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【医師監修】内転筋とは?場所・働き・痛い原因とストレッチ・鍛え方を解説

2026.10.24

「太ももの内側が、歩くと引っ張られるように痛い。これは内転筋が原因なのだろうか」

「膝のために内転筋を鍛えるといいと聞いたけれど、どこをどう鍛えればいいのかわからない」

内転筋(ないてんきん)は、太ももの内側にある筋肉のグループです。名前は聞いたことがあっても、「どこにあって、何をしている筋肉なのか」まで知っている方は多くありません。そのため、自己流のストレッチや筋トレで足の付け根を痛めてしまうこともあります。相談に来られる方からも、「開脚を頑張りすぎて足の付け根が痛くなった」「膝が悪いので内転筋を鍛えているが、合っているのか」という声をよく聞きます。

この記事では、シンセルクリニック総院長で整形外科の医師である武内晋司郎が、内転筋の場所と働き、痛いときの原因、ストレッチと鍛え方、鍛えすぎたときの注意、膝・股関節の病気とのつながりを解説します。

この記事の結論

  • 内転筋は恥骨筋・長内転筋・短内転筋・大内転筋・薄筋の5つの総称。骨盤の骨から太ももの内側につながり、脚を内側に引き寄せる

  • 内転筋は歩くときに骨盤と股関節を安定させ、膝の内側ともつながっている。薄筋は膝の内側(鵞足)まで届く

  • 内転筋の痛みは、肉離れや腱の付け根の炎症のほか、股関節の病気が内ももの痛みとして感じられていることもある。出方で見分ける

  • ストレッチは反動をつけず「気持ちよく伸びる範囲」で。鍛えるときはいきなり強く・多くしない。急な増やしすぎが「鍛えすぎて痛い」主な理由

  • 変形性膝関節症の方は股関節まわりの筋力が弱い傾向があるが、内転筋だけを鍛えれば膝がよくなるとは言えない。下半身全体の運動の一部として行う

内転筋とは|太ももの内側にある5つの筋肉の場所と働き

内転筋とは|太ももの内側にある5つの筋肉の場所と働き

内転筋は、骨盤の恥骨(ちこつ)や坐骨(ざこつ)から出て、太ももの骨(大腿骨)の内側や膝の内側の骨に付く筋肉の集まりです。「内転(ないてん)」とは脚を体の中心に近づける動きのこと。反対に脚を横へ開く動きは「外転」と呼び、お尻の横の中殿筋(ちゅうでんきん)などが担当します。股関節の動きの全体像は、股関節の動きとは?屈曲・伸展・内旋・外旋で解説しています。

内転筋群には、一般に次の5つの筋肉が含まれます。

筋肉の名前

場所の目安

主な働き

特徴

恥骨筋(ちこつきん)

足の付け根の内側。いちばん上(前)

脚を内側に寄せる。太ももを前に上げる補助

腸腰筋のすぐ隣にある

長内転筋(ちょうないてんきん)

足の付け根の内側から、太ももの内側の中ほどへ

脚を内側に寄せる

脚を開くと付け根の内側に紐状に浮き出る。スポーツで痛めやすい

短内転筋(たんないてんきん)

長内転筋と恥骨筋の奥

脚を内側に寄せる

深くて外からは触れにくい

大内転筋(だいないてんきん)

太ももの内側の奥から後ろ側に広がる

脚を内側に寄せる。後ろへ引く働きも

最大。膝の少し上の内側まで付く

薄筋(はっきん)

太ももの内側のいちばん表面。付け根から膝の内側まで

脚を寄せる。膝を曲げる

唯一、膝の関節をまたぐ。膝の内側の「鵞足(がそく)」に付く

内転筋の働きは大きく3つ

  • 脚を閉じる・引き寄せる:脚を組む、自転車のサドルを挟む、ボールを足の内側で蹴る、といった動き

  • 骨盤と股関節を安定させる:歩くときや片脚で立つときに、外転筋(お尻の横)と綱引きをするように働き、骨盤が傾きすぎないよう支える

  • 膝の内側を支える:薄筋や大内転筋は膝の内側近くまで付いている

足の付け根の前を通る腸腰筋との位置関係は腸腰筋とは?場所・働き・硬いと弱いで起きることに、股関節まわりの筋肉の全体地図は股関節の筋肉の種類と働きにまとめています。

【武内院長のコメント】
「内転筋は '内もも' のイメージの方が多いのですが、実は骨盤の底に近いところから膝の内側まで、長い範囲に広がっている筋肉です。相談に来られる方からも '足の付け根が痛いのに、どこの筋肉か分からない' とよく聞きます。まず場所を知ることが、原因を考える第一歩です。」

内転筋と膝のつながり|歩くときの働きと、膝の内側との関係

内転筋と膝のつながり|歩くときの働きと、膝の内側との関係

内転筋は「内もも」の筋肉ですが、膝の話題でもよく名前が挙がります。理由は解剖にあります。

つながり

内容

① 薄筋が膝の内側に付く

薄筋は、縫工筋・半腱様筋とともに、すねの骨の内側上部(鵞足)に付く。この付け根が痛む病気が鵞足炎

② 大内転筋が膝の少し上に付く

大内転筋の一部は、太ももの骨の内側の出っ張り(内転筋結節)に付き、膝の内側の靭帯の近くまで届く

③ 股関節の痛みが膝の内側に出る

股関節と膝の内側は、同じ神経(閉鎖神経)の支配を一部共有するため、股関節の病気が内もも〜膝の内側の痛みとして感じられることがある

日常で特に大切なのが③です。「膝の内側が痛い」と思って受診したら、原因は股関節だったというケースは珍しくありません。膝の内側の痛みは膝の内側が痛い原因8選、鵞足の炎症は鵞足炎とは?で説明しています。

歩くとき、内転筋は何をしているか

歩くとき、片脚で立っている間は骨盤が反対側へ落ちやすくなりますが、お尻の横の外転筋と太ももの内側の内転筋が両側から引き合って支えています。内転筋は、脚を動かす筋肉であると同時に、体の土台(骨盤・股関節)を安定させる筋肉です。弱ったり硬くなったりすると、歩く動作のバランスが崩れ、膝や股関節に余計な負担がかかる可能性があります。

O脚と内転筋の関係

日本の研究に、内側型の変形性膝関節症の女性32人(49膝)の筋力を測ったものがあります。膝の関節の隙間が狭い膝ほど、ハムストリングスに対する股関節内転筋の力の比が大きかったと報告されており、著者らは内転筋がO脚を抑えようとして強くなっている可能性を考察しています。ただし観察研究で、「内転筋を鍛えればO脚が治る」と示したものではありません。O脚そのものはO脚(内反膝)は治る?をご覧ください。

【武内院長のコメント】
「'内転筋を鍛えればO脚が治りますか' と聞かれることがあります。正直にお答えすると、筋肉だけでO脚の形が変わるとまでは言えません。ただ、膝の内側に負担が集中しやすい方ほど、お尻や内ももを含めた脚全体の筋力を保つことは大切です。形を変えるというより、負担の逃げ場を増やすイメージです。」

内転筋が痛いときの原因|場所と出方で絞る

内転筋が痛いときの原因|場所と出方で絞る

「内転筋が痛い」と感じる場所は、足の付け根のすぐ内側(恥骨のあたり)、太ももの内側の中ほど、膝の内側の上の3つに大きく分けられます。診断ではなく、受診時の材料にしてください。

痛みの出方

考えられるもの

ヒント

足の付け根の内側。脚を閉じる・蹴る・方向転換で痛い

内転筋の肉離れ、腱の付け根の炎症

ダッシュや開脚中に「ピキッ」と来た、が典型

恥骨のあたり。起き上がりや咳で響く

恥骨結合炎、恥骨の疲労骨折など

運動量が急に増えたあと

足の付け根の前に膨らみ。咳やいきみで痛い

鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)など

腹壁の問題

足の付け根の奥〜内もも。歩き出し、靴下をはく動作で痛い

変形性股関節症、股関節唇損傷、臼蓋形成不全

脚が片側だけ開きにくい場合は要注意

膝の内側の少し上〜下

薄筋・鵞足の炎症、変形性膝関節症、半月板の傷みなど

階段で痛いなら膝の関節かも

片脚だけが腫れて熱を持つ、ふくらはぎまで痛い

血のかたまり(深部静脈血栓症)など

筋肉以外の病気。早めに受診

内転筋の肉離れ(筋損傷)

内転筋の肉離れは、スポーツ選手に多いけがです。2026年の総説では、内転筋のけがが、サッカーの急性の股関節まわりのけがの半数、プロバスケットボールでも約4分の1にのぼると紹介されています。中でも長内転筋が最も傷めやすいとされています。

回復の目安は、手術をしない治療で、部分的な断裂が競技復帰まで平均2〜3週間、完全な断裂が8〜12週間とされています。一方、再発率は最大で19%(5人に1人弱)と高く、痛みが引いたからと急に元の運動量へ戻すのが落とし穴です。これらは競技者の数字で、一般の方とは異なることがあります。

長引く痛みと「鼠径部痛症候群」という考え方

足の付け根の痛みは原因が重なりやすく、呼び方もバラバラでした。2015年に24人の国際的な専門家が用語を整理し(ドーハ合意)、スポーツ選手の足の付け根の痛みを「内転筋関連」「腸腰筋関連」「鼠径部関連」「恥骨関連」の4つと、「股関節関連」「その他」に分けました。内転筋関連とは、内転筋を押すと痛く、脚を閉じる力を入れても痛む場合です。全体像は足の付け根が痛い…これって股関節?リンパ?もご覧ください。

実は股関節が原因のとき

「内ももが痛くてストレッチしているのに、よくならない」という方の中に、股関節の病気が隠れていることがあります。歩き始めや靴下をはく動作で足の付け根が痛む、片側だけ脚が開きにくい、夜間も痛む、といった場合は、ストレッチを続ける前に股関節の検査を受けたほうが安全です。股関節・足の付け根が右だけ・左だけ痛い原因、股関節唇損傷とは?に詳しい説明があります。

【武内院長のコメント】
「'内ももの筋肉痛がずっと治らない' と思って来られた方が、調べたら股関節の変形が原因だった、ということは珍しくありません。筋肉の痛みなら、休めば数日から数週間で変化が出ます。何週間も同じ場所が痛い、夜も痛む、片側だけ開かない。こうした場合は筋肉のせいと決めつけず、一度、関節の状態を確認してほしいと思います。」

内転筋が硬い・弱いとどうなる?簡単セルフチェック

内転筋が硬い・弱いとどうなる?簡単セルフチェック

内転筋が硬くなると、開脚、あぐら、足裏を合わせて座る姿勢が窮屈になります。ただし、脚の開きにくさは筋肉の硬さだけで決まりません。股関節そのものの問題で開かなくなっていることも多く、特に「片側だけ開かない」「以前より急に開かなくなった」は、股関節の病気の初期サインとして知られています。

弱くなると、片脚立ちでふらつく、脚を閉じる力が入りにくい、といった変化が出ることがあります。内転筋だけが単独で弱ることは少なく、お尻や太もも全体の衰えと一緒に起きるのが普通です。変形性膝関節症の方89人と症状のない方23人を比べた研究では、股関節まわりの6つの筋肉すべてで膝に症状のある方の筋力が低く、その差は16%(伸展筋)から27%(外旋筋)だったと報告されています。筋力低下が病気より先なのか、結果なのかは分かっていません。

チェック

やり方

見るところ

① 膝でクッションを挟む

椅子に座り、膝の間にクッションを挟んで5秒間やさしく締める

足の付け根や内ももに痛みが走るか。左右で力が違うか

② 片脚立ち

壁の近くで、片脚を軽く上げて30秒立つ

ふらつきの大きさ、骨盤が横に落ちるか、左右差

診断ではなく目安です。足の付け根に鋭い痛みが出たら、そこで中止してください。

内転筋のストレッチ|やり方と、避けたい人

内転筋のストレッチ|やり方と、避けたい人

安全に行う3つのルール

  • 反動をつけず、痛みが出る手前で止める:「気持ちよく伸びている」感覚までが目安

  • 20〜30秒を目安に、2〜3回:長いほど効く、というものではない

  • 体が温まっているときに:入浴後など。起床直後は避ける

代表的な3つのストレッチ

名前

やり方

主に伸びる筋肉

足裏合わせ座り

足の裏を合わせて座り、背筋を伸ばしたまま膝を自然に床へ近づける。手で膝を押し込まない

恥骨筋、長内転筋、短内転筋

開脚座り(ゆるめ)

無理のない幅に脚を開き、上体を起こしたまま骨盤を前へ少し倒す。180度は不要

長内転筋、大内転筋

仰向けで壁に脚をあずける

お尻を壁に近づけて仰向けになり、両脚を壁にあげて、脚の重みでゆっくり左右に開く

内転筋全体(負担が少ない)

股関節まわり全体のストレッチは股関節ストレッチおすすめ10選で紹介しています。

ストレッチの効果|研究でわかっていること

健康で運動習慣のある40人が、60秒間の静的ストレッチ(自分で伸ばす方法と、人に伸ばしてもらう方法)を行い、前後で内転筋の柔らかさと力を測った研究があります。結果は、どちらの方法でも柔らかさがわずかに増し、筋力は下がりませんでした。ただ、ストレッチをしなかった対照グループでも可動域が増えていたため、ストレッチ直後の変化は大きくないといえます。毎日少しずつ続けるほうが現実的です。

避けたい、または医師に相談してからにしたい人

  • 肉離れ直後で、痛み・腫れ・内出血があるとき

  • 変形性股関節症、股関節唇損傷、臼蓋形成不全と診断された、または疑われる方(開脚や深い屈曲で痛みが強まることがある)

  • 人工股関節の手術を受けた方(脚を開く角度に制限が出る場合がある。主治医の指示に従う)

▶ 変形性股関節症でやってはいけないこと10選

【武内院長のコメント】
「内転筋のストレッチでいちばん多い失敗は、'開脚で床につけよう' と頑張りすぎることです。足の付け根が痛くなって来られる方を見ていると、体の硬さよりも、頑張りすぎのほうが多いと感じます。開脚が床につくことは、健康の条件ではありません。気持ちよく伸びる範囲で、毎日続けること。それで十分です。」

内転筋の鍛え方|膝を守る筋トレと、鍛えすぎたときの注意

内転筋の鍛え方|膝を守る筋トレと、鍛えすぎたときの注意

「膝のために内転筋を鍛える」の本当のところ

66人の変形性膝関節症の方を対象に、下半身の運動に「お尻の横(外転筋)の運動」を足すグループと「内転筋の運動」を足すグループを比べた無作為化比較試験(くじ引きでグループを分ける試験)があります。6週間後も6か月後も、痛み、日常動作、生活の質に有意な差はありませんでした。

これは「鍛えても意味がない」という意味ではありません。内転筋だけを特別扱いするより、外転筋、太ももの前後、体幹など、下半身全体の運動の一部として取り入れるほうが合理的、という読み方ができます。全体像は膝に負担のかからない筋トレにまとめています。

先日、こんなご相談をいただきました。人工関節を勧められた50〜60代の女性が、長年続けてきた運動を中断して気持ちが沈んでいたところ、ある医師に「運動は絶対だめ」と言われたそうです。「好きなことを、全部あきらめるしかないのか」という思いを抱えて、お話しに来てくださいました。運動をどこまで続けてよいかは、股関節や膝の状態によって変わります。ここで、その考え方を整理します。

自宅でできる内転筋の鍛え方

レベル

種目

やり方と目安

やさしい

クッション挟み

椅子に座るか仰向けで膝を立て、膝の間のクッションを5秒締める。10回×2セット。痛みが出るなら弱める

やさしい

横向きで下の脚を上げる

横向きに寝て、上の脚を曲げて前に置き、下の脚を伸ばしたまま軽く持ち上げる。10回×2セット。反動は使わない

ふつう

クッションを挟んだブリッジ

仰向けで膝を立て、クッションを軽く挟みながらお尻を持ち上げる。10回×2セット。腰を反らしすぎない

しっかり

コペンハーゲン・アダクション

横向きで上側の脚を台に乗せ、下側の脚を引き上げる。負荷が高くスポーツ向け。膝や股関節に痛みがある方は、医師や理学療法士に相談してから

コペンハーゲン・アダクションを使った研究もあります。ノルウェーの男子サッカー選手652人を、1つの種目を3段階で行う「内転筋強化プログラム」を続けるグループと通常練習のグループに分けました。足の付け根の不調を訴えた割合は、プログラムを行ったチームで13.5%(およそ7人に1人)、行わなかったチームで21.3%(およそ5人に1人)、リスクは41%低かったと報告されています。ただし、若い男子選手の「予防」の研究で、膝や股関節に病気のある一般の方にそのまま当てはまるとは限りません。

内転筋を鍛えすぎるとどうなる?

軽い負荷で続けるぶんには、極端に脚が太くなる、体のバランスが悪くなるといった心配は多くありません。注意したいのは、次のような「やり方の問題」です。

  • いきなり回数や強さを増やす:普段使わない筋肉に急に強い負荷をかけると、付け根の内側が痛んだり、腱の付け根が炎症を起こしたりする

  • 痛みを我慢して続ける:足の付け根の鋭い痛みは中止のサイン

  • 内転筋ばかり鍛えて、外転筋や体幹を鍛えない:骨盤の安定は両方のバランスで成り立つ

なお、足の付け根の痛みが長引く運動選手に、内転筋を重視した運動プログラムを8〜12週間行ったところ、痛みなく競技に復帰できたのは運動プログラムのグループで23人、運動を含まない理学療法のグループで4人だったという研究もあります。痛みの出ない範囲から段階的に負荷を上げるという考え方です。ただし競技者での研究であり、診察で原因を確かめてから始めてください。

【武内院長のコメント】
「'膝が悪いから、とにかく内ももを鍛えなければ' と思い詰めている方が多いのですが、内転筋だけに答えがあるわけではありません。座ってできるクッション挟みを毎日少し、立ち座りの回数を少し増やす。そうした地味な積み重ねのほうが続けやすく、膝にも優しいのです。痛みが出たらすぐ止めてください。頑張りすぎない、がいちばん長持ちします。」

内転筋の弱りと、膝・股関節の病気|病院での治療と再生医療

内転筋の弱りと、膝・股関節の病気|病院での治療と再生医療

膝・股関節の病気との関係

変形性膝関節症は、膝の軟骨がすり減って炎症が起きる病気で、膝の内側が先に傷むことが多く、O脚の方に多くみられます。脚全体の筋力は関節への負担を分散する役割を担いますが、筋力と膝の病気は、原因と結果の向きがまだはっきりしていません。基本は変形性膝関節症とは?症状から最新治療まで、日常の注意点は変形性膝関節症でやってはいけないこと10選をご覧ください。

股関節では、変形性股関節症、臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)、股関節唇損傷が、内もも・足の付け根の痛みとして現れることがあります。変形性股関節症とは?もご覧ください。

病院での治療の流れ

整形外科では、診察と画像検査(X線、必要に応じてMRI)で、痛みの原因が「筋肉・腱」か「関節」かを確かめます。筋肉や腱の痛みなら、安静と段階的な運動療法が中心です。関節の病気なら、運動療法、装具、薬、関節への注射といった保存療法を行い、生活への支障が大きいときは、手術(人工関節など)も大切な選択肢として検討します。

膝・股関節の関節の痛みに|再生医療(幹細胞治療)

筋肉や腱の痛みは運動療法が基本です。一方、膝や股関節の変形性関節症で痛みが続くとき、選択肢の一つに再生医療(自己脂肪由来幹細胞治療)があります。幹細胞は「体の修復を担当する細胞」で、傷んだ軟骨の修復に働きかけ、炎症をしずめることを目指します。お腹などから脂肪を少量採取し(局所麻酔・日帰り)、約4〜6週間かけて培養し、膝や股関節の関節内に注射する流れです。ご自身の細胞・血液を用いるため、拒絶反応のリスクはほぼありません。自由診療(保険外)で、効果には個人差があります。膝や股関節が対象になるかどうかは、診察で判断します。

6本の無作為化比較試験(計551人)をまとめた2026年のメタ解析では、自分の脂肪由来の幹細胞を膝に注射したグループは、対照グループより、3か月・6か月時点で痛みや動かしやすさの点数が低いと報告されています。ただし、細胞の種類や比較の方法がさまざまで、長期の成績や軟骨の構造への効果までは確かめられていません。詳細は膝の再生医療とは?、変形性股関節症の再生医療完全ガイド、膝の治療ページをご覧ください。

【武内院長のコメント】
「相談に来られる方に多いのが、'筋肉を鍛えれば膝も股関節も何とかなる' と考えて、痛みを抱えたまま運動を続けてしまうパターンです。運動はもちろん大切です。ただ、関節の軟骨そのものがすり減っているときは、運動だけでは追いつかないことがあります。筋肉の問題なのか、関節の問題なのか。まず区別することが、遠回りをしないコツです。」

受診の目安|こんなときは早めに整形外科へ

受診の目安|こんなときは早めに整形外科へ

状況

受診の目安

脚を閉じたとき、蹴ったときに「ピキッ」と鋭い痛みが走り、内出血や腫れが出た

早めに受診(肉離れの程度の確認)

足の付け根の膨らみ、咳やいきみで痛い

早めに受診(ヘルニアの可能性)

2〜3週間以上、内ももや足の付け根の痛みが続く

受診して原因を確認

片側だけ脚が開きにくい、歩き始めに足の付け根が痛い

股関節の検査を

膝の内側が痛く、階段や立ち上がりがつらい

膝の関節の状態を確認

夜間や安静時にも痛む、発熱を伴う、体重が減ってきた

早めに受診(筋肉以外の病気も考える)

片脚だけが腫れて熱を持つ。脚に力が入らない、しびれが広がる

すぐに受診

痛みの原因が筋肉か関節かで、対処は大きく変わります。自己判断で続けるより、一度診察で確かめるほうが早く楽になることが少なくありません。

内転筋についてよくある質問

内転筋についてよくある質問

Q. 内転筋が痛いとき、温めたほうがよいですか?冷やしたほうがよいですか?

痛めた直後で熱感や腫れがあるときは、安静にして冷やします。数日たって痛みが落ち着き、筋肉がこわばっているだけなら、入浴などで温めると楽になることが多いです。熱感や腫れ、内出血が続くときは受診してください。

Q. 毎日ストレッチをしても大丈夫ですか?

痛みのない範囲で軽く行うなら、毎日でも構いません。翌日に痛みが残るときは、やり方を見直してください。

Q. 開脚が180度できないと、体に問題がありますか?

床につくかどうかは、健康状態とは直接関係しません。ただ、急に開かなくなった、片側だけ開かない場合は、股関節の病気の可能性があるため診察を受けてください。

Q. 大内転筋と長内転筋は、どちらが痛めやすいですか?

スポーツでは、足の付け根に近い長内転筋が最も痛めやすいとされています。大内転筋は太ももの奥から後ろ側にあり、痛めると内側の奥の痛みとして感じられることがあります。

Q. 股関節や膝が悪いときに、内転筋トレーニングをしてもよいですか?

痛みの出ない範囲の軽い運動(クッション挟みなど)は、多くの場合で行えます。ただし、人工関節の手術を受けた方や、痛みが強い時期の方は、運動内容を主治医に確認してください。

【武内院長のコメント】
「いちばん多い質問は 'どれくらいやればいいですか' です。私はいつも、'痛くなく、毎日続けられる量が、あなたの適量です' とお答えしています。誰かの基準に合わせる必要はありません。違和感があれば休む。この単純な判断を大切にしてほしいと思います。」

まとめ|内転筋は「内もも」だけでなく、骨盤と膝を支える筋肉

まとめ|内転筋は「内もも」だけでなく、骨盤と膝を支える筋肉
  • 内転筋は恥骨筋・長内転筋・短内転筋・大内転筋・薄筋の5つの総称。脚を寄せる、骨盤・股関節を安定させる、膝の内側を支える、の3つの働きがある

  • 内転筋の痛みは、肉離れや腱の炎症のほか、股関節の病気・ヘルニア・血栓など筋肉以外の原因のこともある

  • ストレッチは反動をつけず、気持ちよく伸びる範囲で、20〜30秒を2〜3回。股関節の病気や人工関節の方は医師に相談してから

  • 筋トレはいきなり強く・多くしない。変形性膝関節症では、内転筋だけでなく下半身全体の運動の一部として行う

  • 痛みが続くときは、原因を診察で確かめる。関節の病気なら、再生医療が選択肢になる場合もある

膝や股関節の痛みでお悩みの方は、膝の治療ページや無料相談もご利用ください。

関連コラム

参考文献

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院長監修記事

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武内 晋司郎

(たけうち しんじろう)

シンセルクリニック総院長

三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

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三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

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