true

手術なし!ご自身の細胞で「歩く喜び」を取り戻す治療とは?
ホーム
コラム一覧

【医師監修】膝のお皿(膝小...

【医師監修】膝のお皿(膝小僧)とは?膝蓋骨の場所・働き・痛む原因を整形外科の医師が解説

2026.10.24

「階段を降りるたびに、膝のお皿の下がズキッとする」

「正座をしたあと、膝小僧のあたりが痛くて、まっすぐ立ち上がれない」

膝のお皿は、体の表面から指で触れられる数少ない骨のひとつです。歩く、座る、立つ、階段を使うたびに働いているぶん、痛みが出ると気になり続けます。ところが、「お皿そのものが悪いのか」「お皿のまわりの腱や脂肪、軟骨が悪いのか」は、痛む場所によってまったく違います。相談に来られる方からも、「骨が割れているわけではないのですか」という声をよく聞きます。

この記事では、シンセルクリニック総院長で整形外科の医師である武内晋司郎が、膝のお皿(膝蓋骨)の場所としくみ、働き、痛む場所別の原因、自分でできること、変形性膝関節症とのつながり、受診の目安を順に解説します。先に「お皿とは何か」を整理し、そのあとで「痛いとき」の話に進みます。

この記事の結論

  • 膝のお皿は医学用語で膝蓋骨(しつがいこつ)。体の中で最大の「種子骨(腱の中にできる骨)」で、膝小僧はお皿とその表面のふくらみをまとめた呼び名

  • お皿の働きは、太ももの力を効率よく伝える「てこ」・膝の前を守る盾・腱の通り道を整える滑車の3つ

  • 痛みはお皿の上・下・内側・外側・裏のどこかで原因が変わる。上下は腱、下は脂肪体、裏は軟骨や関節のことが多い

  • お皿の裏の痛みは、運動で股関節と太ももを同時に鍛える方法が、国際的な合意文書で推奨されている

  • 転倒後に膝が伸ばせない、お皿が横にずれた感じがある、赤く腫れて熱と発熱を伴うときは、早めに整形外科へ

膝のお皿(膝蓋骨)とは?「膝小僧」との違いと、場所の確かめ方

膝のお皿(膝蓋骨)とは?「膝小僧」との違いと、場所の確かめ方

膝のお皿の医学的な名前は膝蓋骨(しつがいこつ)です。膝の正面にある、丸みを帯びた逆三角形に近い形の骨で、大きさはおよそ5cm前後、ちょうど手の指で包めるくらいです。「お皿」と呼ぶのは、お皿を伏せたような形に見えるからです。

日常では「膝のお皿」「膝小僧」「膝頭(ひざがしら)」など、似た言葉がいくつも使われます。意味を整理すると次のようになります。

呼び名

指しているもの

膝蓋骨(しつがいこつ)

医学用語。お皿の骨そのもの

膝のお皿・膝の皿

膝蓋骨を指す、ふだんの言い方

膝小僧・膝頭

膝の前の出っ張り全体。お皿に加えて、その表面の皮膚や皮下のふくらみも含めて言うことが多い

膝の前面

お皿に加えて、そのまわりの腱・靭帯・脂肪・滑液包まで含む広い範囲

つまり「膝小僧が痛い」と言うとき、痛みの原因が骨とは限りません。皮膚の下の袋、腱、脂肪、軟骨などが原因のことも多く、ここが「お皿の痛み」を考えるうえで大切な出発点です。

自分でお皿の場所と動きを確かめる方法

  1. 椅子に座るか、足を伸ばして座り、膝をまっすぐに伸ばします

  2. 太ももの力を抜いたまま、お皿を指でやさしく左右・上下に動かします。力を抜いていれば、数センチは動くのが普通です

  3. 次に太ももにぐっと力を入れると、お皿は上に引き上げられて動きにくくなります

  4. 左右の膝で、動きの大きさや痛みの有無を比べます

痛みが強いときは、無理に動かさず触れるだけにしてください。お皿が動くのは正常なしくみです。

お皿の形には個人差があります

まれに、生まれつきお皿が2つに分かれている「分裂膝蓋骨(ぶんれつしつがいこつ)」という状態があります。多くは痛みがなく、検査で偶然わかります。

【武内院長のコメント】
「相談に来られる方から、よく『膝小僧が出ていて気になる』『お皿がずれているのでは』と聞きます。お皿は動く骨なので、動くこと自体は心配いりません。見た目より、階段やしゃがむ動作で痛むか、膝が腫れていないか、という点を気にしてください。」

膝の痛みを場所から整理した記事もあります。あわせてご覧ください。
▶ 膝の痛みの原因は場所でわかる

膝のお皿のしくみ|骨・軟骨・腱・靭帯・脂肪体のつながり

膝のお皿のしくみ|骨・軟骨・腱・靭帯・脂肪体のつながり

お皿は、ひとつだけ宙に浮いている骨ではありません。太ももの前の大きな筋肉(大腿四頭筋〈だいたいしとうきん〉)の腱の中に埋まるようにでき、下は「膝蓋腱(しつがいけん)」でスネの骨とつながっています。腱の中にできる骨なので、「種子骨(しゅしこつ)」と呼ばれ、体の中で最も大きい種子骨がこのお皿です。

お皿の裏側は、太ももの骨(大腿骨)の溝にはまり込み、膝を曲げ伸ばしするたびに、この溝の上をレールのように滑ります。お皿の裏と大腿骨の溝の間の関節を「膝蓋大腿関節(しつがいだいたいかんせつ)」と呼びます。ここが、お皿の裏が痛むときの舞台になります。

部位

役割

痛みとのかかわり

大腿四頭筋腱(お皿の上)

太ももの筋肉とお皿をつなぐ

お皿の上の痛み。使いすぎで炎症を起こすことがある

膝蓋腱(お皿の下)

お皿とスネの骨をつなぐ

ジャンパー膝(膝蓋腱炎)の舞台

脛骨粗面(スネの上の出っ張り)

膝蓋腱がつく場所

成長期のオスグッド・シュラッター病

お皿の裏の軟骨

衝撃をやわらげ、滑りをよくする

すり減ると膝蓋大腿関節症や、お皿の裏の痛みの原因に

大腿骨の溝(滑車溝)

お皿が滑るレール

溝が浅いと、お皿が外れやすい

内側膝蓋大腿靭帯

お皿が外側にずれるのを内側から止める

膝蓋骨脱臼で傷つきやすい

膝蓋下脂肪体

お皿の下にあるクッション

はさまれて痛む。お皿の下の痛みの原因に

お皿の下のクッションについては、こちらの記事で詳しく説明しています。
▶ 膝のお皿が痛くなる膝蓋下脂肪体について

お皿のまわりには骨・軟骨・腱・靭帯・脂肪・袋が重なっているため、同じ「お皿が痛い」でも、原因の組織で治し方が変わります。

膝のお皿の3つの働き

膝のお皿の3つの働き

① 太ももの力を強める「てこ」の働き

お皿は、太ももの筋肉の力が膝を伸ばす方向に伝わるとき、力の向きを前に持ち上げて、効率を高める働きをします。お皿があることで、立ち上がる、階段をのぼる、蹴り出すといった動作で、同じ筋力でもより強い力を出せます。お皿の機能が落ちると、膝を伸ばす力は弱くなります。

② 膝の前を守る「盾」の働き

膝の前は、皮膚のすぐ下に骨があり、転んで膝をつくなど、ぶつかる機会の多い部分です。お皿はその衝撃を受け止め、後ろの関節や腱を守っています。お皿の裏は、体の中でも厚い軟骨で覆われています。

③ 腱の通り道を整える「滑車」の働き

膝の曲げ伸ばしの間、大腿四頭筋の力は、お皿を通ってスネの骨へ伝わります。お皿が大腿骨の溝を縦にまっすぐ滑ることで、力が横にそれず、筋肉の働きが効率よく使われます。この道筋が少しでもずれると、お皿の裏の一部に負担が集中して、痛みの原因になります。

階段の上り下りや、しゃがむ、立ち上がる動作では、お皿の裏にかかる力が大きくなります。体重を大きく上回る力がかかる場面もあるため、日常の動作のたびに、お皿の裏は繰り返し負担を受けていると言えます。

【武内院長のコメント】
「お皿は目立たない骨ですが、立つ、歩くという生活の基本を支えています。ご相談を伺うと、『膝が痛くてスクワットや階段を避けている』という方が多いのですが、動かさなくなるほど太ももの筋力が落ち、お皿にかかる負担がかえって増えることがあります。痛みの出る動きを見極めて、それだけを減らす考え方が大切です。」

膝のお皿が痛い|痛む場所でわかる原因のめやす

膝のお皿が痛い|痛む場所でわかる原因のめやす

「膝小僧が痛い」と言っても、痛む場所で原因はかなり絞り込めます。次の表は診断ではなく、受診の際に医師へ伝える材料として使ってください。

痛む場所

考えられる原因

出やすい場面

お皿のすぐ上

大腿四頭筋腱の炎症、お皿の上の滑液包炎

ジャンプ、階段の上り、立ち上がり

お皿のすぐ下

ジャンパー膝(膝蓋腱炎)、膝蓋下脂肪体の炎症

ジャンプ、ダッシュ、正座、膝を伸ばしきるとき

お皿の下のスネの出っ張り

オスグッド・シュラッター病(成長期)

運動中、運動後、正座

お皿の内側

棚障害(滑膜ひだ)、内側の靭帯や半月板の痛み

曲げ伸ばし、ひねり動作

お皿の外側

腸脛靭帯炎、お皿が外にずれるクセ

ランニング、下り坂

お皿の周り全体・裏

膝蓋大腿部痛、膝蓋大腿関節症

階段の下り、しゃがむ、長く座ったあとの立ち上がり

お皿の前が腫れる

お皿の前の滑液包炎

膝をついて作業する、転んで膝を打った

お皿の上が痛むときの見分け方は、こちらで詳しく解説しています。
▶ 膝の皿の上が痛い原因|ジャンパー膝や滑液包炎の見分け方

お皿の「裏」が痛む|膝蓋大腿部痛とは

お皿の裏側やまわりが痛む状態は、膝蓋大腿部痛(しつがいだいたいぶつう)と呼ばれます。階段の下り、しゃがむ、長時間座ったあとの立ち上がりで痛みが出やすいのが特徴です。

先日、こんなご相談をいただきました。長年の膝の痛みと付き合ってきた60〜70代の方が、外出のときの乗り換えの階段が苦痛だと話されました。階段を見るだけで気が重くなる、とも。大きな痛みでなくても、毎日の小さな段差の我慢は、外出のたびに積み重なります。お皿のまわりの痛みも、階段の下りやしゃがむ動作で気づく方が多い症状です。

この痛みはまれなものではありません。23の研究をまとめたメタ解析(2018年)では、1年間の膝蓋大腿部痛の有病率は、一般の成人で22.7%(4〜5人に1人)、青年で28.9%(10人に3人弱)と報告されています。また、思春期の「その時点での有病率」は7.2%、女性の青年アスリートでは22.7%でした。とても身近な悩みです。

押すと痛い?動かすと痛い?ゴリゴリ鳴る?

  • お皿を動かすと痛い:お皿の裏の軟骨や、お皿のずれが関係している可能性

  • ゴリゴリ・ジャリジャリ音がする:痛みがなければ心配ないことも多い。痛みを伴う、腫れる、引っかかるときは相談を

  • 膝がガクッと抜ける・外れそう:お皿が不安定な状態のことがある。早めに受診を

【武内院長のコメント】
「相談に来られる方に『どこが痛みますか』と伺うと、手のひらで膝全体を指す方が多いです。でも、指一本で『ここ』と指せるかどうかで、原因が絞れることがあります。お皿の上なのか下なのか、内側なのか外側なのか。受診の前に、一度ご自分の指で場所を確かめてみてください。」

膝のお皿まわりの代表的な病気とけが

膝のお皿まわりの代表的な病気とけが

膝蓋大腿部痛(お皿の裏の痛み)

お皿の動きや、お皿を支える筋肉のバランスが関係するとされる痛みで、若い人から中高年まで幅広くみられます。レントゲンで異常が見つからないことも多く、画像に写らなくても、気のせいではありません。階段の下りやしゃがみ込みを減らしながら、太ももや股関節まわりの筋力を整えるのが基本です。

ジャンパー膝(膝蓋腱炎)

お皿のすぐ下の腱(膝蓋腱)に、ジャンプや着地の負担が積み重なって起こります。ノルウェーの一流アスリート613人を調べた研究(2005年)では、現在ジャンパー膝がある人は14.2%(約7人に1人)で、競技によって差がありました。バレーボールでは44.6%(10人に4〜5人)、バスケットボールでは31.9%(10人に3人)に症状があった一方、自転車競技やオリエンテーリングでは該当者がいませんでした。男性は13.5%、女性は5.6%で、症状が続く期間は平均32か月と長いのも特徴です。

▶ ジャンパー膝とは?症状から治し方まで

オスグッド・シュラッター病

成長期の子どもで、お皿の下のスネの骨が出っ張って痛むのが特徴です。太ももの前の筋肉が強く引っぱり続けるために起こり、運動をする小学校高学年〜中学生に多くみられます。成長が止まるころには落ち着くことが多い一方、運動量の調整が大切です。

▶ オスグッドで身長は止まる?伸びる?

お皿の前の滑液包炎

皮膚とお皿の間の袋に水がたまる状態です。膝をついて床の作業をする方によくみられるほか、転んで膝を打ったあとにも起こります。膝の関節の中の水(関節液)とは違うため、見分けが必要です。関節内の水については別の記事をご覧ください。

▶ 膝に水が溜まる原因と症状

膝蓋骨脱臼・亜脱臼

お皿が大腿骨の溝から外れる(多くは外側に)けがです。ジャンプの着地、ひねり、接触で起こり、思春期の女の子にも多いのが特徴です。アメリカの地域住民を調べた研究(2018年)では、1年間の発生数は10万人あたり23.2人、14〜18歳に限ると10万人あたり147.7人と、10代に集中していました。また、初めての脱臼のあとに再び脱臼する人も少なくなく、再脱臼は最大で4割に起こるともされています。

手術をするか、リハビリで経過をみるかについて、2023年のコクランレビュー(手術と保存的治療の比較)は、エビデンスの確かさを「非常に低い」と評価し、どちらが優れているとも結論づけていません。年齢、再脱臼の回数、骨の形をふまえて、個別に決める領域です。

膝蓋骨骨折

転倒して膝を直接打つ、交通事故で膝をぶつけるなどで起こります。膝が腫れ、脚をまっすぐ持ち上げられないときは、骨折やお皿の上下の腱の損傷を疑います。骨のずれが大きい場合は、手術で固定することが検討されます。すぐに受診が必要なケースです。

【武内院長のコメント】
「ジャンパー膝を『気合いで続けるもの』と考えている学生さんを、よくお聞きします。症状が平均で2年半以上続くという報告もあるくらい、腱の痛みは長引きやすいのです。『もう少しやれば慣れる』ではなく、痛みの出る練習量を調整することが、結局は近道だと思います。」

膝のお皿が痛いときの自分でできること・避けたいこと

膝のお皿が痛いときの自分でできること・避けたいこと

まず控えたい動き

  • 深いスクワットや、深くしゃがみ込む動作の繰り返し

  • 痛みを我慢しての階段の上り下り、坂道の下り

  • 長時間の正座、膝をついた作業

  • 痛い膝でのジャンプ、ダッシュ、急停止

やめるのではなく、痛みが出る回数と深さを減らす発想で調整します。

▶ スクワットで膝が痛い原因と正しいやり方
▶ 正座ができない本当の原因は「筋膜」
▶ 膝をつくと痛い!日常でできる改善法

運動は「股関節と膝の両方」を

お皿の裏の痛みについて、国際的な専門家のグループ(41人の専門家による投票)がまとめた2018年の合意文書では、運動療法、とくに股関節を動かす運動と膝を動かす運動の組み合わせが、痛みや動きの改善に推奨されています。31の試験・1,690人をまとめたコクランレビューの要約でも、運動療法は痛みや日常動作を改善する方向の結果でしたが、エビデンスの質は非常に低いとされ、最適な運動の内容までは決まっていません。

無理のない運動の例を挙げます。痛みが強まる場合は中止してください。

  • 太もも前の筋肉を静かに固める運動:膝を伸ばして座り、膝の下にタオルを置いて押しつぶすように力を入れ、数秒保つ

  • お尻の筋肉の運動:横向きに寝て、上の脚をゆっくり持ち上げる(外側のお尻の筋肉)

  • ブリッジ:仰向けで膝を立て、お尻をゆっくり持ち上げて下ろす

▶ 膝に負担のかからない筋トレ
▶ 膝のストレッチ完全ガイド
▶ 内転筋とは?膝を守る太ももの内側の筋肉

サポーター・テーピング・靴

同じ2018年の合意文書では、足の裏のバランスを整える足部装具(インソール)は痛みや機能の改善に推奨される一方、お皿のテーピングや装具は「効果が不確か」とされています。つまり、「使ってはいけない」のではなく、「これで必ずよくなる」とは言えない段階です。使って楽ならば補助的に使い、頼りすぎないのが現実的です。

▶ 膝サポーターの選び方
▶ 膝に優しい靴の選び方

体重と歩き方

体重が増えると、階段や歩行のたびにお皿の裏にかかる力も大きくなります。痛みの出ない範囲で歩くことは筋力維持に役立ちます。

▶ ウォーキングの効果はいつから?膝を守る正しい歩き方

【武内院長のコメント】
「サポーターを何種類も買い替えた、という方がよくいらっしゃいます。補助具で一時的に楽になることはありますが、根本は太ももとお尻の筋力、そして痛みの出る動作の見直しです。一方で、痛みが強いときの無理な筋トレは逆効果です。『痛みの出ない範囲で、少しずつ』という順番を守ってください。」

膝のお皿と変形性膝関節症のつながり

膝のお皿と変形性膝関節症のつながり

膝の関節には、太ももの骨とスネの骨の間の関節と、お皿と太ももの骨の間の関節(膝蓋大腿関節)があります。変形性膝関節症というと、内側の軟骨がすり減るタイプを思い浮かべる方が多いのですが、お皿の裏の軟骨がすり減る膝蓋大腿関節症も、変形性膝関節症のひとつの形です。

お皿のけがや脱臼のあとに関節症が起こりやすいことも知られています。アメリカの研究(2017年)では、初めてのお皿の脱臼から25年後に、症状とレントゲンの変化を伴う関節症が起こっていた人は48.9%(約半数)で、脱臼のない人(8.3%)より多くなっていました。再脱臼、骨や軟骨のけが、大腿骨の溝の形成不全が、関節症に関係する要因として挙げられています。

ただ、痛みの原因がすり減りだけとは限りません。膝に水がたまる、引っかかる、お皿の動きが悪いなど、症状の組み合わせでみていきます。

▶ 変形性膝関節症とは?症状から最新治療まで
▶ 膝の軟骨がすり減るとどうなる?

【武内院長のコメント】
「相談に来られる方から、『お皿の下が痛いから、お皿の病気ですよね』と聞かれます。実際には、膝の関節の軟骨や半月板、腱など、複数の場所が関係していることも多いのです。痛む場所だけでなく、いつ痛むのか、どんな動作で痛むのかを整理すると、全体像が見えてきます。」

病院での検査と治療、再生医療という選択肢

病院での検査と治療、再生医療という選択肢

どんな検査をするか

まず、いつから、どの動作で、どの場所が痛むのかを聞き取ります。そのうえで、お皿を押す、動かす、膝を伸ばした状態で押し下げるなどの診察を行い、レントゲン(正面・側面・お皿を斜めから見る撮影)、必要に応じてMRIで軟骨・腱・靭帯・脂肪体を確認します。腫れや水がある場合は、超音波(エコー)で確かめることもあります。

保存的な治療

多くは手術ではなく、まず次の方法で経過をみます。

  • 痛みの出る動作の調整

  • 痛み止めの飲み薬や貼り薬

  • 理学療法士によるリハビリ

  • 足部装具やサポーター

  • 関節内へのヒアルロン酸注射

▶ 膝のヒアルロン酸注射について

手術

手術は、骨折の固定、繰り返す脱臼に対するお皿の安定化の手術、強い変形に対する骨切りや人工関節など、状態に応じて検討される選択肢です。お皿が外れやすい場合は、内側の靭帯を再建する手術などがあります。手術は、それぞれにきちんとした目的と成績がある治療です。

膝の関節の軟骨がすり減って痛む場合の再生医療

当院は手術や保険診療の外来を行わない、再生医療のクリニックです。お皿の骨折や脱臼そのもの、成長期のオスグッド・シュラッター病を治す治療ではありません。一方、膝蓋腱の炎症(ジャンパー膝)が長引いている場合は、対象になることがあります。また、膝の関節の軟骨がすり減って痛む変形性膝関節症(お皿の裏の関節を含む)は、当院の幹細胞治療の主な対象のひとつです。方法は、お腹などから脂肪を少量採取(局所麻酔・日帰り)し、そこから幹細胞を取り出して約4〜6週間培養し、膝の関節に注射します。幹細胞は「体の修復を担当する細胞」で、傷んだ軟骨の修復に働きかけ、炎症をしずめることを目指します。ご自身の細胞・血液を用いるため、拒絶反応のリスクはほぼありません。自由診療(保険外)であり、費用は保険診療より高くなること、効果には個人差があり、すべての方に同じ変化が出るわけではないことをご了承ください。ご自分の膝の関節が対象になるかどうかは、症状と画像検査の結果をもとに、診察で慎重に判断します。幹細胞治療を希望される方は、現在の症状や治療歴もあわせてお聞かせください。

脂肪由来の幹細胞を膝の変形性関節症に注射する研究については、6件の無作為化比較試験(551人)をまとめた2026年のメタ解析で、3か月・6か月・12か月後の痛みの点数が対照より低く、有害事象が明らかに増えたとはいえなかったと報告されています。ただし、研究ごとに細胞の作り方や比べる相手が異なり、軟骨の構造そのものが回復するかを示す長期データは限られる、とも述べられています。

▶ 膝の人工関節・手術を避けたい方へ
▶ 膝の再生医療(治療ページ)

【武内院長のコメント】
「再生医療について聞かれることが増えましたが、お皿の痛みならどれでも対象になる、という話ではありません。腱の炎症、骨折、脱臼、軟骨のすり減りでは、考える治療がまったく違います。ご相談では、まず今の痛みの原因がどこにあるのかを一緒に整理するところから始めます。」

受診の目安|こんなときは早めに整形外科へ

受診の目安|こんなときは早めに整形外科へ

状況

考えられること・対応

転んで膝を強く打ち、腫れて、脚を持ち上げられない・膝が伸ばせない

お皿の骨折や腱の損傷の可能性。早めに受診

お皿が横にずれた、外れた感じがある・膝がガクッと抜ける

脱臼・亜脱臼や不安定性の可能性。受診

お皿の前が赤く腫れ、熱を持ち、発熱もある

感染を起こしている滑液包炎などの可能性。早めに受診

膝全体が腫れ、熱く、急に痛んだ

痛風・偽痛風、感染などの可能性。受診

膝が引っかかって動かない・伸びない

半月板や軟骨のかけらの可能性。受診

受診のときに伝えるとよいこと

  • 痛む場所(お皿の上・下・内側・外側・裏のどのあたりか)

  • 痛む動作(階段、しゃがむ、正座、ジャンプなど)

  • いつから、きっかけ(けが、運動量の増加、思い当たりなし)

  • 腫れ、水がたまる感じ、引っかかり、ガクッと抜ける感じの有無

膝のお皿についてよくある質問

膝のお皿についてよくある質問

Q. 膝小僧と膝のお皿は同じですか?

ほぼ同じ場所を指しますが、少し意味が違います。膝のお皿は骨そのもの(膝蓋骨)で、膝小僧は、お皿とその表面の皮膚や皮下のふくらみをまとめた日常の呼び名です。

Q. 膝のお皿が動くのは異常ではないですか?

異常ではありません。太ももの力を抜いたときに、お皿が数センチ動くのは正常です。ただし、動かすと痛む、片方だけ極端に動く、外れそうな感じがある、といった場合は、受診して確認してください。

Q. 膝のお皿の下が痛いのは何科に行けばよいですか?

整形外科です。リハビリの設備がある施設なら、運動の面からも相談しやすくなります。

Q. 子どもが膝小僧の下を痛がります。成長痛ですか?

お皿の下のスネの出っ張りが痛んで腫れるなら、オスグッド・シュラッター病の可能性があります。運動量の調整が必要なこともあるため、一度整形外科で診てもらいましょう。

Q. 膝のお皿を保護するサポーターは、つけたほうがよいですか?

痛みが強い時期の補助にはなりますが、研究ではお皿のテーピングや装具の効果は「不確か」とされています。筋力を整える運動も並行しましょう。

まとめ|「膝小僧が痛い」は、場所を絞ると原因が見えてくる

まとめ|「膝小僧が痛い」は、場所を絞ると原因が見えてくる
  • 膝のお皿は膝蓋骨。体で最大の種子骨で、膝小僧はお皿とその表面のふくらみをまとめた呼び名

  • お皿の働きは、てこの力・膝の前を守る盾・腱の通り道を整える滑車

  • 痛む場所は、上(腱)・下(膝蓋腱や脂肪体)・裏(軟骨や関節)・前(滑液包)で原因が変わる

  • お皿の裏の痛みは身近な悩み。国際的な合意文書では、股関節と膝を合わせた運動療法が推奨されている

  • お皿のテーピングや装具は効果が不確か。足部装具は推奨されている

  • お皿の脱臼のあとは、将来の関節症が増える。変形性膝関節症のひとつに、お皿の裏のすり減りがある

  • 転倒後に膝が伸ばせない、お皿が外れた感じ、赤く腫れて発熱があるときは、早めに受診する

関連コラム

参考文献

  1. Smith BE, et al. Incidence and prevalence of patellofemoral pain: A systematic review and meta-analysis. PLoS One. 2018;13(1):e0190892. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29324820/

  2. Collins NJ, et al. 2018 Consensus statement on exercise therapy and physical interventions (orthoses, taping and manual therapy) to treat patellofemoral pain: recommendations from the 5th International Patellofemoral Pain Research Retreat, Gold Coast, Australia, 2017. Br J Sports Med. 2018;52(18):1170-1178. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29925502/

  3. van der Heijden RA, et al. Exercise for treating patellofemoral pain syndrome: an abridged version of Cochrane systematic review. Eur J Phys Rehabil Med. 2016;52(1):110-133. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26158920/

  4. Lian ØB, et al. Prevalence of jumper's knee among elite athletes from different sports: a cross-sectional study. Am J Sports Med. 2005;33(4):561-567. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15722279/

  5. Sanders TL, et al. Incidence of First-Time Lateral Patellar Dislocation: A 21-Year Population-Based Study. Sports Health. 2018;10(2):146-151. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28795924/

  6. Sanders TL, et al. Patellofemoral Arthritis After Lateral Patellar Dislocation: A Matched Population-Based Analysis. Am J Sports Med. 2017;45(5):1012-1017. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28005405/

  7. Smith TO, et al. Surgical versus non-surgical interventions for treating patellar dislocation. Cochrane Database Syst Rev. 2023;1(1):CD008106. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36692346/

  8. Han JH, et al. Autologous adipose-derived mesenchymal stromal cell injection for knee osteoarthritis improves pain and function without a clear increase in adverse events: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2026 Aug 10. doi:10.1002/ksa.70569. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42573097/

院長監修記事

シンセルクリニック総院長 武内の顔写真

武内 晋司郎

(たけうち しんじろう)

シンセルクリニック総院長

三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

医師プロフィールはこちら

三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

医師プロフィールはこちら

同カテゴリの最新記事

Access

アクセス

大阪院

所在地

〒542-0086

大阪府大阪市中央区西心斎橋1-9-15

大京心斎橋ビル3F

Googleマップ

電車でお越しの方

大阪メトロ御堂筋線

心斎橋駅から徒歩3分

大阪メトロ御堂筋線

四つ橋駅から徒歩3分

提携

名古屋(ドクターフォースクリニック)

所在地

〒460-0003

愛知県名古屋市中区錦1-15-8

アミティエ錦第一ビル3階

Googleマップ

電車でお越しの方

名古屋市営地下鉄桜通線

国際センター駅 徒歩8分

名古屋市営地下鉄東山線

伏見駅 徒歩7分

所在地

〒542-0086

大阪府大阪市中央区

西心斎橋1-9-15

大京心斎橋ビル3F

Googleマップ

電車でお越しの方

大阪メトロ御堂筋線

心斎橋駅から徒歩3分

大阪メトロ四つ橋線

四つ橋駅から徒歩3分

ひざ・肩・股関節の再生医療専門クリニック

大阪

名古屋

広島

福岡

まずは、ご相談ください

再生医療の可能性を、一人でも多くの方に知って頂きたいと思っています。
新しい選択肢を「知る」ために、まずはお気軽にお問い合わせください。

電話受付

9:00〜18:00

月

火

水

木

金

土

日

※祝日は休診日となります。

電話での予約・お問い合わせ診療予約お問い合わせ
診療予約はこちら
w2i9Xh