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【医師監修】股関節の筋肉の名前と働き|5つのグループと痛いときの見分け方

2026.10.24

「股関節のあたりが痛いけれど、これは筋肉なのか、それとも関節なのか分からない」

「股関節の筋肉は名前が多すぎて、どこが弱くてどこが硬いのか、自分では見当がつかない」

股関節は、体の中でも特に大きな筋肉に囲まれた関節です。足の付け根、お尻、太ももの外側、内ももと、痛む場所によって関わる筋肉が違います。相談に来られる方からも、「筋肉痛だと思っていたら長引いている」という声をよく聞きます。

この記事では、シンセルクリニック総院長で整形外科の医師である武内晋司郎が、股関節を動かす筋肉の全体地図(前・後ろ・横・内側・深層)、股関節が筋肉痛のときの考え方、筋肉と関節の病気の見分け方、受診の目安を解説します。腸腰筋だけを詳しく知りたい方は別の記事にまとめていますので、ここでは全体の見取り図に絞ってお伝えします。

この記事の結論

  • 股関節をまたぐ筋肉は21本。位置で前・後ろ・横・内側・深層の5グループに分けると、働きと痛む場所が結びつけやすくなる

  • 脚を持ち上げるのは前の筋肉、立ち上がりや階段は後ろの筋肉(大殿筋)、歩くたびに骨盤を支えるのは横の筋肉(中殿筋・小殿筋)

  • 運動の翌日からの筋肉痛は、多くの場合しばらくで軽くなる。動き始めの痛み・足の付け根の奥の痛み・数週間続く痛みは、関節の病気も考えて受診を

  • 研究では、運動療法は変形性股関節症の痛みと動きを改善すると報告されている。一方、ストレッチで筋肉痛が早く消えるという根拠は乏しい

  • 筋肉の弱さと関節の傷みはお互いに影響し合う。迷ったら自己流を重ねず、画像検査で関節の状態を確かめる

股関節の筋肉は何本?前・後ろ・横・内側・深層の5グループで覚える

股関節の筋肉は何本?前・後ろ・横・内側・深層の5グループで覚える

股関節(こかんせつ)は、骨盤のくぼみ(臼蓋=きゅうがい)に、太ももの骨の丸い先端(大腿骨頭)がはまり込んだ関節です。あらゆる方向に動き、その動きを生み出しているのが周りの筋肉です。

運動学の総説(2010年)によると、股関節をまたいでいる筋肉は21本あり、動かすだけでなく、骨盤と太ももの骨の間を安定させる役目も担っています。名前を一度に覚えるのは大変ですが、体のどこにあるかで5つのグループに分けると整理しやすくなります。

グループ

主な筋肉

主な働き

日常生活での場面

① 前

腸腰筋、大腿直筋、縫工筋、大腿筋膜張筋

脚を前に持ち上げる(屈曲)

階段を上る、脚を振り出す、またぐ

② 後ろ

大殿筋、ハムストリングス

脚を後ろに引く、体を起こす(伸展)

椅子から立つ、坂や階段を上る

③ 横

中殿筋、小殿筋

脚を横に開く(外転)、片脚立ちで骨盤を支える

歩く、片脚で立つ

④ 内側

長内転筋、短内転筋、大内転筋、恥骨筋、薄筋

脚を閉じる(内転)

自転車に乗る、車の乗り降り

⑤ 深層

梨状筋、内閉鎖筋、外閉鎖筋、上双子筋、下双子筋、大腿方形筋

脚を外にひねる(外旋)、関節を安定させる

あぐらをかく、脚を組む

1つの筋肉が複数の働きを持つことも多く、立っているか座っているかでも働き方が変わります。この表はおおまかな見取り図です。

▶ 股関節はどこ?図解と部位別の痛みの原因
▶ 股関節の動き(屈曲・伸展・内旋・外旋)

前側の筋肉|脚を持ち上げる腸腰筋・大腿直筋・縫工筋・大腿筋膜張筋

前側の筋肉|脚を持ち上げる腸腰筋・大腿直筋・縫工筋・大腿筋膜張筋

足の付け根の前側には、脚を持ち上げる筋肉が集まっています。階段を上る、電車のステップをまたぐ、靴下をはくために膝を持ち上げる——こうした動作を担当するグループです。

腸腰筋(ちょうようきん)

背骨や骨盤の内側から出て太ももの骨につく、股関節を曲げる最も主要な筋肉です。体の深いところにあり、硬くても弱くても、足の付け根や腰の違和感として現れます。
▶ 腸腰筋とは?場所・働き・硬いと弱いで起きること
▶ 腸腰筋ストレッチ完全ガイド

大腿直筋(だいたいちょっきん)

太ももの前の「大腿四頭筋」の1つで、骨盤から膝のお皿まで、股関節と膝の両方をまたぐのが特徴です。股関節を曲げる働きと膝を伸ばす働きの両方があり、硬くなると太ももの前や膝の上の突っ張りとして感じられます。

縫工筋(ほうこうきん)

骨盤の前の出っ張りから膝の内側まで斜めに走る、体でもっとも長い筋肉です。あぐらのように脚を曲げて外に開く動きに関わります。

大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)

骨盤の外側の前寄りから、太ももの外側を通る帯状の組織「腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)」へ続く筋肉です。脚を前に上げる、横に開く、内側にひねる動きに関わり、使いすぎると太ももの外側から膝の外側が張ります。
▶ 腸脛靭帯炎(ランナー膝)の症状・原因・治し方

足の付け根の前側の痛みは、関節の病気、リンパ、そけいヘルニアなどが隠れていることもあります。
▶ 足の付け根が痛い原因と、やってはいけないこと

【武内院長のコメント】
「足の付け根が痛いと相談に来られる方の多くが、『ストレッチが足りないのでしょうか』とおっしゃいます。筋肉の硬さが原因のこともありますが、同じ場所が関節の傷みから痛んでいることもあります。前側の筋肉は関節と痛む場所がとても近いので、自己判断せずに一度確かめることをお勧めしています。」

後ろ側の筋肉|大殿筋とハムストリングスが、立つ・登る力をつくる

後ろ側の筋肉|大殿筋とハムストリングスが、立つ・登る力をつくる

お尻から太ももの裏の筋肉は、体を起こして前に進むエンジンのような存在です。椅子から立つ、階段を上る、坂道を歩くといった「重力に逆らう動き」で主役になります。

大殿筋(だいでんきん)

お尻の表面にある、体の中でも最大級の筋肉です。股関節を後ろに伸ばす、脚を外にひねる動きに関わり、立ち上がり、階段、坂道で大きな力を発揮します。

弱くなると、椅子から立つときに手をつきたくなる、階段の上りがつらいといった変化が出やすく、その分を腰や膝が補おうとして、痛みにつながることもあります。座っている時間が長いと、気づかないうちに使われなくなりがちです。

ハムストリングス(太ももの裏の筋肉)

大腿二頭筋・半腱様筋(はんけんようきん)・半膜様筋(はんまくようきん)の総称で、座ると椅子に当たる骨(坐骨)から膝の裏側の骨までつながります。股関節を伸ばす働きと膝を曲げる働きを持ち、硬いと前屈で手が床に届かず、痛めると太ももの裏からお尻の下が痛みます。
▶ 太ももが痛い原因を部位別に

【武内院長のコメント】
「相談に来られる方に、『椅子から立ち上がるときはどうですか』と必ず伺います。手を使わないと立てない、立つときに膝や腰が痛む——こうした場面に、お尻の筋肉の弱さが表れやすいのです。」

横側の筋肉|中殿筋・小殿筋が、歩くたびに骨盤を支えている

横側の筋肉|中殿筋・小殿筋が、歩くたびに骨盤を支えている

お尻の横、骨盤の外側にある中殿筋(ちゅうでんきん)と小殿筋(しょうでんきん)は、地味ですが歩く動作に欠かせない筋肉です。骨盤の羽のような骨(腸骨)から、太ももの骨の外側の出っ張り(大転子=だいてんし)につきます。

歩行のたびに「片脚立ち」を支える

歩くとき、体重は左右の脚に交互に乗ります。片脚に乗った瞬間、反対側の骨盤が下がらないように支えているのが中殿筋と小殿筋です。弱くなると、歩くたびに体が左右に揺れます。片脚立ちで持ち上げた側の骨盤が下がる状態は、中殿筋の力が足りないときに見られます。

自分で気づく目安

考えられること

片脚で立つと、ふらつく・体が横に傾く

中殿筋・小殿筋の力の低下の可能性

歩くとき、体が左右に揺れる

骨盤を支える力の低下、または痛みをかばう歩き方

横向きで寝ると、下になる側のお尻の外側が痛む

外側の腱や滑液包の痛み(大転子部の痛み)の可能性

お尻の外側が痛むとき|殿筋腱の痛み

横向きで寝ると痛い——こうしたお尻の外側の痛みは、中殿筋・小殿筋の腱が大転子につく部分の傷みで起きることがあり、「殿筋腱障害」や「大転子疼痛症候群」と呼ばれます。

オーストラリアの研究(2018年、BMJ)では、35〜70歳で3か月以上お尻の外側が痛む204人を、「教育と運動(8週間・14回)」「ステロイド注射1回」「経過観察」に分けて比べました。8週後に「よくなった」と答えた人は、教育と運動で66人中51人(10人に8人)、注射で65人中38人(10人に6人)、経過観察で68人中20人(10人に3人)でした。52週でも教育と運動のほうが全体的な改善は良好でしたが、痛みの強さに差はありませんでした。別の研究(2018年)では、実際の運動と形だけの運動で差が出なかったとも報告され、どの運動が最適かはまだはっきりしていません。
▶ 大転子とは?場所・痛み・滑液包炎

横の筋肉は、関節の病気で痩せやすい

末期の変形性股関節症の39人と、年齢・性別をそろえた健康な12人をMRIで比べた研究(2021年)では、小殿筋は股関節症のグループで小さく、筋肉の中に脂肪が入り込む変化(脂肪浸潤)も多くみられました。一方で、小殿筋の前の部分の軽い脂肪浸潤は、健康な人でも年齢とともに起こる普通の変化とされています。

【武内院長のコメント】
「お尻の外側が痛くて来られる方に、『横向きで寝ると痛みますか』と伺うと、うなずかれることがとても多いです。股関節の痛みだと思っていたら、筋肉の付け根の痛みだった、ということもあります。逆に、関節の傷みが先にあって、かばううちに筋肉が弱る方もいます。どちらが先かは、画像検査と診察で見分けます。」

内側の筋肉|内転筋群が、脚を閉じて骨盤を安定させる

内側の筋肉|内転筋群が、脚を閉じて骨盤を安定させる

太ももの内側には、恥骨や坐骨から太ももの骨の内側や膝の内側につく内転筋群(ないてんきんぐん)と呼ばれる5つの筋肉があります。

筋肉

特徴

長内転筋

足の付け根の内側に近く、スポーツで痛めやすい

短内転筋

長内転筋の奥にある小さめの筋肉

大内転筋

最も大きく、内ももの大部分を占める。脚を後ろに伸ばす働きも持つ

恥骨筋

足の付け根の前寄り。脚を閉じる働きと持ち上げる働きの両方に関わる

薄筋(はっきん)

細長く、膝の内側(鵞足)まで届く。股関節と膝をまたぐ

内ももや足の付け根の内側が痛むときは、使いすぎや肉離れが多い一方、股関節の病気が隠れていることもあります。薄筋は膝の内側につながるため、膝の内側の痛みと関わることもあります。
▶ 内転筋とは?鍛え方・ストレッチ・痛いときの対処
▶ 膝の内側が痛い原因8選

深層の筋肉と、内旋・外旋に使う筋肉|梨状筋など「外旋六筋」

深層の筋肉と、内旋・外旋に使う筋肉|梨状筋など「外旋六筋」

大殿筋の下の深い層には、脚を外にひねる小さな筋肉が走っています。まとめて「外旋六筋(がいせんろっきん)」と呼ばれます。

外旋に働く筋肉

梨状筋(りじょうきん)・上双子筋・内閉鎖筋・下双子筋・大腿方形筋・外閉鎖筋の6つで、仙骨や骨盤の裏側から大転子付近につきます。脚を外にひねる働きに加えて、骨頭を臼蓋に引きつけて、関節をぐらつかせないという大切な役目があります。なかでも梨状筋は、すぐ近くを坐骨神経が通っているため、硬くなるとお尻から脚の痛みやしびれの原因になることがあります。
▶ 梨状筋症候群とは?原因と治し方、やってはいけないこと
▶ 梨状筋ストレッチ7選

内旋に働く筋肉

脚を内側にひねる「内旋」には、小殿筋と中殿筋の前の部分、大腿筋膜張筋が主に働きます。姿勢によって、使われる筋肉は少しずつ変わります。

動き

主に働く筋肉

日常での例

外旋(外にひねる)

外旋六筋、大殿筋

あぐら、脚を組む、車から足を外に出す

内旋(内にひねる)

小殿筋、中殿筋の前の部分、大腿筋膜張筋

内股で歩く、足を内側に向けて立つ、とんび座り(足を左右に出して床に座る)

股関節の病気がある方は、内旋が最初に硬くなる(回しにくくなる)と言われています。「あぐらはかけるのに、足を内側に向けるのがつらい」といった変化が、関節の傷みのサインのことがあります。

股関節が筋肉痛・筋肉が痛いとき|原因と日数の目安、場所別の見分け方

股関節が筋肉痛・筋肉が痛いとき|原因と日数の目安、場所別の見分け方

運動のあとの筋肉痛(遅発性筋肉痛)

久しぶりにウォーキングを増やした、スクワットをした、ゴルフに行った——その翌日以降にお尻や足の付け根の周りが痛む場合、遅発性筋肉痛(ちはつせいきんにくつう)が考えられます。一般に翌日から数日にかけて強くなることが多いとされています。

スポーツ医学の総説(2003年)によると、筋肉が伸ばされながら力を出す動き(下り坂、階段を下りる、しゃがむ動作など)で起きやすく、久しぶりの運動やはじめての運動で出やすいのが特徴です。しくみはまだ完全には分かっていません。対処については、次のように整理されています。

  • 運動そのものが痛みを和らげる最も効果的な方法だが、その効果は一時的

  • 痛みが強いときは、1〜2日は運動の強さを減らす

  • はじめての運動は、1〜2週間かけて少しずつ増やすと出にくい

  • 冷やす・ストレッチ・超音波などは、筋肉痛を軽くする効果が確認されなかった

痛む場所ごとの見分け方

痛む場所

疑う筋肉

筋肉以外で考えること

足の付け根の前

腸腰筋、大腿直筋、縫工筋

股関節の病気、股関節唇損傷、そけいヘルニア

お尻の外側

中殿筋・小殿筋の腱、大腿筋膜張筋

大転子の滑液包炎

お尻の奥、座ると痛い

梨状筋、大殿筋、ハムストリングスの付け根

坐骨神経痛、腰椎の病気

内もも・足の付け根の内側

内転筋群

股関節の病気

筋肉痛と、関節の痛みの違い

見分けのポイント

筋肉痛でよくあること

関節の病気でよくあること

きっかけ

運動や作業の翌日から

思い当たるきっかけがない

痛い場所

筋肉の中、押すと痛い

足の付け根の奥

出やすい動き

筋肉を伸ばす・力を入れる

動き始め、靴下をはく、爪を切る、脚を組む

続く期間

数日〜1週間ほどで軽くなる

数週間以上続く、繰り返す

この表は診断ではありません。運動の覚えがないのに続く痛みは、筋肉痛と決めつけず、一度整形外科で確認してください。

すぐに受診してほしいサイン

  • 転倒や打撲のあとから、脚に体重をかけられない(骨折の可能性)

  • 発熱を伴う、股関節やお尻が腫れて熱を持っている

  • 片脚だけが急にむくんで、押すと痛い

  • 激しい運動のあとに、強い筋肉の痛みと一緒に尿が茶色くなった

  • 足に力が入らない、排尿・排便の感覚がおかしい、安静にしていても夜に痛む

【武内院長のコメント】
「『筋肉痛だと思ってしばらく様子を見ていた』という方は多いです。運動のあとの筋肉痛なら心配いりません。ただ、痛みが1〜2週間たっても変わらない、あるいは動き始めに足の付け根の奥が痛むという場合は、関節の可能性も出てきます。迷うときは、一度画像を撮って確かめてみてください。」

筋肉が硬い・弱いとどうなる?ストレッチと鍛え方の考え方

筋肉が硬い・弱いとどうなる?ストレッチと鍛え方の考え方

硬いとき、弱いときに起きやすいこと

前の筋肉(腸腰筋など)が硬いと足の付け根の突っ張りや歩幅の縮み、後ろの大殿筋が弱いと立ち上がりや階段のつらさ、横の中殿筋が弱いと歩くときの体の揺れが出やすくなります。こうした変化は、痛みをかばって動かなくなる→さらに筋肉が弱るという悪循環で進むことが多くあります。

ストレッチは「筋肉痛を早く治す」ものではない

運動後のストレッチと、安静などの回復方法を比べた10の試験をまとめたメタ解析(2021年、参加者229人)では、ストレッチで24・48・72時間後の筋肉痛や筋力の回復に差は認められませんでした。対象は若い方が中心で、研究の質のばらつきも指摘されています。ストレッチは筋肉痛を消す手段ではなく、動かしやすさを保つ手段と考えるのが現実的です。
▶ 股関節ストレッチおすすめ10選

鍛えるなら|筋肉ごとの基本の動き

筋肉

運動の例

ポイント

大殿筋

仰向けで膝を立て、お尻を持ち上げる

腰を反らしすぎない

中殿筋・小殿筋

横向きに寝て、上の脚をゆっくり持ち上げる

体が後ろに倒れないよう骨盤をまっすぐに

腸腰筋

椅子に座って、片膝をゆっくり持ち上げる

背中を丸めず、反動を使わない

痛みが強まる動きは中止し、変形性股関節症などの診断がある方は、種類や強さを医師や理学療法士に確認してから始めてください。

運動療法で、研究でわかっていること

変形性股関節症に対する陸上での運動療法を調べた10の試験をまとめたコクランレビュー(2014年)では、運動した人は運動しなかった人に比べて痛みが軽くなり、体の動きが改善したと報告されています。100点満点で換算すると、痛みは約8点、身体機能は約7点の改善で、効果は指導が終わった3〜6か月後も続いていました。一方、生活の質の改善ははっきりしませんでした。

膝の変形性関節症でも、股関節を横に開く筋肉(外転筋)を鍛えると、痛みと生活の動作が改善したという報告があります(2022年のメタ解析。解析対象は3つの試験)。股関節の筋肉は膝の負担にも関わっています。
▶ ウォーキングの効果と、膝を守る正しい歩き方
▶ 膝に負担のかからない筋トレ

【武内院長のコメント】
「患者さんには、『ストレッチは痛みを消す薬ではなく、動きやすさを保つ習慣だと思ってください』とお話ししています。筋肉を鍛えることには意味があると考えていますが、痛みを我慢して頑張りすぎて、関節を痛めてしまう方もいます。強さよりも、毎日続けられる範囲で、が基本です。」

筋肉と関節の病気のつながり|変形性股関節症、受診の目安、再生医療

筋肉と関節の病気のつながり|変形性股関節症、受診の目安、再生医療

筋肉の弱さと関節の傷みは、お互いに影響し合う

変形性股関節症などで関節が傷むと、痛みをかばって動かさなくなり、筋肉が弱ります。筋肉が弱ると関節を支える力が落ち、さらに関節に負担がかかる——筋肉と関節は互いに影響し合う関係です。ですから、筋肉を鍛えることは大切ですが、それだけで関節の傷みが元に戻るわけではありません。どこまでが筋肉の問題で、どこからが関節の問題か、レントゲンやMRIで確かめる意味はここにあります。
▶ 変形性股関節症とは?症状から治し方まで
▶ 股関節の痛みを放置するとどうなる?

先日、こんなご相談をいただきました。60代の女性で、股関節の痛みに悩む方です。主治医から「人工関節はなるべく遅く」と言われ、様子見のリハビリと痛み止めが続いているそうです。その間に、食事の支度が以前の倍の時間がかかり、階段も難しくなったとのことでした。待つあいだの過ごし方は、股関節の筋肉と関節の関係にも関わってきます。

受診を考える目安

  • 運動の覚えがないのに、股関節やお尻の痛みが2週間以上続く

  • 動き始めに足の付け根の奥が痛む、靴下がはきにくい、爪が切りにくい

  • 片脚立ちが不安定になった、夜中に痛みで目が覚める

  • ストレッチや運動をしても、痛みが変わらない・強くなる

当院は、手術を行わず、再生医療による治療を行うクリニックです。手術を勧める立場でも避けるよう勧める立場でもなく、痛みの原因が筋肉なのか関節なのかを確かめ、決める前の方が落ち着いて判断できる材料をお伝えすることを大切にしています。

関節の軟骨がすり減って痛む場合の再生医療

当院で行っているのは、ご自身の脂肪から採取・培養した幹細胞を使う、自己脂肪由来幹細胞治療です。幹細胞は「体の修復を担当する細胞」で、傷んだ軟骨の修復に働きかけたり、関節の炎症をしずめたりする方向で期待されています。流れは、お腹などから脂肪を少量採取し(局所麻酔・日帰り)、約4〜6週間かけて幹細胞を培養し、その細胞を痛みのある関節に注射します。ご自身の細胞・血液を用いるため、拒絶反応のリスクはほぼありません。ただし、自由診療(保険外)であり、効果には個人差があります。運動のあとの筋肉痛や、一時的な張りは対象ではありません。考えられるのは、変形性股関節症や変形性膝関節症のように関節の軟骨がすり減って痛みが続く場合や、筋肉・腱の炎症が長引いている場合です。膝や股関節は当院の幹細胞治療の主な対象となる部位ですが、実際に受けられるかどうかは、診察とレントゲンなどの画像検査で判断します。治療の流れや費用は、診察のときに詳しくご説明します。無理に勧めることはありません。

▶ 変形性股関節症の再生医療(幹細胞治療)完全ガイド
▶ 股関節の痛みに対する当院の再生医療(治療ページ)

【武内院長のコメント】
「再生医療についてお尋ねいただいたとき、私は最初に『筋肉痛やこりをほぐす治療ではありません』とお伝えします。関節の軟骨のすり減りや、長引く筋肉・腱の炎症が痛みの背景にあって、薬や運動で変わらない方に、選択肢のひとつとして知っていただきたい治療です。対象になるかどうかは、診察と画像を見てからでないと決められません。まず、今の痛みがどこから来ているのか、一緒に確かめましょう。」

股関節の筋肉についてよくある質問

股関節の筋肉についてよくある質問

Q. 股関節の筋肉痛は、何日くらいで治りますか?

運動の翌日から出た筋肉痛であれば、多くは数日から1週間ほどで軽くなります。痛みが強い間は運動の強さと時間をいったん減らしつつ、日常の動作は続けてください。1〜2週間たっても変わらない、むしろ増える場合は、筋肉以外の原因も考えて受診しましょう。

Q. 股関節が筋肉痛のとき、マッサージやストレッチをしてもよいですか?

心地よく感じる範囲であれば構いませんが、筋肉痛を早く治す効果が確認されたマッサージやストレッチはありません。痛みを我慢して強く押したり伸ばしたりするのは避けてください。

Q. 冷やすのと温めるのは、どちらがよいですか?

筋肉痛では、冷やすことで痛みが軽くなるという効果は、総説では確認されていませんでした。入浴で温まって楽に感じるなら、それで構いません。ただし、腫れて熱を持っている、赤くなっているときは、筋肉痛以外の可能性があるため受診を検討してください。

Q. 股関節の筋肉を鍛えれば、変形性股関節症は予防できますか?

運動療法で痛みや動作が改善することは報告されていますが、「関節の傷みを止められる」「発症を防げる」とまでは言えません。体重管理や歩き方の工夫、早めの受診も含めて考えてください。

Q. 片側だけ筋肉痛のように痛むのは、なぜですか?

利き脚や作業のくせ、片側をかばう歩き方で、左右に差が出ることはよくあります。ただ、運動の覚えがないのに片側だけの痛みが続くときは、関節の病気が隠れていることもあります。
▶ 股関節・足の付け根が右だけ・左だけ痛い原因

【武内院長のコメント】
「名前は難しくても、前は脚を上げる、後ろは立ち上がる、横は骨盤を支える、と役割だけ覚えておけば十分です。そして、『これは筋肉の問題かな、関節の問題かな』と迷ったときが、受診のタイミングだと思います。」

まとめ|股関節の筋肉は「5つのグループ」で整理して、痛みの場所と結びつける

まとめ|股関節の筋肉は「5つのグループ」で整理して、痛みの場所と結びつける
  • 股関節をまたぐ筋肉は21本。前・後ろ・横・内側・深層の5グループで整理すると分かりやすい

  • 前は脚を上げる、後ろは立ち上がる、横は歩くたびに骨盤を支える、内側は脚を閉じる、深層は脚をひねり関節を安定させる

  • 運動のあとの筋肉痛は、多くは数日で軽くなる。ストレッチで筋肉痛が早く消えるという根拠は乏しい

  • 運動療法は、変形性股関節症の痛みと動きを改善すると報告されている。ただし病気の進行を止められるとまでは言えない

  • 動き始めの痛み、足の付け根の奥の痛み、2週間以上続く痛みは、筋肉以外の原因も考えて受診する

  • 関節の軟骨のすり減りが痛みの背景にあり、薬や運動で変わらない場合は、再生医療が検討できることもある(対象かどうかは診察で判断)

関連コラム

参考文献

  1. Neumann DA. Kinesiology of the hip: a focus on muscular actions. J Orthop Sports Phys Ther. 2010;40(2):82-94. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20118525/

  2. Mellor R, et al. Education plus exercise versus corticosteroid injection use versus a wait and see approach on global outcome and pain from gluteal tendinopathy: prospective, single blinded, randomised clinical trial. BMJ. 2018;361:k1662. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29720374/

  3. Ganderton C, et al. Gluteal Loading Versus Sham Exercises to Improve Pain and Dysfunction in Postmenopausal Women with Greater Trochanteric Pain Syndrome: A Randomized Controlled Trial. J Womens Health (Larchmt). 2018;27(6):815-829. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29715073/

  4. Kivle K, et al. Gluteal atrophy and fatty infiltration in end-stage osteoarthritis of the hip: a case-control study. Bone Jt Open. 2021;2(1):40-47. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33537675/

  5. Cheung K, et al. Delayed onset muscle soreness: treatment strategies and performance factors. Sports Med. 2003;33(2):145-164. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12617692/

  6. Afonso J, et al. The Effectiveness of Post-exercise Stretching in Short-Term and Delayed Recovery of Strength, Range of Motion and Delayed Onset Muscle Soreness: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Front Physiol. 2021;12:677581. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34025459/

  7. Fransen M, et al. Exercise for osteoarthritis of the hip. Cochrane Database Syst Rev. 2014;2014(4):CD007912. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24756895/

  8. Thomas DT, et al. Hip abductor strengthening in patients diagnosed with knee osteoarthritis - a systematic review and meta-analysis. BMC Musculoskelet Disord. 2022;23(1):622. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35768802/

院長監修記事

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武内 晋司郎

(たけうち しんじろう)

シンセルクリニック総院長

三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

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三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

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