります。
▶ 股関節・足の付け根が右だけ・左だけ痛い原因
▶ 大転子とは?場所・痛い原因
▶ 梨状筋症候群とは
圧迫骨折は「いつのまにか」のこともある
骨粗しょう症で骨がもろくなっていると、尻もちや、重い物を持ち上げただけで背骨がつぶれることがあります。思い当たる出来事がないこともあります。先ほどの1,172人の研究では、重大な病気11人のうち8人が骨折でした。骨折の手がかりは、高齢、ステロイド薬の長期使用、強い外傷とされています。
▶ 圧迫骨折でやってはいけないことランキング8選
▶ 骨粗鬆症の治療法とは?薬と注射の違い
【武内院長のコメント】
「相談に来られる方から、『レントゲンでは異常なしと言われたのに、右の腰の下だけがずっと痛い』と聞くことがあります。仙腸関節や筋肉、神経の痛みは、レントゲンに写らないことが多いのです。異常がないのではなく、写らない場所に原因がある、ということがよくあります。痛みの場所と動作を、具体的に医師に伝えてください。」
整形外科ではなく、内科・泌尿器科・救急へ|受診先の線引きと急ぐサイン

腰の右側が痛いとき、最初に整形外科へ行くべきか、別の科へ行くべきかを、次の表で確認してください。迷うときは、「腰以外の症状」があるかどうかで判断します。
状態 | 受診先と急ぎ方 |
|---|---|
突然の裂けるような激痛、冷や汗、意識がもうろうとする、胸の痛み・息苦しさ | 救急車(119番) |
妊娠の可能性があり、不正出血と下腹部の痛みがある | 救急または婦人科(当日) |
姿勢を変えても楽にならない激痛と吐き気、血尿。38℃以上の発熱と腰の痛み。尿が出ない | 泌尿器科・内科・救急(当日) |
みぞおちから右下腹部へ痛みが移る。食欲がなく、お腹を押すと痛い。黄疸がある | 内科・消化器内科・救急(当日) |
片側に細長く、ピリピリする痛みと発疹・水ぶくれがある | 皮膚科・内科(早めに。発疹から3日以内が目安) |
食後に右上が痛む。月経と連動して痛む。排尿時に痛む、頻尿 | 内科・婦人科・泌尿器科(早めに) |
排尿や排便の感覚がおかしい。脚に力が入らない。両脚にしびれが広がる | 整形外科(すぐに) |
転倒・尻もちのあとから強く痛む。夜もじっとしていて痛い。体重が減る。がんの既往がある | 整形外科(早めに)。内科・がんの診療科も検討 |
動作で痛みが変わる。数日〜数週間で少しずつ軽くなる。ほかの症状がない | 整形外科(様子を見つつ受診) |
1,172人の研究では、重大な病気は11人(0.9%)と少数でしたが、警告サインが1つ以上あった人は80.4%にのぼり、サイン1つだけでは判断できません。背骨のがんではがんの既往が最も確率の高い手がかり(33%)でした。サインが重なるか、がんの既往があるか、動作で変わらない痛みかを総合して考えます。
▶ 腰痛と思ったら癌だった?どんな痛みか医師が解説
発熱を伴う腰痛では、背骨の感染も考える
発熱と腰の痛みがあるとき、腎盂腎炎のほかに、背骨や椎間板に細菌が感染する化膿性脊椎炎(かのうせいせきついえん)があります。安静にしても、夜も痛みが続くのが特徴です。糖尿病や、免疫を下げる薬を使っている方は特に注意し、整形外科か内科を早めに受診してください。
受診前に整理しておくと役立つこと
いつから、どんなきっかけで(突然か、少しずつか)
指1本で示せる場所(右上・右後ろ・右下)
動くと変わるか(前かがみ、反らす、寝返り)
熱、吐き気、尿の色や回数、発疹、月経との関係、飲んでいる薬、妊娠の可能性
当院は再生医療を行うクリニックで、手術や救急の対応は行っていません。内臓の病気が疑われるときは、まず内科・泌尿器科・救急など、適切な診療科での検査をお勧めしています。
【武内院長のコメント】
「相談に来られる方から、『何科に行けばいいか分からず、結局どこにも行かなかった』と聞くことがあります。迷ったときは、『発熱、尿、吐き気、発疹、月経』のどれかが関係しているかを考えてください。1つでも当てはまるなら、まず内科か、近くの医療機関に電話で相談するのが近道です。」
整形外科の痛みの場合|自分でできること、病院の検査と治療、再生医療

自分でできること・避けたいこと
最初の1〜2日は無理をしないが、寝たきりは避ける:日本の調査では、「安静にするよう助言された」経験がある人ほど、長引く腰痛との関連が見られました(約3.8倍)。痛みの範囲で普段の生活を続けることが勧められています
急な強い痛みのときは、冷やして楽なら冷やし、温めて楽なら温めます。どちらが優れるとは決まっていないため、楽なほうを選びます。ただし、発熱や吐き気があるときは、温めて様子を見ず受診してください
寝るときは、仰向けなら膝の下に、横向きなら膝の間にクッションやタオルをはさむ
▶ 腰痛が楽な寝方(寝姿勢のくふう)痛い場所を強く押す・もむ・ひねるのは避ける
右に偏りやすい生活の癖と見直し方
癖 | 見直し方 |
|---|---|
同じ側で脚を組む | 組むなら左右を替える。足の裏を床につけて座る |
同じ肩にバッグをかける | 左右を替える。リュックにする |
片脚に体重をかけて立つ | 両足に均等にのせる。ときどき座る |
右脚でアクセルを踏む長時間の運転 | こまめに休憩し、座席の位置を調整する |
長時間のデスクワーク | ときどき立ち上がる。座り方は腰が痛い時の座り方へ |
病院で行う検査と治療
整形外科では、問診と診察に加えて、レントゲン(骨折や変形の確認)やMRI(椎間板や神経の状態)を、必要に応じて行います。内臓の病気が疑われる場合は、尿検査、血液検査、超音波(エコー)、CTなどを、内科や泌尿器科で行います。
▶ 関節のMRI検査とは?レントゲンとの違い
多くの腰の痛みは、痛み止めの内服や外用薬、コルセット、リハビリテーション、ブロック注射などで経過をみます。ヘルニアや脊柱管狭窄症で、脚の力が入らない、排尿・排便の障害が出る場合は、手術も選択肢です。
長引く腰の痛みの選択肢|再生医療(幹細胞治療)
内臓の病気が疑われるときは、再生医療より先に、内科・泌尿器科などでの検査が必要です。腰の骨や椎間板、神経の病気(椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など)で痛みやしびれが続き、薬・注射・リハビリを続けても改善しない方に、再生医療(幹細胞治療)が選択肢になることがあります。腰や脊椎の病気では、ご自身の脂肪から取り出して培養した幹細胞を、点滴で体に戻します。幹細胞は「体の修復を担当する細胞」で、傷んだ組織の修復に働きかけ、炎症をしずめることを目指す治療です。流れは、お腹などから脂肪を少量採取し(局所麻酔・日帰り)、約4〜6週間かけて培養したのち、点滴で投与します。ご自身の細胞・血液を用いるため、拒絶反応のリスクはほぼありません。自由診療(保険外)であり、効果には個人差があります。「腰の右側が痛い」という症状だけで受けられる治療ではなく、対象になるかどうかは診察で判断します。しびれや脱力が強い、骨折や感染が疑われる場合は、先に別の検査や治療が必要です。
▶ 脊柱管狭窄症の再生医療とは
▶ 椎間板ヘルニアの再生医療について
【武内院長のコメント】
「再生医療は、『腰の右が痛いから受ける』という治療ではありません。まず、痛みの原因が内臓なのか、筋肉や関節なのか、神経なのかを整理するのが先です。原因が整理できてはじめて、薬やリハビリ、手術、再生医療の中から、その方に合う選択肢を一緒に考えられます。順番が大切だと思っています。」
腰の右側の痛みについてよくある質問

Q. 腰の右側だけが痛いのは、内臓の病気のサインですか?
多くは、筋肉や関節など腰そのものの痛みです。ただし、動いても楽にならない、波がある、発熱・吐き気・血尿・発疹を伴う場合は、内臓の病気や帯状疱疹の可能性があります。内科・泌尿器科・婦人科・皮膚科、夜間は救急へ。
Q. 右の腰の後ろが痛い女性は、何を疑えばよいですか?
筋肉・椎間板・仙腸関節のほか、月経に連動するなら子宮内膜症など婦人科の病気、排尿時の痛みや頻尿があれば膀胱炎や腎盂腎炎を考えます。妊娠の可能性があり、下腹部痛と不正出血があるときは急いで受診を。
Q. 右の腰の上のほうが痛いのは、腎臓が悪いのでしょうか?
腎臓、胆のう、肝臓に近い位置ですが、肋骨まわりの筋肉や、胸椎と腰椎のつなぎ目の痛みであることも多くあります。発熱、血尿、尿の変化、食後の痛みがなければ、まず整形外科で腰を調べるのが一般的です。
Q. 右の腰が痛いとき、何科に行けばよいですか?
動くと痛みが変わり、ほかの症状がなければ整形外科です。発熱・血尿・排尿の異常は泌尿器科か内科、月経や下腹部の痛みを伴うなら婦人科、発疹なら皮膚科、激痛は救急へ。目安は前の表をご覧ください。
Q. 市販の痛み止めを飲んでもよいですか?
筋肉や関節の痛みなら、用法を守って短期間使うことは一般に行われます。ただし、痛みが隠れて内臓の病気の発見が遅れることがあります。発熱・血尿・吐き気・激しい痛みがあるときは、飲まずに受診してください。妊娠の可能性がある方や、胃腸・腎臓が弱い方は、飲む前に医師か薬剤師に相談を。
Q. 湿布や温めてもよいですか?
筋肉や関節の痛みなら、湿布や温めで楽になることがあります。ただし、発熱や強い吐き気、血尿があるときは、先に受診してください。
Q. 何日くらい様子を見てよいですか?
動作で痛みが変わり、ほかの症状がなければ、数日〜1週間ほどで少しずつ軽くなることが多いです。2週間たっても変わらない、悪化する、夜に目が覚めるほど痛い場合は受診を。足のしびれ、脱力、排尿・排便の異常があるときは、すぐに受診してください。
まとめ|腰の右側の痛みは「場所・動き・一緒に出る症状」で見分ける

最も多いのは、筋肉・椎間関節・椎間板・仙腸関節など、腰とその周辺の痛み。動作や姿勢で強さが変わる
右上は腎臓・胆のう・肋骨、右後ろは筋肉・椎間板、右下は仙腸関節・股関節・虫垂・卵巣と、場所で候補が変わる
動いても変わらない、波がある、発熱・吐き気・血尿・発疹があるときは、肝臓・胆のう・右の腎臓・虫垂・右の卵巣など内臓の病気を考える
整形外科ではなく内科・泌尿器科・救急へ:発熱、血尿、冷や汗、激痛でじっとしていられない、右下腹部への痛みの移動、片側の発疹
重大な病気は少数(1,172人中11人)。ただし、脚の力が入らない、排尿・排便の異常、夜も続く痛みがあるときは早めに受診する
関連コラム
参考文献
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院長監修記事

武内 晋司郎
(たけうち しんじろう)
シンセルクリニック総院長
三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。
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三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。
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