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【医師監修】膝から下が痛い原因|すね・ふくらはぎ・足首の見分け方と受診先

2026.10.28

「膝から下が重くて、夕方になるとふくらはぎが痛い。疲れだと思っていていいのでしょうか」

「片方のすねだけ痛みが続いている。膝は悪くないのに、なぜここが痛むのか分からない」

膝から下の痛みは、とても多いご相談です。ところが、痛むのがふくらはぎでも、原因が筋肉とは限りません。足の血管の病気や、腰から出る神経の病気が隠れていることがあり、なかには急いで受診すべきものもあります。「どこまで様子を見てよく、どこから急ぐのか」を知っておくことが大切です。

この記事では、シンセルクリニック総院長で整形外科の医師である武内晋司郎が、膝から下(すね・ふくらはぎ・足首)が痛む原因を、4つの系統に分けて解説します。急いで受診すべきサインと、救急・循環器内科・血管外科・整形外科のどこに行くかも、はっきり書き分けます。

この記事の結論

  • 膝から下の痛みの原因は、筋肉・腱・骨/神経(腰など)/血管(動脈・静脈)/膝や足首の関節の4系統。いちばん多いのは筋肉の疲れや使いすぎだが、血管の病気が隠れていることがある

  • 片脚だけが急に腫れて痛む、足が急に冷たく白くなる、息切れや胸の痛みがあるときは、様子を見ずに救急で受診する

  • 歩くと痛く立ち止まると楽なら動脈の病気、前かがみで楽なら腰の神経を疑う。受診先が変わる

  • 受診先は、血管の病気なら循環器内科・血管外科、筋肉・骨・関節・腰の神経なら整形外科。危険なサインがなくても、2週間ほどたっても楽にならないときは受診する

  • 再生医療(幹細胞治療)が対象になりうるのは膝の関節が原因のとき。血管の病気、骨折、感染は対象外で、対象かどうかは診察で判断する

膝から下が痛いとは?|場所と、痛みの原因になる4つの系統

膝から下が痛いとは?|場所と、痛みの原因になる4つの系統

「膝から下」は、医学的には下腿(かたい)と呼ばれる、膝から足首までの部分です。骨は、太いすねの骨(脛骨)と、その外側の細い骨(腓骨)の2本。後ろ側にはふくらはぎの大きな筋肉があり、アキレス腱でかかとの骨につながっています。

右脚の膝から足首までを横から見て、すね・ふくらはぎ・膝下・足首の位置を丸数字で示した模型図
膝から下(右脚を横から見た模型図)。①すねの骨(脛骨)の前の面 ②すねの内側のふち ③ふくらはぎ(腓腹筋) ④膝のすぐ下(お皿の下) ⑤足首とアキレス腱。痛む場所によって、疑う病気が変わります。

系統

主な病気・状態

痛みの特徴

筋肉・腱・骨

筋肉疲労、肉離れ、こむら返り、シンスプリント、疲労骨折

動かすと痛む。押すと痛い場所がある。休むと軽くなる

神経

腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、腓骨神経麻痺

しびれや力の入りにくさを伴う。姿勢で変わる

血管

閉塞性動脈硬化症、深部静脈血栓症、下肢静脈瘤

歩くと痛い、重だるい、腫れる、冷える、色が変わる

膝・足首の関節

変形性膝関節症、鵞足炎、ベーカー嚢腫、足首のけがのあと

関節の動きで痛む。関節が腫れる

見逃すと危険なのは血管の病気です。足の痛みや重だるさという「ありふれた症状」で始まり、見た目や痛みの強さだけでは判断しにくいためです。膝のお皿のすぐ下が一点で痛む場合は、膝の関節や腱の問題が多く、原因が異なります。膝の痛み全体は膝の痛みの原因と治療のまとめ、場所ごとの原因は膝の痛みの原因は場所でわかるへ。

【武内院長のコメント】
「相談に来られる方から、『膝が悪いのだと思っていたら、原因は別のところだった』と聞くことがあります。膝から下の痛みは、膝そのものより、血管や腰が関わっていることもあります。痛む場所だけで決めつけず、いつ、どんなときに痛むかを一緒に整理するのが近道です。」

すぐ受診が必要なサイン|救急・当日・2週間で受診先を分ける

すぐ受診が必要なサイン|救急・当日・2週間で受診先を分ける

最初に、急ぐべき症状を確認します。多くは安静で落ち着く軽い痛みですが、次のサインがあるときは、日数を待たずに受診してください。

早さ

サイン

受診先

今すぐ
(救急・119番)

・片脚だけが急に腫れて痛み、息切れ・胸の痛みがある
・足が急に冷たく、白や紫色になり、感覚や動きが落ちた
・骨折や強い打撲、ギプスのあとに、すねやふくらはぎがパンパンに張り、強い痛みが増す
・両足に力が入らず、排尿や排便がしにくい、股のあたりがしびれる
・急に片足の力が抜け、顔のゆがみやろれつの回りにくさもある

救急(夜間・休日も対応する病院)。自分で運転しない

その日のうち
〜翌日

・片脚だけが数日のうちに腫れて痛み、赤みや熱感がある
・安静でも痛む、夜に痛くて眠れない
・足の傷が治らない、足先が黒ずむ
・足に力が入らず、つま先が上がらない
・赤く腫れて熱があり、発熱もある

血管の病気が疑われるなら血管外科・循環器内科。力が入らないなら整形外科。発熱を伴う赤い腫れは内科・皮膚科。迷ったら救急対応の病院

2週間ほど
様子を見て変わらなければ

・上のサインはない
・休んでも2週間ほど楽にならない、繰り返す
・夕方に重だるい、血管が浮き出てきた

痛みの場所や出方に合わせて整形外科、または血管外科・循環器内科

片脚の急な腫れと痛みは、ふくらはぎをもまない

深部静脈血栓症の可能性があるためです。足の深い静脈にできた血のかたまり(血栓)がはがれて肺に流れると、肺塞栓症を起こし、息苦しさや胸の痛みが出ることがあります。ふくらはぎを強くもんだり、温めたりせず、そのまま受診してください。

痛みの強さと危険度は比例しない

深部静脈血栓症は、歩けていても起こります。逆に、骨折や筋肉の断裂は強い痛みがあっても、命に関わらないことが多くあります。見るべきは、腫れ方・色・温度・息切れ・力の入りやすさです。迷ったときは、お住まいの地域の救急安心センター(#7119)や、かかりつけ医への電話相談も使えることがあります。

【武内院長のコメント】
「相談に来られる方には、『もう少し様子を見てから』と我慢される方が少なくありません。ただ、片脚だけの急な腫れと、息切れや胸の痛みの組み合わせは別です。この組み合わせは、迷わず救急で受診してください。ふくらはぎをもまないことも、あわせて覚えておいてください。」

場所と出方で絞る|すね・ふくらはぎ・足首、片足か両足か、いつ痛むか

場所と出方で絞る|すね・ふくらはぎ・足首、片足か両足か、いつ痛むか

危険なサインがなければ、「どこが」「片足か両足か」「いつ」痛むかで原因を絞ります。

手がかり

考えやすい原因

すねの内側のふちに沿って広く痛む

シンスプリント。走る・跳ぶ運動で増える

すねの骨の一点を押すと鋭く痛む

疲労骨折、打撲

すねの外側から足の甲がしびれる。つま先が上がらない

腰の神経の圧迫、腓骨神経の障害

ふくらはぎが急に痛む

肉離れ、こむら返り、深部静脈血栓症、ベーカー嚢腫の破裂

片足だけ

筋肉や骨の傷み、血栓、片側の神経の圧迫、動脈の閉塞、感染

両足とも

脊柱管狭窄症、糖尿病の神経障害、下肢静脈瘤、全身の病気によるむくみ、薬の影響

歩くと痛い。立ち止まると数分で楽

動脈の病気(閉塞性動脈硬化症)

歩くと痛い。前かがみ・座ると楽

腰部脊柱管狭窄症

夕方に重だるく、足を高くすると楽

下肢静脈瘤、筋肉疲労、むくみ

安静時や夜間に痛い

重い動脈の病気、強い神経の圧迫、感染、骨の病気。早めに受診

痛みの質も手がかりです。締めつけられるのは動脈、ジンジンするのは神経、重だるいのは静脈や筋肉の疲れ、鋭く痛むのは筋肉・腱・骨に多い傾向があります。片足のふくらはぎの痛みは片足だけふくらはぎが痛い原因10選でも整理しています。

血管の病気①|閉塞性動脈硬化症(歩くと痛く、休むと楽になる)

血管の病気①|閉塞性動脈硬化症(歩くと痛く、休むと楽になる)

閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)は、足の動脈が動脈硬化で狭くなり、足に血液が十分に届かなくなる病気です。末梢動脈疾患(PAD)とも呼ばれます。

どんな症状?

典型的なのは、歩くとふくらはぎが締めつけられるように痛み、立ち止まると数分で楽になり、また歩くと痛む症状です。これを間欠性跛行(かんけつせいはこう)といいます。坂道や階段で出やすく、太ももやお尻に出ることもあります。進行すると、足の冷え、安静時の痛み、足の指やかかとの治らない傷(潰瘍)、皮膚の黒ずみへと進みます。後ろの段階は重症です。

研究でわかっていること

2013年の世界のまとめ(34の研究、約11万2,000人)では、足の血圧が低い人(足首と腕の血圧の比が0.90以下)を末梢動脈疾患とすると、高所得国で45〜49歳は約5%、85〜89歳は約18%でした(85〜89歳では5〜6人に1人)。リスクは、現在の喫煙で約2.7倍、糖尿病で約1.9倍で、高血圧や脂質異常症も関わっていました。

また、末梢動脈疾患の人460人と、そうでない130人を調べた米国の研究では、典型的な間欠性跛行のない人でも、足に何らかの症状を持つ人が多いことがわかりました。歩いたときと安静時の両方で痛む群は、典型的な群に比べて、脊柱管狭窄症を併せもつ人が多くみられました(20.8%対7.2%)。症状だけで動脈か神経かを決めきれないことがあるのは、このためです。

どう調べる?どう治す?

診察で足の脈や皮膚の色・温度を確認し、足首と腕の血圧を比べるABI検査(痛みのない、数分の検査)を行います。治療は、禁煙・血圧や血糖の管理、歩行訓練(運動療法)、血液をかたまりにくくする薬、カテーテルで血管を広げる治療、バイパス手術などです。足だけでなく全身の動脈硬化のサインであり、心臓や脳の血管の病気を併せもつことがあるため、受診先は循環器内科・血管外科です。

糖尿病で神経の障害があると、足の傷に気づきにくくなります。足の裏に傷がないか、毎日見る習慣を(糖尿病の手足のしびれ)。

【武内院長のコメント】
「相談に来られる方から、『年だから歩くと足が痛いのは仕方ない』と聞くことがあります。ただ、休むと楽になる痛みは、動脈が関わっていることがあります。もちろん腰の神経の場合もあり、見分けるには検査が必要です。年齢のせいと決める前に、一度、循環器内科か血管外科で調べてもらってください。」

血管の病気②|深部静脈血栓症と下肢静脈瘤

血管の病気②|深部静脈血栓症と下肢静脈瘤

静脈の病気には、急ぐもの(深部静脈血栓症)と、急がないが生活に響くもの(下肢静脈瘤)があります。対応がまったく違います。

深部静脈血栓症|片脚の急な腫れと痛みは救急

足の奥深くの静脈に血のかたまり(血栓)ができる病気で、「エコノミークラス症候群」とも呼ばれます。片脚だけの腫れ、ふくらはぎを押すと痛い、赤みや紫色、熱感が出ます。起こりやすいのは、手術や骨折のあと、長時間の移動、寝たきり、脱水などです。血栓がはがれて肺の血管をふさぐ(肺塞栓症)と、息苦しさ、胸の痛み、失神が起こります。

脚の深い静脈にできた血栓が心臓を通り肺の血管に詰まるまでの道すじを、丸数字と矢印で示した模型図
深部静脈血栓症で血栓が肺へ向かう道すじ(脚の静脈と心臓、肺の模型図)。①脚の深い静脈にできた血栓 ②血流にのって心臓へ ③肺の血管で詰まる(肺塞栓症)。片脚の急な腫れでは、ふくらはぎをもまないでください。

診断は、血液検査(Dダイマー)と足の静脈の超音波検査です。症状だけでは、肉離れや、膝の裏の袋が破れるベーカー嚢腫(膝の裏が腫れるベーカー嚢腫)と見分けがつきません。カナダの研究(疑われて受診した593人)では、診察から計算した可能性が「低い群」で3%、「中くらいの群」で17%、「高い群」で75%に血栓が見つかり、全体では16%でした。疑って検査を受けた人の多くは血栓ではありませんが、見逃さないために検査が必要です。治療は血液をかたまりにくくする薬が中心です。予防には、長く座るとき水分をとり、1〜2時間に一度は足首を動かして立ち歩くことが勧められます。

下肢静脈瘤|夕方に重だるい、血管が浮き出る

足の静脈の弁がうまく働かず、血液がたまって血管がこぶのようにふくらむ病気です。血管の浮き出し、夕方の重だるさ、むくみ、夜のこむら返り、皮膚の茶色い変化やかゆみが出ます。立ち仕事の方や高齢の方に多く、命に関わる病気ではありませんが、放っておくと皮膚炎や潰瘍に進むことがあります。

英国で1,566人(18〜64歳)を調べた研究では、足の重さ・むくみ・だるさは女性に多く、年齢とともに増えていました。一方、症状と静脈瘤の有無の一致は診療に使えるほど高くなく、静脈瘤があっても症状の多くは静脈以外が原因かもしれない、とされています。「血管が浮き出ているから、だるさは静脈瘤のせい」と決めつけないほうがよいのです。

治療は、弾性ストッキングでの圧迫、硬化療法、血管内焼灼術(レーザーや高周波で閉じる)などです。相談先は血管外科・循環器内科、皮膚科です。動脈の病気がある方は、弾性ストッキングで血流が悪くなることがあるため、自己判断で使い始めず、医師に確認してください。

【武内院長のコメント】
「静脈瘤は命に関わる病気ではありません。だからこそ、『気になるけれど病院に行くほどではない』と後回しにされがちです。ただ、同じ静脈の病気でも、片脚の急な腫れは別物です。ふだんと違う腫れ方に気づいたときは、静脈瘤と決めつけず、早めに受診してください。」

神経が原因のとき|腰・膝の外側から来る膝下の痛みとしびれ

神経が原因のとき|腰・膝の外側から来る膝下の痛みとしびれ

膝から下の痛みやしびれは、腰から出る神経が原因のこともあります。神経は腰から足先まで長く伸びているため、腰で圧迫されると、膝から下に症状が出ます。膝を調べても原因は見つかりません。

腰部脊柱管狭窄症・坐骨神経痛

腰部脊柱管狭窄症は、背骨の中の神経の通り道が狭くなる病気です。歩くと、お尻から太もも、ふくらはぎにかけて痛みやしびれが出て、前かがみになる、座ると楽になり、休むとまた歩けます。後ろに反らすと痛みが強まり、自転車なら楽に乗れることが多い、という特徴もあります。坐骨神経痛は病名ではなく、お尻から足先へ走る痛みやしびれの総称で、椎間板ヘルニアなども原因になります。詳しくは腰部脊柱管狭窄症とは、脊柱管狭窄症と椎間板ヘルニアの違い、坐骨神経痛の症状・原因をご覧ください。

腓骨神経麻痺|膝の外側の圧迫で、つま先が上がらない

膝の外側のすぐ下では、腓骨神経が浅いところを通っています。足を組む癖、長時間のしゃがみ、ギプスやサポーターの圧迫などで圧迫され、すねの外側から足の甲のしびれ、つま先が上がらない(下垂足)症状が出ます。つまずきやすくなるため、力の入りにくさが出たら日数を待たず整形外科へ(下垂足の原因・治し方)。

血管と神経の見分け方|「どうやって楽になるか」に注目

見分けるポイント

動脈の病気

腰の神経(脊柱管狭窄症)

楽になる方法

立ち止まるだけで数分で楽

前かがみ、しゃがむ、座る

痛みの質

締めつけられる、つっぱる

しびれ、ジンジン、力が入りにくい

足の様子

冷たい、脈が弱い、傷が治りにくい

温度や色は普通

主な受診先

循環器内科・血管外科

整形外科

歩いて痛くなった人が、血管の病気では立ち止まり、腰の神経の病気では前かがみや座って楽になる違いを示した図
歩くと痛い足の、楽になり方の違い(50〜70代の男女)。①歩いて痛みが出る ②血管の病気では、立ち止まるだけで数分で楽になる ③腰の神経の病気では、前かがみや座ると楽になる。矢印の先が、楽になる姿勢です。

ただし、両方が重なっている方もいます。自己判断せず、整形外科と、必要に応じて循環器内科・血管外科の両方で調べるのが確実です(間欠性跛行とは?原因は神経か血管か)。なお、両足に力が入らない、排尿や排便がうまくできない、股のあたりがしびれるときは、神経が強く圧迫されている可能性があり、救急での受診が必要です。

【武内院長のコメント】
「相談に来られる方から、『膝を調べても異常がないと言われた』と聞くことがあります。膝から下の痛みやしびれは、腰が原因のことがあります。『前かがみで楽になるかどうか』は、受診の際にとても役に立つ情報です。診察のときに、ぜひお伝えください。」

筋肉・腱・骨が原因のとき|肉離れ・こむら返り・シンスプリント・疲労骨折

筋肉・腱・骨が原因のとき|肉離れ・こむら返り・シンスプリント・疲労骨折

いちばん多いのは筋肉・腱・骨の問題で、多くは休んだり、運動量を調整したりすると落ち着きます。

筋肉疲労・肉離れ

立ち仕事や歩きすぎで、ふくらはぎやすねが重だるく張ります。休む、足を高くする、足首を動かす、で楽になるのが特徴で、2週間ほど続けても良くならないときは、ほかの原因を考えます。ダッシュや急な踏み込みで「ブチッ」とした感じがあれば、肉離れが疑われます。応急処置は、休める・冷やす(タオル越しに15〜20分)・圧迫・高くする。受傷の瞬間がはっきりしていることは血栓との見分けの手がかりですが、腫れが強い、赤みや熱があるときは受診してください。

こむら返り(足がつる)

米国の家庭医向けの解説では、成人の最大60%が夜間のこむら返りを経験しており、原因は筋肉の疲れと神経の働きの乱れが考えられ、ミネラルの異常だけでは説明しにくいとされています。血管の病気、腰部脊柱管狭窄症、肝硬変、透析、妊娠のほか、点滴の鉄剤、エストロゲン製剤、ナプロキセンなどの薬でも起こりやすくなります。ときどきなら心配ありませんが、頻繁に繰り返す、両足に広く出る、しびれや力の入りにくさを伴うときは受診を(夜中に足がつるのは何の病気?)。

シンスプリント

走る・跳ぶ運動を繰り返す人の、すねの内側のふちに沿って広く痛む状態で、運動の始めに痛み、温まるとやや軽くなります。運動をしている人を対象にした研究(83の論文のまとめ)では、なりやすい要因として、女性(約2.4倍)、体重が重いこと、足の内側のアーチが落ちやすいこと、過去に走って傷めた経験(約2.2倍)などが示されました。治療法を比べた研究は質の高いものが少なく、実際には、運動量の調整、衝撃の少ない運動への切り替え、靴やインソールの見直しが基本です。

疲労骨折

骨に小さなひびが入る状態で、すねや腓骨に起こります。ジャンプや長距離走の繰り返しのほか、骨粗しょう症のある高齢の方では、日常の動作でも起こります。骨の一点を押すと鋭く痛むのが手がかりで、初期はレントゲンに写らず、MRIで確認することもあります(関節のMRI検査とは)。我慢して続けると完全な骨折になることがあるため、一点が痛く休んでも続くときは整形外科へ。

急性コンパートメント症候群|骨折や強い打撲のあとの危険なサイン

骨折、強い打撲、きつすぎるギプスや包帯のあとに、すねやふくらはぎの筋肉を包む膜の中の圧力が高まり、筋肉や神経への血流が落ちる状態です。鎮痛薬でも治まらない強い痛み、パンパンの張り、足の指を動かすと強く痛む、しびれが出ます。診断は難しく、放置すると筋肉や神経に永続的な障害が残ることがあり、時間との勝負です。圧力を下げる緊急の手術が必要になることもあります。

【武内院長のコメント】
「相談に来られる方から、『走っていないのに、すねが痛い』と聞くことがあります。すねの痛みは、運動をしていない方でも、体重や靴、足の形の影響を受けることがあります。休んでも続く一点の痛みは、疲労骨折の可能性もありますので、痛み止めで我慢せず、ご相談ください。」

膝や足首、全身の病気が原因のとき|膝関節の痛み・むくみ・感染・痛風と再生医療

膝や足首、全身の病気が原因のとき|膝関節の痛み・むくみ・感染・痛風と再生医療

膝・足首の関節が原因のとき

変形性膝関節症や半月板の傷みでは、痛みが膝の内側からすねの内側へ広がることがあります。膝の内側下が痛む鵞足炎、お皿の下の腱が痛むジャンパー膝などもあります。変形性膝関節症、鵞足炎、ジャンパー膝、足首が痛い原因も参考にしてください。

赤く腫れて熱を持つとき・むくみ・薬

  • 蜂窩織炎(ほうかしきえん):皮膚の下に細菌が入る炎症で、足が赤く腫れて熱と痛みがあり、発熱を伴うことも。糖尿病や水虫、傷のある方に起こりやすく、血栓と見た目が似ます。その日のうちに内科・皮膚科へ

  • 痛風・偽痛風:足首や足の親指の付け根が、急に赤く腫れて触れないほど痛む病気です(痛風で食べてはいけないもの)

  • 両足のむくみ:指で押すとへこむ両足のむくみは、心臓・腎臓・肝臓・甲状腺の病気や、降圧薬などの影響のことがあります。息切れや体重増加を伴うときは内科へ

  • 薬の影響:一部の薬は筋肉の痛みや脱力を起こします。飲み始めてから痛くなったときは、自己判断でやめず、処方した医師に相談を

膝の関節が原因のときの再生医療(幹細胞治療)

当院は手術や保険診療を行わない、再生医療のクリニックです。膝から下の痛みの原因が膝の関節にある場合に、当院の幹細胞治療(自己脂肪由来幹細胞治療)の対象になりうるものがあります。変形性膝関節症、半月板の傷み、靭帯の損傷・断裂、長引く筋肉や腱の炎症です。一方、血管の病気、腰の神経の病気、骨折(疲労骨折を含む)、感染、軽い捻挫そのもの、受傷直後、運動後の筋肉痛は、対象ではありません。方法は、お腹などから脂肪を少量採取(局所麻酔・日帰り)し、そこから幹細胞を取り出して約4〜6週間培養し、膝の関節に注射します。幹細胞は「体の修復を担当する細胞」で、傷んだ組織の修復に働きかけ、炎症をしずめることを目指します。ご自身の細胞・血液を用いるため、拒絶反応のリスクはほぼありません。自由診療(保険外)であり、費用は保険診療より高くなること、効果には個人差があり、すべての方に同じ変化が出るわけではないことをご了承ください。ご自分の症状が対象になるかどうかは、症状と画像検査の結果をもとに、診察で慎重に判断します。原因が血管や腰にあると考えられるときは、先にそちらの検査をおすすめします。

脂肪由来の幹細胞を膝の変形性関節症に注射する研究については、6件の無作為化比較試験(551人)をまとめた2026年のメタ解析で、3か月・6か月・12か月後の痛みの点数が対照より低く、有害事象が明らかに増えたとはいえなかったと報告されています。ただし、研究ごとに細胞の作り方や比べる相手が異なり、軟骨の構造そのものが回復するかを示す長期データは限られます。
▶ 膝の人工関節・手術を避けたい方へ(変形性膝関節症の再生医療)
▶ 膝の再生医療(治療ページ)

【武内院長のコメント】
「再生医療は、膝の関節が原因の痛みに向いた治療で、血管の病気や、腰の神経の病気を治すものではありません。ご相談では、まず今の痛みの原因がどこにあるのかを一緒に整理します。膝の外に原因がありそうなときは、その検査を先におすすめすることがあります。」

何科を受診する?検査と、自宅でできること・避けること

何科を受診する?検査と、自宅でできること・避けること

受診先と検査

  • 救急:上の表の「今すぐ」のサイン

  • 循環器内科・血管外科(心臓血管外科):歩くと痛く立ち止まると楽、足が冷たい、傷が治らない、片脚の腫れ、血管の浮き出し(皮膚科・形成外科でも診る)。ABI検査、下肢静脈の超音波、血液検査(Dダイマー)などを行います

  • 整形外科:前かがみで楽になる、しびれ、力が入りにくい、運動後の痛み、一点の痛み、関節の痛み。診察、レントゲン、MRIなどを行います

  • 内科・皮膚科:赤く腫れて熱がある、両足のむくみ、息切れ

どこか分からないときは、まずかかりつけ医か整形外科で相談し、血管の病気が疑われれば紹介を受けます。ただし、片脚の急な腫れや足の急な冷えは、迷わず救急対応の病院へ。

危険なサインがないときに、自宅でできること

  • 休む、足を高くする:クッションで足を心臓より少し高くする

  • 足首をこまめに動かす:長く座るときは1〜2時間に一度、足首の上げ下げと水分補給を

  • ふくらはぎのストレッチ:壁に手をつき、片足を後ろに引いてかかとを床につけ、体重を前にかける。痛気持ちいい程度で20〜30秒

  • 靴とインソールの見直し:かかとが安定し、つま先に余裕のある靴に(膝にやさしい靴の選び方)

  • 禁煙と体重管理

避けたいこと

  • 片脚が急に腫れたときの、ふくらはぎのマッサージや温め

  • 痛み止めや湿布で我慢して、運動や歩行を続けること

  • 自己判断で弾性ストッキングを使うこと、薬をやめること

  • 「年のせい」と決めつけること

膝から下の痛みについてよくある質問

膝から下の痛みについてよくある質問

Q. 重だるいのは、静脈瘤ですか?

可能性はありますが、決めつけは禁物です。血管の浮き出し、夕方の悪化、足を高くして楽になるかを目安に、血管外科か循環器内科で超音波検査を受けるとはっきりします。

Q. 膝から下の痛みで、再生医療は受けられますか?

痛みの原因が膝の関節(変形性膝関節症・半月板・靭帯など)にある場合は、対象になりうるものがあります。血管の病気、腰の神経の病気、骨折、感染は対象ではありません。まず原因を調べることが大切で、対象かどうかは診察で判断します。
▶ ご予約・ご相談のご案内

まとめ|膝から下の痛みは、4つの系統と「急ぐサイン」で整理する

まとめ|膝から下の痛みは、4つの系統と「急ぐサイン」で整理する
  • 原因は筋肉・腱・骨/神経/血管/膝や足首の関節の4系統。多くは筋肉の疲れだが、血管の病気が隠れていることがある

  • 片脚の急な腫れ、息切れや胸の痛み、足の急な冷えと変色、骨折後の強い張りは、迷わず救急で受診。ふくらはぎはもまない

  • 歩くと痛く立ち止まると楽なら動脈、前かがみで楽なら腰の神経。「どうやって楽になるか」を医師に伝える

  • 危険なサインがなくても、2週間ほどたっても楽にならないときは受診。安静時の痛みや足の傷が治らないときは、日数を待たない

  • 再生医療は膝の関節が原因のときに対象になりうる。血管・腰の病気、骨折、感染は対象外で、対象かどうかは診察で判断する

関連コラム

参考文献

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  9. Han JH, et al. Autologous adipose-derived mesenchymal stromal cell injection for knee osteoarthritis improves pain and function without a clear increase in adverse events: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2026 Aug 10. doi:10.1002/ksa.70569. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42573097/

院長監修記事

シンセルクリニック総院長 武内の顔写真

武内 晋司郎

(たけうち しんじろう)

シンセルクリニック総院長

三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

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三重大学医学部卒業。済生会中津病院や淀川キリスト教病院などで整形外科医としての経験を積み、現在は再生医療専門シンセルクリニックを開設。柔道やラグビーの経験から怪我や加齢による悩みに深く寄り添い、再生医療の可能性を追求。「思うままに動ける人生を」を信条に、患者様一人ひとりに最適な医療を提供しています。

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