true

手術なし!ご自身の細胞で「歩く喜び」を取り戻す治療とは?
ホーム
コラム一覧

【医師監修】膝がカクンとな...

【医師監修】膝がカクンとなる原因|抜ける・崩れる理由と対処法・受診の目安

2026.10.24

「歩いていたら、膝がカクンと抜けて、転びそうになった」

「階段を降りるとき、膝から崩れ落ちそうになる。年のせいだろうか」

ご相談では、「膝がカクンとなるのは、半月板が切れているのでしょうか」「痛くないのに膝が抜けるのは、放っておいてよいのでしょうか」と聞かれることがよくあります。実は、膝が抜ける原因は、半月板や靭帯だけではありません。太ももの筋力の低下や、腰・神経の問題が隠れていることも少なくありません。一方で、転んだあとに膝が伸ばせないときや、片脚に急に力が入らなくなったときは、早めの受診が必要です。

この記事では、シンセルクリニック総院長で整形外科の医師である武内晋司郎が、膝がカクンと抜ける・崩れ落ちるときに考えられる原因、抜けるタイミング別の見分け方、受診の目安、日常生活でできる工夫について解説します。

この記事の結論

  • 膝がカクンと抜ける・崩れ落ちる症状は、膝の中で「力が入らない」「ずれる」「引っかかる」のどれかが起きているサイン。原因は、太ももの筋力低下、半月板損傷、靭帯損傷、膝のお皿の不安定、変形性膝関節症、腰や神経の病気などに分かれる

  • アメリカの調査(36〜94歳・2,351人)では、約12%(10人に1人強)が、3か月のあいだに膝崩れを経験していた。膝崩れのあった方の半数以上は、レントゲンで変形性膝関節症が見られず、太ももの筋力の弱さと関わりがあった

  • 階段の下り、方向転換、歩き始めなど、抜けるタイミングで原因のめやすが絞れる

  • 膝崩れは転倒につながる。膝が崩れたときに実際に転んだ方は、2年後に何度も転ぶ可能性が約4.5倍だったという報告がある。痛くなくても軽く見ない

  • 転倒後に膝が伸ばせない、膝が急に動かなくなった、片脚に急に力が入らない・ろれつが回らないときは、早めの受診(後者は救急)が必要

膝がカクンと抜ける・崩れ落ちるとは?膝崩れ・膝抜け・ロッキングの違い

膝がカクンと抜ける・崩れ落ちるとは?膝崩れ・膝抜け・ロッキングの違い

「膝がカクンと抜ける」「膝から崩れ落ちる」という症状は、医学的には膝崩れ(ひざくずれ)、英語では「バックリング」や「ギビングウェイ(giving way)」と呼ばれます。立っている、歩いている、階段を降りているときに、膝が体重を支えきれず、ガクッと力が抜ける状態です。うしろから膝の裏を押される、いわゆる「膝カックン」と同じ感覚なので、そう表現する方も多くいます。

同じ「カクン」でも、膝の中で起きていることは、次の3つに分かれます。

型

感じ方

膝の中で起きていること

主な原因

力が抜ける型(膝崩れ)

「ガクッ」と力が抜ける

筋肉に力が入らない。痛みで筋肉が働かない。神経の伝わりが悪い

太ももの筋力低下、変形性膝関節症、腰や神経の病気

ずれる型(膝抜け・不安定感)

「膝がずれる」「外れそう」

靭帯や、膝のお皿の支えがゆるく、関節がずれる

前十字靭帯損傷、膝のお皿(膝蓋骨)の不安定

引っかかる型(キャッチング・ロッキング)

「何かが挟まる」「伸びなくなる」

半月板のかけらや、関節の中の骨・軟骨のかけらが挟まる

半月板損傷、関節ねずみ(遊離体)

膝が抜ける3つの型を、筋肉・靭帯・半月板のかけらの状態で示した膝の模型図
膝が抜ける3つの型の模型図(横から見た右膝)。①力が抜ける型は太ももの前の筋肉の弱り、②ずれる型は前十字靭帯のゆるみ、③引っかかる型は半月板のかけらが挟まる状態です。

「ロッキング」は、引っかかった結果、膝が曲がったまま伸びなくなる状態をいいます。「膝が外れて、伸ばすと戻る」という表現も、この引っかかりや、お皿のずれのことが多くあります。

この症状は珍しくありません。アメリカの調査(MOST研究・2,120人)では、膝崩れがあった方が18%、崩れてはいないが「ずれる、滑る感じがする」方が27%でした。「抜けそうな不安」も、生活の邪魔になります。

【武内院長のコメント】
「相談に来られる方から、『膝がカクッとなる』と聞くことがよくあります。ただ、詳しく伺うと、力が抜けているのか、ずれているのか、引っかかっているのかは、方によって違います。診察では『どんな動きのときに、どんなふうに』抜けるのかが一番の手がかりです。」

膝が抜けるタイミング別の見分け表

膝が抜けるタイミング別の見分け表

原因は、「いつ、どんな動きのときに抜けるか」で、ある程度の見当がつきます。診断ではなく、受診のときに医師へ伝える材料としてお使いください。

抜けるタイミング

考えられる原因

一緒に出やすい症状

階段を降りるとき、しゃがんだ姿勢から立つとき

太ももの筋力低下、変形性膝関節症、膝のお皿の痛み

膝の前や内側の痛み、ゴリゴリした感じ

歩き始め、立ち上がった直後

変形性膝関節症、膝の水(関節液)、痛みによる力の抜け

朝のこわばり、腫れ、重だるさ

スポーツや転倒のあと、方向転換やジャンプの着地

前十字靭帯損傷、半月板損傷、お皿のずれ

受傷時の「ポキッ」という感じ、急な腫れ

膝を曲げ伸ばしするとき、突然ガクッとなる

半月板損傷、関節ねずみ

引っかかり感、伸びない、水がたまる

長く歩くと脚が重くなり、力が抜ける。休むと楽になる

腰部脊柱管狭窄症など、腰の神経の問題

お尻や脚のしびれ、前かがみで楽になる

痛みはないのに、力が入らず、ふらつく

神経・筋肉の病気、糖尿病による神経の障害、薬の影響、循環器の問題

足先のしびれ、筋肉の細り、めまい

痛みで膝を使わなくなり、筋肉が弱り、膝崩れが起きる、というように、いくつかの要素が重なっていることが多くあります。
▶ 膝の痛みの原因・治療のまとめ

原因① 太ももの筋力低下(大腿四頭筋)と、痛みによる力の抜け

原因① 太ももの筋力低下(大腿四頭筋)と、痛みによる力の抜け

膝崩れの原因として、いちばん見逃されやすいのが太ももの前の筋肉(大腿四頭筋・だいたいしとうきん)の弱りです。この筋肉は、膝を伸ばして体を支える「ブレーキ」の役目をしています。階段を降りるときや立ち上がるときに、ここが弱いと、体重を受け止めきれず、膝がガクッと折れ曲がります。

アメリカのフレーミングハム研究(36〜94歳・2,351人)では、278人(11.8%)が、3か月のうちに1回以上、膝崩れを経験し、35人(12.6%)は崩れたときに転倒していました。膝崩れは、膝の痛みとも、太ももの筋力低下とも、はっきり関わっていました。しかも半数以上の方は、レントゲンで変形性膝関節症が見られませんでした。レントゲンに異常がなくても、心配ないとは言えません。

太ももの前に加えて、お尻の横の筋肉(中殿筋)も、片脚で立つときの膝の安定に関わります。筋力が弱る背景には、加齢、痛みをかばって膝を使わなくなること、病気やけがのあとの安静があります。さらに、膝に痛みや腫れがあると、筋肉そのものは弱っていなくても太ももに力が入りにくくなることがあります(関節原性筋抑制と呼ばれる仕組みです)。痛みを我慢して鍛えればよいわけではなく、痛みや腫れへの対応と、無理のない運動を合わせることが大切です。
▶ 膝に水が溜まる原因と症状

膝崩れは転倒にも結びつきます。アメリカの研究(55〜84歳・1,842人)では、膝崩れのあった方は、5年後に「何度も転ぶ」「転ぶのが怖い」「バランスに自信がない」状態になる可能性が1.6〜2.5倍でした。さらに、膝が崩れたときに実際に転んだ方は、2年後に何度も転ぶ可能性が約4.5倍でした。「ひやっとしただけ」で済ませないほうがよい理由です。

一方で、希望もあります。別のアメリカの研究(1,803人・2年間追跡)では、太ももの筋力が強い人ほど、膝が不安定になる危険が低く(調整後の相対リスク0.53)、すでにある不安定感の悪化も少ない結果でした。筋力は、鍛えて変えられる、数少ない手がかりです。
▶ 膝に負担のかからない筋トレ

【武内院長のコメント】
「『痛みはそんなにないのに、膝が抜ける』という方は、太ももの筋力が落ちているケースが少なくありません。膝を支える筋肉が頼りなくなっている状態で、ここは運動で変えられる部分です。『もう年だから』と諦めずに、できる範囲から始めていただきたいと思います。」

原因② 半月板損傷|引っかかり、ロッキング、膝に水

原因② 半月板損傷|引っかかり、ロッキング、膝に水

半月板は、太ももの骨とすねの骨のあいだにある、三日月形のクッションです。ここが切れたり、すり減ったりすると、膝を動かしたときに切れた部分が関節に挟まり、「カクン」と抜けることがあります。典型的には、次のような特徴が見られます。

  • 膝を曲げ伸ばしするとき、引っかかる感じや、「ポキッ」「コリッ」という音がする

  • しゃがむ、ひねる、階段の昇り降りで、膝の内側や外側に痛みが出る

  • 膝が曲がったまま伸びなくなる(ロッキング)。膝に水がたまりやすい

若い方はスポーツのひねりで、中高年の方は年齢による傷みで裂けることがあります。生まれつき半月板の形が特殊で、引っかかりやすい方もいます。また、お皿の内側で曲げ伸ばしのたびに引っかかり、コリッと音がするときは、関節の中の薄いひだが挟まるタナ障害のこともあります。
▶ 半月板損傷の症状チェック完全ガイド
▶ 半月板損傷の内側・外側の違い

ここで知っておいていただきたいことがあります。アメリカの研究(50〜90歳・991人)では、膝の症状で選ばれたわけではない一般の方にMRIを撮ったところ、半月板の裂け・傷みが、50代の女性で19%、70歳以上の男性で56%に見つかり、裂けがあった方の61%は、直前1か月に膝の痛み・こわばりがありませんでした。MRIで裂けが写っても、それだけで「膝が抜ける原因」とは決められません。反対に、小さな傷はMRIで見えにくいこともあるため、困っている動作と診察の所見を合わせて判断します。

膝が引っかかって動かなくなったら、無理に伸ばしたり、体重をかけてひねったりしないでください。
▶ 半月板損傷で「やってはいけないこと」5選

【武内院長のコメント】
「相談に来られる方から、『MRIで半月板が切れていると言われた。だから膝が抜けるのだと思う』と聞くことがあります。ただ、半月板が切れていても、痛みも抜けもない方は大勢いらっしゃいます。写った所見と、ご本人の症状が合っているかを確かめるのが、診察の大切な仕事です。」

原因③ 靭帯損傷と、膝のお皿(膝蓋骨)の不安定

原因③ 靭帯損傷と、膝のお皿(膝蓋骨)の不安定

膝は、骨の形だけでなく、靭帯(じんたい)という丈夫な帯で支えられています。これが切れたりゆるんだりすると、関節がずれて、「膝が抜ける」「外れそう」という感じが生じます。
▶ 膝の靭帯とは?前十字・後十字・内側・膝蓋靭帯の場所と働き

前十字靭帯(ACL)損傷

膝の中央を斜めに走る靭帯で、すねの骨が前にずれないよう止めています。スポーツでの急な方向転換やジャンプの着地で切れやすく、受傷時に「ポキッ」という感覚があり、すぐ腫れることが多いとされています。切れたまま過ごすと、方向転換や階段で膝が抜ける(ギビングウェイ)ことがあります。

日本の複数の病院での研究(前十字靭帯の再建手術を受けた239人)では、手術を待つあいだに膝が抜ける経験が2回以上あった方は、内側半月板の損傷が約2倍多く、他の条件をそろえても約3倍でした。「また抜けた」を繰り返さないことが重要です。
▶ 靭帯損傷を早く治す方法とは

内側側副靭帯・後十字靭帯

膝の内側を支える内側側副靭帯は、膝の外側から強い力が加わると傷みます。後十字靭帯は、膝を前から強く打ったときなどに傷つきます。どちらも、ぐらつきを感じることがあります。
▶ 膝の内側側副靭帯損傷を早く治す方法

膝のお皿が外にずれる|膝蓋骨亜脱臼・脱臼

膝のお皿は、太ももの骨の溝の上をすべるように動いています。ここが外側へずれると、「膝が外れる」「カクンと抜ける」感じになります。アメリカの研究(189人を2〜5年追跡)では、脱臼の危険が最も高いのは10〜17歳の女子でした。初めての脱臼のあとに再びずれた人は17%、以前にもずれた経験のある人は49%でした。「前にもあった」場合は、一度、整形外科で確認しておくと安心です。
▶ 膝のお皿(膝蓋骨)とは?場所・働き・痛い原因

前十字靭帯が切れてすねの骨が前にずれる様子と、お皿が外へずれる様子を並べた模型図
膝の不安定さの2つの例。①前十字靭帯が切れ、すねの骨が前へずれる様子(横から見た右膝)。②お皿が太ももの骨の溝から外側へずれる様子(正面から見た右膝)。どちらも「膝が外れそう」な感じにつながります。

原因④ 変形性膝関節症と、関節の中のかけら(関節ねずみ)

原因④ 変形性膝関節症と、関節の中のかけら(関節ねずみ)

中高年の膝崩れで多いのが変形性膝関節症です。軟骨がすり減り、痛み・水・こわばりが出ます。痛みをかばって膝を使わなくなると太ももの筋肉が弱り、さらに不安定になる、という悪循環が生まれます。
▶ 変形性膝関節症とは?症状から治療まで

変形性膝関節症のある105人を調べたアメリカの研究では、63%が、日常生活のなかで「膝が抜ける・ずれる」感じがあると答え、44%は、それが生活動作に影響していると答えました。この不安定感は、痛みの強さや筋力、膝の動く範囲だけでは説明しきれず、それ自体が日常の不自由さと関わっているとされています。

もう1つ、頭に置きたいのが関節ねずみ(遊離体)です。関節の中で軟骨や骨のかけらが剥がれて浮かび、動かしたときに挟まると、突然ガクッと抜けたり、動かなくなったりします。いつもは何ともないのに、あるときだけ引っかかる、というのが特徴です。

原因⑤ 腰・神経・全身の病気が隠れていることも

原因⑤ 腰・神経・全身の病気が隠れていることも

「膝が悪いと思ったら、原因は腰だった」ということもあります。膝を伸ばす筋肉は、腰のあたりから出る神経が動かしています。この神経の通り道が狭くなると、膝に問題がなくても、膝に力が入らず、抜けることがあります。

先日、こんなご相談をいただきました。60〜80代の方で、足先が上がらず、何度も転んでしまったというお話です。大きな病院で検査を受けても「異常なし」と言われ、それでも症状は少しずつ進んでいる。突然、足が外へ流れて、転ぶのが怖いとのことでした。原因が分からないまま過ごす時間は、本当に不安だと思います。膝の症状に見えても、腰や神経に原因があることがあります。

腰の背骨の中の神経が太ももの前の筋肉へ向かう道すじと、圧迫される場所を示した模型図
腰から膝を伸ばす筋肉へ向かう神経の道すじ。①腰の背骨の中を通る神経 ②通り道が狭くなり圧迫される場所(赤丸) ③太ももの前の筋肉。腰で神経が圧迫されると、膝に問題がなくても力が入りにくくなります。

こんなサイン

考えられる病気・状態

相談先

しばらく歩くと脚が重くなり、力が抜ける。休むと戻る。前かがみで楽になる

腰部脊柱管狭窄症(間欠性跛行)

整形外科(腰・脊椎)

太ももの前側が痛み、膝に力が入らない。腰の痛みも伴う

腰の神経が圧迫される病気(腰椎椎間板ヘルニアなど)

整形外科(腰・脊椎)

足先がしびれる。足裏の感覚が鈍く、つまずきやすい

糖尿病などによる末梢神経障害

内科、整形外科

足先が持ち上がらず、つまずく。長い正座や足を組んだあとから、膝の外側〜すねがしびれる

腓骨(ひこつ)神経のまひ(下垂足)。膝が抜けたのではなく、つまずきを「抜けた」と感じていることも

整形外科

痛みはないのに、脚が痩せてきた。力が入らない範囲が広がる

神経や筋肉の病気(まれ)

脳神経内科

めまい、立ちくらみ、動悸のあとに膝が崩れる。新しい薬を始めてからふらつく

血圧の変化、不整脈、薬の影響の可能性

内科、循環器内科、主治医・薬剤師

片側の脚や腕に急に力が入らない。顔がゆがむ、ろれつが回らない

脳卒中の可能性

ただちに救急(119番)

腰の神経が関わる病気は、次の記事をご覧ください。
▶ 腰部脊柱管狭窄症(LSS)とは?手術が必要な危険な兆候と治療法
▶ 間欠性跛行とは?原因は神経か血管か

【武内院長のコメント】
「相談に来られる方から、『膝のレントゲンは異常なしと言われたのに、膝が抜ける』と伺うことがあります。その場合、膝そのものではなく、腰からの神経や、太ももの筋肉、お薬、全身の状態を含めて見直すことが大切です。『膝だけを見ている』状態から、視野を広げるだけで、答えが見つかることがあります。」

すぐ受診したいサインと、膝が抜けたときの応急対応

すぐ受診したいサインと、膝が抜けたときの応急対応

状態

受診の目安

転倒や強い衝撃のあとに、膝が伸ばせない、脚を持ち上げられない、体重をかけられない

その日のうちに整形外科へ(骨折、お皿の腱の断裂などの可能性)

膝が曲がったまま、動かなくなった(ロッキング)。何日も戻らない

早めに整形外科へ

ひねったあとに急に腫れた。熱をもって赤い。発熱がある

早めに整形外科へ(靭帯損傷、関節内の出血、感染などの可能性)

片脚に急に力が入らない、顔のゆがみ、ろれつが回らない

ただちに救急(119番)

排尿・排便の感覚がおかしい。両脚に力が入らない

早めに受診(腰の神経の病気の可能性)

月に何度も膝が抜ける。階段が怖い。転びそうになった

整形外科を受診(痛みが軽くても相談してよい)

膝がカクンと抜けた直後にできること

  1. 無理に立ち続けず、座るか、手すりや壁につかまる

  2. 引っかかって動かないときは、強く伸ばしたり、叩いたり、体重をかけたりしない。痛みの出ない範囲で、ゆっくり小さく動かす

  3. 腫れや熱があるときは、タオルを巻いた保冷剤で15〜20分冷やし、脚を少し高くして休む
    ▶ 膝を捻った後の痛みと腫れ|捻挫・半月板・靭帯の見分け方

  4. その日は運転を避け、症状をメモしておく

受診の前に、メモしておくと役立つこと

  • 左右どちらの膝か。いつから、月に何回くらいか

  • どんな場面か(平地・階段・立ち上がり・方向転換)。痛みと力が抜ける感じ、どちらが先か

  • 腫れ、引っかかり、しびれ、腰の痛み、過去のけがや転倒

症状を確かめようとして、片脚立ち、深いスクワット、膝をひねる動作を試すのはやめてください。

当院は手術を行うクリニックではありませんが、現在の状態の確認、日常生活での工夫、変形性膝関節症があるときの再生医療のご相談をお受けしています。転倒後に膝が伸ばせないなど、緊急性の高い状態は、手術ができる医療機関での診察が先になります。
▶ ご予約・ご相談のご案内

【武内院長のコメント】
「相談に来られる方から、『しばらく様子を見ていたら、ある日ガクッと転んでしまった』と聞くことがあります。膝が抜ける症状は、繰り返すほど膝の中のほかの組織を傷め、転倒のきっかけにもなります。『同じことが2回起きたら、一度診てもらう』くらいの目安で、お越しください。」

病院での検査と治療、再生医療という選択肢

病院での検査と治療、再生医療という選択肢

検査と、保存的な治療・手術

診察では、いつから、どんな動きで、何回くらい抜けるかを伺い、膝のぐらつき、お皿の動き、太ももの筋力、曲げ伸ばしの引っかかりを確かめます。画像は、レントゲン(骨の変形、関節内のかけら)とMRI(半月板、靭帯、軟骨)が中心です。腰が疑われるときは、腰のMRIや神経の検査を組み合わせます。
▶ 関節のMRI検査とは?レントゲンとの違い

治療は、原因を問わず、まず太ももとお尻の筋力を整える運動療法が基本です。炎症が強い時期は痛み止めが補助として使われ、変形性膝関節症ではヒアルロン酸の関節内注射、靭帯のゆるみがあれば装具が選ばれることもあります。原因によっては、半月板の縫合や部分切除、前十字靭帯やお皿の靭帯の再建、関節ねずみの摘出、人工膝関節など、手術がきちんとした選択肢になります。
▶ 膝のヒアルロン酸注射

膝崩れや痛みが長引くときの選択肢|再生医療(幹細胞治療)

膝が抜ける原因のうち、変形性膝関節症や、靭帯・半月板の傷みで膝の痛みや不安定感が続いている方で、薬や注射、リハビリを続けても症状が残り、手術にはまだ踏み切れない場合の選択肢のひとつとして、当院では再生医療(自己脂肪由来幹細胞治療)をご案内しています。膝の変形性関節症は、当院の幹細胞治療の主な対象です。幹細胞は「体の修復を担当する細胞」で、傷んだ軟骨や靭帯などの修復に働きかけ、関節の炎症をしずめることを目指します。診察では、レントゲンやMRIなどで軟骨・靭帯・半月板の状態を確認し、膝崩れの原因がほかにないかも合わせて見ます。流れは、お腹などから脂肪を少量採取し(局所麻酔・日帰り)、4〜6週間かけて培養したのち、膝の関節に注射します。ご自身の細胞・血液を用いるため、拒絶反応のリスクはほぼありません。自由診療(保険外)で、効果には個人差があります。靭帯の損傷・断裂や半月板の傷みが背景にある場合も、対象になることがあります。一方、腰や神経の病気が原因の膝崩れや、半月板のかけら・関節ねずみが挟まって膝が動かなくなっている場合は、先にそちらの検査や治療が必要です。膝の関節が対象になるかどうかは、診察で判断します。

▶ 膝の人工関節・手術を避けたい方へ|膝の再生医療
▶ 膝の再生医療について

【武内院長のコメント】
「再生医療は、『膝が抜けるから受けられる』という治療ではありません。まず、抜ける原因が膝の軟骨のすり減りなのか、靭帯や半月板なのか、腰や筋力なのかを見分けることが先です。原因が違えば、選ぶ道も違います。その見極めが、診察の一番大切な役割だと考えています。」

自分でできること|筋力運動と、転ばないための生活の工夫

自分でできること|筋力運動と、転ばないための生活の工夫

多くの場合に役立つのが、太ももとお尻の筋力、そしてバランスの練習です。痛みが強いとき、腫れや熱があるとき、膝が引っかかって動かないときは、運動を中止して受診してください。

家でできる4つの運動

  1. 椅子に座って、膝を伸ばす:片脚をゆっくり伸ばして5秒止め、下ろします。左右10回ずつ

  2. 仰向けで脚上げ:片膝を立て、反対の脚は膝を伸ばしたまま、立てた膝の高さまで上げて3秒止めます。左右10回ずつ

  3. 椅子からの立ち座り:ゆっくり立ってゆっくり座ります。机や手すりに手を添えてかまいません。5〜10回

  4. 手すりにつかまった片脚立ち:壁のそばで、片脚で10〜30秒

膝を伸ばしきるのが怖いときは、仰向けで膝の下に丸めたタオルを置き、軽く押しつぶすように太ももに力を入れて数秒止める運動から始めてもかまいません。目安は、運動中の痛みが「翌日に残らない程度」までです。強い痛みや、膝が抜けそうな感じが出たら、その場で中止してください。

運動が転倒を減らすという研究

コクランのレビュー(2019年)は、地域で暮らす60歳以上、108件の臨床試験・23,407人をまとめ、運動は転ぶ回数を23%減らすと報告しています。とくにバランス・動作の練習は24%、筋力運動と組み合わせると約3分の1(34%)減らせる可能性が示されました。筋力運動だけ、歩くだけでは、効果がはっきりしませんでした。筋力にバランスの練習を足すことが、膝崩れの不安への現実的な対策です。

生活の中の工夫

  • 階段は手すりを使う:降りるときは特に

  • 靴を見直す:すべりにくく、かかとがしっかりしたもの
    ▶ 膝に優しい靴の選び方

  • サポーターは補助として:不安感をやわらげる助けにはなるが、頼りすぎると筋肉が使われない
    ▶ 膝サポーターの選び方

  • 家の中の段差やコード、すべりやすい敷物を片づける

  • 体重を整える:過体重や肥満のある高齢の方142人の研究で、体重1kgの減少が、歩くときの膝への力の約4kg分の減少と関連していた。食事を減らしすぎて筋肉を落とさないこと

  • 杖を使うことを、ためらわない:不安が強いときは、転倒予防の助けになる。痛い側の膝なら、反対の手で持つ
    ▶ ウォーキングの効果と、膝を守る正しい歩き方

【武内院長のコメント】
「膝が抜けるのが怖くて、外出や運動を控えるようになる方がいらっしゃいます。ところが、動かなくなるとさらに筋肉が落ちて、抜けやすくなるという悪循環に入ります。怖さがあるうちは、座ったままの運動や、手すりのそばの練習から始めれば十分です。」

膝がカクンと抜けることについてよくある質問

膝がカクンと抜けることについてよくある質問

Q. 膝がカクンとなるのは、年のせいですか?

年齢とともに筋力が落ちるため、増える傾向はあります。ただ、運動で変えられる部分が大きく、諦める必要はありません。

Q. 痛くないのに膝が抜けます。放っておいてよいですか?

繰り返すときは、受診をおすすめします。筋力低下、靭帯のゆるみ、腰の神経など、痛みを伴わない原因もあり、転ぶ方もいます。

Q. 膝が外れて、伸ばすと戻るのですが、大丈夫ですか?

お皿がずれて戻る場合と、半月板や関節ねずみが一時的に挟まった場合が考えられます。戻っても原因は残るため、繰り返すなら整形外科で確認してください。何日も戻らないときは、早めの受診が必要です。

Q. 若い人でも膝がカクンとなりますか?

あります。スポーツでの前十字靭帯損傷や半月板損傷、10代の女子に多いお皿のずれなどが代表例です。

Q. サポーターをつければ、いつもどおり歩いてもよいですか?

サポーターは不安感をやわらげる補助で、原因の治療の代わりにはなりません。つけても膝が抜けるときは、無理に歩かず、杖などを併用して、受診してください。

Q. 膝が抜けることがあるとき、車を運転してもよいですか?

ペダルを踏む力や素早い踏みかえに不安があるあいだは、控えてください。再開の目安は、医師に確認してください。

Q. 何科を受診すればよいですか?

膝の症状は整形外科で診てもらえます。片脚に急に力が入らない、ろれつが回らないときは救急、ふらつきや失神を伴うときは内科・循環器内科、筋肉の細りがあるときは脳神経内科への相談が必要です。迷うときは、まず整形外科へ。

まとめ|膝が抜けるのは「力が入らない・ずれる・引っかかる」のサイン

まとめ|膝が抜けるのは「力が入らない・ずれる・引っかかる」のサイン
  • 膝がカクンと抜ける症状は、力が入らない型・ずれる型・引っかかる型に分けて考える。タイミング別の表で見当をつける

  • 原因で多いのは太ももの筋力低下。約12%が3か月のあいだに膝崩れを経験し、半数以上はレントゲン上の変形がなかった

  • 半月板損傷、前十字靭帯損傷、お皿のずれは、抜けるたびに別の組織を傷めることがある。MRIの所見だけで原因は決められない

  • 腰の神経、神経障害、薬の影響、脳卒中が隠れていることもある。膝だけを見ず、全体で考える

  • 転倒後に膝が伸ばせない、膝が動かなくなったときは早めに受診。片脚に急に力が入らない、ろれつが回らないときは119番

  • 筋力運動にバランスの練習を足すと、転ぶ回数を減らせることが示されている

関連コラム

参考文献

  1. Felson DT, et al. Knee buckling: prevalence, risk factors, and associated limitations in function. Ann Intern Med. 2007;147(8):534-540. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17938391/

  2. Nguyen US, et al. The impact of knee instability with and without buckling on balance confidence, fear of falling and physical function: the Multicenter Osteoarthritis Study. Osteoarthritis Cartilage. 2014;22(4):527-534. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24508777/

  3. Nevitt MC, et al. Symptoms of Knee Instability as Risk Factors for Recurrent Falls. Arthritis Care Res (Hoboken). 2016;68(8):1089-1097. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26853236/

  4. Shakoor N, et al. The Association of Vibratory Perception and Muscle Strength With the Incidence and Worsening of Knee Instability: The Multicenter Osteoarthritis Study. Arthritis Rheumatol. 2017;69(1):94-102. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27564789/

  5. Fitzgerald GK, et al. Reports of joint instability in knee osteoarthritis: its prevalence and relationship to physical function. Arthritis Rheum. 2004;51(6):941-946. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15593258/

  6. Englund M, et al. Incidental meniscal findings on knee MRI in middle-aged and elderly persons. N Engl J Med. 2008;359(11):1108-1115. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18784100/

  7. Sakamoto T, et al. Giving-way episodes during preoperative waiting period increase associated injury in anterior cruciate ligament injury: A multicentre observational study. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2026;34(10):3542-3550. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41144749/

  8. Fithian DC, et al. Epidemiology and natural history of acute patellar dislocation. Am J Sports Med. 2004;32(5):1114-1121. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15262631/

  9. Sherrington C, et al. Exercise for preventing falls in older people living in the community. Cochrane Database Syst Rev. 2019;1(1):CD012424. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30703272/

  10. Rice DA, McNair PJ. Quadriceps arthrogenic muscle inhibition: neural mechanisms and treatment perspectives. Semin Arthritis Rheum. 2010;40(3):250-266. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19954822/

  11. Messier SP, et al. Weight loss reduces knee-joint loads in overweight and obese older adults with knee osteoarthritis. Arthritis Rheum. 2005;52(7):2026-2032. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15986358/

院長監修記事

シンセルクリニック総院長 武内の顔写真

武内 晋司郎

(たけうち しんじろう)

シンセルクリニック総院長

三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

医師プロフィールはこちら

三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

医師プロフィールはこちら

同カテゴリの最新記事

Access

アクセス

大阪院

所在地

〒542-0086

大阪府大阪市中央区西心斎橋1-9-15

大京心斎橋ビル3F

Googleマップ

電車でお越しの方

大阪メトロ御堂筋線

心斎橋駅から徒歩3分

大阪メトロ御堂筋線

四つ橋駅から徒歩3分

提携

名古屋(ドクターフォースクリニック)

所在地

〒460-0003

愛知県名古屋市中区錦1-15-8

アミティエ錦第一ビル3階

Googleマップ

電車でお越しの方

名古屋市営地下鉄桜通線

国際センター駅 徒歩8分

名古屋市営地下鉄東山線

伏見駅 徒歩7分

所在地

〒542-0086

大阪府大阪市中央区

西心斎橋1-9-15

大京心斎橋ビル3F

Googleマップ

電車でお越しの方

大阪メトロ御堂筋線

心斎橋駅から徒歩3分

大阪メトロ四つ橋線

四つ橋駅から徒歩3分

ひざ・肩・股関節の再生医療専門クリニック

大阪

名古屋

広島

福岡

まずは、ご相談ください

再生医療の可能性を、一人でも多くの方に知って頂きたいと思っています。
新しい選択肢を「知る」ために、まずはお気軽にお問い合わせください。

電話受付

9:00〜18:00

月

火

水

木

金

土

日

※祝日は休診日となります。

電話での予約・お問い合わせ診療予約お問い合わせ
診療予約はこちら
w2i9Xh