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【医師監修】膝をひねった後の痛みと腫れ|捻挫・半月板・靭帯の見分け方

2026.10.24

「バスケットの着地で膝をひねった。そのあと膝が腫れてきたけれど、ただの捻挫だろうか」

「階段を踏み外して膝を捻った。歩けないほどではないのに、何日たっても痛みが引かない」

ご相談では、「冷やすのと温めるのと、どちらがよいのですか」「半月板が切れていないか心配です」と聞かれます。膝を捻る(ひねる)けがは、軽い捻挫で済むこともあれば、靭帯や半月板、ときには骨に傷がついていることもあり、痛みの強さだけでは区別がつきません。

この記事では、シンセルクリニック総院長で整形外科の医師である武内晋司郎が、膝を捻った後にまずやること、捻挫・半月板損傷・靭帯損傷の見分け方、病院での検査と治療、痛みが長引くときの考え方を解説します。

この記事の結論

  • 膝を捻った直後は、動かさず、休ませ、少し高くして、軽く圧迫する。痛い膝をひねって動きを確かめることと、お風呂で温めることは避ける

  • 体重をかけて歩けない/膝が伸びない・曲がらない/数時間で大きく腫れた/「ポン」と音がした。1つでもあれば、その日のうちに整形外科へ。歩けることは、安心の材料になりません

  • 腫れ方が手がかりになる。数時間以内に膨らむ腫れは、関節の中に血がたまったサイン。血がたまった男性スポーツ選手106人の研究では、約3人に2人に前十字靭帯の損傷があった

  • 膝の内側・外側の靭帯の捻挫は、手術をしなくても回復することが多い。半月板や前十字靭帯も、手術をしない選択肢がある

  • 数週間たっても痛み・引っかかり・崩れる感じが続くときは、MRIで確認する。変形性膝関節症が背景にある場合は、再生医療が選択肢になることもある

膝を捻った(ひねった)直後にやること|当日から3日間の応急処置

膝を捻った(ひねった)直後にやること|当日から3日間の応急処置

捻った直後は、どこがどれだけ傷んだのか自分では分かりません。それ以上傷めないことが最優先です。スポーツ中なら、その場でやめてください。

直後の手順

  1. 動きを止めて、座るか横になる:立って痛みを試さない

  2. 膝を心臓より少し高くして休む:膝の下にクッションを入れる

  3. 弾力包帯などで軽く圧迫する:足先がしびれる、冷たくなる、色が変わるときは、すぐゆるめる

  4. 痛みが強ければ冷やす:保冷剤をタオルで包み、15〜20分ほど。皮膚に直接当てない。回復が早まるかどうかは、はっきりした結論が出ていません

  5. つらければ、杖や松葉杖、手すりを使う

膝を捻った直後に、休む・高くして圧迫する・タオルで包んだ保冷剤で冷やす手順を示した3コマの図
膝を捻った直後の応急処置の流れ。①座るか横になって膝を動かさない ②膝の下にクッションを入れて少し高くし、弾力包帯で軽く圧迫 ③痛みが強ければ、タオルで包んだ保冷剤を15〜20分当てる。

やってはいけないこと

  • 痛い膝をひねって「動きを確かめる」:靭帯や半月板の傷を広げることがあります

  • お風呂で長く温める、お酒を飲む:腫れが強まることがあります。当日はシャワーに

  • 湿布を貼って、そのまま様子をみる:湿布は痛みをやわらげるもので、骨折や靭帯の断裂は見分けられません
    ▶ 痛み止めの強さランキング

従来の「RICE(安静・冷却・圧迫・挙上)」に代わる考え方として、2020年にスポーツ医学の雑誌で「PEACE&LOVE」が提案されています。直後の数日間は守る・高くする・薬に頼りすぎない・圧迫する・状態を知る(PEACE)、その後は痛みの範囲で動かす・前向きに過ごす・有酸素運動・筋力とバランスの運動(LOVE)という流れです。

【武内院長のコメント】
「相談に来られる方から、『ひねった日は湿布を貼って、お風呂でしっかり温めた。翌朝、膝がパンパンに腫れていた』と聞くことがあります。ひねった当日は、温めるよりも、休ませて、高くして、軽く圧迫するほうが安全です。お風呂ならシャワーにとどめてください。」

すぐ受診したいサイン|骨折や重い靭帯損傷を見逃さないために

すぐ受診したいサイン|骨折や重い靭帯損傷を見逃さないために

状態

受診の目安

体重をかけると激しく痛む。4歩続けて歩けない

その日のうちに受診(骨折など)

膝が伸びきらない、または曲がらない。何かが挟まって引っかかる(ロッキング)

その日〜翌日に受診(半月板の断片などが挟まっている可能性)

数時間のうちに、膝がパンパンに腫れた

その日〜翌日に受診(関節の中に血がたまっている可能性)

「ポン」と音がした。膝がずれた感じ、ガクッと崩れる感じがある

早めに受診(前十字靭帯などの損傷の可能性)

お皿(膝蓋骨)が横にずれた。形がおかしい

その日のうちに受診(膝蓋骨脱臼、骨折の可能性)

膝が大きく変形した。ふくらはぎ・足先が冷たい、白い、しびれる

救急車を呼ぶ(膝関節脱臼で、血管や神経が傷ついている可能性)

発熱がある。膝が赤く腫れて熱をもち、じっとしていても強く痛む

早めに受診(感染などの可能性)

歩けるなら大丈夫?|歩けても傷んでいることがあります

靭帯は、骨のように体重を支える柱ではなく、関節のぐらつきを止める帯です。そのため、靭帯が傷んでいても、歩けることは珍しくありません。強い痛みが数日から数週間で落ち着き、歩けるようになってから、膝の不安定感に気づく方もいます。「歩けるようになった」は、治ったという意味ではありません。判断の材料は、歩けるかどうかより、腫れ・体重をかけたときの痛み・曲げ伸ばし・引っかかり・ガクッと崩れる感じです。

病院で骨折を疑う目安|オタワ膝ルール

病院では、膝のけがでレントゲンを撮るかどうかを決めるために、「オタワ膝ルール」という目安が使われます。次の5つのうち1つでも当てはまれば、骨折を疑ってレントゲンを撮ります。

  • 年齢が55歳以上

  • お皿(膝蓋骨)だけを押すと痛い

  • 膝の外側の下にある骨の出っ張り(腓骨頭)を押すと痛い

  • 膝を90度まで曲げられない

  • けがの直後と診察のときに、4歩続けて体重をかけて歩けない

カナダの大学病院の救急部門で、膝のけがをした成人1,096人を調べた研究では、このルールは重要な骨折63件をすべて見つけました。8つの研究・7,385人をまとめた解析では、骨折を見つける感度が99%、骨折がない人を「撮らなくてよい」とする特異度が49%でした。骨折をほぼ見逃さない、やや広めの網です。これは医師が使う目安で、ご自身が「当てはまらないから大丈夫」と判断するものではありません。

様子をみてよいのは、どんなとき?

痛みが軽く、腫れがなく、歩けて、曲げ伸ばしが最後までできて、時間とともに楽になっているときは、数日休ませて経過をみることもあります。あとから腫れてきた、痛みが強くなった、動かしにくくなった、というときは受診してください。

【武内院長のコメント】
「相談に来られる方から、『歩けたので大丈夫だと思って、1週間そのままにしていた』と伺うことがあります。歩けることと、骨や靭帯が無事なことは別です。腫れが強い、膝が伸びない、ガクッと崩れる。どれかあれば、早めに画像で確かめてください。」

腫れ方でわかること|「数時間で膨らむ」と「翌日にじわじわ」の違い

腫れ方でわかること|「数時間で膨らむ」と「翌日にじわじわ」の違い

膝を捻ったあとの腫れは、いつ、どのくらいの速さで出たかが、傷んだ場所を考える大きな手がかりです。膝の関節の中には、本来、少量の関節液があるだけで、血管が傷つくと、血がたまって短時間で膨らみます。

腫れ方

考えられること

捻って数時間以内に膝全体がパンパンになる

関節の中に血がたまっている(関節内出血)。前十字靭帯の損傷、骨折、お皿のずれ、軟骨の傷など

翌日以降にじわじわ水がたまる

半月板の傷、関節の炎症(滑膜炎)、軽い靭帯の損傷など

膝の内側や外側が腫れる。あざが数日後に下へ降りてくる

側副靭帯の損傷など、関節の外の傷。内出血が下へ流れてくる

イギリスで、スポーツ中のけがで関節内に血がたまった平均28歳の男性106人を、関節鏡(関節の中を見るカメラ)で調べた報告があります。前十字靭帯が完全に切れていた人が43人、部分的に傷んでいた人が28人、傷んでいなかった人が35人でした。血がたまった人の約3人に2人(71人)に前十字靭帯の損傷が見つかったことになり、著者らは、関節内に血がたまる外傷は重い靭帯損傷のサインと考えるべきだと述べています。捻ってすぐ大きく腫れたら様子をみずに受診する理由として大切な数字です(対象は男性スポーツ選手)。

腫れていなくても、「引っかかる」「ガクッとなる」が続くときは受診してください。
▶ 膝に水が溜まる原因と症状

膝を捻った後の痛みの見分け方|痛む場所・症状別の早見表

膝を捻った後の痛みの見分け方|痛む場所・症状別の早見表

ここで紹介するのは診断ではなく、受診のときに医師へ伝える材料です。傷みが複数重なっていることも珍しくありません。次の項目を「膝の捻挫の症状チェック」としてお使いください。

  • 捻ったとき、「ポン」「ブチッ」という音や、ずれた感じがあった

  • 数時間以内に、膝が大きく腫れた

  • 歩いていて、膝がガクッと崩れた

  • 膝の内側(または外側)の一点を押すと、はっきり痛い

痛む場所・症状

疑われる傷み

特徴

膝の内側を押すと痛い

内側側副靭帯の損傷(いわゆる膝の捻挫)

最も多い。歩ける人が多い

膝の外側を押すと痛い

外側側副靭帯の損傷、腸脛靭帯のまわりの傷み

内側より少なく、ほかの靭帯と一緒に傷むことが多い

「ポン」と音。数時間で大きく腫れる。ガクッと崩れる

前十字靭帯の損傷

着地、急停止、方向転換で多い。歩けることもある

転んで膝の前を強く打った。膝の裏が痛い。腫れは目立たない

後十字靭帯の損傷

自覚が乏しく、見逃されやすい

関節のすき間を押すと痛い。引っかかる、ロッキング、しゃがむと痛い

半月板の損傷

腫れは翌日以降が多い。中高年は軽い捻りでも傷む

お皿がずれた感じ。お皿の内側が痛い

膝蓋骨(お皿)の脱臼・亜脱臼

自然に戻っていることも多く、再発しやすい

骨を押すと痛い。体重をかけられない

骨折、骨挫傷(骨の内部の打撲)

レントゲンやMRIで確認する

右膝を正面から見て、4つの靭帯と半月板の位置を丸数字で示した模型図
膝の模型図(右膝を正面から見た図。お皿は取り除いてあります)。①内側側副靭帯 ②外側側副靭帯 ③前十字靭帯 ④後十字靭帯 ⑤半月板。押して痛む場所から、傷んだ部分を考える手がかりになります。

▶ 膝の靭帯とは?前十字・後十字・内側・膝蓋靭帯の場所と働き

【武内院長のコメント】
「相談に来られる方から、『ネットで調べたら全部当てはまる気がして怖くなった』と聞くことがあります。表は、何が起きたかを医師に伝える材料です。ひねったときの動き(足は固定されたまま膝だけ回った、など)をメモしておくと、診察が正確になります。」

膝の捻挫(側副靭帯の損傷)|いちばん多く、手術をしないことが多いけが

膝の捻挫(側副靭帯の損傷)|いちばん多く、手術をしないことが多いけが

「膝の捻挫」でいちばん多いのは、膝の内側にある内側側副靭帯(ないそくそっぷくじんたい)の損傷です。靭帯は骨と骨をつなぐ丈夫な帯のような組織で、膝が内側に折れ曲がるのを防ぎます。足首の捻挫と同じように、重症度があります。

重症度

靭帯の状態

回復の目安(一般的な目安)

1度

わずかに引き伸ばされた。腫れは軽く、歩ける

数日〜数週間

2度

部分的に切れた。腫れが出て、やや不安定

数週間〜1、2か月

3度

完全に切れた。強い腫れと不安定感。ほかの靭帯の損傷を伴うことが多い

2、3か月以上

治療は、多くの場合手術をしない方法で、装具、松葉杖、痛みが落ち着いてからの太ももの筋力運動が中心です。2024年のレビュー論文でも、急性期の膝の靭帯損傷の多くは、手術をしなくても治療できると整理されています(前十字靭帯の3度を除く)。
▶ 膝の内側側副靭帯損傷を早く治す方法
▶ 靭帯損傷を早く治す方法とは

ただし、側副靭帯の損傷は、前十字靭帯や半月板の損傷と一緒に起こることがあります。ガクッと崩れる、引っかかる、腫れが引かないときは、MRIで確認する意味があります。
▶ 足首の捻挫|症状・原因・治療

半月板損傷が疑われるとき|引っかかり・ロッキング・水

半月板損傷が疑われるとき|引っかかり・ロッキング・水

半月板は、太ももの骨とすねの骨の間にある、三日月形のクッションです。膝の内側と外側に1枚ずつあり、体重がかかったまま膝が回ると、骨の間に挟まれて傷つきます。症状は、関節のすき間の痛み、しゃがむ・立ち上がる・階段での痛み、引っかかり、膝が伸びない・曲がらない(ロッキング)、翌日以降の水です。

足を踏ん張ったまま膝をひねる動きと、拡大図で半月板が骨の間に挟まれて裂ける様子を示した図
膝を捻って半月板が傷つく流れ。①体重がかかったまま、足が地面に固定された状態で膝がねじれる ②丸い拡大図では、半月板が太ももの骨とすねの骨の間に挟まれて裂けます(赤丸)。

若い方ではスポーツの強い力で傷む(外傷性)ことが多く、中高年の方では、半月板がもろくなっているため、しゃがむ、立ち上がる、ちょっと捻るといった軽い動作でも傷む(変性)ことがあります。
▶ 半月板損傷の症状チェック完全ガイド
▶ 半月板損傷で「やってはいけないこと」5選

先日、こんなご相談をいただきました。半月板の損傷を指摘された30〜40代の方です。お子さんと遊ぶたびに膝が熱を持って痛み、いろいろな方法を試してこられましたが、どの方法を選ぶか迷っておられました。お子さんと思いきり遊びたいだけ、というお気持ちが伝わってきました。半月板の痛みは、こうした日常の場面で気づかれることもあります。

半月板損傷は、すべて手術になる?

そうとは限りません。45歳以上で、半月板損傷と軽〜中等度の変形性膝関節症がある351人を、「関節鏡の手術+リハビリ」と「リハビリだけ」に分けたアメリカの臨床試験があります。6か月後の膝の機能(WOMACという点数)の改善は、手術群が20.9点、リハビリ群が18.5点で、統計的に意味のある差はありませんでした。12か月後も同様です。ただし、リハビリ群の30%は、6か月以内に手術を受けています。

一方、傷んだ半月板の断片が挟まって膝が伸びない(ロッキング)ときは、手術が検討されます。
▶ 膝がカクンと抜ける・崩れ落ちる原因

【武内院長のコメント】
「相談に来られる方から、『半月板が切れていると言われて、手術を勧められて迷っている』とよく聞きます。半月板は、MRIに写っていても、痛みの原因とは限りません。症状と画像が合っているかを確かめ、手術をしない選択肢も知っておくことが、納得して決める近道です。」

前十字靭帯などの損傷|「ポン」という音と、ガクッと崩れる感じ

前十字靭帯などの損傷|「ポン」という音と、ガクッと崩れる感じ

膝の中央には、太ももの骨とすねの骨をつなぐ十字靭帯があります。前十字靭帯は、すねの骨が前にずれるのを防ぎ、捻りに対する安定性をつくっています。ジャンプの着地や急な方向転換などで傷み、捻った瞬間に「ポン」と音がして、数時間以内に大きく腫れ、膝がガクッと崩れるのが典型です。半月板や軟骨の傷を一緒に伴うことも少なくありません。後十字靭帯は、転倒で膝の前を強く打ったときなどに傷み、腫れが目立たないことがあります。

前十字靭帯が切れたら、必ず手術?

スウェーデンで、急性の前十字靭帯損傷を負った若く活動的な成人121人を、「早期に靭帯再建手術」と「リハビリ、必要があれば後から手術」に分けた臨床試験があります。2年後の膝の評価(KOOSという点数)の改善は、早期手術群が39.2点、後から手術の群が39.4点で、ほぼ同じでした。後から手術の群59人のうち、実際に手術を受けたのは23人で、残りの36人(約6割)はリハビリだけで経過しました。

これは「すぐ手術をしなくてよい場合がある」という結果で、「不要」という意味ではありません。スポーツ復帰を強く望む方、不安定感が強い方、半月板の損傷を伴う方などは、手術が検討されます。

【武内院長のコメント】
「相談に来られる方から、『ガクッとなったけれど、そのあと歩けたので放っておいた』と聞くことがあります。崩れる感じがあるのに動き続けると、そのたびに半月板や軟骨を傷めることがあります。まず今の膝の状態を知ることが大切です。」

靭帯・半月板以外に傷むもの|お皿のずれ・骨折・お子さんの場合

靭帯・半月板以外に傷むもの|お皿のずれ・骨折・お子さんの場合

膝蓋骨(お皿)の脱臼:捻った瞬間にお皿が外側にずれて、自然に戻ることがあります。10代の女性や運動をしている方に多く、お皿の内側が痛みます。初めての脱臼は、短期間、膝を伸ばした装具で守る方法があり、再発を繰り返すと手術が検討されます。
▶ 膝のお皿(膝蓋骨)とは?場所・働き・痛い原因

軟骨の損傷:骨の表面を覆う関節軟骨には血管がなく、傷つくと自然には修復されにくいとされます。捻ったあと、痛み・引っかかり・腫れが長引くときは、MRIで軟骨も確認します。

骨折・骨挫傷:すねの骨の上端やお皿の骨折は、MRIで初めてわかることもあります。骨の内部の打撲である骨挫傷はレントゲンに写らず、数週間痛みが続くことがあります。骨粗しょう症の方は、軽い捻りでも骨折することがあります。
▶ 関節のMRI検査とは?レントゲンとの違い

成長期のお子さん:骨が成長している途中では、靭帯が切れるより先に、靭帯がついた骨が剥がれたり、骨の成長線(骨端線)が傷ついたりすることがあります。腫れが引かない、体重をかけられないときは、早めに受診してください。
▶ 骨端線損傷とは?骨折との違い・治るまでの期間

病院での検査と治療|レントゲン・MRI、保存療法、手術

病院での検査と治療|レントゲン・MRI、保存療法、手術

どんな検査をするか

  • 問診と診察:捻った状況、音の有無、腫れの出た時間を伺い、押して痛む場所、膝の動き、ぐらつきを調べる(前十字靭帯は「ラックマンテスト」などで緩みを確かめる)

  • レントゲン:骨折やお皿のずれを確認する。靭帯や半月板は写らない

  • MRI:靭帯、半月板、軟骨、骨挫傷を確認する

  • 超音波(エコー):側副靭帯や関節の水を確認できる

  • 関節の水を採って調べる:大きく腫れているとき、針で関節液を採り、血が混じっていないかを確かめることがある

受診のときに、医師へ伝えるとよいこと

  • いつ・どこで・何をしていて捻ったか(スポーツ、階段、転倒など)

  • 捻った瞬間の感覚:音がしたか、ずれた感じ、ガクッとなったか

  • 腫れが出るまでの時間と、いま痛む場所

  • 以前の膝のけが、普段のスポーツや仕事

MRIは損傷を見つける力が高い一方、「異常」に見えても症状の原因とは限らないため、診察と合わせて判断します。

治療の考え方

傷んだ場所

治療の中心

手術が検討される場合

側副靭帯

装具、松葉杖、筋力運動

ほかの靭帯の損傷を伴う、不安定感が強い

前十字靭帯

リハビリ(太ももの筋力、バランス)、装具

膝が崩れる、スポーツ復帰を望む、半月板の損傷を伴う

半月板

リハビリ、薬、関節内の注射

ロッキングがある、強い引っかかりが続く

膝蓋骨脱臼

短期間の装具、リハビリ

再脱臼を繰り返す、骨や軟骨の損傷を伴う

保存療法では、痛みや腫れが強い間は装具や松葉杖で守り、必要に応じて痛み止めを使います。靭帯や関節包がつながるまでには、軽い捻挫でも数週間かかります。固定を長く続けると膝が固まり、筋肉も落ちるため、痛みが落ち着いたら、医師や理学療法士の指導のもとで少しずつ動かすのが一般的です。

手術が必要と判断された場合は、手術のできる医療機関での治療になります。当院は手術を行うクリニックではありませんが、現在の状態の整理や、次にお話しする再生医療が選択肢になるかどうかのご相談をお受けしています。

痛みや不安定感が長引くときの選択肢のひとつとして|再生医療(幹細胞治療)

捻った直後の痛みや腫れ、軽い捻挫そのものは、まず守って休ませることと、必要に応じた整形外科の診察が基本で、再生医療の対象となる場面ではありません。再生医療(自己脂肪由来幹細胞治療)が選択肢になりうるのは、捻ったあとに痛みが数か月続き、背景に靭帯の損傷・断裂、半月板の傷み、軟骨のすり減り(変形性膝関節症)があるときです。膝の変形性関節症は、当院の幹細胞治療の主な対象です。薬や注射、リハビリを続けても痛みが残り、手術にはまだ踏み切れないという方に、選択肢のひとつとしてお話ししています。幹細胞は「体の修復を担当する細胞」で、傷んだ靭帯・半月板・軟骨などの修復に働きかけ、関節の炎症をしずめることを目指します。流れは、お腹などから脂肪を少量採取し(局所麻酔・日帰り)、4〜6週間かけて培養したのち、関節に注射します。ご自身の細胞・血液を用いるため、拒絶反応のリスクはほぼありません。自由診療(保険外)で、効果には個人差があります。診察では、レントゲンやMRIなどで半月板・軟骨・靭帯の状態を確認し、膝の関節が幹細胞治療の対象になるかどうかは、診察で判断します。靭帯が切れて膝が大きくぐらつく場合は、手術など別の治療が向いていることもあり、そのことも正直にお伝えします。

▶ 半月板損傷・断裂に特化した再生医療(幹細胞治療)
▶ 膝の再生医療とは?費用・治療の流れ・よくある質問
▶ 膝の再生医療(幹細胞治療)について

【武内院長のコメント】
「再生医療は、膝を捻った直後に受ける治療ではありません。まず、骨折や靭帯の断裂が隠れていないかを、整形外科で確かめていただくことが先です。そのうえで、『捻ってから数か月、痛みがとれない』『もともと膝に痛みがあり、捻ってから悪化した』という方に、MRIなどの結果を見ながら、対象になるかどうかをご相談しています。」

自宅での過ごし方と運動に戻る目安|痛みが長引くとき

自宅での過ごし方と運動に戻る目安|痛みが長引くとき

腫れが強い間は杖を使い、階段は手すりを持ちます(上りは良いほうの脚から、下りは痛いほうの脚から)。湯船は、腫れや熱感が落ち着いてからにします。
▶ 膝の痛みの原因と対処法まとめ|場所・タイミング・病名から探す

運動(スクワットなど)に戻る目安は、腫れ・熱感がない/左右同じように完全に曲げ伸ばしできる/片脚でゆっくりしゃがんでも痛みや不安がない/方向転換でガクッとしない/太ももの筋力に大きな左右差がないの5つがそろうことです。1つでも欠けるうちは、復帰を急がないでください。
▶ スクワットで膝が痛い原因と正しいやり方

数週間たっても痛み・引っかかり・崩れる感じが続くのは、半月板や軟骨、靭帯に傷が残っているサインかもしれません。前十字靭帯の損傷後の変形性膝関節症について、41の研究をまとめた2019年のレビューがあります。受傷から10年以上たったときの変形性膝関節症の割合は、研究によって0〜100%と大きくばらつきました。靭帯を傷めたからといって、必ず変形性膝関節症になるわけではありませんが、半月板や軟骨の傷みを放置することは避けたいところです。
▶ 変形性膝関節症とは?症状・原因・治療

再発を防ぐために

以前に膝を傷めた方は、再び傷めやすいとされています。予防の基本は、ウォーミングアップ、太ももやお尻の筋力、バランスの運動です。筋力・バランス・着地動作などを組み合わせた予防プログラムを調べた8つのメタ解析をまとめた研究では、前十字靭帯損傷のリスクが全体で半分になっていました(男性のデータは不十分)。足に合った靴や、段差・階段での転倒対策も大切です。

【武内院長のコメント】
「相談に来られる方から、『昔、膝をひねってから、ずっと違和感がある』と聞くことがあります。若いころの捻りが、何年もあとの膝の痛みに関わっていることは珍しくありません。『捻っただけ』と軽く見ず、一度診てもらうことが将来の膝を守ります。」

膝を捻った後についてよくある質問

膝を捻った後についてよくある質問

Q. 膝を捻った後、冷やすのと温めるのは、どちらがよいですか?

直後から数日は、温めるのは避けて休ませるのが一般的です。冷やすのは、痛みが和らぐ範囲で短時間にとどめます。腫れと熱感が落ち着いてからは、温めても構いません。

Q. 何日たっても痛いときは、病院に行くべきですか?

はい。腫れが引かない、数日たっても改善しない、膝が伸びない・曲がらない、崩れる感じがあるときは、整形外科へ。1週間たっても歩くと痛いのは受診の目安です。

Q. 歩けるなら、骨折や靭帯の断裂ではありませんか?

いいえ。歩けても、骨折や靭帯の損傷があることはあります。大きな腫れや「ポン」という音があれば受診をおすすめします。

Q. サポーターや湿布を使ってもよいですか?

つらい時期に使ってもかまいませんが、受診の代わりにはなりません。
▶ 膝サポーターの選び方

Q. 膝を捻った痛みは、どのくらいで回復しますか?

傷んだ場所と重さで大きく変わります。側副靭帯の捻挫は、1度で数日〜数週間、2度で数週間〜1、2か月が目安です。半月板や前十字靭帯の損傷は、より長くかかります。

Q. 何科を受診すればよいですか?

整形外科です。レントゲンやMRIが撮れる医療機関を選ぶと安心です。お子さんの場合も整形外科で構いません。

Q. 夜間や休日に捻ったときは、どうすればよいですか?

膝が大きく変形している、足先が冷たい・白い・しびれるときは、救急車を呼んでください。それ以外は、応急処置をして休み、翌日に整形外科を受診します。迷うときは、お住まいの地域で使える救急安心センター(#7119)に相談する方法もあります。

Q. 放っておくと、どうなりますか?

軽い捻挫なら自然に落ち着きますが、靭帯や半月板が傷んでいると、痛みが長引いたり、膝が崩れるたびに半月板や軟骨を傷めたりします。長い目では、変形性膝関節症につながる可能性もあります。

まとめ|膝を捻ったら、まず守る。腫れ方と痛む場所で傷みを考える

まとめ|膝を捻ったら、まず守る。腫れ方と痛む場所で傷みを考える
  • 直後は、動かさず、休ませ、少し高くし、軽く圧迫する。ひねって確かめる、お風呂で温める、強く揉むのは避ける

  • 体重をかけられない/膝が伸びない・曲がらない/数時間で大きく腫れた/「ポン」と音がした。1つでもあれば、その日のうちに整形外科へ

  • 側副靭帯の捻挫の多くは手術なしで回復する。半月板や前十字靭帯にも、手術をしない選択肢がある

  • 数週間たっても続く痛み・引っかかり・崩れる感じは、MRIで確認する。変形性膝関節症が背景にある場合は、再生医療が選択肢になることもある

関連コラム

参考文献

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院長監修記事

シンセルクリニック総院長 武内の顔写真

武内 晋司郎

(たけうち しんじろう)

シンセルクリニック総院長

三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

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三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

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